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1章 やり直し人生のはじまりのはじまり
繰り返し人生のはじまり
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目が醒めると見慣れた天蓋が見える豪華でふかふかなベッドの上。
特に何も感じる事なく目覚めたまま侍女が起こしに来るのを待つ。
主人が早く起きすぎると周りの者に迷惑を掛けてしまう。
だから、侍女が自分を起こしてくれるまでベッドで大人しく待つのも令嬢の仕事だと教わった。
起こしに来てくれた侍女と挨拶を交わし、モーニングティーを貰いゆっくり飲み干すと準備をして邸にあるダイニングへ向かうのだが……。
鏡に映る自分になんとも言えない違和感を感じるので思わず侍女に尋ねてしまった。
「ねぇ、私は……ふ、フローリア・ナイトレイですわよね?」
自分でそう言いながらも何か気持ちが悪い。その理由はわからないけれど。
「はい、お嬢様。お嬢様はナイトレイ家の一人娘、フローリア・ナイトレイ様ですわ」
そう、キッパリ言ってくれた。
他人からの肯定の言葉にようやく現実が胸にストンと収まった。
そして何も不思議に思うことなくまた日常が始まる。
一度目のフローリアの事を覚えているはずもない二度目の人生を生きるフローリア。
彼女は現在5歳。
今日はライアン王子の為に開かれる高位貴族の子息令嬢が招かれたお茶会の日だ。
一度目の人生のフローリアと違い二度目の人生のフローリアは人見知りで引っ込み思案な少女だった。
だから今日も王宮に招かれている事もイヤでイヤで仕方なかった。
侍女により高価なドレスと飾りたてられそれだけでもフローリアはぐったりしていた。
そして、王宮へ行く直前まで行きたくないと泣き叫び隠れ嫌がるような子供だった。
それでも高位貴族であるナイトレイ侯爵家の令嬢として王宮からの招きを仮病で切り抜ける事は難しい。
イヤイヤながらも馬車へ積み込まれるとプクーっと頬を膨らませながら逃亡に失敗したフローリアは王宮へ連行された。
ビクビクとしながら人前に出るのを怖がる彼女は、侯爵が王妃様へご挨拶する時に我慢してご挨拶するとその後は人気のない所へ逃亡してしまった。
人が怖いフローリア。
なぜ人が怖いのかわからないけれど、知らない人の視線が怖い。
ナイトレイ家の侍従や侍女とは産まれた時からの付き合いだから怖くないが、全く知らない人の中に行かないといけないなんて彼女にとっては地獄と変わらない。
誰にも見つからないように見えないように人気のない庭園の隅の方で膝を抱え座り込む。
早くお茶会なんか終わらないかと思いながら……令嬢としてはぼんやりさんなフローリアはそのまま寝こけてしまった。
そんなフローリアを見つけたのは、またもライアンだった。
ライアンは自分の婚約者候補だという少女が会場で見つからず探していた。
ようやく見つけたのは庭園の隅にあるサクラという木の下。
小さく自分を抱きしめるように眠る銀色の髪の小さな子に興味を抱いたライアンはフローリアが目覚めるのを待った。
イヤな視線を感じて閉じていた目をそぉっと開けるフローリアの瞳に飛び込んで来たのは金髪で翠の瞳の美しい少年だった。
驚いたフローリアは思い切り後ずさる。
フローリアが人見知りだと知らないライアンは人との適切な距離の取り方が下手だった。
フローリアが逃げれば逃げる程ジリジリとフローリアに近づいてくるライアンに彼女は恐怖を感じ思わず逃げ出した。
しかし、所詮は子供の足だ逃げられる範囲などたかが知れている。
ライアンにとってはこの庭園自体自分のテリトリーの範囲だ、逃げるフローリアを追いかけるのは彼女と遊んでいる物ぐらいの認識だった。
でもそれはライアンの認識であってフローリア自身はライアンが誰か分からず怖くて逃げているとも知らずに。
追いかけてくる男の子が怖いフローリアは全力で逃げる。
怖い。怖い。怖い。
あの子イヤだ。
逃げても逃げても追いかけてくる男の子に恐怖を感じるフローリア。
どんなに逃げてもいつかは体力的に持たなくなる。
庭園の中にある美しい池の前にやってきたフローリア、少し休憩と池に掛かる橋の上で休憩していると
「見つけた!!」
と大きな声が聞こえた先に見えたのはフローリアの恐怖の対象の男の子がいた。
恐怖と驚きでパニックになってしまったフローリアは運悪く橋の上から池の中へ落ちてしまった。
バシャーンと大きな水しぶきが上がる池と橋の上から消えたフローリア。
何が起ったのか分からないライアンはフローリアのいた橋の上まで行くと橋から水面を覗き込むと、水の中で重さが増したドレスに絡まり溺れているフローリアがいた。
どうしてこうなってしまったのかわからないけれど、急いで近くに居た騎士を捕まえるとフローリアを救出してもらうも時遅く彼女は帰らぬ人となってしまった。
フローリアの二度目の人生は王宮内での事故という溺死。
とてもとても短い人生だった。
死を迎えたフローリアは一度目の人生と同じように
ただ一度目と違うのは死の間際にフローリアの人生が巻き戻りを繰り返しているという事を思い出した事とその事実は次の人生では全て忘れて巻き戻りの人生をまた歩む事。
その記憶は忘れているだけでフローリアの中奥深くに刻み付けられ強固に閉じた記憶となる事。
そして次目覚めた瞬間。またフローリア・ナイトレイとしての人生のやり直しのループに突入する。
特に何も感じる事なく目覚めたまま侍女が起こしに来るのを待つ。
主人が早く起きすぎると周りの者に迷惑を掛けてしまう。
だから、侍女が自分を起こしてくれるまでベッドで大人しく待つのも令嬢の仕事だと教わった。
起こしに来てくれた侍女と挨拶を交わし、モーニングティーを貰いゆっくり飲み干すと準備をして邸にあるダイニングへ向かうのだが……。
鏡に映る自分になんとも言えない違和感を感じるので思わず侍女に尋ねてしまった。
「ねぇ、私は……ふ、フローリア・ナイトレイですわよね?」
自分でそう言いながらも何か気持ちが悪い。その理由はわからないけれど。
「はい、お嬢様。お嬢様はナイトレイ家の一人娘、フローリア・ナイトレイ様ですわ」
そう、キッパリ言ってくれた。
他人からの肯定の言葉にようやく現実が胸にストンと収まった。
そして何も不思議に思うことなくまた日常が始まる。
一度目のフローリアの事を覚えているはずもない二度目の人生を生きるフローリア。
彼女は現在5歳。
今日はライアン王子の為に開かれる高位貴族の子息令嬢が招かれたお茶会の日だ。
一度目の人生のフローリアと違い二度目の人生のフローリアは人見知りで引っ込み思案な少女だった。
だから今日も王宮に招かれている事もイヤでイヤで仕方なかった。
侍女により高価なドレスと飾りたてられそれだけでもフローリアはぐったりしていた。
そして、王宮へ行く直前まで行きたくないと泣き叫び隠れ嫌がるような子供だった。
それでも高位貴族であるナイトレイ侯爵家の令嬢として王宮からの招きを仮病で切り抜ける事は難しい。
イヤイヤながらも馬車へ積み込まれるとプクーっと頬を膨らませながら逃亡に失敗したフローリアは王宮へ連行された。
ビクビクとしながら人前に出るのを怖がる彼女は、侯爵が王妃様へご挨拶する時に我慢してご挨拶するとその後は人気のない所へ逃亡してしまった。
人が怖いフローリア。
なぜ人が怖いのかわからないけれど、知らない人の視線が怖い。
ナイトレイ家の侍従や侍女とは産まれた時からの付き合いだから怖くないが、全く知らない人の中に行かないといけないなんて彼女にとっては地獄と変わらない。
誰にも見つからないように見えないように人気のない庭園の隅の方で膝を抱え座り込む。
早くお茶会なんか終わらないかと思いながら……令嬢としてはぼんやりさんなフローリアはそのまま寝こけてしまった。
そんなフローリアを見つけたのは、またもライアンだった。
ライアンは自分の婚約者候補だという少女が会場で見つからず探していた。
ようやく見つけたのは庭園の隅にあるサクラという木の下。
小さく自分を抱きしめるように眠る銀色の髪の小さな子に興味を抱いたライアンはフローリアが目覚めるのを待った。
イヤな視線を感じて閉じていた目をそぉっと開けるフローリアの瞳に飛び込んで来たのは金髪で翠の瞳の美しい少年だった。
驚いたフローリアは思い切り後ずさる。
フローリアが人見知りだと知らないライアンは人との適切な距離の取り方が下手だった。
フローリアが逃げれば逃げる程ジリジリとフローリアに近づいてくるライアンに彼女は恐怖を感じ思わず逃げ出した。
しかし、所詮は子供の足だ逃げられる範囲などたかが知れている。
ライアンにとってはこの庭園自体自分のテリトリーの範囲だ、逃げるフローリアを追いかけるのは彼女と遊んでいる物ぐらいの認識だった。
でもそれはライアンの認識であってフローリア自身はライアンが誰か分からず怖くて逃げているとも知らずに。
追いかけてくる男の子が怖いフローリアは全力で逃げる。
怖い。怖い。怖い。
あの子イヤだ。
逃げても逃げても追いかけてくる男の子に恐怖を感じるフローリア。
どんなに逃げてもいつかは体力的に持たなくなる。
庭園の中にある美しい池の前にやってきたフローリア、少し休憩と池に掛かる橋の上で休憩していると
「見つけた!!」
と大きな声が聞こえた先に見えたのはフローリアの恐怖の対象の男の子がいた。
恐怖と驚きでパニックになってしまったフローリアは運悪く橋の上から池の中へ落ちてしまった。
バシャーンと大きな水しぶきが上がる池と橋の上から消えたフローリア。
何が起ったのか分からないライアンはフローリアのいた橋の上まで行くと橋から水面を覗き込むと、水の中で重さが増したドレスに絡まり溺れているフローリアがいた。
どうしてこうなってしまったのかわからないけれど、急いで近くに居た騎士を捕まえるとフローリアを救出してもらうも時遅く彼女は帰らぬ人となってしまった。
フローリアの二度目の人生は王宮内での事故という溺死。
とてもとても短い人生だった。
死を迎えたフローリアは一度目の人生と同じように
ただ一度目と違うのは死の間際にフローリアの人生が巻き戻りを繰り返しているという事を思い出した事とその事実は次の人生では全て忘れて巻き戻りの人生をまた歩む事。
その記憶は忘れているだけでフローリアの中奥深くに刻み付けられ強固に閉じた記憶となる事。
そして次目覚めた瞬間。またフローリア・ナイトレイとしての人生のやり直しのループに突入する。
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