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2章 1000回目の巻き戻りのはじまり

フローリア現状を知る

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 999回目の人生を終え1000回目の巻き戻り人生中の私、フローリア・ナイトレイ。

 ナイトレイ侯爵家の一人娘で侯爵令嬢をやってます。

 999回目の死を迎えた時に出逢ったモフモフの神様から与えられた最後の巻き戻り人生をすごしているよ!

 え?性格がなんか違うって?

 うーん実は思い出した幼少期の私ってこんな性格だったのよね。わりとお転婆で思った事をバンバン言っちゃうような子供らしい子供だったんだよね。

 淑女な私もいいとは思うんだけど、自分だけの時はこっちの方が楽だから言葉が砕けちゃうのはご愛敬。

 王妃教育と淑女教育が始まってから色々変わっちゃったんだよ、てへぺろ。

 ま、私の性格の変化はとりあえず置いておいていいかな。

 
 そんな曰くつきの1000回目の巻き戻りから目覚めた私が始めたのは現状の把握からだった。

 

 

 
 現在の私は4歳。来月には5歳になる。

 そして私のどの記憶を辿っても時期的に全く変わらないのが私に死の原因を作る王子との接触。

 いつも私が5歳の誕生日を迎えた頃開かれる王宮での高位貴族の子息令嬢を集めたお茶会と言う名のお見合い。

 うわー……やだやだやだ。

 絶対にライアン王子と会いたくない。この人に下手に気に入られると死に一歩近づいてしまう。

 あとは、毎回どの立場で私の前に現れるかわからないのがマリーベル。

 彼女が神様が言っていたヒロインとやらだろう。

 私の999回の記憶の中でいつも私の周りに現れ、私を悪者に仕立て上げ大事な人達を奪っていく。

 どうして私は今までマリーベルのこの暴挙を放っておいたのかしら?

 私ってば見事に自我がなかったのね。

 どの記憶の私も虚無の顔しか浮かべていないし、記憶の中の私の心の中も何も感じていない。

 いつから私はお人形になってしまったんだろう。

 やり直しを繰り返すたびに999回目までのフローリアは何が楽しくて生きていたのかわからない。

 神様は国と王太子様に献身的だったと言ったけれど、それは違うと思う。

 フローリアは無意識のうちに色々な事を諦めたんだ。
 
 自分自身に記憶がなくてもどこかで覚えていたから心を殺した。これ以上自分が傷つかず人形でいる方が楽だったから。

 きっと神様が私を見つけてくれなかったらこの先も本当の死を迎える事なく、何度も繰り返す人生を生きても何の疑問も持たず生きていただろう。

 それがいいのか悪いのか私にはわからないけれど、記憶を思い出してしまった私にはとても無理だ。

 このめんどくさい事この上ない人達と接触しないで済むにはどうしたらいいのかしら?

 私が侯爵家から飛び出して平民になればいいのかしら?

 記憶の中には平民として生きた記憶もあるから平民になったとしても特に困る事もないわ。

 でも……私を溺愛するお父様に反対されそうよね。

 下手に家出をすれば血眼で探し出され邸に監禁される事待ったなしな気がする。

 平民になるのは本当の最終手段みたいね。

 それとも病弱設定でも作って接触を極力減らす事かしら?

 会わなければ敵も私を認識しないし、私じゃない人を婚約者にしてくれるかもしれない。

 これ以上ライアンの婚約者になるなんて冗談じゃない。

 あんなに簡単に私を捨てるような王子なんかこっちから願い下げだわ。

 よし、とりあえず病弱設定から始めましょう。

 
 今までのフローリアでは考えられない思考になっているのには理由がある。

 私は思い出した記憶と、された仕打ちに唖然としたんだ。

 何も悪い事をしていないフローリアがどうしてあんな仕打ちをうけなくてはならないのか?

 どうして誰も助けてはくれなかったのか?

 神様の言う箱庭の強制力のせい。

 そんな言葉じゃ答えにならない程だった。

 きっと999回目までの私ならどれだけ虐げられても何も感じなかった。

 でも、神様に真実を教えられた私は告げられた最後・ ・の人生について考えたのだ。

 
 

 私は神様が言った。

「999回目の人生の終わりに願った事を願っていい」

 その言葉を聞いて決めたのだ。


 999回目の人生の終わりに無意識に私が願った事。


 今までのフローリアなら考える事のなかった内容。


『そろそろ幸せになりたいです』


 999回目の私の願いを1000回目の巻き戻り人生を生きる私が叶えたい。


 そう思ったんだ。


 

 
 
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