19 / 26
18:蝶々
しおりを挟む
「手紙が届いた?」
リーリエとジェレミーは場所を移して、ベンチに座ってリーリエになにがあったのか話しをした。
手紙が届いたことを話すと、ジェレミーは訝しげな表情で聞き返す。
「そうなの。手紙に差出人はなしで怪しいとは思ったんだけれど、書かれている内容も変なの」
「差出人なしか……。それは怪しいね。変って手紙に何が?」
「気を付けて。手紙に書かれていたのはそれだけよ」
「それだけだと、手紙の差出人がリーリエに何を伝えたかったのか分からないな……。リーリエに実際に何かが起こったなら別だけど」
「…………」
リーリエは図書館での出来事を思い出して沈黙する。
ジェレミーに図書館での出来事を伝えてもいいんだろうか?
先生たちが調査しているのに、関係のないジェレミーを巻き込むのは……。もし、私を狙った誰かが図書館の照明を割ったとして、また別の事件を起こすかもしれない。それで、ジェレミーが巻き込まれたりしたら。私は自分を許せない。
俯いて黙るリーリエに、ジェレミーはリーリエが何かを隠していると悟る。
「リーリエ。僕に何があったのか教えて」
「でも……、ジェレミーを巻き込みたくないの」
優しくリーリエを諭すように言うジェレミーにリーリエは、絞り出すように言う。
「巻き込んでもいい。僕は困っているリーリエを助けたいんだ。それに、僕は強い。学年主席でこの学園の生徒なら僕に勝てる人はいない。だから、教えて?」
リーリエの目を真っ直ぐと見て、優しい笑顔を浮かべるジェレミーにリーリエはぽつりぽつりと話す。
「図書館の照明が割れたの」
「もしかして、その図書館は……」
ジェレミーは驚いた顔をした。
ジェレミーはリーリエがいつも図書館で勉強をしていることを知っている。
「えぇ。照明が割れていた図書館はいつも私が使っている学術部の図書館。そして、割れていた照明はいつも私が使っている席の上にある照明。先生たちが話しているのを聞いたのだけれど、照明には魔道具が取り付けられていて、それが原因で照明のガラスが割れたみたい」
「魔道具を取り付けた犯人は?」
「それは今調査中だと思う。先生たちの話に驚いて飛び出してきたから分からないけど……」
「そうか……。魔道具を取り付けた犯人探しは先生たちに任せておいて、僕たちは手紙の差出人を探そう」
手紙の差出人を探す?
気を付けてしか書かれていないのに。
「どうやって探すの?差出人は書かれていないのに」
「手紙は持ってる?」
「持ってるけど……」
何かあった時のために、リーリエは手紙をスカートのポケットの中に入れていた。
ポケットに入れていたせいでしわくちゃになった手紙をジェレミーに渡す。
手紙を受け取ったジェレミーは、手紙に書かれている文字を指でなぞる。
「魔法にはたくさんの使い方があると言ったのを覚えてる?」
「??覚えているわ」
どうしていきなり魔法の話を?
もしかして、手紙に何か魔法でも仕掛けられているのかしら?
怖くなったリーリエは顔を強張らせる。
「魔法には誰が書いたのか調べる魔法があるんだ。こうやって魔法を使うと―――」
文字をなぞっていた指をクイッと上げると、文字は発光して浮かび上がると、ポンッと弾けた。
「蝶々……?」
青白く光る蝶々に目を白黒させて驚くリーリエを、ジェレミーは満足げに見つめる。
きれい……。これが魔法なの?
リーリエはゆらゆらと飛ぶ蝶々に目を奪われていると、蝶々はどこかへと飛んでいく。
「追いかけよう。誰が書いたのか教えてくれる」
リーリエとジェレミーは場所を移して、ベンチに座ってリーリエになにがあったのか話しをした。
手紙が届いたことを話すと、ジェレミーは訝しげな表情で聞き返す。
「そうなの。手紙に差出人はなしで怪しいとは思ったんだけれど、書かれている内容も変なの」
「差出人なしか……。それは怪しいね。変って手紙に何が?」
「気を付けて。手紙に書かれていたのはそれだけよ」
「それだけだと、手紙の差出人がリーリエに何を伝えたかったのか分からないな……。リーリエに実際に何かが起こったなら別だけど」
「…………」
リーリエは図書館での出来事を思い出して沈黙する。
ジェレミーに図書館での出来事を伝えてもいいんだろうか?
先生たちが調査しているのに、関係のないジェレミーを巻き込むのは……。もし、私を狙った誰かが図書館の照明を割ったとして、また別の事件を起こすかもしれない。それで、ジェレミーが巻き込まれたりしたら。私は自分を許せない。
俯いて黙るリーリエに、ジェレミーはリーリエが何かを隠していると悟る。
「リーリエ。僕に何があったのか教えて」
「でも……、ジェレミーを巻き込みたくないの」
優しくリーリエを諭すように言うジェレミーにリーリエは、絞り出すように言う。
「巻き込んでもいい。僕は困っているリーリエを助けたいんだ。それに、僕は強い。学年主席でこの学園の生徒なら僕に勝てる人はいない。だから、教えて?」
リーリエの目を真っ直ぐと見て、優しい笑顔を浮かべるジェレミーにリーリエはぽつりぽつりと話す。
「図書館の照明が割れたの」
「もしかして、その図書館は……」
ジェレミーは驚いた顔をした。
ジェレミーはリーリエがいつも図書館で勉強をしていることを知っている。
「えぇ。照明が割れていた図書館はいつも私が使っている学術部の図書館。そして、割れていた照明はいつも私が使っている席の上にある照明。先生たちが話しているのを聞いたのだけれど、照明には魔道具が取り付けられていて、それが原因で照明のガラスが割れたみたい」
「魔道具を取り付けた犯人は?」
「それは今調査中だと思う。先生たちの話に驚いて飛び出してきたから分からないけど……」
「そうか……。魔道具を取り付けた犯人探しは先生たちに任せておいて、僕たちは手紙の差出人を探そう」
手紙の差出人を探す?
気を付けてしか書かれていないのに。
「どうやって探すの?差出人は書かれていないのに」
「手紙は持ってる?」
「持ってるけど……」
何かあった時のために、リーリエは手紙をスカートのポケットの中に入れていた。
ポケットに入れていたせいでしわくちゃになった手紙をジェレミーに渡す。
手紙を受け取ったジェレミーは、手紙に書かれている文字を指でなぞる。
「魔法にはたくさんの使い方があると言ったのを覚えてる?」
「??覚えているわ」
どうしていきなり魔法の話を?
もしかして、手紙に何か魔法でも仕掛けられているのかしら?
怖くなったリーリエは顔を強張らせる。
「魔法には誰が書いたのか調べる魔法があるんだ。こうやって魔法を使うと―――」
文字をなぞっていた指をクイッと上げると、文字は発光して浮かび上がると、ポンッと弾けた。
「蝶々……?」
青白く光る蝶々に目を白黒させて驚くリーリエを、ジェレミーは満足げに見つめる。
きれい……。これが魔法なの?
リーリエはゆらゆらと飛ぶ蝶々に目を奪われていると、蝶々はどこかへと飛んでいく。
「追いかけよう。誰が書いたのか教えてくれる」
35
お気に入りに追加
180
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

王族に婚約破棄させたらそりゃそうなるよね? ……って話
ノ木瀬 優
恋愛
ぽっと出のヒロインが王族に婚約破棄させたらこうなるんじゃないかなって話を書いてみました。
完全に勢いで書いた話ですので、お気軽に読んで頂けたらなと思います。

悪役断罪?そもそも何かしましたか?
SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。
男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。
あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。
えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。
勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。

断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!
柊
ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」
ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。
「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」
そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。
(やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。
※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。

嫁ぎ先(予定)で虐げられている前世持ちの小国王女はやり返すことにした
基本二度寝
恋愛
小国王女のベスフェエラには前世の記憶があった。
その記憶が役立つ事はなかったけれど、考え方は王族としてはかなり柔軟であった。
身分の低い者を見下すこともしない。
母国では国民に人気のあった王女だった。
しかし、嫁ぎ先のこの国に嫁入りの準備期間としてやって来てから散々嫌がらせを受けた。
小国からやってきた王女を見下していた。
極めつけが、周辺諸国の要人を招待した夜会の日。
ベスフィエラに用意されたドレスはなかった。
いや、侍女は『そこにある』のだという。
なにもかけられていないハンガーを指差して。
ニヤニヤと笑う侍女を見て、ベスフィエラはカチンと来た。
「へぇ、あぁそう」
夜会に出席させたくない、王妃の嫌がらせだ。
今までなら大人しくしていたが、もう我慢を止めることにした。

やめてくれないか?ですって?それは私のセリフです。
あおくん
恋愛
公爵令嬢のエリザベートはとても優秀な女性だった。
そして彼女の婚約者も真面目な性格の王子だった。だけど王子の初めての恋に2人の関係は崩れ去る。
貴族意識高めの主人公による、詰問ストーリーです。
設定に関しては、ゆるゆる設定でふわっと進みます。

私の婚約者でも無いのに、婚約破棄とか何事ですか?
狼狼3
恋愛
「お前のような冷たくて愛想の無い女などと結婚出来るものか。もうお前とは絶交……そして、婚約破棄だ。じゃあな、グラッセマロン。」
「いやいや。私もう結婚してますし、貴方誰ですか?」
「俺を知らないだと………?冗談はよしてくれ。お前の愛するカーナトリエだぞ?」
「知らないですよ。……もしかして、夫の友達ですか?夫が帰ってくるまで家使いますか?……」
「だから、お前の夫が俺だって──」
少しずつ日差しが強くなっている頃。
昼食を作ろうと材料を買いに行こうとしたら、婚約者と名乗る人が居ました。
……誰コイツ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる