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14.オークはオークでも……。
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慌てて追いかけるも、それらはあっという間に視界から消えた。
(マジですか)
ここまで来ると流石に分かる。
(魔物っ!!)
ぐるりと辺りを見渡すも、それらしいものは見当たらない。
魔力探知なんて便利なスキルなんて持っていないので、さっぱり見当がつかない。
(こういう時って、意外なところから来るんだよね。土の中とか)
落ち葉へ目を向けるも何の変化も感じられない。
(違うか。いやでも何かに擬態してる、って可能性も……)
完全に油断していた。
ふいに腕が引っ張られる。
「え、何っ!!」
誰かいたのか、と顔を上げると腕に蔦が巻き付いていた。
(まさか、これ)
頭が状況を理解するより先に、もう一方の腕にも蔦が巻き付き、あたしは宙に浮いてしまった。
(うわ、ちょっ)
手足を動かそうとするも、その間にも蔦はウエストや足にも絡みついてしまい、身動きすらできなくなってしまった。
(ええー、何この流れ)
ここは乙女ゲームの世界観じゃなかったのっ!?
くるり、と身体ごと向きを変えさせられ、そこでようやくあたしの視界にそいつの姿が目に入った。
大木の幹に某名画のム〇クの叫びの顔を貼り付けたようなそれが。
(……オーク)
次々と絡みついてくる蔦に風魔法をかける。
「ウィンドカッターッ!!」
その都度、蔦が切れるものの、たちまちのうちに新しい蔦が絡みついてきた。
(何、この生命力)
大体こういった場合、オークっていったらアレじゃないのっ!?
脳裏に豚頭の怪人が浮かぶが、その瞬間消去した。
(いやまあ、アレとは遭遇したくないけど)
現実逃避をしつつ、ウィンドカッターを放つがキリがない。
(これって木なんだから、火を当てれば)
だけど残念ながら『リリアンヌ』は火魔法を習得していなかった。
火打ち石は、と見ると多分あれだろうと思われるものが地面に打ち捨てられているのが視界に入る。
かなり距離があるけど。
(……詰んだ)
「ウィンドカッターッ!!」
ウエストに巻き付いていた蔦を切り払い、身を捩ったときそれが目についた。
大木の根元に散乱する人骨とおぼしき骨の数々。
(ひぇっ、)
普通こういう場合って、どこからか助けが来るんじゃない?
通りすがりの剣士とか、勇者(いたっけ?)とかどこかの魔法使いとか。
だけど現実にはそんなこと有り得ない。
(どうしよう)
そんなことを考えてる間にも、ぐいぐいと根元の方へ少しずつだが引きずられて行く。
(火、火……山火事ってどうやって起きるんだっけ?)
「ウィンドカッターッ!!」
あたしは地面を敷き詰めている落ち葉目掛けてウィンドカッターを放った。
「ウィンドカッターッ!! ――ウィンドカッターッ!!」
何度もウィンドカッターを落ち葉へ放つ。
(あの説が正しければきっと)
だが体から力が抜けてくる。
(ヤバい)
「ステータスオープン」
魔力の項目を見るとひとケタ台になっていた。
(МP切れっ!!)
「ウィンドカッターッ!!」
狙いが逸れた。
あたしが渾身の力で放ったウィンドカッターは、それまでとは全く違う方向へ行ってしまった。
(ああ、МPが……)
(マジですか)
ここまで来ると流石に分かる。
(魔物っ!!)
ぐるりと辺りを見渡すも、それらしいものは見当たらない。
魔力探知なんて便利なスキルなんて持っていないので、さっぱり見当がつかない。
(こういう時って、意外なところから来るんだよね。土の中とか)
落ち葉へ目を向けるも何の変化も感じられない。
(違うか。いやでも何かに擬態してる、って可能性も……)
完全に油断していた。
ふいに腕が引っ張られる。
「え、何っ!!」
誰かいたのか、と顔を上げると腕に蔦が巻き付いていた。
(まさか、これ)
頭が状況を理解するより先に、もう一方の腕にも蔦が巻き付き、あたしは宙に浮いてしまった。
(うわ、ちょっ)
手足を動かそうとするも、その間にも蔦はウエストや足にも絡みついてしまい、身動きすらできなくなってしまった。
(ええー、何この流れ)
ここは乙女ゲームの世界観じゃなかったのっ!?
くるり、と身体ごと向きを変えさせられ、そこでようやくあたしの視界にそいつの姿が目に入った。
大木の幹に某名画のム〇クの叫びの顔を貼り付けたようなそれが。
(……オーク)
次々と絡みついてくる蔦に風魔法をかける。
「ウィンドカッターッ!!」
その都度、蔦が切れるものの、たちまちのうちに新しい蔦が絡みついてきた。
(何、この生命力)
大体こういった場合、オークっていったらアレじゃないのっ!?
脳裏に豚頭の怪人が浮かぶが、その瞬間消去した。
(いやまあ、アレとは遭遇したくないけど)
現実逃避をしつつ、ウィンドカッターを放つがキリがない。
(これって木なんだから、火を当てれば)
だけど残念ながら『リリアンヌ』は火魔法を習得していなかった。
火打ち石は、と見ると多分あれだろうと思われるものが地面に打ち捨てられているのが視界に入る。
かなり距離があるけど。
(……詰んだ)
「ウィンドカッターッ!!」
ウエストに巻き付いていた蔦を切り払い、身を捩ったときそれが目についた。
大木の根元に散乱する人骨とおぼしき骨の数々。
(ひぇっ、)
普通こういう場合って、どこからか助けが来るんじゃない?
通りすがりの剣士とか、勇者(いたっけ?)とかどこかの魔法使いとか。
だけど現実にはそんなこと有り得ない。
(どうしよう)
そんなことを考えてる間にも、ぐいぐいと根元の方へ少しずつだが引きずられて行く。
(火、火……山火事ってどうやって起きるんだっけ?)
「ウィンドカッターッ!!」
あたしは地面を敷き詰めている落ち葉目掛けてウィンドカッターを放った。
「ウィンドカッターッ!! ――ウィンドカッターッ!!」
何度もウィンドカッターを落ち葉へ放つ。
(あの説が正しければきっと)
だが体から力が抜けてくる。
(ヤバい)
「ステータスオープン」
魔力の項目を見るとひとケタ台になっていた。
(МP切れっ!!)
「ウィンドカッターッ!!」
狙いが逸れた。
あたしが渾身の力で放ったウィンドカッターは、それまでとは全く違う方向へ行ってしまった。
(ああ、МPが……)
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