211 / 243
最終章
幸せなお終い
しおりを挟む
想いが通じ合うっていうのはとっても幸せなことで。
お兄様達の結婚式の数か月後、ジゼルちゃんとベルも結婚式をあげた。
なんかもう私にジゼルちゃんが、私のジゼルちゃんが! という気持ちでいっぱいで。
でも人妻のジゼルちゃんという響きがたまらなく、こう……いけない感じ。
それから一年くらいたって、私とテオも結婚式をした。
といっても派手なのじゃなくて。仲良い人だけって感じの小さい結婚式。
でもとっても幸せな、そんな結婚式だった。
その時には、デジレ様は赤ちゃんを抱いていて。殿下は叔父になってしまった……と言いながら眦が落ちてた。それは国王様達もお父様達も同じだったけど。
もちろん私もその一人。
お兄様に似ませんように……主に性格、とお祈りしている。女の子だし。
私とテオは結婚してから、二年くらいは王都にいたけど、今は領地がメインの住まいになった。
王都で宰相職云々はお兄様が引き継がれるし、というところ。
さすがに社交シーズンはちょろっと行くんだけども私とテオはなじみの深い領地でのんびり暮らしているわけです。テオは領地の色んな事してるけど。
私は魔術をいろいろ考えて、王都までの転移を頑張っている。
やっぱり開くと目的地のあの扉をね! どうにかして作るけど!
けど、それを考えるよりも今は子供の相手の方が大事。
そして、本当に心配事があって。
「わー! 俺天才じゃん! ちーとちーと!」
そう、これ。
窓の外、庭で魔術を紡いできゃっきゃと遊んでいる息子。
ちなみに私たちにばれてないと思って、やっているのを知っている。
テオと私はのんびりお茶を飲みながらその姿を眺めていた。
「ああいう、わーっと喜ぶ所、レティにそっくりだよね」
「うっ、言い返せない……」
そう。そして見せてないのに自力でふわふわ飛び始めた、息子!!
色々やりすぎ!
「……テオ、何か教えた?」
「俺は何も」
「独学かぁ……うぅん……」
「楽しそうだからいいんじゃない?」
そう、言うけれど!
あれはそのうちやりすぎて痛い目見るタイプではないかと思うの。
私は、テオっていうストッパーがいたけどあの子にはいない。
今年五歳になるにしては言葉も考え方も大人びている。
そして、何でもやれると思っちゃうんだろうなと私は思っていて。
「好きな子でもできたらどうにかなるんじゃないかな」
「そうかなぁ……えー、でも、えー……」
「危ないことはしてないし……遊べるのは今のうちだけじゃない?」
それは確かにそう。
この家はお兄様の子か、あの子が継ぐのだけど。
お兄様の方は女の子万歳! みたいな家になってるから多分あの子だ。
そうすると色々な勉強をしてもらわないといけない。
「きっと、魔術色々、人より使えるのに気付いてるし。この持ってる知識で美味しいものとか産業革命をとか、そういうこと思ってるんだろうなぁ……」
「なにそれ」
「うん、こっちの話ー。気にしないで」
私は笑って、どうしようねと言う。テオは任せるよと言ってくれた。
まぁ、あの子がもともと、どういう人だったかは私にはわからない。
けど、ちゃんと子供として接してくれるし他人行儀ではないし。親としては見ていてくれてるのだと思う。
私達が立派な親かどうかは、別としてね! 立派にしてるつもりだけど。
ま、これは一度、ちゃんと話さないとと私はあの子の所にいく。
庭で遊んでるとこに現れた私に、何か用とへらっと笑う。
「お母さんと大事な話を、ちょっとしましょ?」
「え、うん」
私の差し出した手をとる。私はにこっと笑って、そのまま飛んでやった。
ぎょっとした顔をして、何、どうして、なんでと。そんな感じ。
そのまま笑って、私は家の屋根の上に。
うぅーん、屋根の上、本当に定番!
「面倒な話は色々と抜いて」
「う、うん」
ちょっとビビッてる姿に笑って、私は言う。
私は転生令嬢なのです! と。
いえ、もう令嬢ではその、ないのだけど。
転生夫人? 転生夫人かな? これだ。
「は? え?」
「あなたもでしょ?」
そう言うと、しばしの間をおいて。
苦笑して頷きひとつ。
血はなんとやら。
転生夫人の子もまた、転生っ子なのでした!
でもこれからの話は私がすべき話ではないので、ここでお終い。
幸せなお終いって、本当に素敵だと思う。
おわる!
