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1章 やり直し人生のはじまりのはじまり

繰り返す人生の続き

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 それからも何度も何度もフローリアは自分の人生を繰り返す。

 


 ある時はライアンとは出逢わず他の誰かと婚約して結婚をするが、夫の愛人に殺される人生。

 ある時はライアンと出会いフローリアがライアンを好きになるがライアンからとてつもなく嫌われてしまう人生。

 ある時はナイトレイ家が没落し平民になり娼婦として生きる人生。

 ある時は後妻の娘としてナイトレイ家に入り込んで来たマリーベルに追い出されるも冒険者として生きる人生。

 ある時はマリーベルが実の妹で婚約者のライアンを奪われる人生。


 どの人生もその時のフローリアの命が潰えるとすぐにまた新たな繰り返しのループに突入する。

 でもその事実に誰も気が付かない。

 人生の繰り返しをしている当の本人であるフローリアなど気づく余地もなかった。

 

 それも当然の事だった。

 
 この繰り返しの人生の記憶はフローリアにはないのだ。

 何度繰り返しの人生になろうとも死を迎え次に目覚めるフローリアに記憶はない。

 
 全てを忘れて新たな人生を歩むのだ。

 ただ一つだけ、何度人生を繰り返しても律儀な性格だというのだけは変わらなくて、死を迎えた時に思い出す記憶の中に何度目の繰り返しかをその一瞬だけのフローリアはカウントしていた。

 途方もない回数を重ねるこの繰り返しの人生。

 ほんの一瞬思い出すだけの記憶に回数を刻んでいた。

 それはそれは途方もない事。

 フローリア自身ただのカウントなので特に何も考えている事でもなかったが、途方もない事には違いない。

 


 フローリアの過ごしてきた繰り返しの人生は長い物もあれば数時間など短いものもある。

 そんな中少しずつフローリアの繰り返し人生の中でおかしな事が起きるようになってきた。


 それは500回目の繰り返し人生を過ごしていた時。


 いつもフローリアとライアンが婚約者になると現れるマリーベル。でもその時はいつもと様子が違った。

 繰り返す人生の中でマリーベルはいつもフローリアからライアンを奪いフローリアに対し残酷な人生を歩ませるような人だった。

 なのにその人生では何故かマリーベルはフローリアの邪魔をする所か、初めてフローリアはライアンと結婚をしていて王妃になっていた。

 そしてマリーベルは王妃付きの侍女。

 今までの繰り返し人生を考えるととても考えられないような事だった。

 でも結局はフローリアの傍にいたマリーベルを見初めたライアンによって愛妾として召し上げられたマリーベルにライアンの寵愛は奪われ、フローリアは失意のまま死を迎える人生だった。

 この記憶もフローリアは覚えていないけれど、ただ一人この人生を覚えている人がいた。


 その人物がフローリアの繰り返し人生を変えるきっかけを作るのだった。


 でも今はまだ誰も気が付かない気が付くのはこの途方もない繰り返し人生の終焉を迎えた時。


 
 フローリアが自分の人生を生きると決めた時だろう。

 
 
 
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