転生令嬢はやんちゃする

ナギ

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第四章

内緒の出発

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 出発当日です。いぇーい!!
 みたいなノリでいたらお兄様に頭叩かれました。やだ遠慮ない!!
 ちなみにお父様とお母様には内緒で行くことになっている。
 手紙は書いたけども。どうも勝手な息子と娘をお許しください! ごめんね!! みたいな。
 いやこんな軽いノリでは書いてないけど。お父様、胃がきりきりしちゃうんだろうなー。
 ほんとごめんなさい。
 そう念じながら、部屋に広げられた魔法陣の上にいる。
 ちなみに場所は、王城です。
 お城の魔導師さんたちも色々手を貸してくれていたらしい。私はこれで行くってこのまえ聞くまで何もしらなかったんだけども。
「ファンテールについたら解禁」
「!」
 解禁とは幽体離脱のことだ。
 つまりそれはテオやガブさんの行方を知る手がかりを得られるってこと。
 そう、今の今までまーったく、何も情報がないのだ。
「そこでなら負担はあるだろうが、ここからするよりはな」
「お兄様がやさしい……」
「俺はいつでも優しいだろうが」
 えー! そんな、えー!
 という顔を向けると額を小突かれて。ぐぬぬ。連れて行ってもらう立場なので何も言えない。
 ちなみに行くのは身一つで。お金は持ってるけど、とのこと。
 まぁついた先に殿下とデジレ様がいるのでどーにでもなるんだけど。
「はーい、こっちの準備はできたよ」
「先輩、協力ありがとうございます」
「いいのいいの。そのかわり、わかってるよね?」
「……まぁ、はい」
「うんうん、ならいいの」
 メリアさんとお兄様の間に何かお約束があることは察した。多分私は聞かない方が良いだろう。
 だっていい感じの気配がしないから!!
 うんうんと頷いているとお兄様が手を差し出す。手を繋げということらしい。
「お前が集められるだけの魔力、俺に流せ」
「えーっと、それは本当に本気出してやっていいんです?」
「……いや、最初は軽めで、徐々に。足りたらやめろと言う」
 わかりました、とお兄様に変じ。
 うん、お兄様それであってると思う。本気で流し込めばきっとお兄様吃驚すると思う。
 というより、マックスで魔力流すなんてこと、ここ最近やったことない。
 小さいころやったけど、テオとかシリン先生からやっちゃだめと言われた。
 つまりそれは私の成長とともに、さらにその能力、成長しているはず!
 ということでじんわりと送り始める。少しずつ量をあげて、周囲の魔素もいただきつつ。
「……お前、本当に馬鹿みたいに持ってるな」
「ですねー。まだいけますよ」
「ああ」
 これなら十分いけるとお兄様は言っている。お兄様から感じる魔力の流れは何かを探しているような、そんな感じ。
 多分これと対になるものだ。それは殿下とデジレ様がファンテールに持って行ってるから。
 しかし、真顔で淡々とそれをやっているのが何とも。ほぼ何も言わないし。
 けど、しばらくして。
 あった、と小さく呟いて。
「レティ、もう少し魔力」
「はーい」
 えーいこんな感じかな!
 と、今まですすいっと流してたのをちょっと多めにごぼっと言ってみた。
 悪戯半分で。
 お兄様にはもちろん、睨まれたのだけど! でもお兄様もそれを上手に自分のものに変換して足元に流し込んでいる。
 足元の魔法陣に。
 それに視線向けた瞬間、ぼうっとそれは光って。
 あ、まぶしいと思って瞳を閉じる。その光はしばらく瞼を閉じていても満ち溢れていて。
 それが収まってゆっくり私は瞳を開く。
 するとその先には。
「ああ、無事についてよかった」
「ほんと大がかりな魔術だよな、これ……」
 デジレ様と殿下がいた。
 つまり、成功したってことだ。
「わ、本当につい……うぇっ」
「っ、やばい」
 私とお兄様は同時に崩れ落ちた。
 慌てて殿下とデジレ様が駆け寄ってくる。いや、うん。大丈夫、大丈夫なんですけど。
 なんかこう、きもちわるい。
 そ、そうこれは経験がある。
 乗り物酔いににた感覚だった!!
 びゃああ……とりあえず横になりたい……
 無事についたはいいけども、これは、ちょっと、どぎつい仕打ち。
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