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渇き
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渇いている。
何に。
水に。
人に。
全てに。
全てに僕等は、乾いている。
吹くのは風。
舞い上がるのは砂。
空が高く、身体の全てがざりざりとしている。
突き刺すような太陽の光が身体から全てを奪っていくのがわかる。
もうすぐ死ねる。
そんな、感情を僕は持つ。
「……っ……」
もう言葉もでないのか。
唇の乾いた感触。
そこに砂の感触もある。
ここは砂漠だ。
陽をさえぎるものもない。
雲もない晴天。
視界も何だかぼやけているような気がした。
もうどうでもいいや。
そう思って僕は瞼を閉じる。
瞼を閉じても、明るい光。
きっとこのまま干からびてこの砂と同じになるんだと思うと笑みがこぼれた。
「気色ワリィ……何笑ってんだ」
遠くで、声が聞こえた。
薄っすらと瞳を開ける。
ぼんやりと大きな影が見えた。
「お前死ぬのか? 水いるか?」
高いところからの声。
何を言っているのか理解ができない。
と、影が分かれて一つが僕のほうへ来る。
さらさらと砂の零れる音をさせながら。
「飲めって」
ぎゅっと口に押し付けられるもの。
冷たい感触。
何なのか一瞬わからない。けれどもそれが水だとわかると急速に身体がソレを欲しがった。
乾いた唇は潤い、身体も潤う。
「ま、大丈夫か、そんだけ飲めれば」
「ありが……」
無理すんなって、と言われる。
そしてやっと僕は隣にしゃがみこんでいた人物の姿を見た。
浅黒い肌。
頭も顔も黒い布で覆って見せない。ただ瞳だけがらんらんと輝いている。
何に。
水に。
人に。
全てに。
全てに僕等は、乾いている。
吹くのは風。
舞い上がるのは砂。
空が高く、身体の全てがざりざりとしている。
突き刺すような太陽の光が身体から全てを奪っていくのがわかる。
もうすぐ死ねる。
そんな、感情を僕は持つ。
「……っ……」
もう言葉もでないのか。
唇の乾いた感触。
そこに砂の感触もある。
ここは砂漠だ。
陽をさえぎるものもない。
雲もない晴天。
視界も何だかぼやけているような気がした。
もうどうでもいいや。
そう思って僕は瞼を閉じる。
瞼を閉じても、明るい光。
きっとこのまま干からびてこの砂と同じになるんだと思うと笑みがこぼれた。
「気色ワリィ……何笑ってんだ」
遠くで、声が聞こえた。
薄っすらと瞳を開ける。
ぼんやりと大きな影が見えた。
「お前死ぬのか? 水いるか?」
高いところからの声。
何を言っているのか理解ができない。
と、影が分かれて一つが僕のほうへ来る。
さらさらと砂の零れる音をさせながら。
「飲めって」
ぎゅっと口に押し付けられるもの。
冷たい感触。
何なのか一瞬わからない。けれどもそれが水だとわかると急速に身体がソレを欲しがった。
乾いた唇は潤い、身体も潤う。
「ま、大丈夫か、そんだけ飲めれば」
「ありが……」
無理すんなって、と言われる。
そしてやっと僕は隣にしゃがみこんでいた人物の姿を見た。
浅黒い肌。
頭も顔も黒い布で覆って見せない。ただ瞳だけがらんらんと輝いている。
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