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第二章
ご機嫌不機嫌
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それから色々、最近の事とか。学園でのこととか。
殿下は先輩にあたるので、話を聞いたりしているとそろそろおいとまの時間かな、と思ったころに。
やっと、お兄様とデジレ様が戻ってきた。
戻ってきたのだ。
「…………や、やだこわい」
超絶笑顔のお兄様と!
「…………トリスタン?」
超絶不機嫌なデジレ様と!
私と殿下は思わず、といったように零した。
「トリスタン、ちょっと」
そして殿下は立ち上がり、お兄様を引っ張っていく。
多分、何を話したとかそういうことを聞いてるんだけどお兄様が素直に話すわけもない。
もめてるもめてる。
デジレ様はジゼルちゃんの隣に座って顔を覆っていて唸っている。
「お兄様に何かされました? 嫌なら蹴り飛ばしちゃっていいんですよ!」
「そ、そんなことはない……のだが」
あら、嫌ではないと!
「ただ、その……私が良いように扱われているのがわかって悔しい」
「私はいつもそんな感じです」
「苦労しているな……」
二人一緒に溜息。
デジレ様にどんな話をと聞いてみると、それについては話してくれない。
お兄様はきっとそれはもうとっても甘い言葉をずっと紡いでいたのだろうけど。
「……あれは私だとわかっても、引かないのだな。引くと思ったのだが」
「引く?」
「男だと思っていた相手が女だったんだぞ?」
「いやぁ……それよりなにより、お兄様は……一目ぼれだと言ってたような気がしますし……」
それに何かハードルがある方が燃えるというか。
自分に関係がない、こともないけど。
お兄様とデジレ様の関係に口をだすのもおこがましいと言うか。恐ろしいので自分からほいほい関わろうとは思わないのだけど。
でも現状がどんな感じなのは興味がある。
険悪! ってことはないけど。なんかそう。
デジレ様は決心がつかないのかなぁ。
お兄様は。
何かもう色々考えてる。家の為に生きてるぜーみたいな感じだったのに、それをぽいっと投げたから。
それは簡単にできることじゃないと私は思う。
まだお父様との対決は終わってないっぽいけど。
デジレ様とジゼルちゃんと私とテオとでのんびり話を続けていると、お兄様と殿下の話が終わったらしい。
どっちも納得してないみたいな感じなのできっと第二ラウンドがあるはず。
一応一区切りっぽいけども!
「レティ、怪盗やるんだってな」
「えっ、もうその話」
「私がした」
デジレ様がにっこり笑う。なにこれ外堀がってやつじゃないのー!
しかしその話をここでするには時間がないからお開き!
まずデジレ様と殿下をお見送りして、私たちも帰途についた。
「お兄様、ご機嫌ですね」
「ん、ああ……良いことがあった」
「へー、お聞きしても?」
好きだと、言ってもらった。
そう言ってお兄様は緩やかに笑う。
私もテオも言葉を失って、表情も失って。
それほどにどびっくりだ!
「えっ、今の何、えっ……」
「天変地異の前触れかもしれません……」
「おい」
「だ、だって」
「はい、だって、ですよ」
お兄様の営業スマイルじゃないスマイルすごいほんとすごいこわいすごい。
語彙! なくなる! レベル!
「いえここでね、ここでね! お兄様幸せそうに微笑まれるなんて、お幸せそうだわウフフ、とか私がいったら」
「気持ち悪いな」
「それと同じことですよ」
なるほど、と言うけれどお兄様は私を見て。
「お前、俺を目の前にしてよくそれを言うな」
不敵に笑ったのでなにか煽ってしまったようです。失敗!!
殿下は先輩にあたるので、話を聞いたりしているとそろそろおいとまの時間かな、と思ったころに。
やっと、お兄様とデジレ様が戻ってきた。
戻ってきたのだ。
「…………や、やだこわい」
超絶笑顔のお兄様と!
「…………トリスタン?」
超絶不機嫌なデジレ様と!
私と殿下は思わず、といったように零した。
「トリスタン、ちょっと」
そして殿下は立ち上がり、お兄様を引っ張っていく。
多分、何を話したとかそういうことを聞いてるんだけどお兄様が素直に話すわけもない。
もめてるもめてる。
デジレ様はジゼルちゃんの隣に座って顔を覆っていて唸っている。
「お兄様に何かされました? 嫌なら蹴り飛ばしちゃっていいんですよ!」
「そ、そんなことはない……のだが」
あら、嫌ではないと!
「ただ、その……私が良いように扱われているのがわかって悔しい」
「私はいつもそんな感じです」
「苦労しているな……」
二人一緒に溜息。
デジレ様にどんな話をと聞いてみると、それについては話してくれない。
お兄様はきっとそれはもうとっても甘い言葉をずっと紡いでいたのだろうけど。
「……あれは私だとわかっても、引かないのだな。引くと思ったのだが」
「引く?」
「男だと思っていた相手が女だったんだぞ?」
「いやぁ……それよりなにより、お兄様は……一目ぼれだと言ってたような気がしますし……」
それに何かハードルがある方が燃えるというか。
自分に関係がない、こともないけど。
お兄様とデジレ様の関係に口をだすのもおこがましいと言うか。恐ろしいので自分からほいほい関わろうとは思わないのだけど。
でも現状がどんな感じなのは興味がある。
険悪! ってことはないけど。なんかそう。
デジレ様は決心がつかないのかなぁ。
お兄様は。
何かもう色々考えてる。家の為に生きてるぜーみたいな感じだったのに、それをぽいっと投げたから。
それは簡単にできることじゃないと私は思う。
まだお父様との対決は終わってないっぽいけど。
デジレ様とジゼルちゃんと私とテオとでのんびり話を続けていると、お兄様と殿下の話が終わったらしい。
どっちも納得してないみたいな感じなのできっと第二ラウンドがあるはず。
一応一区切りっぽいけども!
「レティ、怪盗やるんだってな」
「えっ、もうその話」
「私がした」
デジレ様がにっこり笑う。なにこれ外堀がってやつじゃないのー!
しかしその話をここでするには時間がないからお開き!
まずデジレ様と殿下をお見送りして、私たちも帰途についた。
「お兄様、ご機嫌ですね」
「ん、ああ……良いことがあった」
「へー、お聞きしても?」
好きだと、言ってもらった。
そう言ってお兄様は緩やかに笑う。
私もテオも言葉を失って、表情も失って。
それほどにどびっくりだ!
「えっ、今の何、えっ……」
「天変地異の前触れかもしれません……」
「おい」
「だ、だって」
「はい、だって、ですよ」
お兄様の営業スマイルじゃないスマイルすごいほんとすごいこわいすごい。
語彙! なくなる! レベル!
「いえここでね、ここでね! お兄様幸せそうに微笑まれるなんて、お幸せそうだわウフフ、とか私がいったら」
「気持ち悪いな」
「それと同じことですよ」
なるほど、と言うけれどお兄様は私を見て。
「お前、俺を目の前にしてよくそれを言うな」
不敵に笑ったのでなにか煽ってしまったようです。失敗!!
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