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まふまふされて
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どうもどうも、こんにちは!
俺の名前は九日 このせ。大妖怪である九尾の狐の子だ。
けど、俺はまだまだひよっこで子供ー! 尻尾の数は二本だ、いぇい!
そんなわけで俺は、修行という名目で人の中に混じって暮らしている。ちなみに学生だ。
一人暮らしもできると言ったのだけど心配性の親父殿は、自分の配下を俺につけた。
そいつは教師としてこの学園内にいるんだけどお互い無関係ということで、接触は最低限。
住んでる家は同じだけど、家への入り口は違うから一緒に住んでることは誰も知らない。妖術便利。
で、俺は自分で言うのもなんだがかわいい顔していて。
金髪で。
くやしいのだがちょっと小さくて。
この学校ではモテた。不本意ながら。男から。
なんかイイニオイがするんだと!
でも単なる人間に押し倒されてもちょちょいとどうにかしてしまえるから別にいーんだけどと。
気楽に構えてたわけた。
いくら俺の図体が小さくても、妖術を使える分人間よりは強い。
俺は人間のこと、別に嫌いじゃないし。無為に傷つけるのも色々と、問題があるんで眠ってもらってその間にしゅっと逃げてるわけなんだけど。
そういう、俺が人ではできないことができる、というのをだな。
見られてしまって。
うわあああああああ!! あうと!!! これが親父殿にばれでもしたら戻って来いになる!!
それは、いやだ。
それはいやなのだ。
狐の里に戻っても面白くないわけだ。あそこは未開の地。
電気も何もとおってない。いくら妖術使えても、テレビもインターネットもないんだぜ!?
退屈過ぎて死ぬ。
そんなわけで、俺はそれを見てしまったやつの口止めに及んでいたわけなんだが。
そのはずだったんだけど。
「ふっふー、つまり俺はここのひちゃんの弱みを握ったってことでおっけー?」
「よわみ……いや、はい……他人にはしゃべらないでほしい……」
「……それじゃあ俺のお願い、きいてもらおうかな!」
きらきら、期待に満ちた瞳。
ちょい緩めのパーマかかった髪は、染めたりもしてるんでがすがす。穴の空いた耳に甘いマスクっつーんだろーか。
糸瀬 海貴という、いま俺にのしっとよりかかってきたのが、見られた相手だ。
「俺に、まぁ……できることなら」
「それじゃー……空飛んでみたい」
「あー、無理です。俺、羽根ねーから飛べないんで」
できるのは跳ぶくらいで。飛翔はできない。狐だからな!
えー、と言いながら糸瀬は他のお願いを考えているようだ。
次には海中散歩。はい、無理。
他の妖怪に会ってみたい。それもできなくはないが、難しい。というか、友人らを呼ぶと荒れる。危険だしあいつら俺を連れ戻そうとするから却下。
「だめばっかりだねー……じゃあ、何者なのか、教えて?」
「何者?」
「そ。なんか不思議なことはしてたけど、なんでできるのかーとか知らないし」
「あー……まぁ、それなら。でも他言するなよ、いいな」
「はーい」
信じていいのかどうか。気の抜ける返事。
俺はああとため息をついて耳としっぽをしゅっとだした。
「俺は狐ー」
「ぶはっ、狐! え、尻尾と耳さわっていい?」
「いいけど」
わぁいと糸瀬が飛びついてくる。じゃれるように耳としっぽをさわさわまふまふ。
ちょっとくすぐったい。
「うわああああなにこれ最高じゃん! ちょ、これ時々もふらせて」
「えー……」
「ばらすけど?」
「わかったよ……」
と、許した俺はやってしまったと思うのだ。
耳と尻尾まふまふが気持ちよくて。そのまま糸瀬がエスカレートして。
押し倒されてしまってですね。
いや別にそれは、いいんだけど。いやよくねーか。よくねーけど!
「な、なんでこうなった……」
俺は今うずくまってめそめそしている。
そう、さわられて気持ち良くなってそのまま、そのまま……いたしてしまって。
「くそっ! くそっ!」
「はっはー、ここのひちゃんはあっまいねぇ!」
「んだよ! お、お前こそ!! こ、こんな、ぎゃあ! なんだよこれ痕すげぇついてる!」
「まーきんぐ」
糸瀬は笑って、俺にふーっと息吹きかける。
吐き出されるのは白い煙だ。
「げふっ! んぁ!? お前なんで煙管なんか、未成年だろ」
「え、ちがうけど? 俺はー……あー、いくつだったかな……」
「は?」
「ここのひちゃんさぁ、相手がちゃんと人間か、妖怪かくらいは見分けたらぁ?」
「へ?」
ふふんと笑う。
え、なに、おま、え?
人間じゃない?
「そもそも人間だったら、お前と寝たら死ぬだろ」
その気にあてられてさぁと糸瀬は言う。
そこで気づいた、俺の妖気はだだもれだ。ごふっ!
「まぁ、俺が上手にそれ食べてたけど」
「んん?」
「妖怪の気っておいしいよねぇ。あ、俺ほらあれ、吸血鬼ならぬ」
吸精鬼だから、と糸瀬は屈託なく笑った。
なんだよそれ俺これからずっとごはん状態じゃねーの。
「あ、でも尻尾はまたまふまふさせてもらうからね」
「……え、でもお前も妖なら」
「俺は別にばらされても記憶消せるからいーし」
まふまふさせてくれるなら、ここのひちゃんがへまっても助けてあげるよぉと糸瀬は笑う。
まふまふくらいでいいならお安い御用と俺は了承した。
そして何度も、まふまふから寝技に持ち込まれるのである……察することができなかった俺!
