転生令嬢はやんちゃする

ナギ

文字の大きさ
上 下
34 / 243
第二章

新たな出会いの前振り

しおりを挟む
 学校への入学もろもろ色んな行事も終わりまして!
 毎日授業受けたりのんびりしたり。私は私なりに楽しく過ごしているわけです。
 が、しかし。
 ジュリア・ベイル。あまりにも現れるので名前を覚えたがお友達でもなんでもない。
 彼女は年上。
 授業受けててもやってきてなんだかんだうるさいし、本当に迷惑だ。
 ジゼルちゃんもベルも、嫌悪を隠さない。テオは無表情なんだけど、不機嫌なのはわかる。
「レティ、一緒にお茶しましょう!」
 そしてー!
 私は許してないんだけどー!
 愛称で呼んでくるっていうー!!
 これをお兄様が聞いたときすごい顔してたのを私はみた。
 テオもみた。
 やばいねと後で二人でこっそり言うレベルでやばい。
 そういう顔だった……前世の記憶的に、般若の面みたいな。本当に一瞬だったんだけど、見た私たちは――トラウマ。
「これから授業がありますので、失礼します」
「まぁ! 授業のほうが私より大切ですの!?」
 もちろんそうに決まってるじゃない!!
 と、面と向かって言うと惨事なのでどうしてもはずせないのでとお断り。
 食い下がってくるけど教室までくればどうにか。
 でもこのジュリア攻撃で、ジゼルちゃんたち以外からは距離を置かれている。
 巻き込まれたくなくて、というところ。
「あの人すごすぎて声失うわ」
「そうですね……僕も邪魔って睨まれてるみたいで」
「あー……ジゼルちゃんたちに先に行ってもらってよかったわ」
「そうですね。レティの勘はよくあたりますね」
 なんとなく。
 なんとなく、きそうかなーと思ってジゼルちゃん達に次の教室に、先に行ってもらった。
 正解でした!
「お兄様にもどうにかならないのですかねって言ったけど、どうにもならんな、って返されたし。でもあれはどうにもならんのは今だけでそのうち黙らせるけどな、だと思うのよね」
 あまりにも、しつこく何度も現れてくる。あれはおそらく最終的にお兄様か殿下か。
 どっちかと仲良くなろうとしているのだと思う。
 で、あまりにも二人がつれないから足掛かりとしての、私。
 そんなわけでどうにかしてよーってお兄様に言ったのがつい先日のこと。
 あれくらいあしらえよって言われたけど、面倒なのは身を以て体験されてるでしょう、私とばっちりですよ! とぷりぷりしたらはいはいとおざなりの返事。
 それで、どうにかならないのですかねという流だ。
「お兄様、悪知恵はとてもお上手だから」
「レティ、あの」
「将来的にお兄様が宰相とかになったら他の国やばいんじゃない?」
「レティ」
「裏で糸引いて色々しそうだし。そも殿下とタッグ組んだら権力マシマシで」
「レティ……後ろ」
「え、うし、ろー!!!!」
 ぎゃあああああああ!!!!!
 お兄様ああああああああああ!!!!!!!
 しかも、いい、笑顔の、おにいさまああああああああああ!!!!!!!!!!!!
「俺が? 何? 悪知恵? 裏で糸引いて?」
「あ゛っ、あっ、あっ、これやばい」
「レティ、大声あげたりやばいなんて貴族の子女が使う言葉じゃないぜ?」
「あっ、ごめんなさい」
 いやこれ全部突然後ろにいたお兄様のせいですからね!?
 というのは! 怖くて! 言わないけど!!
 お兄様、楽しそうに笑っているので私はこれをネタにおどさ……いいように使わ……好きにさ……い、いじられるんだと思う。
 この! どえす! というのももちろん恐ろしくて言わない言えないだけど。
「お前さ、夜は暇か? 暇だよな」
「私が暇確定みたいな言い方を……暇ですけど」
「テオドールは」
「時間は取れます」
 よしとお兄様は頷いた。お前たちに紹介したい相手がいるから時間をとれという事らしい。
 紹介、というから殿下ではないのだろう。
「どんな方です? もしかして、お兄様の……恋人……ではないみたいですね」
 恋人と言った瞬間、私に向けられた視線がすごかった。
 テオがわずかにたじろぐのもわかるレベルの視線。ぶっすぶすのめっためたに刺しまくるような鋭い視線だった。
 おにーさまの! 癇に! 障った! らしい!
「とにかく、迎えにいくからな」
「了解しましたー!」
 元気に返事をしてお兄様を見送る。
 そして次の授業の部屋に私とテオは滑り込んだ。
 一体、どんな人と引き合わせるつもりなのか、私はちょっとばかりそわそわどきどきしている。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】名前もない悪役令嬢の従姉妹は、愛されエキストラでした

