彼と彼女の選択

沢 美桜湖

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選択 とそれから

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温かい腕の中で目覚めた。



「…ん…」
背中を優しく撫でる感触に知らず声が漏れる。重たい瞼を開けば、目の前にはたくましい胸板があって何だかほっとして、もう一度腕の中の収まりがいいところを探して、また目を閉じた。

「クックックッ」
抑えた笑いに、もう一度目を開けて上を見あげた。

「おはよう、香奈子。」


私は、パチパチと瞬き数回。 


微笑む湊を見て一気に昨夜の記憶が蘇り、焦って飛び起きた。
「み、みなとっ、あ、えっと……あ…お、おはよ…」


恥ずかしくて湊の顔が見れない!
昨夜、私あんなこと…。
とても口に出せないあんなことやこんなことを、やられて、させられて…
一気に顔が赤くなる。きっと私は今ゆでダコ状態だろう。


は、はずかしい


口を両手で覆って目をそらす私を、湊がシーツの中に引き寄せた。
「ほら、冷えるからこっち来い。いい眺めだが今は腕に抱きたい。」


そう言って私を腕の中に抱きしめた。


私の頭はまた湊の腕枕の上に。



あたたかい……
  

広いベッドの上、二人向き合った形で抱きしめて、見つめあう。
反対の手が私の上腕をゆっくり撫でていて、すごく安心する。

いつも
二人一緒に過ごした後の朝は、必ず湊の腕の中で目覚めた。私が横を向いていようが、背を向けていようが、湊の腕は必ず私を抱きしめていてくれた。


撫でられる肌
温かい腕の中
絡まりあう脚
全てあの時のまま



「体、辛くないか。悪い。昨夜は調子に乗りすぎた。」
そう言って私の顔にかかった髪を梳いて顔を覗き込んでくるから、私はまた昨夜のことを思い出して恥ずかしくなり目を逸らした。



「…うん、だ、大丈夫…」
「そうか。」

見つめてくる湊の瞳は甘い。おでこにキスされて、鼻の頭にキスされて、そのまま降りてきた唇にも優しくちゅっとキスをひとつ。


見つめあって幸せな時間に酔いしれる。


「香奈子が俺の腕の中にいる。…幸せだ。」
「うん…わたしも…湊の腕の中で目を覚ますの…すごく幸せ。」

そう囁き合って微笑みあった。
おでこ同士をくっつけて見つめ合う。


「やっとだ。」
「うん、やっと。」
「夢みたいだ。」
「夢…じゃ…ない?」
「夢じゃない。」
「消えない…湊…。」
「消えないよ、ほら。」
「嬉しい。」
「もう離さないよ。」
「もう離れたくない。」
「かわいいな。」
「好き。」
「愛してるよ。」
「愛してるわ…。」



目を閉じたら
優しいキスが降ってきた。




満たされた心で柔らかなくちづけを与えあっていたら、だんだんと深いそれにかわり、湊の舌が入ってきて口腔内を撫で回し始めた。鼻から漏れる息なのか喘ぎなのか、自分でも抑えることができなくなり、太腿に当たる湊の硬いものを感じて腰が揺れるのを抑えられなくなった。

横向きに向かい合ったまま湊が私の片脚を持ち上げた。湊は器用に硬いモノを蜜口に擦り付けてきて、それから先端を少しだけ押し込んできた。私は歓喜と期待で閉じていた目を開いたが、湊は悪戯っ子のようにニッと笑うとそのまま腰を引いてしまった。
「ぁ…やあん!」
思わず入れてくれなかったことを責めるように湊を睨んでしまうが、当の本人は嬉しそうに先だけを擦り付けながら、硬い男の象徴を少しだけ出したり入れたりしている。グチュッグチュッといやらしい音が静かな部屋に鳴り響いた。

「っはっ、香奈子のここ、ぐしょぐしょに濡れてる。」

「ぁん、やっ言わないで…。」
「すっげーエロい。」
湊は自分のモノを出し入れしながら、ソコを凝視している。
「んん…っは…や…みないで…。」
未だ続くゆるい出し入れに、奥が疼いて自分から腰を押し付けるが、一瞬だけ中程を擦っただけで全く足りない。



「かなこ…すごい、グチャグチャ。」
「やっそれはみなとの…だからっ…。」
「ああ、俺のと香奈子のが混ざり合って泡が立ちそうなくらいグチュグチュ言ってる。」

「ほら。」
そう言って二人の体を覆っていたシーツを剥いで、絡まり合った裸体を光に晒した。

「やあっやめっ…はずかし…いっ」
でももう、昨夜 散々快楽を貪った体は中途半端な刺激で満足できるはずもなく…
片脚を高く持ち上げられたまま、もっと奥に欲しいと私は身体を捩った。

「もうっみなと…おねがいっ」


必死に湊に懇願すれば、
「っはっおまっエロすぎだっ」

そう言って湊がバッと上体を起こして一気に押し入ってきた。

「ぁああんっっ」

昨夜の熱を籠らせた身体は散々焦らされたお陰で、突き入れた瞬間に一気に絶頂へと駆け上がった。
自分でも中が収縮してヒクヒクしながら、湊の硬いモノを締め付けているのがわかる。

まだ
もっと
奥まで欲しい。
足を湊の体に絡めて、しがみついた。

自分から湊にくちづけて舌を差し込めば、喜んだらしい湊にすぐさま主導権を奪われた。
口内に厚い舌が入り込んできて、歯列を舐めて、舌を擦り付けあって、飲み込めずに私の唇の端から流れた唾液を湊が舐めとっていく。

「ぁあっ、み…なと…。っはぁっ…おねがぃっもっとっおくぅ…。」

私ははしたなくもおねだりしてしまった。だってもう…おかしくなってしまう。自分から腰を押し付けてグラインドする。奥にほしい。たくさん突いて。もっと…もっと奥に…きて…。湊、きて……。


「っはっ!っかなっ……香奈子っ」






すぐに何も考えられなくなり湊が与える快楽に身を投げ出した。










あ…れ?なんか…わすれてない…?


















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