35 / 63
35.
しおりを挟む
柔らかくて温かい颯太の唇に触れた途端、燃えるような激情が体中をすごい速さで駆け巡る。下半身がドクッと大きく脈打ち、即座に反応を示した。
「……ふ……、」
一気に呼吸が上がり、もう何も考えられない。そのまま颯太のうなじに手を当て引き寄せ、もう片方の手を颯太の腰に回す。
あぁ、颯太……っ、そうた……っ!
「……っ、」
長い間抑え続けてきた欲望の暴走するままに、何度も何度も角度を変えながら颯太の唇を味わう。颯太は強張ったまま、だけど抵抗する様子は全くない。黙って俺にされるがままに、少し震えながらも大人しく身を任せている。許されているのだと都合のいいように受け取った俺は、そのまま颯太の体を強く抱き寄せ夢中でその口内に舌を入れる。
「…んっ」
明らかに体をビクッと硬直させると、か弱い声を漏らす颯太。それでも俺を拒むことなく、必死で受け入れようとしてふるふると唇の力を緩めながら、小刻みに震える体を預けてくる。
あぁ、もうこのまま、ここで……!
俺は完全に我を忘れてがむしゃらに抱き寄せ、愛しい颯太の体温を感じ、その舌を引き出して自分の舌を激しく絡め熱をぶつけた。好きだ、好きだよ、颯太……!拒まないなら、もう…………!俺は無我夢中で颯太に体重をかけ、そのまま押し倒そうとした。
「……っ!ふ、……ん、…んんっ!んんっ!!」
ずっとされるがままに大人しくしていた颯太が、突然俺の胸を拳でドンドンと強く叩いてきた。
「…………っ!……っ?!」
は!!
俺はようやく我に返って、勢いよく颯太の体からガバッと離れた。
「……はぁ、…はぁ、…はぁ……」
「………………そっ、……」
颯太ははぁはぁと呼吸を繰り返しながら、真っ赤な顔で俺を見ている。目元がぼんやりしている。
し、……しまっ……た…………。
しまった…………!!
全身の血の気がザァーッと音を立てて引いていく。や、やってしまった……。俺は、俺は、いいい一体ななな何をここここここんな
「……いつ、き」
「へぅ!!ちっ!ちがっ!ごっ!ごめ、」
何か……何か言い訳を……!二人の仲が壊れずに済む、な、何かいいい言い訳を……!
回らない頭をどうにか必死で回転させようとする俺を尻目に、潤んだ瞳で頬を紅潮させたままの颯太が言った。
「…もう…、公園だよ、ここ…」
「…………こっ、」
…………え?そこ?
ここが公園だからって、……そこだけ?問題は。
そのことにまず驚いた俺だが、再びハッとし、慌てて周囲をブンブンと見回す。……よ、よかったぁ……。人っ子ひとりいない……。少し奥まったところにある公園だからか、目に付くところには誰もいなかった。あ、焦ったぁ…。
俺は改めて颯太の方を見る。…颯太も俺をじっと見ている。
「………………。…え、っと……ですね、……その……」
「……。」
「………………ごめん」
「……。」
……な、……何かイッテヨ……。
体中から汗が噴き出す。マジでどうかしてた。やってしまった。なんか、勝手に、……颯太も俺と同じ気持ちでいてくれてるような気がしたんだ……。なんでだ?
いやだって、颯太のやつ、さっきなんか……、そんな雰囲気じゃなかったか?違った?俺の、都合の良い思い込み……?
「……ごめんって、……なに?」
「っ?!……へっ?!……え、や、……えー…っとぉ…」
何故か少しふてくされたような顔で俺をじっと見つめる颯太。な、なんで?何て言ったらいいの…?オシエテ……
「どういう意味のごめんなの?それ」
「ひえ?え…、や、だって……その、なんか……き、急に、こん、こんな……」
冷や汗が背中を滝のように流れる。さっきからものすごくしどろもどろで完全に不審者だ。ヤバい。落ち着け。
「……………………っ」
……ダメだ。何を言っても裏目に出そうで怖くて言葉が出ない。でも颯太は無言で崖っぷちまで追い込んでくるかのようにじっ…と俺を見つめたまま、“ごめん”の意味を問いただしてくる。
俺は泣きたくなってきた。嫌われたくない。嫌われたくない……。何て答えれば……。まだ元どおりの幼なじみでいられる道って残ってるのか……?
何も思い浮かばない真っ白な頭をぐるぐる回転させていると、颯太が口を開いた。
「……軽い気持ちで、弾みでこんなことしちゃってごめんってこと?」
「はっ?!ちげーよ!」
あ。
反射的に全力で否定してしまった。颯太は俺の返事を聞くとますます頬を染める。
「……じゃあ、なに?今のキス。……言ってよ、樹。…お願い。……きっと、悪いようには、ならないから」
「……っ、」
困ったように、祈るように、切なげに瞳を潤ませながら、颯太は甘い声を震わせて言った。
……いくら俺がバカでも、さすがにもう、分かる。
「……好き、だよ、…颯太。……俺はずっと、お前のことだけが、…大好きなんだ」
「…………っ」
あぁ、ついに言ってしまった……。次は俺が祈る番だ。自分の鼓動を聞きながら、俺は颯太の返事を待った。
「………………嬉しい」
「………………へっ?」
颯太は天使のような微笑みを浮かべて俺を見つめたまま、涙を一粒ポロリと零した。
「……ふ……、」
一気に呼吸が上がり、もう何も考えられない。そのまま颯太のうなじに手を当て引き寄せ、もう片方の手を颯太の腰に回す。
あぁ、颯太……っ、そうた……っ!
「……っ、」
長い間抑え続けてきた欲望の暴走するままに、何度も何度も角度を変えながら颯太の唇を味わう。颯太は強張ったまま、だけど抵抗する様子は全くない。黙って俺にされるがままに、少し震えながらも大人しく身を任せている。許されているのだと都合のいいように受け取った俺は、そのまま颯太の体を強く抱き寄せ夢中でその口内に舌を入れる。
「…んっ」
明らかに体をビクッと硬直させると、か弱い声を漏らす颯太。それでも俺を拒むことなく、必死で受け入れようとしてふるふると唇の力を緩めながら、小刻みに震える体を預けてくる。
あぁ、もうこのまま、ここで……!
俺は完全に我を忘れてがむしゃらに抱き寄せ、愛しい颯太の体温を感じ、その舌を引き出して自分の舌を激しく絡め熱をぶつけた。好きだ、好きだよ、颯太……!拒まないなら、もう…………!俺は無我夢中で颯太に体重をかけ、そのまま押し倒そうとした。
「……っ!ふ、……ん、…んんっ!んんっ!!」
ずっとされるがままに大人しくしていた颯太が、突然俺の胸を拳でドンドンと強く叩いてきた。
「…………っ!……っ?!」
は!!
俺はようやく我に返って、勢いよく颯太の体からガバッと離れた。
「……はぁ、…はぁ、…はぁ……」
「………………そっ、……」
颯太ははぁはぁと呼吸を繰り返しながら、真っ赤な顔で俺を見ている。目元がぼんやりしている。
し、……しまっ……た…………。
しまった…………!!
全身の血の気がザァーッと音を立てて引いていく。や、やってしまった……。俺は、俺は、いいい一体ななな何をここここここんな
「……いつ、き」
「へぅ!!ちっ!ちがっ!ごっ!ごめ、」
何か……何か言い訳を……!二人の仲が壊れずに済む、な、何かいいい言い訳を……!
回らない頭をどうにか必死で回転させようとする俺を尻目に、潤んだ瞳で頬を紅潮させたままの颯太が言った。
「…もう…、公園だよ、ここ…」
「…………こっ、」
…………え?そこ?
ここが公園だからって、……そこだけ?問題は。
そのことにまず驚いた俺だが、再びハッとし、慌てて周囲をブンブンと見回す。……よ、よかったぁ……。人っ子ひとりいない……。少し奥まったところにある公園だからか、目に付くところには誰もいなかった。あ、焦ったぁ…。
俺は改めて颯太の方を見る。…颯太も俺をじっと見ている。
「………………。…え、っと……ですね、……その……」
「……。」
「………………ごめん」
「……。」
……な、……何かイッテヨ……。
体中から汗が噴き出す。マジでどうかしてた。やってしまった。なんか、勝手に、……颯太も俺と同じ気持ちでいてくれてるような気がしたんだ……。なんでだ?
いやだって、颯太のやつ、さっきなんか……、そんな雰囲気じゃなかったか?違った?俺の、都合の良い思い込み……?
「……ごめんって、……なに?」
「っ?!……へっ?!……え、や、……えー…っとぉ…」
何故か少しふてくされたような顔で俺をじっと見つめる颯太。な、なんで?何て言ったらいいの…?オシエテ……
「どういう意味のごめんなの?それ」
「ひえ?え…、や、だって……その、なんか……き、急に、こん、こんな……」
冷や汗が背中を滝のように流れる。さっきからものすごくしどろもどろで完全に不審者だ。ヤバい。落ち着け。
「……………………っ」
……ダメだ。何を言っても裏目に出そうで怖くて言葉が出ない。でも颯太は無言で崖っぷちまで追い込んでくるかのようにじっ…と俺を見つめたまま、“ごめん”の意味を問いただしてくる。
俺は泣きたくなってきた。嫌われたくない。嫌われたくない……。何て答えれば……。まだ元どおりの幼なじみでいられる道って残ってるのか……?
