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第二章
第25話 十二学区撤退戦(1)『絵』
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1.
殺希の手管により侵入者に仕立て上げられた二人は、無人の通路を移動する。
ホタルが入ってきた通路とは異なり、殺風景ながらも照明が完備されていた。
そんな中を肩をぶつけ合いながら、駆け抜ける。
「ったく、俺も晴れて侵入者の側か!?」
「私は助けに来てやったのだぞ!」
「ああ、ありがとよ!」
ヤケクソ気味に答える透哉の顔は引きつっていて半笑いだ。もうどうにでもなれ、そんな投げやりな決意が窺える。
卑怯にも、ホタルとの軽口の応酬に安堵していた。
何人ものアカリを手にかけた自責の念から解放されたかったのだ。人工的に生み出された存在だと、何度頭に言い聞かせても、感情が許容しなかった。
だから、今だけは、少なくともここからの逃走劇の間だけは目を逸らせていたいのだ。
並走するホタルも、この場では纏め切れない複雑な情感を今は奥に仕舞い込んで、気ままなやり取りに身を委ねていた。
透哉は不毛なやり取りを終えると気持ちを覆い隠すように、『白檻』をいつもよりも深く被る。
怖いものから身を守りたくて布団に深く潜り込むように。
「源、『迷彩』を使うぞ」
「分かった。御波、こっちだ。高速エレベーターを使う」
ホタルの呼びかけに、透哉は足を止め、目を瞬かせる。
「なんだ? エレベーターあったのか?」
「……当たり前だろ。お前どうやって地上に出るつもりだったのだ。まさかのんびり階段で上がるつもりだったのか?」
潜入時は発覚を遅らせるために階段を選んだホタルだったが、ばれてしまった以上、最短ルートを選ばない理由がなかった。
逆に透哉は殺希に妙な方法で連れ込まれたせいで正規ルートなど知らない。現に透哉の足は非常口と書かれた扉に向かっていた。
階段を全力疾走するか、賊らしく上の階まで天井を破壊して上るつもりだった。
呆れ顔のホタルの案内で、高速エレベーターの前に来た透哉は二の足を踏む。
普通のエレベーターとは異なり、カードキーのスロットと電卓みたいなプッシュキーが備え付けられた。素人目に見ても自由に扱える品ではなかった。
透哉一人ならお手上げであるが、今はホタルが同行している。以前この施設にいたホタルなら、カードキーを所持して解錠方法も知っているはずだ、と透哉は考えている。
だから、透哉はホタルが正規の方法で解錠してエレベーターを操作するのを待っていた。
――待っていたのだが、ホタルはプッシュキーには触れず、紫電を纏った手を翳す。バンっと爆音を鳴らし、煙を噴いて返事をしたエレベーターの扉を強引にこじ開けると、先に中に入って手招きをする。
「御波、早くしろ! 上昇させるぞ!」
「お前、カードキーとか持ってんじゃねーのかよ!?」
「おお、その手があったか。でも大丈夫だ。カードは忘れたし、パスワードも覚えていないからな!」
数分前に涙を浮かべていたとは思えない、清々しい笑顔での開き直りである。
電撃少女ホタルにはスマートな逃走はできないようだ。
呆れつつもホタルの手際の良さには感心する。
透哉がエレベーターに乗り込み、手動で扉を閉じると、ホタルはコントロールパネルにビリビリと電撃を放つ。
すると軽い振動を経て、緩やかな制動音が室内に響き上昇を始める。
「まさか源が代わりに電気を供給して動かしているのか?」
「違う。ホッキングだ」
「……ハッキングのことか?」
透哉の問いにホタルが真剣な目で答える。
とても冗談を言っているとは思えなかったが、透哉は念のために尋ねた。
口を開く度に知的さを失う残念さとは裏腹に、ハッキングされたエレベーターは乗っ取られているとは思えないほど安定した動作をしている。
座学は不得手だが、実技は優秀な典型だった。
「うむ、それだ。十二学区の機械類の大半には、魔力で動作を制御する機構が含まれていたり、魔力干渉への備えがある。だから電撃をコンピュータウィルスのように変化させて内部から操れるのだ」
「そんなことできたのか」
「ああ、ここで習得した私の能力の悪用法だ」
余り触れられたくない内容らしく、ホタルはコントロールパネルに手を翳したまま顔を伏せた。
ハッキングも知らないヤツに好き放題に操作される不憫なエレベーターはさておき、頭上の表示を見ると地上まではもう階数がない。
この高速エレベーターの中が恐らく、最後の小休止となる。
「御波、地上に出てからは隠密行動だ。戦闘は可能な限り避けて十二学区からの脱出を優先する。これでいいな?」
「分かった。俺もそれでいいと思う」
ホタルから提案された大雑把だが要点を押さえた作戦に透哉は賛同する。向き不向きは別として避難訓練とかを真面目にやるタイプかもしれない。
『それと――(ザザッ)この後の会話は『白檻』を介して行う』
『了解』
一瞬のノイズを挟み、ホタルの声質が僅かに変化した。
『白檻』の通信機能で音声を同調させたようだ。これなら周囲に声を漏らさずに会話でき、『迷彩』も並行して使っているので正体不明の二人組が完成である。
イニシアチブをホタルに取られているが、今はその方が円滑に行える。
『もうすぐ着く。扉が開いたらすぐに飛び出すぞ』
『了解、隊長』
『っな、』
目を見開いてホタルがこちらを見ていた。透哉としては指揮関連における主従を明確にしようと思っただけだったが、悪ノリと捉えられてしまったかもしれない。
高速エレベーターの制動音だけが支配する室内、その静寂をピンポンと言う電子音が切り裂く。
到着音に二人は弾かれたように身構え、扉の開放と同時に駆け出す。
『い、行くぞ!』
『分かった』
まず二人の目に飛び込んできたのは、一階フロアに集まった警官と思しき十人ほどの群衆。
目立った武装がないところを見ると近隣に常駐する警備員で、恐らく通報を受けて集合した直後なのだろう。
上がってきた透哉たちを待ち構えていたと言うよりも、作戦会議の真っ最中に遭遇してしまったと言ったところだ。
二人はアイコンタクトを取ると即断する。
警備員は堂々と現われた侵入者、『迷彩』によってマントを着た輪郭さえ曖昧な人影の姿に色めき立つ。
驚きが行動を封じる僅かな時間は、決定的な初動の差を生んだ。
動揺が波紋となって広がり、適正行動への移行が著しく低下している。集団故の足枷が見えた。
「待て! 貴様ら!」
透哉とホタルは抑止の声には耳を貸さず、武器を構える暇も与えず、警備員の間を縫うように走り、あるいは頭上を飛び越え、集団の背後まで突き抜ける。
負け惜しみと言わんばかりに怒号を浴びせられたが、この後遭遇する者に比べれば二人にとっては無害な一団でしかなかった。
『とりあえず玄関ぐらいは派手に壊して行くか?』
『そうだな。それが悪党っぽい』
『エンチャント、『雷王』! 薙ぎ払え!』
ホタルの声に呼応して生まれた雷剣が一閃。
玄関のガラス戸に十字に切れ込みが入り、電撃が粉々に吹き飛ばした。
幸い正面玄関付近の警備は薄く、援軍がきた様子はない。
表に出て聞こえたのは複数のサイレン。セッションするように多方から響く警戒音。しかし、その全てが近づいてきている。通報を受けた軍勢の足音だ。
囲まれでもしたらやっかいなことこの上ない。
『こっちだ! まずこの学区を抜ける!』
『了解!』
ホタルに応答しつつ、透哉は何かに気付き背後への警戒を強めた。
跳躍と共に現れたのは、濃い灰色の毛を有した大柄なシルエット。
手足を地面に付けて着地の衝撃を分散し、前傾姿勢で立ち上がる。
異常に前方に突き出した口角と、尖った三角の耳、鋭い爪を有した異形。
以前、オープンテラスのカフェで見た狼の魔人と似た容貌をしていたが、剥き出しの手足が、容姿に違わぬ凶暴さを主張していた。
一見、無法者に見える彼らは十二学区の夜間警備を担う『戦犬隊』と言う、主要人員を魔人で固めた治安組織だ。一応、警備員が着るような制服を着用しているが、治安を護る側とは到底見えない。
「止まれ! 怪しい奴め!」
『(お前が言うな)』
「なんと、面妖な二人組だ」
『(お前らが言うな)』
『白檻』の能力で輪郭が曖昧で怪しさが極まっている二人。
次いで駆けつけた狼の魔人もこぞって透哉たちの姿に評を下すが、第三者視点で見ると魔人を含めた変な集まりにしか見えない。
「こちら、『戦犬隊』石谷! 第六学区研究所前にて賊と接触! 賊は徒歩にて第六学区を南下中!」
「俺が行く!」
「待て! 堤! 独断で行動するな!」
「逃げられると思うな、怪しい賊め!」
指揮系統を担う石谷が別働隊、及び他部署への通達をする最中、堤と呼ばれた魔人が一人、飛び出した。
どんな組織にも一人はいる、無鉄砲な出たがり屋の典型だった。
『だから、お前らが言うなっての!?』
『御波! こっちだ、急げ!』
ツッコミを入れつつ、『戦犬隊』堤の制止を無視して透哉は駆け出し、ホタルの誘導に従い、指示された建物の屋上に一度の跳躍で飛び乗る。
透哉はホタルの方を見て、思わず立ち止まり変な声が出た。
『って、ええぇ?』
バチッと紫電を撒き散らせながら垂直に跳んだホタルが、高度を維持したまま重力を無視して水平に移動した姿を目の当たりにしたからだ。
慌てて走って跳躍して追いつく。
『なんだよ、今のは!?』
『これは、新しく編み出した移動方法だ。周りが金属だらけだからな、磁力の反発力と吸着力を併用して飛べるようになったのだ!』
『曖昧でその上説明が独特過ぎる!? 電磁浮遊ってことか?』
『ん? んんん?? よく分からないけれどなんか、飛べるのだ!』
『また胡散臭さが増しただけじゃねーか!?』
噛み砕いた解釈をしたつもりだったが、ホタルには首を傾げられてしまった。
理屈を問う難儀な質問に困ったホタルは、その経緯を包み隠さず答える。
『とにかく! お前のことを考えていたら体が勝手に動いたのだ!』
『はぁ?』
『な、何でもないのだ!』
逃走を継続しつつ、二人が口論していると、背後からの怒声が追いかけてくる。
左目を閉じ、開眼と同時に『原石』の力で敵の力を看破する。
飛び道具での攻撃を予期していた透哉は、直後冷や汗をかいた。
怒声の主は『戦犬隊』堤。
文字通り牙を剥き出しにして、己の健脚を頼りに異常な速さで走り、透哉とホタルに肉迫してくる。
堤は地面を激しく叩くように踏み切ると、足の瞬発力だけで一気に透哉がいる高さまで飛び上がり、追走してきた。
油断していたというより、見立てを完全に誤っていた。
透哉の目は魔力の流れを読み取り、見切ることが出来る眼だ。
だから、魔力を見なければ反応できない。
堤の挙動からは魔力の流れが見えなかった。と言うより、魔力を使っていなかった。
そこで透哉はハッとする。
魔人は成長過程で魔力を体内に取り込むことで、エンチャントした人魔と同等の腕力を持っている、そう矢場に教わった。
予め履修していたのに、実践で生かせなかったことを歯噛みする。
堤の追走を逃れるため、手近な建造物の屋上を経由していたが、想像以上に『戦犬隊』の手回しは迅速だった。
石谷の報告を受けて先回りしていたのか、屋上の扉が開き、ソロゾロと『戦犬隊』のメンバーが姿を現した。容姿は様々で、石谷や堤のように狼男と形容できる姿もあれば、手足のみが異形なもの、果ては角や羽を有した者まで色とりどりだった。
壁伝いに這い上がって来る者まで含めると、至る所から魔人が生えてくる。
『おいおい、あっという間に囲まれたぞ』
『凄まじい人員だ。これを突破するのは骨だな』
四面楚歌の危機的状況にもかかわらず、透哉の声色に焦りは含まれていない。
受けたホタルも同様に呆れてはいるものの、焦りも怒りも窺えない。
犬のおまわりさんと呼ぶには面妖な外見をしていて迷子になったと事情を話しても和解できるとは思えない。
現在地を明確に理解していない点を上げれば透哉たちは迷子だろうが、扉を破壊して逃走を図る悪い子の弁明は聞いてもらえないだろう。
異形集団を前に、無意識に比較するのはやはり以前パレットで出会った狼の魔人。
『この前のやつよりかなり血の気が多そうだな』
『まぁ、和解できる状況ではないから――』
『あぶねぇ!』
呆れたように言うホタルの言葉を中断する形で、透哉はホタルを真横に突き飛ばした。
「俺は『戦犬隊』の一番槍、堤! 覚悟ぉ!」
ホタルを庇ったせいで防御が間に合わず、堤の拳が直撃した。やはり、魔力を一切感じない腕力と重量。
衝撃で屋上を転がる透哉は熱風を吹き出す室外機に激突してようやく止まる。
(これが魔人っ)
外見に恥じぬ、純な暴力を体感し、この場で『原石』に頼ることがいかに下策であるかを理解する。
しかし、魔力による肉体強化は透哉にとって十八番である。透哉は魔力を見切る『原石』を持つと同時、自身の身体を並外れたレベルで強化できるフィジカルを持っている。
直接的な対決は歓待するところだった。下手に魔力を使われない分、戦いは単純になる。
とどのつまり、先に戦闘不能に追いやればいいだけの話。
「その程度の脚力で俺から逃げられると思っているのか?」
『エンチャント! 『雲切』――悪かったよ。勘違いしていた』
「なに、を。うぎゃぁあああ!?――っ」