お兄様達の結婚式の数か月後、ジゼルちゃんとベルも結婚式をあげた。
なんかもう私にジゼルちゃんが、私のジゼルちゃんが! という気持ちでいっぱいで。
でも人妻のジゼルちゃんという響きがたまらなく、こう……いけない感じ。
それから一年くらいたって、私とテオも結婚式をした。
といっても派手なのじゃなくて。仲良い人だけって感じの小さい結婚式。
でもとっても幸せな、そんな結婚式だった。
その時には、デジレ様は赤ちゃんを抱いていて。殿下は叔父になってしまった……と言いながら眦が落ちてた。それは国王様達もお父様達も同じだったけど。
もちろん私もその一人。
お兄様に似ませんように……主に性格、とお祈りしている。女の子だし。
私とテオは結婚してから、二年くらいは王都にいたけど、今は領地がメインの住まいになった。
王都で宰相職云々はお兄様が引き継がれるし、というところ。
さすがに社交シーズンはちょろっと行くんだけども私とテオはなじみの深い領地でのんびり暮らしているわけです。テオは領地の色んな事してるけど。
私は魔術をいろいろ考えて、王都までの転移を頑張っている。
やっぱり開くと目的地のあの扉をね! どうにかして作るけど!
けど、それを考えるよりも今は子供の相手の方が大事。
そして、本当に心配事があって。
「わー! 俺天才じゃん! ちーとちーと!」
そう、これ。
窓の外、庭で魔術を紡いできゃっきゃと遊んでいる息子。
ちなみに私たちにばれてないと思って、やっているのを知っている。
テオと私はのんびりお茶を飲みながらその姿を眺めていた。
「ああいう、わーっと喜ぶ所、レティにそっくりだよね」
「うっ、言い返せない……」
そう。そして見せてないのに自力でふわふわ飛び始めた、息子!!
色々やりすぎ!
「……テオ、何か教えた?」
「俺は何も」
「独学かぁ……うぅん……」
「楽しそうだからいいんじゃない?」
そう、言うけれど!
あれはそのうちやりすぎて痛い目見るタイプではないかと思うの。
私は、テオっていうストッパーがいたけどあの子にはいない。
今年五歳になるにしては言葉も考え方も大人びている。
そして、何でもやれると思っちゃうんだろうなと私は思っていて。
「好きな子でもできたらどうにかなるんじゃないかな」
「そうかなぁ……えー、でも、えー……」
「危ないことはしてないし……遊べるのは今のうちだけじゃない?」
それは確かにそう。
この家はお兄様の子か、あの子が継ぐのだけど。
お兄様の方は女の子万歳! みたいな家になってるから多分あの子だ。
そうすると色々な勉強をしてもらわないといけない。
「きっと、魔術色々、人より使えるのに気付いてるし。この持ってる知識で美味しいものとか産業革命をとか、そういうこと思ってるんだろうなぁ……」
「なにそれ」
「うん、こっちの話ー。気にしないで」
私は笑って、どうしようねと言う。テオは任せるよと言ってくれた。
まぁ、あの子がもともと、どういう人だったかは私にはわからない。
けど、ちゃんと子供として接してくれるし他人行儀ではないし。親としては見ていてくれてるのだと思う。
私達が立派な親かどうかは、別としてね! 立派にしてるつもりだけど。
ま、これは一度、ちゃんと話さないとと私はあの子の所にいく。
庭で遊んでるとこに現れた私に、何か用とへらっと笑う。
「お母さんと大事な話を、ちょっとしましょ?」
「え、うん」
私の差し出した手をとる。私はにこっと笑って、そのまま飛んでやった。
ぎょっとした顔をして、何、どうして、なんでと。そんな感じ。
そのまま笑って、私は家の屋根の上に。
うぅーん、屋根の上、本当に定番!
「面倒な話は色々と抜いて」
「う、うん」
ちょっとビビッてる姿に笑って、私は言う。
私は転生令嬢なのです! と。
いえ、もう令嬢ではその、ないのだけど。
転生夫人? 転生夫人かな? これだ。
「は? え?」
「あなたもでしょ?」
そう言うと、しばしの間をおいて。
苦笑して頷きひとつ。
血はなんとやら。
転生夫人の子もまた、転生っ子なのでした!
でもこれからの話は私がすべき話ではないので、ここでお終い。
幸せなお終いって、本当に素敵だと思う。
おわる!
15
お気に入りに追加
3,171
あなたにおすすめの小説
【完結】名前もない悪役令嬢の従姉妹は、愛されエキストラでした
犬野きらり
恋愛
アーシャ・ドミルトンは、引越してきた屋敷の中で、初めて紹介された従姉妹の言動に思わず呟く『悪役令嬢みたい』と。
思い出したこの世界は、最終回まで私自身がアシスタントの1人として仕事をしていた漫画だった。自分自身の名前には全く覚えが無い。でも悪役令嬢の周りの人間は消えていく…はず。日に日に忘れる記憶を暗記して、物語のストーリー通りに進むのかと思いきや何故かちょこちょこと私、運良く!?偶然!?現場に居合わす。
何故、私いるのかしら?従姉妹ってだけなんだけど!悪役令嬢の取り巻きには絶対になりません。出来れば関わりたくはないけど、未来を知っているとついつい手を出して、余計なお喋りもしてしまう。気づけば私の周りは、主要キャラばかりになっているかも。何か変?は、私が変えてしまったストーリーだけど…
どうして私が我慢しなきゃいけないの?!~悪役令嬢のとりまきの母でした~
涼暮 月
恋愛
目を覚ますと別人になっていたわたし。なんだか冴えない異国の女の子ね。あれ、これってもしかして異世界転生?と思ったら、乙女ゲームの悪役令嬢のとりまきのうちの一人の母…かもしれないです。とりあえず婚約者が最悪なので、婚約回避のために頑張ります!
『完結』人見知りするけど 異世界で 何 しようかな?
カヨワイさつき
恋愛
51歳の 桜 こころ。人見知りが 激しい為 、独身。
ボランティアの清掃中、車にひかれそうな女の子を
助けようとして、事故死。
その女の子は、神様だったらしく、お詫びに異世界を選べるとの事だけど、どーしよう。
魔法の世界で、色々と不器用な方達のお話。
【完結】転生地味悪役令嬢は婚約者と男好きヒロイン諸共無視しまくる。
なーさ
恋愛
アイドルオタクの地味女子 水上羽月はある日推しが轢かれそうになるのを助けて死んでしまう。そのことを不憫に思った女神が「あなた、可哀想だから転生!」「え?」なんの因果か異世界に転生してしまう!転生したのは地味な公爵令嬢レフカ・エミリーだった。目が覚めると私の周りを大人が囲っていた。婚約者の第一王子も男好きヒロインも無視します!今世はうーん小説にでも生きようかな〜と思ったらあれ?あの人は前世の推しでは!?地味令嬢のエミリーが知らず知らずのうちに戦ったり溺愛されたりするお話。
本当に駄文です。そんなものでも読んでお気に入り登録していただけたら嬉しいです!
【完結】いてもいなくてもいい妻のようですので 妻の座を返上いたします!
ユユ
恋愛
夫とは卒業と同時に婚姻、
1年以内に妊娠そして出産。
跡継ぎを産んで女主人以上の
役割を果たしていたし、
円満だと思っていた。
夫の本音を聞くまでは。
そして息子が他人に思えた。
いてもいなくてもいい存在?萎んだ花?
分かりました。どうぞ若い妻をお迎えください。
* 作り話です
* 完結保証付き
* 暇つぶしにどうぞ
どうやら私(オタク)は乙女ゲームの主人公の親友令嬢に転生したらしい
海亜
恋愛
大交通事故が起きその犠牲者の1人となった私(オタク)。
その後、私は赤ちゃんー璃杏ーに転生する。
赤ちゃんライフを満喫する私だが生まれた場所は公爵家。
だから、礼儀作法・音楽レッスン・ダンスレッスン・勉強・魔法講座!?と様々な習い事がもっさりある。
私のHPは限界です!!
なのになのに!!5歳の誕生日パーティの日あることがきっかけで、大人気乙女ゲーム『恋は泡のように』通称『恋泡』の主人公の親友令嬢に転生したことが判明する。
しかも、親友令嬢には小さい頃からいろんな悲劇にあっているなんとも言えないキャラなのだ!
でも、そんな未来私(オタクでかなりの人見知りと口下手)が変えてみせる!!
そして、あわよくば最後までできなかった乙女ゲームを鑑賞したい!!・・・・うへへ
だけど・・・・・・主人公・悪役令嬢・攻略対象の性格が少し違うような?
♔♕♖♗♘♙♚♛♜♝♞♟
皆さんに楽しんでいただけるように頑張りたいと思います!
この作品をよろしくお願いします!m(_ _)m
婚約破棄されて田舎に飛ばされたのでモフモフと一緒にショコラカフェを開きました
碓氷唯
恋愛
公爵令嬢のシェイラは王太子に婚約破棄され、前世の記憶を思い出す。前世では両親を亡くしていて、モフモフの猫と暮らしながらチョコレートのお菓子を作るのが好きだったが、この世界ではチョコレートはデザートの横に適当に添えられている、ただの「飾りつけ」という扱いだった。しかも板チョコがでーんと置いてあるだけ。え? ひどすぎません? どうしてチョコレートのお菓子が存在しないの? なら、私が作ってやる! モフモフ猫の獣人と共にショコラカフェを開き、不思議な力で人々と獣人を救いつつ、モフモフとチョコレートを堪能する話。この作品は小説家になろう様にも投稿しています。
【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!
桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。
「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。
異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。
初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる