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第五章
突然のモテ期
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これは一体、どういうことなのかな!
私は今、同じ年頃の子息たちに囲まれている。
式典に参加した他の国の王族、皇族の方達を交えての夜会。お見送り夜会、みたいなものなんだけど。
そこにちょこんと参加してたらこうなっていた、と。
それぞれ、肌の色とか髪の色とか統一性がないので他国の方達なんだと思う。
お兄様にエスコートされ、お兄様はさっくりとデジレ様の所に行ってしまって私は放置されたのだ。
テオに渡してからいってよー! と思ったんだけど、テオがいると美味しご飯をもりもり食べれないじゃない?
そう思って、そそと美味しいものが並ぶあたりに移動している最中に捕まってしまった。
ああああ、話しかけられるのをあしらうのは良いんだけど、近くに美味しいご飯があって。
この! 匂いが! 私を! 誘惑してくる!!
コルセットも無いから食べ放題なのにー!!
うんうん、はいはいというようにおざなりな返事ばかりを返していると、遠くで音楽が聞こえ始めた。
その瞬間、彼等の目の色が変わる。
「どうぞ、一曲お願いいたします」
「いや、僕と」
「私とお願いします」
ああ、踊りのお誘いー。足踏んでいいならいいけど、と半眼で答えそうになったのを推しとどめた。
それはふっと視線感じて顔上げた瞬間、視界の中にテオが入ったからだ。
遅い。遅い!!
「皆様ごめんなさい、パートナーが来ましたので」
そう言って私はするっと間を抜けてテオの方へ。テオは遅くなってごめんと言うんだけど、テオもテオでいろんな人に捕まってたみたいだ。
「女の子に囲まれてたの?」
「違う、この国の偉い人」
「なんで?」
「このままこの国にいないかって」
それは留学が終わってから、の話なんだろう。
もちろん断ったけどとテオは言う。
「レティも、囲まれてたね」
今、こっちすごい目で見てるとテオは苦笑する。
あー、うんと私は曖昧に頷いた。あんなふうに囲まれたのは初めてで。
国で夜会にでると絡んでくるのはカロン様くらいだったしー。踊りませんでしたけど!
「嫉妬しないの?」
「なんで?」
「しないのかなーって」
「しようにも、レティが面倒くさいって顔してる相手にするなんてね……」
「えっ、そんな顔してた?」
「してた。そう思ってる相手に嫉妬するなんて、俺ちょっと心狭いっていうか……どうかと思うし」
確かに。
なるほどーと頷いていると、テオの視線がじっと私から動かないのに気付いて、どうしたのと首かしげる。
テオはそっぽ向きながら似合ってると零した。
ちょっと、照れてる。
ごふっ! 嫉妬よりその照れのほうが私にとっては! 爆弾なんですけど!!
「踊る?」
「踊る!」
「上達した?」
それは踊ってみてのお楽しみでしょ、と私は言う。
テオは上達してるかなぁと笑いながら私をホールに連れて行ってくれた。
上達? してるわよ、多分。ベルに練習に付き合ってもらったから!
なおそこにはジゼル先生がいらっしゃってびしばし指導してくれたんですよ!
めちゃくちゃ、厳しかった……ほんと、とっても、ほんと。思い出すとこみ上げるものがあるレベルで。
でもその甲斐あって、私のダンスレベルは上がってる。
一緒に踊るテオが吃驚してるくらい。
「上手になってるね……足を踏まれないなんて」
「ねぇ、足踏むのが当たり前だと思ってない?」
「うん」
即頷いたテオ。これはわざとにでも足を踏まなければ! と思ってしまうけどむしろどうやって踏んでいたのかもうわからない。
どうやって踏んでたのかしら……本当に私はダンスが下手だったんだなと思う。
本当にどうしようもないほどに。
一曲、二曲と続けて踊って。三曲目はさすがに疲れて私たちは和を離れた。
すると、さっきの子息方が再び動き出すのが見えて、私はテオに逃げたいと伝えた。
「なんでこんなによってくるの!? 生まれて初めてなんだけど!」
「そりゃ、国ではこわーいお兄様が……あと、俺もガードしてたし」
「空気読んでくれたらいいのに」
無理だろうねとテオは苦笑する。
彼らは式典でのことを見ている。一番手っ取り早く繋がりを持つのならレティを口説き落とす事だと思ったのか、そういう風にしろと言われたのか。
茶会では顔見てないから不参加だったんだろうなぁ。
テオはよくある作戦だねと零す。他人事のようにー!
