転生令嬢はやんちゃする

ナギ

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第一章

お兄様のお手伝い

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 お兄様の! お手伝い! とは!
 あ、もちろんテオも巻き込みました。
 良いですよと言いながらもまじかーなんでそんな面倒なこと引き受けてくるんだよーって顔してた。テオは私には表情隠さないのだ。
 で、お手伝い。
 それはちょちょっとお出かけして、様子をみて、帰ってきて、報告するっていうことで。
 向かったのはとある貴族さんのおうち。まぁ家の前通るだけ、もし同じくらいの年の子がいたら様子みてこいって言われただけなんだけど。
 そこに私は恋の気配を感じていた。
 やだお兄様……自分でいけないから私を行かせると? へたれなの? へたれなの?
 と、思ったのは顔にでていたらしくて違うからなと先に言われてしまいました。
 その貴族さんの邸宅は王都の端のほうにあった。
 お兄様は面が割れてるので行けないと言う。私もちょっと似てるけど町娘っぽい服装で問題ないはず。
 テオもその辺の少年って感じなんだけど、なんかこう。
 上品さがあふれるのは仕方ないのかな……仕方ないということにしよう。
「テオー、どう?」
「誰もいないんじゃないですかね……結構大きなお屋敷ですけど」
「だよね」
 そう、邸宅はでかかった。くるーっと外周を歩いてみたんだけど、そこそこ長い距離。
 お庭も広い。
 けど、手入れされてないし、人の気配が、確かにない。
 家の中には誰かいるのかなぁ……という気も、しないでもないのだけど。
「はいっちゃう?」
「レティ、まさか」
「そうそう。テオもできるでしょ?」
 ひょいっととんで中に。そのあと、もう一つ魔法を使う。
「できますけど……やめておいたほうが良いんじゃないかな」
 なんでー、と問えば。
 トリスタン様が何を考えて様子を見てこいと言ったのかわからないからだとテオは言う。
 これが色恋なら、まぁいいんじゃないですかね……と諦めた感じで庭くらいならと僕も許したと思うとテオは言う。
 まじか、テオが許すとかそんな。いや諦めて許すっていうのがひっかかるんですけど!
 でも、そういう色恋の気配が感じられない。
 この屋敷からは不気味な感じがしますとテオは言う。
 それは私も同じく。そう感じる。
 危険なことは無し、ということで私とテオはそのまま家に帰った。
 帰り道、色々寄り道をしたのはとても楽しかったけど!
 で、お兄様に誰もいない感じで不気味だったーというとそうか、と言っただけ。
 それを聞いたお兄様は、じゃあ寮に帰るとさっさと家を出て行ってしまった。
 なんだろうねーとテオと私は顔を見合わせて、私達はそのあとお兄様が何したとかは全く知らない。
 ただ風のうわさ的に殿下が、悪徳貴族をひとつ締め上げて、貴族位を排し、何かやむを得ぬ事情でつき従うしかなかった一家を助けたとかいう話が聞こえてきた。
 それを聞いて、私とテオはなんとなくあの家関係してるのかなー、お兄様何かしたかなーと思ったのだ。
 けど、何かそれ以上踏み込んで聞く必要もないと思って、何も聞いてはいない。
 ただ、踏み込まなかった私たちは正しかったのだと、思う。
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