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 仕事に一区切りつけて、冬真は自室で悠里の到着を待っていた。一週間、間を空けた。充分だろう。

「…………。」

 窓際にもたれかかってぼんやりと外の夜景を見ながら、冬真は腕を組んで悠里のことを考えていた。認めたくはないが、一週間間を空けたのも、冬真にとっては精一杯だった。先週悠里を抱いたその次の日には、もう悠里を欲しいと思った。だがそんな自分の気持ちを認めたくなくて、蓋をした。たしかにあいつは具合が良かった。白く滑らかな肌。泣き顔も声も最高に興奮したし、たどたどしい口の使い方も可愛げがあって燃えた。締まりが良くて、感度もいい。ただそれだけだ。別に抜くのはあいつじゃなくてもいい。昨日の今日だとまだ回復してなくてヤり心地が悪いだろう。自分にそう言い聞かせ、適当な女を呼んで発散しながら一週間やり過ごした。毎日のようにあいつを呼び寄せて、ハマっているなどと思われたくなかった。別にそういうわけじゃない。勘違いされて、あいつが調子に乗っても不愉快だ。

 部屋がノックされる。車が戻ってきたのは窓から見ていたから分かっていた。

「入れ」

 短く命じると、神谷がドアを開け一礼し、後ろにいた悠里のために避けて場所を空ける。青白い顔をした悠里が俯いて入ってきた。目を合わせようともしない。その態度に冬真は冷笑した。先週より少しやつれていることにすぐ気が付いた。
 音も立てずに神谷がすっと出て行く。冬真は入り口のところに突っ立ったまま動こうともしない悠里に真っ直ぐに近づいた。目の前に立ってやっても、顔を上げもしなければ、声も発さない。まさか俺に反抗しているつもりか。精一杯の抵抗を見せる悠里に対して、嗜虐心が湧き上がる。仕方ねぇな。そっちがそんな態度なら、たっぷり可愛がって立場を分からせてやらねぇとな。
 冬真は悠里の顎を掴み、くいっと上を向かせる。触れた途端にビクッと体を強張らせた悠里が怯えた目で冬真を見る。ようやく目が合った。冬真はニヤリと笑うと、前触れもなく悠里の唇を奪った。

「……っ!!んっ……!!」

 とっさに冬真の胸を押し返して離れようとする悠里の頭をがっしりと掴み、もう片方の手で顎を強く掴んで無理矢理舌をねじ込む。

「ふっ……!ん、んんっ!んん…っ!!」

 完全に萎縮している。男を受け入れるのが初めてなのは先週の態度でよく分かっていたが、今の様子を見る限り、これもこいつにとって初めての行為なのかもしれない。そう思い至ると冬真は満足し、悠里の舌を絡め取って引き出す。すでにガクガクと震えている悠里の腰をがっしりと引き寄せ、くちゅっ、くちゅっ、と卑猥な音を立ててたっぷりと悠里の舌を嬲る。

「んっ!……ん、……ふ、うぅっ……!…………はぁっ!はぁっ、はぁっ、はぁっ……」

 ようやく解放され呼吸を許された悠里はすでにふらふらで、そのまま崩れ落ちそうだった。冬真はしっかりと悠里の腰を支えてそれを阻止する。

「本当に態度がなってねぇな、てめえは。まずは挨拶だろうが」

 そう吐き捨てると、そのまま悠里を抱えてベッドまで運んだ。

「ひっ……!」

 軽々と抱え上げられた悠里が思わず息を呑む。冬真はスタスタと歩いて行くと、悠里を乱暴にベッドの上に投げ出した。まるで壊れない荷物でも扱うかのように。
 投げ出した悠里の顔の横に膝立ちで立った冬真が冷たい目で悠里を見下ろしながら、自分のズボンのファスナーを下げた。ビクッと怯える悠里の横であぐらをかき、自らのモノを取り出す。

「…やり方は覚えてるか?復習だ」

 そう言うと悠里の頭をがっしりと掴んだ。

「…………っ!」


 じゅぽっ、じゅぽっ、と淫猥な音を立てながら、悠里は目に涙を浮かべ必死で奉仕する。苦しい。なんでこんなに大きいんだ。頭を押さえつけられて逃げることも許されない。顎が外れそうだ。
 頭上では一瞬たりとも見逃さないとでもいう風に冬真がじっと自分を見下ろしている。手を抜くことは許されない。何をされるか分からない恐怖で、悠里は鼻でどうにか酸素を吸い込みながら懸命に舌を動かし舐め上げる。閉じることができない口の端から涎がダラダラと流れていく。
 冬真はその様子をじっくりと眺め、ごくりと喉を鳴らす。色の白い美しい顔を歪めて苦悶の表情を浮かべながら尽くす悠里は冬真の劣情を激しく駆り立てる。視覚的効果もあり、相変わらずたどたどしく決して上手くはないその口技で、冬真は充分に感じていた。太く固い冬真のモノがさらにバキバキと硬度を増し、ぐっと熱が集まってくる。それを察した悠里がビクッと肩を揺らし、舌の動きが鈍くなる。この後やってくる衝撃に怯えているのだろう。もちろん逃がしてやるつもりはなかった。

「……全部飲めよ。出したら殺すからな」

 低い声で呻くように脅すと、冬真は悠里の口内に一気に放った。

「ふ……、……っ!」
「んんっ!んっ……、~~~っ……!!…………ゲホッ!ゲホ、ゲホ…………、はぁっ、はぁっ、はぁっ……」

 悠里は涙を零しながらどうにか嚥下する。必死で呼吸をしていると、体を乱暴にひっくり返された。



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