俺の名前は九日 このせ。大妖怪である九尾の狐の子だ。
けど、俺はまだまだひよっこで子供ー! 尻尾の数は二本だ、いぇい!
そんなわけで俺は、修行という名目で人の中に混じって暮らしている。ちなみに学生だ。
一人暮らしもできると言ったのだけど心配性の親父殿は、自分の配下を俺につけた。
そいつは教師としてこの学園内にいるんだけどお互い無関係ということで、接触は最低限。
住んでる家は同じだけど、家への入り口は違うから一緒に住んでることは誰も知らない。妖術便利。
で、俺は自分で言うのもなんだがかわいい顔していて。
金髪で。
くやしいのだがちょっと小さくて。
この学校ではモテた。不本意ながら。男から。
なんかイイニオイがするんだと!
でも単なる人間に押し倒されてもちょちょいとどうにかしてしまえるから別にいーんだけどと。
気楽に構えてたわけた。
いくら俺の図体が小さくても、妖術を使える分人間よりは強い。
俺は人間のこと、別に嫌いじゃないし。無為に傷つけるのも色々と、問題があるんで眠ってもらってその間にしゅっと逃げてるわけなんだけど。
そういう、俺が人ではできないことができる、というのをだな。
見られてしまって。
うわあああああああ!! あうと!!! これが親父殿にばれでもしたら戻って来いになる!!
それは、いやだ。
それはいやなのだ。
狐の里に戻っても面白くないわけだ。あそこは未開の地。
電気も何もとおってない。いくら妖術使えても、テレビもインターネットもないんだぜ!?
退屈過ぎて死ぬ。
そんなわけで、俺はそれを見てしまったやつの口止めに及んでいたわけなんだが。
そのはずだったんだけど。
「ふっふー、つまり俺はここのひちゃんの弱みを握ったってことでおっけー?」
「よわみ……いや、はい……他人にはしゃべらないでほしい……」
「……それじゃあ俺のお願い、きいてもらおうかな!」
きらきら、期待に満ちた瞳。
ちょい緩めのパーマかかった髪は、染めたりもしてるんでがすがす。穴の空いた耳に甘いマスクっつーんだろーか。
糸瀬 海貴という、いま俺にのしっとよりかかってきたのが、見られた相手だ。
「俺に、まぁ……できることなら」
「それじゃー……空飛んでみたい」
「あー、無理です。俺、羽根ねーから飛べないんで」
できるのは跳ぶくらいで。飛翔はできない。狐だからな!
えー、と言いながら糸瀬は他のお願いを考えているようだ。
次には海中散歩。はい、無理。
他の妖怪に会ってみたい。それもできなくはないが、難しい。というか、友人らを呼ぶと荒れる。危険だしあいつら俺を連れ戻そうとするから却下。
「だめばっかりだねー……じゃあ、何者なのか、教えて?」
「何者?」
「そ。なんか不思議なことはしてたけど、なんでできるのかーとか知らないし」
「あー……まぁ、それなら。でも他言するなよ、いいな」
「はーい」
信じていいのかどうか。気の抜ける返事。
俺はああとため息をついて耳としっぽをしゅっとだした。
「俺は狐ー」
「ぶはっ、狐! え、尻尾と耳さわっていい?」
「いいけど」
わぁいと糸瀬が飛びついてくる。じゃれるように耳としっぽをさわさわまふまふ。
ちょっとくすぐったい。
「うわああああなにこれ最高じゃん! ちょ、これ時々もふらせて」
「えー……」
「ばらすけど?」
「わかったよ……」
と、許した俺はやってしまったと思うのだ。
耳と尻尾まふまふが気持ちよくて。そのまま糸瀬がエスカレートして。
押し倒されてしまってですね。
いや別にそれは、いいんだけど。いやよくねーか。よくねーけど!
「な、なんでこうなった……」
俺は今うずくまってめそめそしている。
そう、さわられて気持ち良くなってそのまま、そのまま……いたしてしまって。
「くそっ! くそっ!」
「はっはー、ここのひちゃんはあっまいねぇ!」
「んだよ! お、お前こそ!! こ、こんな、ぎゃあ! なんだよこれ痕すげぇついてる!」
「まーきんぐ」
糸瀬は笑って、俺にふーっと息吹きかける。
吐き出されるのは白い煙だ。
「げふっ! んぁ!? お前なんで煙管なんか、未成年だろ」
「え、ちがうけど? 俺はー……あー、いくつだったかな……」
「は?」
「ここのひちゃんさぁ、相手がちゃんと人間か、妖怪かくらいは見分けたらぁ?」
「へ?」
ふふんと笑う。
え、なに、おま、え?
人間じゃない?
「そもそも人間だったら、お前と寝たら死ぬだろ」
その気にあてられてさぁと糸瀬は言う。
そこで気づいた、俺の妖気はだだもれだ。ごふっ!
「まぁ、俺が上手にそれ食べてたけど」
「んん?」
「妖怪の気っておいしいよねぇ。あ、俺ほらあれ、吸血鬼ならぬ」
吸精鬼だから、と糸瀬は屈託なく笑った。
なんだよそれ俺これからずっとごはん状態じゃねーの。
「あ、でも尻尾はまたまふまふさせてもらうからね」
「……え、でもお前も妖なら」
「俺は別にばらされても記憶消せるからいーし」
まふまふさせてくれるなら、ここのひちゃんがへまっても助けてあげるよぉと糸瀬は笑う。
まふまふくらいでいいならお安い御用と俺は了承した。
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