透哉は起き上がりながらそう言って、稲穂を払うような軽い動作に乗せて、必殺を抜く。
不思議と迷いはなかった。初対面の他人であることもあり、妙に体も気持ちも楽だった。
必殺を受けた堤の身長が、ガクンと低くなる。一太刀で足首を切り落とされていた。
切断されてむき出しになった骨を屋上の床に打ち付けて絶叫し気を失った。
見てから避けられないなら、先に行動不能にすればいい。
皮肉にもアカリとの戦闘が『雲切』を振るう精神的な重みを奪っていた。
顔見知りの無抵抗な少女をさえ斬り殺すと言う悪逆の達成が、初対面の魔人に殺意を向けることを可能にした。
辛さで麻痺して味覚を失ったように、人体へ凶刃を向けることへの抵抗感が失われていた。
「貴様! 良くも堤をぉぉぉ!」
仲間の負傷に憤り、飛びかかろうとした途端、肩から先を踏み切り地点に置き忘れた。
透哉は攻撃の兆候を的確に読み、無慈悲な先制攻撃を放った。
「ぐあぁ!? 腕が、俺の腕がぁあぁ!?」
イモムシのようにもがきながらの突進を透哉は真横に蹴り飛ばす。先の透哉と同様に室外機に激突したことで止まり、血を吹いて倒れ込む。
「大丈夫か、加藤!? ――貴様ぁ!」
腕を失った加藤と呼ばれた魔人の容態を見るやいなや、諦めたと言うよりも手が出せず開き直って声を張り上げるのは石谷。
その一声に触発され、後続もゾロゾロと押し寄せ、侵入者の透哉に敵意を向けている。
「や、止めろ! グフッ、飛び道具、もしくは見えない武器を持っている!」
「喋るな、加藤っ! 今救護の者を呼ぶ!」
両腕を失いながらも意識を保つばかりか、仲間への注意を怠らない胆力に透哉は舌を巻く。
魔力の干渉を受けて成長した分、肉体は人魔とは比較にならないほど強靱なのかもしれない。
『何を遊んでいる御波、逃げるぞ!』
『うげ』
ホタルの声に視線を転じると、別店舗の屋根を使って這い上がってくる魔人の集団を目にした。
律儀に後続の相手などしていたら数秒と待たず包囲されることは予想できた。
遠くから聞こえるサイレンも先程より接近している。
負傷させた二名の救護か増援、いずれにしても状況は悪化するばかりである。一掃して強引に退路を作るか考えていた。
逃げるにしても、敵に背を向ける一瞬だけは安全を確保したい。
透哉は舌打ちと共に決断する。
『源、先に行ってろ!』
『何を言っている!?』
『敵のこの数だ。バカ正直に逃げていたら追いつかれる』
『お前の脚力なら大丈夫ではないか? それにいざとなれば私が飛ん』
『魔人を侮るな!』
油断して不意を突かれたことが透哉の警戒心を強めていた。
殿を申し出たのも自分への戒めなのだ。
『少し片付けたらすぐに追いつく!』
『御波、魔人を侮るつもりはないが、仲間を信頼すべきではないか?』
敵陣にいるとは思えない笑みを浮かべるホタル。それが透哉の目には覚悟を決めて開き直っている風に映った。
『……何か策があるのか?』
『御波、ここは私の作戦に任せろ』
一人一人蹴散らす愚直な策しか思いつかない透哉はホタルを頼った。けれど、代わりに一人で残ると言われた場合は全力で阻止するつもりだった。
『ようするに、一瞬でもいいから魔人たちの意識を逸らせる目眩ましが欲しい、そんなところではないか?』
『そうだ』
『合図したら目を閉じろ』
余程の妙策を考案したのか、ホタルの声は自信に満ちていた。
案に困窮していた透哉には頼もしかった。
――ホタルの口から不穏な言葉が出てくるまでは。
『お前ならこれぐらいの電撃平気だよな?』
『は?』
『――エンチャント!』
不穏な言葉に透哉が聞き返す間もなくホタルは『雷王』を振り抜き、勢いよく足下に突き立てた。
ホタルの体から噴出した電撃は『雷王』を介して地面に伝わり、全方位に蜘蛛の巣状に拡散する。
圧倒的光量の爆雷は屋上の床に亀裂を生みながら、周囲のありとあらゆる物を飲み込んだ。
大電流の影響でブレイカーが落ちたのか、近隣の灯りという灯りが消え失せた。
勿論、隣に立った透哉と屋上に集まった魔人たちを容赦なく巻き込んで。
「ぐわわわぁあ!? 目眩ましか!?」
「なんだ!? 体がしびびび、れて手が動かん」
「くそぉ! やつらどこへぇぁぁあ!?」
魔人たちの悲鳴虚しく、完全包囲したにもかかわらず、まんまと逃げられ、あまつさえほぼ全員が戦闘不能に陥り、醜態をさらす結果となった。
痺れに悶えながらも、『戦犬隊』の一人が声を上げ、
「う、上です!」
敵影を確認したが、誰一人追うことができないでいた。
遙か上空を飛ぶ二人の朧な人影を見ていることしか出来なかった。
殺希の手管により侵入者に仕立て上げられた二人は、無人の通路を移動する。
ホタルが入ってきた通路とは異なり、殺風景ながらも照明が完備されていた。
そんな中を肩をぶつけ合いながら、駆け抜ける。
「ったく、俺も晴れて侵入者の側か!?」
「私は助けに来てやったのだぞ!」
「ああ、ありがとよ!」
ヤケクソ気味に答える透哉の顔は引きつっていて半笑いだ。もうどうにでもなれ、そんな投げやりな決意が窺える。
卑怯にも、ホタルとの軽口の応酬に安堵していた。
何人ものアカリを手にかけた自責の念から解放されたかったのだ。人工的に生み出された存在だと、何度頭に言い聞かせても、感情が許容しなかった。
だから、今だけは、少なくともここからの逃走劇の間だけは目を逸らせていたいのだ。
並走するホタルも、この場では纏め切れない複雑な情感を今は奥に仕舞い込んで、気ままなやり取りに身を委ねていた。
透哉は不毛なやり取りを終えると気持ちを覆い隠すように、『白檻』をいつもよりも深く被る。
怖いものから身を守りたくて布団に深く潜り込むように。
「源、『迷彩』を使うぞ」
「分かった。御波、こっちだ。高速エレベーターを使う」
ホタルの呼びかけに、透哉は足を止め、目を瞬かせる。
「なんだ? エレベーターあったのか?」
「……当たり前だろ。お前どうやって地上に出るつもりだったのだ。まさかのんびり階段で上がるつもりだったのか?」
潜入時は発覚を遅らせるために階段を選んだホタルだったが、ばれてしまった以上、最短ルートを選ばない理由がなかった。
逆に透哉は殺希に妙な方法で連れ込まれたせいで正規ルートなど知らない。現に透哉の足は非常口と書かれた扉に向かっていた。
階段を全力疾走するか、賊らしく上の階まで天井を破壊して上るつもりだった。
呆れ顔のホタルの案内で、高速エレベーターの前に来た透哉は二の足を踏む。
普通のエレベーターとは異なり、カードキーのスロットと電卓みたいなプッシュキーが備え付けられた。素人目に見ても自由に扱える品ではなかった。
透哉一人ならお手上げであるが、今はホタルが同行している。以前この施設にいたホタルなら、カードキーを所持して解錠方法も知っているはずだ、と透哉は考えている。
だから、透哉はホタルが正規の方法で解錠してエレベーターを操作するのを待っていた。
――待っていたのだが、ホタルはプッシュキーには触れず、紫電を纏った手を翳す。バンっと爆音を鳴らし、煙を噴いて返事をしたエレベーターの扉を強引にこじ開けると、先に中に入って手招きをする。
「御波、早くしろ! 上昇させるぞ!」
「お前、カードキーとか持ってんじゃねーのかよ!?」
「おお、その手があったか。でも大丈夫だ。カードは忘れたし、パスワードも覚えていないからな!」
数分前に涙を浮かべていたとは思えない、清々しい笑顔での開き直りである。
電撃少女ホタルにはスマートな逃走はできないようだ。
呆れつつもホタルの手際の良さには感心する。
透哉がエレベーターに乗り込み、手動で扉を閉じると、ホタルはコントロールパネルにビリビリと電撃を放つ。
すると軽い振動を経て、緩やかな制動音が室内に響き上昇を始める。
「まさか源が代わりに電気を供給して動かしているのか?」
「違う。ホッキングだ」
「……ハッキングのことか?」
透哉の問いにホタルが真剣な目で答える。
とても冗談を言っているとは思えなかったが、透哉は念のために尋ねた。
口を開く度に知的さを失う残念さとは裏腹に、ハッキングされたエレベーターは乗っ取られているとは思えないほど安定した動作をしている。
座学は不得手だが、実技は優秀な典型だった。
「うむ、それだ。十二学区の機械類の大半には、魔力で動作を制御する機構が含まれていたり、魔力干渉への備えがある。だから電撃をコンピュータウィルスのように変化させて内部から操れるのだ」
「そんなことできたのか」
「ああ、ここで習得した私の能力の悪用法だ」
余り触れられたくない内容らしく、ホタルはコントロールパネルに手を翳したまま顔を伏せた。
ハッキングも知らないヤツに好き放題に操作される不憫なエレベーターはさておき、頭上の表示を見ると地上まではもう階数がない。
この高速エレベーターの中が恐らく、最後の小休止となる。
「御波、地上に出てからは隠密行動だ。戦闘は可能な限り避けて十二学区からの脱出を優先する。これでいいな?」
「分かった。俺もそれでいいと思う」
ホタルから提案された大雑把だが要点を押さえた作戦に透哉は賛同する。向き不向きは別として避難訓練とかを真面目にやるタイプかもしれない。
『それと――(ザザッ)この後の会話は『白檻』を介して行う』
『了解』
一瞬のノイズを挟み、ホタルの声質が僅かに変化した。
『白檻』の通信機能で音声を同調させたようだ。これなら周囲に声を漏らさずに会話でき、『迷彩』も並行して使っているので正体不明の二人組が完成である。
イニシアチブをホタルに取られているが、今はその方が円滑に行える。
『もうすぐ着く。扉が開いたらすぐに飛び出すぞ』
『了解、隊長』
『っな、』
目を見開いてホタルがこちらを見ていた。透哉としては指揮関連における主従を明確にしようと思っただけだったが、悪ノリと捉えられてしまったかもしれない。
高速エレベーターの制動音だけが支配する室内、その静寂をピンポンと言う電子音が切り裂く。
到着音に二人は弾かれたように身構え、扉の開放と同時に駆け出す。
『い、行くぞ!』
『分かった』
まず二人の目に飛び込んできたのは、一階フロアに集まった警官と思しき十人ほどの群衆。
目立った武装がないところを見ると近隣に常駐する警備員で、恐らく通報を受けて集合した直後なのだろう。
上がってきた透哉たちを待ち構えていたと言うよりも、作戦会議の真っ最中に遭遇してしまったと言ったところだ。
二人はアイコンタクトを取ると即断する。
警備員は堂々と現われた侵入者、『迷彩』によってマントを着た輪郭さえ曖昧な人影の姿に色めき立つ。
驚きが行動を封じる僅かな時間は、決定的な初動の差を生んだ。
動揺が波紋となって広がり、適正行動への移行が著しく低下している。集団故の足枷が見えた。
「待て! 貴様ら!」
透哉とホタルは抑止の声には耳を貸さず、武器を構える暇も与えず、警備員の間を縫うように走り、あるいは頭上を飛び越え、集団の背後まで突き抜ける。
負け惜しみと言わんばかりに怒号を浴びせられたが、この後遭遇する者に比べれば二人にとっては無害な一団でしかなかった。
『とりあえず玄関ぐらいは派手に壊して行くか?』
『そうだな。それが悪党っぽい』
『エンチャント、『雷王』! 薙ぎ払え!』
ホタルの声に呼応して生まれた雷剣が一閃。
玄関のガラス戸に十字に切れ込みが入り、電撃が粉々に吹き飛ばした。
幸い正面玄関付近の警備は薄く、援軍がきた様子はない。
表に出て聞こえたのは複数のサイレン。セッションするように多方から響く警戒音。しかし、その全てが近づいてきている。通報を受けた軍勢の足音だ。
囲まれでもしたらやっかいなことこの上ない。
『こっちだ! まずこの学区を抜ける!』
『了解!』
ホタルに応答しつつ、透哉は何かに気付き背後への警戒を強めた。
跳躍と共に現れたのは、濃い灰色の毛を有した大柄なシルエット。
手足を地面に付けて着地の衝撃を分散し、前傾姿勢で立ち上がる。
異常に前方に突き出した口角と、尖った三角の耳、鋭い爪を有した異形。
以前、オープンテラスのカフェで見た狼の魔人と似た容貌をしていたが、剥き出しの手足が、容姿に違わぬ凶暴さを主張していた。
一見、無法者に見える彼らは十二学区の夜間警備を担う『戦犬隊』と言う、主要人員を魔人で固めた治安組織だ。一応、警備員が着るような制服を着用しているが、治安を護る側とは到底見えない。
「止まれ! 怪しい奴め!」
『(お前が言うな)』
「なんと、面妖な二人組だ」
『(お前らが言うな)』
『白檻』の能力で輪郭が曖昧で怪しさが極まっている二人。
次いで駆けつけた狼の魔人もこぞって透哉たちの姿に評を下すが、第三者視点で見ると魔人を含めた変な集まりにしか見えない。
「こちら、『戦犬隊』石谷! 第六学区研究所前にて賊と接触! 賊は徒歩にて第六学区を南下中!」
「俺が行く!」
「待て! 堤! 独断で行動するな!」
「逃げられると思うな、怪しい賊め!」
指揮系統を担う石谷が別働隊、及び他部署への通達をする最中、堤と呼ばれた魔人が一人、飛び出した。
どんな組織にも一人はいる、無鉄砲な出たがり屋の典型だった。
『だから、お前らが言うなっての!?』
『御波! こっちだ、急げ!』
ツッコミを入れつつ、『戦犬隊』堤の制止を無視して透哉は駆け出し、ホタルの誘導に従い、指示された建物の屋上に一度の跳躍で飛び乗る。
透哉はホタルの方を見て、思わず立ち止まり変な声が出た。
『って、ええぇ?』
バチッと紫電を撒き散らせながら垂直に跳んだホタルが、高度を維持したまま重力を無視して水平に移動した姿を目の当たりにしたからだ。
慌てて走って跳躍して追いつく。
『なんだよ、今のは!?』
『これは、新しく編み出した移動方法だ。周りが金属だらけだからな、磁力の反発力と吸着力を併用して飛べるようになったのだ!』
『曖昧でその上説明が独特過ぎる!? 電磁浮遊ってことか?』
『ん? んんん?? よく分からないけれどなんか、飛べるのだ!』
『また胡散臭さが増しただけじゃねーか!?』
噛み砕いた解釈をしたつもりだったが、ホタルには首を傾げられてしまった。
理屈を問う難儀な質問に困ったホタルは、その経緯を包み隠さず答える。
『とにかく! お前のことを考えていたら体が勝手に動いたのだ!』
『はぁ?』
『な、何でもないのだ!』
逃走を継続しつつ、二人が口論していると、背後からの怒声が追いかけてくる。
左目を閉じ、開眼と同時に『原石』の力で敵の力を看破する。
飛び道具での攻撃を予期していた透哉は、直後冷や汗をかいた。
怒声の主は『戦犬隊』堤。
文字通り牙を剥き出しにして、己の健脚を頼りに異常な速さで走り、透哉とホタルに肉迫してくる。
堤は地面を激しく叩くように踏み切ると、足の瞬発力だけで一気に透哉がいる高さまで飛び上がり、追走してきた。
油断していたというより、見立てを完全に誤っていた。
透哉の目は魔力の流れを読み取り、見切ることが出来る眼だ。
だから、魔力を見なければ反応できない。
堤の挙動からは魔力の流れが見えなかった。と言うより、魔力を使っていなかった。
そこで透哉はハッとする。
魔人は成長過程で魔力を体内に取り込むことで、エンチャントした人魔と同等の腕力を持っている、そう矢場に教わった。
予め履修していたのに、実践で生かせなかったことを歯噛みする。
堤の追走を逃れるため、手近な建造物の屋上を経由していたが、想像以上に『戦犬隊』の手回しは迅速だった。
石谷の報告を受けて先回りしていたのか、屋上の扉が開き、ソロゾロと『戦犬隊』のメンバーが姿を現した。容姿は様々で、石谷や堤のように狼男と形容できる姿もあれば、手足のみが異形なもの、果ては角や羽を有した者まで色とりどりだった。
壁伝いに這い上がって来る者まで含めると、至る所から魔人が生えてくる。
『おいおい、あっという間に囲まれたぞ』
『凄まじい人員だ。これを突破するのは骨だな』
四面楚歌の危機的状況にもかかわらず、透哉の声色に焦りは含まれていない。
受けたホタルも同様に呆れてはいるものの、焦りも怒りも窺えない。
犬のおまわりさんと呼ぶには面妖な外見をしていて迷子になったと事情を話しても和解できるとは思えない。
現在地を明確に理解していない点を上げれば透哉たちは迷子だろうが、扉を破壊して逃走を図る悪い子の弁明は聞いてもらえないだろう。
異形集団を前に、無意識に比較するのはやはり以前パレットで出会った狼の魔人。
『この前のやつよりかなり血の気が多そうだな』
『まぁ、和解できる状況ではないから――』
『あぶねぇ!』
呆れたように言うホタルの言葉を中断する形で、透哉はホタルを真横に突き飛ばした。
「俺は『戦犬隊』の一番槍、堤! 覚悟ぉ!」
ホタルを庇ったせいで防御が間に合わず、堤の拳が直撃した。やはり、魔力を一切感じない腕力と重量。
衝撃で屋上を転がる透哉は熱風を吹き出す室外機に激突してようやく止まる。
(これが魔人っ)
外見に恥じぬ、純な暴力を体感し、この場で『原石』に頼ることがいかに下策であるかを理解する。
しかし、魔力による肉体強化は透哉にとって十八番である。透哉は魔力を見切る『原石』を持つと同時、自身の身体を並外れたレベルで強化できるフィジカルを持っている。
直接的な対決は歓待するところだった。下手に魔力を使われない分、戦いは単純になる。
とどのつまり、先に戦闘不能に追いやればいいだけの話。
「その程度の脚力で俺から逃げられると思っているのか?」
『エンチャント! 『雲切』――悪かったよ。勘違いしていた』
「なに、を。うぎゃぁあああ!?――っ」
透哉は起き上がりながらそう言って、稲穂を払うような軽い動作に乗せて、必殺を抜く。
不思議と迷いはなかった。初対面の他人であることもあり、妙に体も気持ちも楽だった。
必殺を受けた堤の身長が、ガクンと低くなる。一太刀で足首を切り落とされていた。
切断されてむき出しになった骨を屋上の床に打ち付けて絶叫し気を失った。
見てから避けられないなら、先に行動不能にすればいい。
皮肉にもアカリとの戦闘が『雲切』を振るう精神的な重みを奪っていた。
顔見知りの無抵抗な少女をさえ斬り殺すと言う悪逆の達成が、初対面の魔人に殺意を向けることを可能にした。
辛さで麻痺して味覚を失ったように、人体へ凶刃を向けることへの抵抗感が失われていた。
「貴様! 良くも堤をぉぉぉ!」
仲間の負傷に憤り、飛びかかろうとした途端、肩から先を踏み切り地点に置き忘れた。
透哉は攻撃の兆候を的確に読み、無慈悲な先制攻撃を放った。
「ぐあぁ!? 腕が、俺の腕がぁあぁ!?」
イモムシのようにもがきながらの突進を透哉は真横に蹴り飛ばす。先の透哉と同様に室外機に激突したことで止まり、血を吹いて倒れ込む。
「大丈夫か、加藤!? ――貴様ぁ!」
腕を失った加藤と呼ばれた魔人の容態を見るやいなや、諦めたと言うよりも手が出せず開き直って声を張り上げるのは石谷。
その一声に触発され、後続もゾロゾロと押し寄せ、侵入者の透哉に敵意を向けている。
「や、止めろ! グフッ、飛び道具、もしくは見えない武器を持っている!」
「喋るな、加藤っ! 今救護の者を呼ぶ!」
両腕を失いながらも意識を保つばかりか、仲間への注意を怠らない胆力に透哉は舌を巻く。
魔力の干渉を受けて成長した分、肉体は人魔とは比較にならないほど強靱なのかもしれない。
『何を遊んでいる御波、逃げるぞ!』
『うげ』
ホタルの声に視線を転じると、別店舗の屋根を使って這い上がってくる魔人の集団を目にした。
律儀に後続の相手などしていたら数秒と待たず包囲されることは予想できた。
遠くから聞こえるサイレンも先程より接近している。
負傷させた二名の救護か増援、いずれにしても状況は悪化するばかりである。一掃して強引に退路を作るか考えていた。
逃げるにしても、敵に背を向ける一瞬だけは安全を確保したい。
透哉は舌打ちと共に決断する。
『源、先に行ってろ!』
『何を言っている!?』
『敵のこの数だ。バカ正直に逃げていたら追いつかれる』
『お前の脚力なら大丈夫ではないか? それにいざとなれば私が飛ん』
『魔人を侮るな!』
油断して不意を突かれたことが透哉の警戒心を強めていた。
殿を申し出たのも自分への戒めなのだ。
『少し片付けたらすぐに追いつく!』
『御波、魔人を侮るつもりはないが、仲間を信頼すべきではないか?』
敵陣にいるとは思えない笑みを浮かべるホタル。それが透哉の目には覚悟を決めて開き直っている風に映った。
『……何か策があるのか?』
『御波、ここは私の作戦に任せろ』
一人一人蹴散らす愚直な策しか思いつかない透哉はホタルを頼った。けれど、代わりに一人で残ると言われた場合は全力で阻止するつもりだった。
『ようするに、一瞬でもいいから魔人たちの意識を逸らせる目眩ましが欲しい、そんなところではないか?』
『そうだ』
『合図したら目を閉じろ』
余程の妙策を考案したのか、ホタルの声は自信に満ちていた。
案に困窮していた透哉には頼もしかった。
――ホタルの口から不穏な言葉が出てくるまでは。
『お前ならこれぐらいの電撃平気だよな?』
『は?』
『――エンチャント!』
不穏な言葉に透哉が聞き返す間もなくホタルは『雷王』を振り抜き、勢いよく足下に突き立てた。
ホタルの体から噴出した電撃は『雷王』を介して地面に伝わり、全方位に蜘蛛の巣状に拡散する。
圧倒的光量の爆雷は屋上の床に亀裂を生みながら、周囲のありとあらゆる物を飲み込んだ。
大電流の影響でブレイカーが落ちたのか、近隣の灯りという灯りが消え失せた。
勿論、隣に立った透哉と屋上に集まった魔人たちを容赦なく巻き込んで。
「ぐわわわぁあ!? 目眩ましか!?」
「なんだ!? 体がしびびび、れて手が動かん」
「くそぉ! やつらどこへぇぁぁあ!?」
魔人たちの悲鳴虚しく、完全包囲したにもかかわらず、まんまと逃げられ、あまつさえほぼ全員が戦闘不能に陥り、醜態をさらす結果となった。
痺れに悶えながらも、『戦犬隊』の一人が声を上げ、
「う、上です!」
敵影を確認したが、誰一人追うことができないでいた。
遙か上空を飛ぶ二人の朧な人影を見ていることしか出来なかった。
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