逃げるように会場を私たちはふらふら動き回る。人の間を抜けて、撒くように。
そうすると、その先にガブさんたちの姿を見つけた。
ガブさんとミカエラ様、それから国王様と……王妃様かな。ドレス貸してくれたおねーさまもいらっしゃる。
私達は皆さんに手招かれてそちらに行くことに。私たちの向かう先にファンテールの王族がいて、他国の子息たちも諦め……てはいないかもだけど。
今は一度、引くみたいでちょっとほっとした。
私は今、同じ年頃の子息たちに囲まれている。
式典に参加した他の国の王族、皇族の方達を交えての夜会。お見送り夜会、みたいなものなんだけど。
そこにちょこんと参加してたらこうなっていた、と。
それぞれ、肌の色とか髪の色とか統一性がないので他国の方達なんだと思う。
お兄様にエスコートされ、お兄様はさっくりとデジレ様の所に行ってしまって私は放置されたのだ。
テオに渡してからいってよー! と思ったんだけど、テオがいると美味しご飯をもりもり食べれないじゃない?
そう思って、そそと美味しいものが並ぶあたりに移動している最中に捕まってしまった。
ああああ、話しかけられるのをあしらうのは良いんだけど、近くに美味しいご飯があって。
この! 匂いが! 私を! 誘惑してくる!!
コルセットも無いから食べ放題なのにー!!
うんうん、はいはいというようにおざなりな返事ばかりを返していると、遠くで音楽が聞こえ始めた。
その瞬間、彼等の目の色が変わる。
「どうぞ、一曲お願いいたします」
「いや、僕と」
「私とお願いします」
ああ、踊りのお誘いー。足踏んでいいならいいけど、と半眼で答えそうになったのを推しとどめた。
それはふっと視線感じて顔上げた瞬間、視界の中にテオが入ったからだ。
遅い。遅い!!
「皆様ごめんなさい、パートナーが来ましたので」
そう言って私はするっと間を抜けてテオの方へ。テオは遅くなってごめんと言うんだけど、テオもテオでいろんな人に捕まってたみたいだ。
「女の子に囲まれてたの?」
「違う、この国の偉い人」
「なんで?」
「このままこの国にいないかって」
それは留学が終わってから、の話なんだろう。
もちろん断ったけどとテオは言う。
「レティも、囲まれてたね」
今、こっちすごい目で見てるとテオは苦笑する。
あー、うんと私は曖昧に頷いた。あんなふうに囲まれたのは初めてで。
国で夜会にでると絡んでくるのはカロン様くらいだったしー。踊りませんでしたけど!
「嫉妬しないの?」
「なんで?」
「しないのかなーって」
「しようにも、レティが面倒くさいって顔してる相手にするなんてね……」
「えっ、そんな顔してた?」
「してた。そう思ってる相手に嫉妬するなんて、俺ちょっと心狭いっていうか……どうかと思うし」
確かに。
なるほどーと頷いていると、テオの視線がじっと私から動かないのに気付いて、どうしたのと首かしげる。
テオはそっぽ向きながら似合ってると零した。
ちょっと、照れてる。
ごふっ! 嫉妬よりその照れのほうが私にとっては! 爆弾なんですけど!!
「踊る?」
「踊る!」
「上達した?」
それは踊ってみてのお楽しみでしょ、と私は言う。
テオは上達してるかなぁと笑いながら私をホールに連れて行ってくれた。
上達? してるわよ、多分。ベルに練習に付き合ってもらったから!
なおそこにはジゼル先生がいらっしゃってびしばし指導してくれたんですよ!
めちゃくちゃ、厳しかった……ほんと、とっても、ほんと。思い出すとこみ上げるものがあるレベルで。
でもその甲斐あって、私のダンスレベルは上がってる。
一緒に踊るテオが吃驚してるくらい。
「上手になってるね……足を踏まれないなんて」
「ねぇ、足踏むのが当たり前だと思ってない?」
「うん」
即頷いたテオ。これはわざとにでも足を踏まなければ! と思ってしまうけどむしろどうやって踏んでいたのかもうわからない。
どうやって踏んでたのかしら……本当に私はダンスが下手だったんだなと思う。
本当にどうしようもないほどに。
一曲、二曲と続けて踊って。三曲目はさすがに疲れて私たちは和を離れた。
すると、さっきの子息方が再び動き出すのが見えて、私はテオに逃げたいと伝えた。
「なんでこんなによってくるの!? 生まれて初めてなんだけど!」
「そりゃ、国ではこわーいお兄様が……あと、俺もガードしてたし」
「空気読んでくれたらいいのに」
無理だろうねとテオは苦笑する。
彼らは式典でのことを見ている。一番手っ取り早く繋がりを持つのならレティを口説き落とす事だと思ったのか、そういう風にしろと言われたのか。
茶会では顔見てないから不参加だったんだろうなぁ。
テオはよくある作戦だねと零す。他人事のようにー!
逃げるように会場を私たちはふらふら動き回る。人の間を抜けて、撒くように。
そうすると、その先にガブさんたちの姿を見つけた。
ガブさんとミカエラ様、それから国王様と……王妃様かな。ドレス貸してくれたおねーさまもいらっしゃる。
私達は皆さんに手招かれてそちらに行くことに。私たちの向かう先にファンテールの王族がいて、他国の子息たちも諦め……てはいないかもだけど。
今は一度、引くみたいでちょっとほっとした。
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