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第三章
選手交代
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ファンファーレは盛大だ。
その音で皆さんの視線は入り口に。開いた扉からゆっくりとデジレ様が歩いてくる。
今日のドレスも豪奢ー! 薔薇を模したようなドレスだ。けれど色は青。赤とか白じゃないあたりがらしいなぁと思う。というより、自分に似合う色を知ってらっしゃる感。
あのドレス素敵だなーと思っていると、ホールで動きが。
あの他国王子が人をかきわけて行こうとするのをバルトロメ様が推しとどめている。
ああ、何も考えない感じなんですね。
こちらとしても、入り口付近されるよりはもうちょっとこっちに近い場所でやってほしい。
デジレ様を迎えにいった殿下が、予定ポイントまで誘導するはずなんだけどあの王子が自分で動いてちょっと移動しそうだなー。
と、のんきに思っていた時だ。
「おい、レティ、替われ」
「え? お、おにむぎゃ!」
声が大きいと口を押えられる。
振り向いてすぐそこに、さっきまで広間にいたお兄様がいた。
えっ、なんで!?
「かわれとはどういう」
「言葉の通りだ、替われ」
えっ? えー! なんでー!
お兄様は、私がデジレ様連れていった後、上の部屋待機では。
ちらっと上をみると窓から顔をだすテオが見えた。
なんかごめーんみたいな感じだ。つまり、とめられなかったと。とめられないよね。
お兄様は上着を脱いで私からマントを奪う。上着はさすがに私サイズなので無理か。
「仮面」
「は、はいっ! あと帽子」
「ああ」
お兄様は静かだ。しかしその声色に、怒りが滲んでいるというか。
あー、これあの王子に何か言われたなーと思う。
仮面を見て、なんだこれはという顔をして。前髪かきあげて後ろに撫でつけて帽子をかぶる。
うん、不機嫌。
「えーっと、私はどうすれば? 帰って良い?」
「いや、何かあった時の待機だ」
待機。どこで? ここで。
そんな短いやりとりの後、お兄様はいささか乱暴に窓をあけた。
その音は潜んで、などでもなく堂々と。
そのまま、通路の手摺に足かけて飛び降りた。
えー! なにこれめっちゃかっこいい!!
これ素でやってるっていうんだからお兄様ほんと、お兄様すぎる。
突然の乱入者にもちろん、ホールはざわつく。
お兄様は殿下とデジレ様、それと相手の王子との前に降りた。飛べたんですね、いつのまに。
何か話しているけど、王子の喚き声のほうが響いててお兄様が何を言ってるかまではわからない。
衛兵さんたちがなにやつーと集まってくるんだけど、その前に。
デジレ様を抱えあげて、こっちをみた。
あ、帰ってくる!
そう思った時には地面を蹴って飛んでいる。
飛ぶ、というのは早々できる事ではないから注目の的。
広間の皆さんが、えっ!? て思う間にこっちに退避。
お兄様はデジレ様を抱えたままで、こっちにくると私に視線向けて。
「レティ、行くぞ」
「トリスタン! おまえ、なんで! おろせ!」
「黙ってろ、あんまりうるさいと塞ぐぞ」
「っ!」
デジレ様はなんだこれは、予定と違うだろうと暴れているがその一言で黙った。
やだお兄様、素ですねそれ。
そこからは予定通り、ひとまず上の部屋にだったんだけどもうめんどうだということで。
そのまま飛んで帰るか、と。
テオは、やっぱりこうなったかーみたいな顔で。一緒に窓から脱出。
いいのか、これは。
これは、いいのだろうか!
私の怪盗さん的な大仕事は無かったのでよかったーとは思ってるんだけど、お兄様がさらっちゃったのがほんと、いいのか、これは! と思う。
殿下も困ってるだろうなー。後始末頑張ってそう。頑張ってくださーいと私は念を送る。
で、私たちがどこにいったかというと。我が家でして。
お父様とお母様、帰ってきたらどんな反応するかな……ごめんなさい。
口裏合わせとしてはデジレ様が見合いが嫌で頼んだのだ、ということにした。
でもお父様もお母様もそんな事、言われてもな! というところ。
突然帰ってきた私達に、家のメイドたちは驚いていた。
もちろんデジレ様が何者かなんてわかんないし言わないけど察しはつくのだろう。
お兄様が、大事な人を連れ帰っただけだと言ったことで。
お兄様の口から大事な人とか聞くなんてびっくりだよね、わかる。
すごく、よく、わかる。
それから、お父様たちが帰ってくるのを待った。それは日付が変わった頃の事。
夜会の最中で突然いなくなった息子が、デジレ様連れて家にいたら、そりゃ全部察しますよね!
お父様の表情が一瞬で固まって、お母様は瞬いた後に楽しそうに笑ったのが印象的でした。
はい。
関係者全員、集合!
今日は徹夜お説教大会かな!!
その音で皆さんの視線は入り口に。開いた扉からゆっくりとデジレ様が歩いてくる。
今日のドレスも豪奢ー! 薔薇を模したようなドレスだ。けれど色は青。赤とか白じゃないあたりがらしいなぁと思う。というより、自分に似合う色を知ってらっしゃる感。
あのドレス素敵だなーと思っていると、ホールで動きが。
あの他国王子が人をかきわけて行こうとするのをバルトロメ様が推しとどめている。
ああ、何も考えない感じなんですね。
こちらとしても、入り口付近されるよりはもうちょっとこっちに近い場所でやってほしい。
デジレ様を迎えにいった殿下が、予定ポイントまで誘導するはずなんだけどあの王子が自分で動いてちょっと移動しそうだなー。
と、のんきに思っていた時だ。
「おい、レティ、替われ」
「え? お、おにむぎゃ!」
声が大きいと口を押えられる。
振り向いてすぐそこに、さっきまで広間にいたお兄様がいた。
えっ、なんで!?
「かわれとはどういう」
「言葉の通りだ、替われ」
えっ? えー! なんでー!
お兄様は、私がデジレ様連れていった後、上の部屋待機では。
ちらっと上をみると窓から顔をだすテオが見えた。
なんかごめーんみたいな感じだ。つまり、とめられなかったと。とめられないよね。
お兄様は上着を脱いで私からマントを奪う。上着はさすがに私サイズなので無理か。
「仮面」
「は、はいっ! あと帽子」
「ああ」
お兄様は静かだ。しかしその声色に、怒りが滲んでいるというか。
あー、これあの王子に何か言われたなーと思う。
仮面を見て、なんだこれはという顔をして。前髪かきあげて後ろに撫でつけて帽子をかぶる。
うん、不機嫌。
「えーっと、私はどうすれば? 帰って良い?」
「いや、何かあった時の待機だ」
待機。どこで? ここで。
そんな短いやりとりの後、お兄様はいささか乱暴に窓をあけた。
その音は潜んで、などでもなく堂々と。
そのまま、通路の手摺に足かけて飛び降りた。
えー! なにこれめっちゃかっこいい!!
これ素でやってるっていうんだからお兄様ほんと、お兄様すぎる。
突然の乱入者にもちろん、ホールはざわつく。
お兄様は殿下とデジレ様、それと相手の王子との前に降りた。飛べたんですね、いつのまに。
何か話しているけど、王子の喚き声のほうが響いててお兄様が何を言ってるかまではわからない。
衛兵さんたちがなにやつーと集まってくるんだけど、その前に。
デジレ様を抱えあげて、こっちをみた。
あ、帰ってくる!
そう思った時には地面を蹴って飛んでいる。
飛ぶ、というのは早々できる事ではないから注目の的。
広間の皆さんが、えっ!? て思う間にこっちに退避。
お兄様はデジレ様を抱えたままで、こっちにくると私に視線向けて。
「レティ、行くぞ」
「トリスタン! おまえ、なんで! おろせ!」
「黙ってろ、あんまりうるさいと塞ぐぞ」
「っ!」
デジレ様はなんだこれは、予定と違うだろうと暴れているがその一言で黙った。
やだお兄様、素ですねそれ。
そこからは予定通り、ひとまず上の部屋にだったんだけどもうめんどうだということで。
そのまま飛んで帰るか、と。
テオは、やっぱりこうなったかーみたいな顔で。一緒に窓から脱出。
いいのか、これは。
これは、いいのだろうか!
私の怪盗さん的な大仕事は無かったのでよかったーとは思ってるんだけど、お兄様がさらっちゃったのがほんと、いいのか、これは! と思う。
殿下も困ってるだろうなー。後始末頑張ってそう。頑張ってくださーいと私は念を送る。
で、私たちがどこにいったかというと。我が家でして。
お父様とお母様、帰ってきたらどんな反応するかな……ごめんなさい。
口裏合わせとしてはデジレ様が見合いが嫌で頼んだのだ、ということにした。
でもお父様もお母様もそんな事、言われてもな! というところ。
突然帰ってきた私達に、家のメイドたちは驚いていた。
もちろんデジレ様が何者かなんてわかんないし言わないけど察しはつくのだろう。
お兄様が、大事な人を連れ帰っただけだと言ったことで。
お兄様の口から大事な人とか聞くなんてびっくりだよね、わかる。
すごく、よく、わかる。
それから、お父様たちが帰ってくるのを待った。それは日付が変わった頃の事。
夜会の最中で突然いなくなった息子が、デジレ様連れて家にいたら、そりゃ全部察しますよね!
お父様の表情が一瞬で固まって、お母様は瞬いた後に楽しそうに笑ったのが印象的でした。
はい。
関係者全員、集合!
今日は徹夜お説教大会かな!!
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