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第二章
第11話 抗う少年。(5)
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5.
密かに教室を出ていた流耶は廊下を一人歩いていた。
自分自身が学園であるので歩く必要はないが、少し考えながら学長室に戻りたい気分だったのだ。
教室での矢場の話は、多少脚色された部分は見受けられたが概ね事実である。
その点に関してはよく調べて考察したと素直に感心する他なかった。
それとは別に思わぬ収穫があった。
『ちょっと待って、透哉は松風犬太郎のために実行委員会に入ったのでしょ? それが結果本位じゃないってどう言うことなの?』
『言葉通りだ。結果がついて回る必要はない』
透哉はあんなことを言ったあとは思えない真剣な眼差しで、矢場の話を聞いていた。
矢場の説明への驚きも嘆きも憤りも本物に見えたのに、そこに熱を感じないと流耶は思った。
透哉との付き合いが長い流耶だからこそ窺い知ることが出来た透明な闇。
恐ろしいとは全く思わなかった。
「面白いわ、透哉。だからこそこんなにも私を惹きつける、ふふふっ」
誰にも気付かれず、無人の廊下の奥に溶けるように消えた。
密かに教室を出ていた流耶は廊下を一人歩いていた。
自分自身が学園であるので歩く必要はないが、少し考えながら学長室に戻りたい気分だったのだ。
教室での矢場の話は、多少脚色された部分は見受けられたが概ね事実である。
その点に関してはよく調べて考察したと素直に感心する他なかった。
それとは別に思わぬ収穫があった。
『ちょっと待って、透哉は松風犬太郎のために実行委員会に入ったのでしょ? それが結果本位じゃないってどう言うことなの?』
『言葉通りだ。結果がついて回る必要はない』
透哉はあんなことを言ったあとは思えない真剣な眼差しで、矢場の話を聞いていた。
矢場の説明への驚きも嘆きも憤りも本物に見えたのに、そこに熱を感じないと流耶は思った。
透哉との付き合いが長い流耶だからこそ窺い知ることが出来た透明な闇。
恐ろしいとは全く思わなかった。
「面白いわ、透哉。だからこそこんなにも私を惹きつける、ふふふっ」
誰にも気付かれず、無人の廊下の奥に溶けるように消えた。
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