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選択 とそれから
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しおりを挟む二度目に目覚めたときは、すっかり日が高くなっていて、レースのカーテン越しでも晴天だとわかった。
やっぱり私の体には湊の腕が絡まっていて、背中に感じる温もりに、幸せだな、と思った。
「起きた?」
うなじを甘噛みしながら、湊が聞いてくる。
「うん。ごめん。また寝ちゃった。」
「朝っぱらからかなり運動したからね。いや、明け方まで、の方が正しいのか?…でも起きぬけにもやったしね。」
そう言ってクスクス笑っている。片手は私の身体を撫でていて…
「ぁん。首元で喋らないで…湊。」
「感じる?」
「…ん…ダメ。」
背中に吸い付いては甘噛みして。
私の体には赤い所有印がいっぱいだ。いたるところ赤くなっていて…。腕や脚にまであってびっくりした。
服でかくれるのかしら、これ?
湊の手が下に伸びたので、必死に腕を捕まえて言った。
「だ、だめ!湊!」
私の背中に噛みつきながら
「どうして?」
と、甘えたように聞いてくる湊。
「まだ全然足りない。」
下がダメなら、と思ったのか、今度は胸を揉み初めて頂きを触れるか触れないかのタッチでなでるので、背中からゾクゾクと快感が駆け上がった。
でももうさすがに限界だ。
身体はあちこちヒリヒリするし、お腹も空いたし、お風呂にもはいりたい。
でも後ろから抱きしめてくる湊はいたずらをやめてくれない。
「ぁあっ湊。ちょっとまってっ。」
腕から抜け出そうとするが、
できない。
後ろから強く抱きしめられて、お尻の割れ目に擦り付けながら湊は硬いものをねじ込もうとしている。
「…ん…だめ…。」
私の抵抗も弱くなって、硬いモノがヌルッと蜜口をかすめた時。
リンゴーン
とベルが鳴った。
一瞬で二人の動きが止まる。
「おっと。ルームサービス頼んだの忘れてた。」
「ちょっと待ってろ。」
そう言ってキスをひとつ落として、椅子に掛けていたバスローブを羽織って出て行った。
疼く体の熱から目をそらし、私はなんとかベッドから起き上がる。
まずい。早くベッドから出なきゃ
このままベッドにいたら、また始まっちゃう
湊も湊だけど!
受け入れてる私もだめだわ
体がキシキシと軋むようだが、動けないことはない。
ベッドから足を下ろして立ち上がる。気を緩めると力が抜けそうになるが、何とか立てる。
よし!大丈夫!
と、思ったのだが。バスローブを掴もうと少しかがんだ途端に膝の力が抜けて、カクンと座り込んだ。
「あれ?」
思わず呆けてしまった。
「香奈子。お腹すいたろ?飯きたぞー。」
ウェイターよろしく、銀のトレーを手に乗せた湊が部屋に戻ってきた。
「おい!香奈子、大丈夫かっ?!」
慌ててサイドテーブルにトレーを置いて駆け寄ってくる。
「うん。大丈夫…。たぶん…。ただ足腰に力が入らない…。」
余程情けない顔をしていたのだろう。心配そうに私の顔を覗き込んでいた湊は吹き出した。
「ぶはっ悪い。やっぱり無理させたな。」
ふかふかの絨毯の上に裸で座り込む私にローブを着せた湊は
「ほらおいで。」
そう言って私を抱えあげてソファに座らせてくれた。
湊がトレーを持ってきてテーブルに並べて行く。
「はい、水。」
「ペリエのほうがいいか?」
「ほら、フルーツにヨーグルトかけたから。」
「サンドイッチもあるぞ。」
「こっち、フルーツジュースな。」
「ほかに欲しいものないか?」
「デザートもあるから、あとでな。」
甲斐甲斐しく私の世話を焼く湊は、嬉しそうだったので、私はされるがままにたくさん食べた。
お腹もいっぱいになり。
「ほら、香奈子の好きなショートケーキ。」
ご丁寧に、一切れフォークに刺して突き出してきたので、素直にかぶりついた。
美味しいー!!さすが高級ホテルのケーキだわ!
と、感動したのもつかの間。
「あああああああああっっっ!!」
私はやっと思い出した!
「い、い、今何時?! わ、私、実家!電話しなきゃ!」
勢いよく…とはいかなかったが、なんとか立ち上がって部屋を見渡す。
バッグ
どこに置いたっけ?
「待て、香奈子。大丈夫だから。」
私は、湊に手を引っ張られてまたソファに逆戻り。いや。戻ってない。今は湊の膝の上、だ。
しかも
向き合って座っている。バ、バスローブの合わせが…。
その時
私の…ア、アソコからどろっと “何か”が、出てきて顔が赤くなった。
食べてる時から、感じていた…この、た、たまーに流れ出てくる、感覚…
気づかないフリを…していたのだけど
「何これくらいで顔赤くしてるの。かわいいね、香奈子。」
そう言って鼻の頭にキスをする湊。
湊の脚を跨いで座っているのは、まあ、別にいいのですが
いやよくないけど
際どいラインまで裾 捲れてるし…
…そうじゃなく…あなたのものが…出てきてですね…。
なんて言えるはずもなく。
私はただ顔を赤くしながら俯いた。
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