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彼の
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しおりを挟む「ぅん……んん…、はぁ…ん……。」
くちづける香奈子からは、艶めいた吐息が漏れる。
この声が聴きたかった。夢じゃない。
この声に、この唇の感触に…煽られる。懐かしいこの感覚。何度夢に見ただろう。離れてから思い出さない日はなかった。恋い焦がれたこの瞬間。どれほど渇望しただろう。
香奈子の吐息。
香奈子の喘ぎ。
香奈子の唇。
香奈子の素肌。
香奈子の感触。
香奈子の香り。
香奈子の全てが、麻薬のように俺の体に染み込んでくる。
香奈子の唇を食んで、舐めて、吸って。
こんなものじゃない。
こんなんじゃ全然足りない。
「…は…ぁあんっ…やっ……み、みなと…あぁ…」
耳鳴りのように自分の鼓動が響く中、聞こえるのは香奈子の甘い声だけだった。
唇をこじ開けて、未だ戸惑う香奈子の中に己が舌をねじ込み、香奈子のそれに絡めて、なぞって舐め合わせて、吸い上げて…。優しくしてやりたいのに、六年もの長い時間の抑制のお陰で全く自制できない。欲望の赴くまま、無我夢中で香奈子を求め続けていた。
ソファの座面に押し倒した香奈子にくちづけながら、片手は背中から脇腹、ヒップラインを下りて、と忙しなく香奈子の身体を撫でまわす。
厚いバスローブが邪魔だ。
素肌に触りたい。
香奈子の肌に触れたい。
これが現実だと感じたい。
香奈子…。
自分の中に凝る熱情を流し込むようにキスをしながら、綺麗な首筋、鎖骨と優しく指を這わせる。そのままローブの胸元を押し開いて肩を露わにしたら、やっと乳房がまろび出た。
その白くてたわわな果実のような双丘をゆっくりと両手でつつみ込んで。少し力を入れれば指が沈み込み…。
柔らかい
温かい
張りのあるそれの心地よい弾力に握って撫でて。ピンク色の先端を捏ねて弾いて、をやめられない。
「やっ…んん。」
身を捩り俺の腕を抑えようとする香奈子だが、でももうその抵抗も力が全く入っていなくて辛うじて俺のバスローブを握っているだけだ。
このもの慣れない仕草が。
六年前と変わらない反応が。
離れていた間、誰の接触も干渉も無かったのだと言っているようで。
言いようのない感情でいっぱいになった。
知らず口元も緩みっぱなしで、きっと俺は締まりのない顔をしているのだろう。
ほんのり赤みを帯びた首筋にキスをしながら、乳房を下側からすくい上げ手のひらに余る柔らかなまろみを揉みしだく。もう片方のローブも胸もとからはいで、尖った先端を舌先でチロチロとくすぐる。しかしそれだけでは我慢できず舌先を赤くとがった先端に押し付けて舐り、頬張った。
「はっ…ぁあんっ…。」
香奈子の口から漏れる喘ぎ声に煽られながら夢中でむしゃぶりつく。
気づけば香奈子の手は俺の頭を抱え込むように抱きしめていた。その震える腕に、俺の髪を握り込む手に更に煽られてもう香奈子を貪ることしか考えられない。昂ぶった己自身を香奈子の弾力ある太ももに擦りつければ、はだけて露わになった香奈子の下半身も揺れ出してそれがまた否応無く俺を興奮させる。
「香奈子ごめん。優しくできないかもしれない…。コントロール…できない。」
胸もとに顔を埋めながら許しを乞う。
「…うん、大丈夫。」
香奈子はそう言って俺の髪を梳くように撫でるから。
胸もとから顔を上げて香奈子を見れば、幸せそうに微笑む香奈子がいて。
「湊の好きして…。」
思わず胸がいっぱいで泣きそうになった。
だからまた香奈子の胸もとに顔を埋めて、ふざけてみたんだ。
「ああっ二年ぶりだ!この感触!」
…この後、俺はこの照れ隠しの台詞を 心底 後悔することになる…。
…なんでこんな事言っちゃったんだろ……
おれ、ほんとバカ……
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