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彼の
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「香奈子。スーツがシワになるから、とりあえず着替えよう。」
そう言いながら、ジャケットを脱がせる。香奈子は
「ぅううう~、めんどくさい~」
と唸りながらもゆらりと体を起こし、目は閉じたままでブラウスのボタンを外そうと奮闘していた。
かわいすぎだろ。
「んんー!…みなと~はずして…。」
もたつきながらボタンを外していたが、三つ外したところで力尽きたのか、香奈子はそう呟いて枕に顔を埋めた。
上三つ…ボタンの外れたブラウスの隙間から淡いピンクの下着が見える。さらに体を捩っているために、柔らかそうな白い肌がこんもりと覗いていて…。
俺は自分の顔を手の平で何度も擦りながら自分に言い聞かせる。
香奈子は酔ってる。かなり酔ってる。さらに今ゴム持ってない。持ってないぞー俺。ゴムないぞー。
喉がカラカラに乾いていた。
「か、香奈子。化粧も落としてないけど、いいのか?」
香奈子のブラウスのボタンを一つ一つ外しながら、俺はもう一度掠れた声で話しかける。自分の指が震えているのが自分でもわかった。
「ぅううう~やだ~しゃわーも…いかなきゃ…」
目を閉じたまま舌足らずで話し続ける香奈子。
「ああ、こんな酔ったままシャワーはさすがに危ないからダメだ。」
「…いや…このままねるのや…」
「シャワーは明日な。」
「やだ…じゃみなと あらって…」
「え?いいの⁈」
思わず喜びの声をあげたのに………返事がない…。
寝息が聞こえてきた。
……大人しく着替えさせることにする。
以前から香奈子はシャワーも浴びずにベッドに入ることを酷く嫌った。
変わってない香奈子を見つけるたびに、胸に踊り狂う歓喜。
その己の薄暗い歓喜から目を背け、ブラウスのボタンを外して香奈子の服を剥いでいく。レースの下着を頭から抜きとって、それから香奈子の胸の膨らみに手を伸ばした。
優しく撫でると指に感じる滑らかな肌触りにドクンと大きく心臓が跳ねた。レースで覆われた弾力ある丸みを撫でて、優しく握り込む。鎖骨から胸の膨らみをしばらく撫でて満足したら、レースの隙間から指を差し込んで弄ると、ふにゃりと蕾をかすめる。何度か指を行き来させれば、その蕾はどんどん硬く尖っていった。反対の手でまとわりつく布のホックを外せば、フルンと揺れて二つのまろみが飛び出てきた。
「…ん…」
香奈子が小さく呻くが目は開かない。
いまだかわいい蕾を隠す布を剥ぎ取り、目の前に現れた双丘に唾を飲み込む。
「香奈子…。」
呟いて、双丘を両手で柔らかく包み込むように握り込む。
撫でて
握って
舐めて
吸って
夢中で貪った。
「…ぅん…ぁ…はぁっ…」
眠っている香奈子はそれでも、時々目を開けて甘い声を上げる。
香奈子
愛してるよ
香奈子
胸に顔を埋めながら、うわごとのように囁き続ける。
伝われ
心からそう願う。
この愛しさが香奈子に伝わるように
香奈子の細い体を強く抱きしめた。
「なぁ香奈子。」
呼びかければ、香奈子が目を開いて俺を見つめた。
「香奈子が思うようにをやれよ。目の前のやらなきゃいけないことを一つ一つこなしていけ。好きなだけやってこい。香奈子の精一杯でやって、一生懸命やって、それでもうダメだと思った時には迎えに来るから。
だから悔いのないように思いっきりやってこい。」
目を見張った香奈子の瞳は涙でいっぱいになった。
一筋流れ落ちて、また一筋…と涙は止めどなく流れ落ちる。
「みなと…みなと…」
「愛してるよ、香奈子。」
泣きながら俺の名前を呼ぶ香奈子の顔中にくちづけては愛してると囁き、そしてまたくちづけた。
明け方。
俺は香奈子が目覚める前に、部屋を出た。
まだ大丈夫だ。香奈子はまだやれる。香奈子は一人でここまで頑張ってきたんだ。
それなら
今回、俺が迎えに来たことは知らない方がいい。きっと香奈子の負担にしかならないだろうから。
もう一度だけ
香奈子の部屋を見上げて。
薄く光の差し始めた道を
未練を振り切るように足早に歩き出した。
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