犬野きらり
恋愛
アーシャ・ドミルトンは、引越してきた屋敷の中で、初めて紹介された従姉妹の言動に思わず呟く『悪役令嬢みたい』と。 思い出したこの世界は、最終回まで私自身がアシスタントの1人として仕事をしていた漫画だった。自分自身の名前には全く覚えが無い。でも悪役令嬢の周りの人間は消えていく…はず。日に日に忘れる記憶を暗記して、物語のストーリー通りに進むのかと思いきや何故かちょこちょこと私、運良く!?偶然!?現場に居合わす。 何故、私いるのかしら?従姉妹ってだけなんだけど!悪役令嬢の取り巻きには絶対になりません。出来れば関わりたくはないけど、未来を知っているとついつい手を出して、余計なお喋りもしてしまう。気づけば私の周りは、主要キャラばかりになっているかも。何か変?は、私が変えてしまったストーリーだけど…

どうして私が我慢しなきゃいけないの?!~悪役令嬢のとりまきの母でした~

涼暮 月
恋愛
目を覚ますと別人になっていたわたし。なんだか冴えない異国の女の子ね。あれ、これってもしかして異世界転生?と思ったら、乙女ゲームの悪役令嬢のとりまきのうちの一人の母…かもしれないです。とりあえず婚約者が最悪なので、婚約回避のために頑張ります!

『完結』人見知りするけど 異世界で 何 しようかな?

カヨワイさつき
恋愛
51歳の 桜 こころ。人見知りが 激しい為 、独身。 ボランティアの清掃中、車にひかれそうな女の子を 助けようとして、事故死。 その女の子は、神様だったらしく、お詫びに異世界を選べるとの事だけど、どーしよう。 魔法の世界で、色々と不器用な方達のお話。

【完結】転生地味悪役令嬢は婚約者と男好きヒロイン諸共無視しまくる。

なーさ
恋愛
アイドルオタクの地味女子 水上羽月はある日推しが轢かれそうになるのを助けて死んでしまう。そのことを不憫に思った女神が「あなた、可哀想だから転生!」「え?」なんの因果か異世界に転生してしまう!転生したのは地味な公爵令嬢レフカ・エミリーだった。目が覚めると私の周りを大人が囲っていた。婚約者の第一王子も男好きヒロインも無視します!今世はうーん小説にでも生きようかな〜と思ったらあれ?あの人は前世の推しでは!?地味令嬢のエミリーが知らず知らずのうちに戦ったり溺愛されたりするお話。 本当に駄文です。そんなものでも読んでお気に入り登録していただけたら嬉しいです!

【完結】いてもいなくてもいい妻のようですので 妻の座を返上いたします!

ユユ
恋愛
夫とは卒業と同時に婚姻、 1年以内に妊娠そして出産。 跡継ぎを産んで女主人以上の 役割を果たしていたし、 円満だと思っていた。 夫の本音を聞くまでは。 そして息子が他人に思えた。 いてもいなくてもいい存在?萎んだ花? 分かりました。どうぞ若い妻をお迎えください。 * 作り話です * 完結保証付き * 暇つぶしにどうぞ

どうやら私(オタク)は乙女ゲームの主人公の親友令嬢に転生したらしい

海亜
恋愛
大交通事故が起きその犠牲者の1人となった私(オタク)。 その後、私は赤ちゃんー璃杏ーに転生する。 赤ちゃんライフを満喫する私だが生まれた場所は公爵家。 だから、礼儀作法・音楽レッスン・ダンスレッスン・勉強・魔法講座!?と様々な習い事がもっさりある。 私のHPは限界です!! なのになのに!!5歳の誕生日パーティの日あることがきっかけで、大人気乙女ゲーム『恋は泡のように』通称『恋泡』の主人公の親友令嬢に転生したことが判明する。 しかも、親友令嬢には小さい頃からいろんな悲劇にあっているなんとも言えないキャラなのだ! でも、そんな未来私(オタクでかなりの人見知りと口下手)が変えてみせる!! そして、あわよくば最後までできなかった乙女ゲームを鑑賞したい!!・・・・うへへ だけど・・・・・・主人公・悪役令嬢・攻略対象の性格が少し違うような? ♔♕♖♗♘♙♚♛♜♝♞♟ 皆さんに楽しんでいただけるように頑張りたいと思います! この作品をよろしくお願いします!m(_ _)m

婚約破棄されて田舎に飛ばされたのでモフモフと一緒にショコラカフェを開きました

碓氷唯
恋愛
公爵令嬢のシェイラは王太子に婚約破棄され、前世の記憶を思い出す。前世では両親を亡くしていて、モフモフの猫と暮らしながらチョコレートのお菓子を作るのが好きだったが、この世界ではチョコレートはデザートの横に適当に添えられている、ただの「飾りつけ」という扱いだった。しかも板チョコがでーんと置いてあるだけ。え? ひどすぎません? どうしてチョコレートのお菓子が存在しないの? なら、私が作ってやる! モフモフ猫の獣人と共にショコラカフェを開き、不思議な力で人々と獣人を救いつつ、モフモフとチョコレートを堪能する話。この作品は小説家になろう様にも投稿しています。

【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!

桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。 「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。 異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。 初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!

処理中です...