転生令嬢はやんちゃする

ナギ

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第一章

私のお兄様、お父様

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 そんなわけで!
 私が私になってから初めての王都です。馬車に揺られてお尻がめっちゃいたい。
 旅程としては一週間。王都から領地、遠いなぁと思った。ゆっくりだったからっていうのもあるかもしれないけど。
 さて、王都での我が家はとても立派。
 真っ白な建物、広い庭。執事や侍女の皆さんの多くも一緒に住んでいるので建物が大きくなるのはわかる。
 広い庭は綺麗に整えられて、迷路みたいでもある。その庭でお兄様のお披露目ぱーてーをするという。つまり立食のガーデンパーティーだ。
 夜会でドーンかと思ったけど、まずは親しい人達だけにという事らしい。
 私としてはおいしいものたくさん並ぶかな、そわぁというところだ。その気持ちをテオには見破られており、食べすぎはだめですよとすでに釘をさされた。
 コルセットぎゅっ! されたらそもそも食べれないから。テオも一回やられてみるといいと思う。
 そして、そのパーティーの準備で我が家は大忙し。国政でもっと大忙しのお父様は家には帰ってこない。
 けれどお母様と使用人たちが頑張っているので私は邪魔をしないよう、テオとおとなしくしていた。
 そんな中、お兄様が寮から一時帰宅なさったとのこと。テオとお兄様は初対面なのでちょっと緊張してる。大丈夫よと背中叩いて頷いていたら、テオに変な顔をされました。
「お兄様、お久しぶりです」
「やぁ、レティ。我が妹君は相変わらずかわいいな」
 あっ、笑顔がまぶしい!
 お兄様の名前はトリスタン。誰からも好かれそうなにこやかな笑み。
 でも私は知っている。このお兄様ド鬼畜なの。
「お母様から色々聞いているよ、こっちにいる間はたくさん遊んであげるからね」
「私はお兄様がしなければいけないことがたくさんあるのを知ってます。私のことは気にせずお過ごしください」
「言うね……」
 口端をあげてにやりと笑う。ほらー! そっちが本性だからー!!
 それからテオを紹介した。
 お兄様もテオのことは聞いていたらしい。お互いに様子見、という雰囲気だけどお兄様がテオをおもちゃにし始めるのも時間の問題かなと思った。
 テオ生きて……強く、生きて……と思わずにいられない。
 お兄様が一時帰宅してから我が家は一層せわしなくなる。
 服の準備だとか最終調整だとか。
 あっという間に日々は過ぎて、とうとうお兄様の社交界デビューの前日だ。
 その日は、色々忙しいお父様も家に帰ってきた。
 お久しぶりです、お父様ー!
 久しぶりの家族全員での食事だ。別に家族仲が悪いわけではない。むしろお父様とお母様はいちゃいちゃしてるようにしか見えなかった。
「ところでレティ、魔術に才能があると聞いたのだがあとで見せてくれないか?」
「はい、お父様驚いてしまいますよ」
「へぇ、僕も一緒に見せてもらおうかな」
 ふはは、お兄様も度肝をぬかれるといいわ! と私は心の中で笑いつつもちろんと答えた。
 お母様だけはやりすぎてはいけませんよと、すでにメッ! という感じだ。わかっております!
 おそらく、私の魔術色々はお父様に報告として上がっているのだろう。
 お父様、普通にいいパパだ。国政に携わってばりばりと鬼の宰相とか言われてるのも知っているけど、家族の前では朗らかに笑っても見せる。
 何事も切り替えが大事なのだなと思った。
 そして食事の後、私は私の扱える魔術の一端をお見せした。
 シリン先生がこれはしていいわよ、といったものだけど。
 薔薇の鞭化については驚かれる。そんなのは初めてみたとやっぱり言われた。ついでに空も飛んで見せたのだけど、やっぱり驚かれた。高く飛ぶこともできるが、シリン先生からダメといわれたので自分の膝上くらいをふわふわ。
 これは、普通はできないという。
 ちなみに、シリン先生とテオもこれはできる。私がやっているのを見て、イメージができたからできるようになったとか。
 僕もできるかなとお兄様が言っている。待って、これがお兄様ができたらいざという時逃げる手段として考えていたのに無駄になる。
 そう思って私はしゅたっと地面に降りた。
「……レティ、それを人前ではしてはいけないよ」
「はい、わかっています」
 ならよろしい、とお父様は言う。
 しかし、だ。
 その隣でお兄様が何か考えて、そして口端あげてにやぁと笑ったのがとても、恐ろしかった。
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