何も思い浮かばない真っ白な頭をぐるぐる回転させていると、颯太が口を開いた。
「……軽い気持ちで、弾みでこんなことしちゃってごめんってこと?」
「はっ?!ちげーよ!」
あ。
反射的に全力で否定してしまった。颯太は俺の返事を聞くとますます頬を染める。
「……じゃあ、なに?今のキス。……言ってよ、樹。…お願い。……きっと、悪いようには、ならないから」
「……っ、」
困ったように、祈るように、切なげに瞳を潤ませながら、颯太は甘い声を震わせて言った。
……いくら俺がバカでも、さすがにもう、分かる。
「……好き、だよ、…颯太。……俺はずっと、お前のことだけが、…大好きなんだ」
「…………っ」
あぁ、ついに言ってしまった……。次は俺が祈る番だ。自分の鼓動を聞きながら、俺は颯太の返事を待った。
「………………嬉しい」
「………………へっ?」
颯太は天使のような微笑みを浮かべて俺を見つめたまま、涙を一粒ポロリと零した。
0
お気に入りに追加
94
あなたにおすすめの小説
振られた腹いせに別の男と付き合ったらそいつに本気になってしまった話
雨宮里玖
BL
「好きな人が出来たから別れたい」と恋人の翔に突然言われてしまった諒平。
諒平は別れたくないと引き止めようとするが翔は諒平に最初で最後のキスをした後、去ってしまった。
実は翔には諒平に隠している事実があり——。
諒平(20)攻め。大学生。
翔(20) 受け。大学生。
慶介(21)翔と同じサークルの友人。
僕のために、忘れていて
ことわ子
BL
男子高校生のリュージは事故に遭い、最近の記憶を無くしてしまった。しかし、無くしたのは最近の記憶で家族や友人のことは覚えており、別段困ることは無いと思っていた。ある一点、全く記憶にない人物、黒咲アキが自分の恋人だと訪ねてくるまでは────
おっさんにミューズはないだろ!~中年塗師は英国青年に純恋を捧ぐ~
天岸 あおい
BL
英国の若き青年×職人気質のおっさん塗師。
「カツミさん、アナタはワタシのミューズです!」
「おっさんにミューズはないだろ……っ!」
愛などいらぬ!が信条の中年塗師が英国青年と出会って仲を深めていくコメディBL。男前おっさん×伝統工芸×田舎ライフ物語。
第10回BL小説大賞エントリー作品。よろしくお願い致します!
好きなあいつの嫉妬がすごい
カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。
ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。
教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。
「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」
ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」
ずっと、ずっと甘い口唇
犬飼春野
BL
「別れましょう、わたしたち」
中堅として活躍し始めた片桐啓介は、絵にかいたような九州男児。
彼は結婚を目前に控えていた。
しかし、婚約者の口から出てきたのはなんと婚約破棄。
その後、同僚たちに酒の肴にされヤケ酒の果てに目覚めたのは、後輩の中村の部屋だった。
どうみても事後。
パニックに陥った片桐と、いたって冷静な中村。
周囲を巻き込んだ恋愛争奪戦が始まる。
『恋の呪文』で脇役だった、片桐啓介と新人の中村春彦の恋。
同じくわき役だった定番メンバーに加え新規も参入し、男女入り交じりの大混戦。
コメディでもあり、シリアスもあり、楽しんでいただけたら幸いです。
題名に※マークを入れている話はR指定な描写がありますのでご注意ください。
※ 2021/10/7- 完結済みをいったん取り下げて連載中に戻します。
2021/10/10 全て上げ終えたため完結へ変更。
『恋の呪文』と『ずっと、ずっと甘い口唇』に関係するスピンオフやSSが多くあったため
一気に上げました。
なるべく時間軸に沿った順番で掲載しています。
(『女王様と俺』は別枠)
『恋の呪文』の主人公・江口×池山の番外編も、登場人物と時間軸の関係上こちらに載せます。
キミと2回目の恋をしよう
なの
BL
ある日、誤解から恋人とすれ違ってしまった。
彼は俺がいない間に荷物をまとめて出てってしまっていたが、俺はそれに気づかずにいつも通り家に帰ると彼はもうすでにいなかった。どこに行ったのか連絡をしたが連絡が取れなかった。
彼のお母さんから彼が病院に運ばれたと連絡があった。
「どこかに旅行だったの?」
傷だらけのスーツケースが彼の寝ている病室の隅に置いてあって俺はお母さんにその場しのぎの嘘をついた。
彼との誤解を解こうと思っていたのに目が覚めたら彼は今までの全ての記憶を失っていた。これは神さまがくれたチャンスだと思った。
彼の荷物を元通りにして共同生活を再開させたが…
彼の記憶は戻るのか?2人の共同生活の行方は?
ハッピーエンド
藤美りゅう
BL
恋心を抱いた人には、彼女がいましたーー。
レンタルショップ『MIMIYA』でアルバイトをする三上凛は、週末の夜に来るカップルの彼氏、堺智樹に恋心を抱いていた。
ある日、凛はそのカップルが雨の中喧嘩をするのを偶然目撃してしまい、雨が降りしきる中、帰れず立ち尽くしている智樹に自分の傘を貸してやる。
それから二人の距離は縮まろうとしていたが、一本のある映画が、凛の心にブレーキをかけてしまう。
※ 他サイトでコンテスト用に執筆した作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる