転生令嬢はやんちゃする

ナギ

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最終章

幸せなお終い

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 想いが通じ合うっていうのはとっても幸せなことで。
 お兄様達の結婚式の数か月後、ジゼルちゃんとベルも結婚式をあげた。
 なんかもう私にジゼルちゃんが、私のジゼルちゃんが! という気持ちでいっぱいで。
 でも人妻のジゼルちゃんという響きがたまらなく、こう……いけない感じ。
 それから一年くらいたって、私とテオも結婚式をした。
 といっても派手なのじゃなくて。仲良い人だけって感じの小さい結婚式。
 でもとっても幸せな、そんな結婚式だった。
 その時には、デジレ様は赤ちゃんを抱いていて。殿下は叔父になってしまった……と言いながら眦が落ちてた。それは国王様達もお父様達も同じだったけど。
 もちろん私もその一人。
 お兄様に似ませんように……主に性格、とお祈りしている。女の子だし。
 私とテオは結婚してから、二年くらいは王都にいたけど、今は領地がメインの住まいになった。
 王都で宰相職云々はお兄様が引き継がれるし、というところ。
 さすがに社交シーズンはちょろっと行くんだけども私とテオはなじみの深い領地でのんびり暮らしているわけです。テオは領地の色んな事してるけど。
 私は魔術をいろいろ考えて、王都までの転移を頑張っている。
 やっぱり開くと目的地のあの扉をね! どうにかして作るけど!
 けど、それを考えるよりも今は子供の相手の方が大事。
 そして、本当に心配事があって。
「わー! 俺天才じゃん! ちーとちーと!」
 そう、これ。
 窓の外、庭で魔術を紡いできゃっきゃと遊んでいる息子。
 ちなみに私たちにばれてないと思って、やっているのを知っている。
 テオと私はのんびりお茶を飲みながらその姿を眺めていた。
「ああいう、わーっと喜ぶ所、レティにそっくりだよね」
「うっ、言い返せない……」
 そう。そして見せてないのに自力でふわふわ飛び始めた、息子!!
 色々やりすぎ!
「……テオ、何か教えた?」
「俺は何も」
「独学かぁ……うぅん……」
「楽しそうだからいいんじゃない?」
 そう、言うけれど!
 あれはそのうちやりすぎて痛い目見るタイプではないかと思うの。
 私は、テオっていうストッパーがいたけどあの子にはいない。
 今年五歳になるにしては言葉も考え方も大人びている。
 そして、何でもやれると思っちゃうんだろうなと私は思っていて。
「好きな子でもできたらどうにかなるんじゃないかな」
「そうかなぁ……えー、でも、えー……」
「危ないことはしてないし……遊べるのは今のうちだけじゃない?」
 それは確かにそう。
 この家はお兄様の子か、あの子が継ぐのだけど。
 お兄様の方は女の子万歳! みたいな家になってるから多分あの子だ。
 そうすると色々な勉強をしてもらわないといけない。
「きっと、魔術色々、人より使えるのに気付いてるし。この持ってる知識で美味しいものとか産業革命をとか、そういうこと思ってるんだろうなぁ……」
「なにそれ」
「うん、こっちの話ー。気にしないで」
 私は笑って、どうしようねと言う。テオは任せるよと言ってくれた。
 まぁ、あの子がもともと、どういう人だったかは私にはわからない。
 けど、ちゃんと子供として接してくれるし他人行儀ではないし。親としては見ていてくれてるのだと思う。
 私達が立派な親かどうかは、別としてね! 立派にしてるつもりだけど。
 ま、これは一度、ちゃんと話さないとと私はあの子の所にいく。
 庭で遊んでるとこに現れた私に、何か用とへらっと笑う。
「お母さんと大事な話を、ちょっとしましょ?」
「え、うん」
 私の差し出した手をとる。私はにこっと笑って、そのまま飛んでやった。
 ぎょっとした顔をして、何、どうして、なんでと。そんな感じ。
 そのまま笑って、私は家の屋根の上に。
 うぅーん、屋根の上、本当に定番!
「面倒な話は色々と抜いて」
「う、うん」
 ちょっとビビッてる姿に笑って、私は言う。
 私は転生令嬢なのです! と。
 いえ、もう令嬢ではその、ないのだけど。
 転生夫人? 転生夫人かな? これだ。
「は? え?」
「あなたもでしょ?」
 そう言うと、しばしの間をおいて。
 苦笑して頷きひとつ。
 血はなんとやら。
 転生夫人の子もまた、転生っ子なのでした!
 でもこれからの話は私がすべき話ではないので、ここでお終い。
 幸せなお終いって、本当に素敵だと思う。




おわる! 
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