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6:後悔はもうしている
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「終わりにする?」
何を言ってるのか分からない。という表情をするアイヴァンを、リーリエは懐かしむような目で見て口を開く。
「私たちが婚約して9年が経ったわ。はじめて会ったのは6歳の時だから……、知り合って11年になる。人生の半分以上をあなたと過ごしているなんて変な感じよね。出会った時の私たちは何も知らず純真無垢で、尊重しあいお互いが一番の理解者で。そして、お互いの成長を見届けてきた」
「俺を責めているのか?純真無垢だった出会った時の俺に戻れと?」
リーリエの言葉に自分が責められていると思ったのか、怒りを表すアイヴァンにリーリエは首を横に振る。
「いいえ。そうではないわ。人が変わるのは簡単なことではないから」
私がそうだったように。
婚約して9年。
リーリエはアイヴァンと婚約者として最初の数年は良い関係を築けていた。アイヴァンのリーリエに対しての態度が変わったのは4年前。
学園に通うようになってからアイヴァンはリーリエに冷たく当たるようになった。
学園で同級生と話すアイヴァンを見かけたリーリエが声を掛けると。
『今は忙しいんだ。見て分からないのか』
鋭い視線。聞いたことのない低く冷たい声。
婚約者に向ける態度ではないと分かっていたのに、私は目を逸らし続けてきた。
その後、アイヴァンのリーリエに対しての態度は悪くなる一方。
アイヴァンに取り返しのつかないことをしてしまった。だから、アイヴァンが私に冷たい態度を取るのは当たり前。
私が耐えればいい。
リーリエは何もすることが出来ないまま、時間だけが過ぎていった。
「じゃあ、何を終わりにするんだ?まさか、婚約を終わりにするとか言わないよな?」
「そのまさかよ」
「……お父上がお許しになるとでも?」
リーリエが婚約を終わりするという言葉を肯定すると思っていなかったのか、アイヴァンは眉間にシワを寄せ低く重い声で問い掛けた。
アイヴァンとリーリエの婚約はただの婚約ではない。婚約によりお家間でお金が動いている。
土地はあるがお金がないリーリエの家に、アイヴァンの家が融資をする。貴族ではよく聞く話だ。
融資されたお金は私が何とかする。
アイヴァンがそうしてきたように精霊の愛し子という名はとても価値がある。
それに……。
「お父様はお話しをすれば分かってくださるはずだわ。私のお父様ですもの」
無口だが優しい父を思い浮かべ、微笑を浮かべるリーリエにアイヴァンはわずかに目を見開いて、吐き捨てるかのように言った。
「後悔することになるぞ」
「後悔なんてとっくの前にしているわ。だから、私はこれ以上後悔しないように終わりにするの」
何を言ってるのか分からない。という表情をするアイヴァンを、リーリエは懐かしむような目で見て口を開く。
「私たちが婚約して9年が経ったわ。はじめて会ったのは6歳の時だから……、知り合って11年になる。人生の半分以上をあなたと過ごしているなんて変な感じよね。出会った時の私たちは何も知らず純真無垢で、尊重しあいお互いが一番の理解者で。そして、お互いの成長を見届けてきた」
「俺を責めているのか?純真無垢だった出会った時の俺に戻れと?」
リーリエの言葉に自分が責められていると思ったのか、怒りを表すアイヴァンにリーリエは首を横に振る。
「いいえ。そうではないわ。人が変わるのは簡単なことではないから」
私がそうだったように。
婚約して9年。
リーリエはアイヴァンと婚約者として最初の数年は良い関係を築けていた。アイヴァンのリーリエに対しての態度が変わったのは4年前。
学園に通うようになってからアイヴァンはリーリエに冷たく当たるようになった。
学園で同級生と話すアイヴァンを見かけたリーリエが声を掛けると。
『今は忙しいんだ。見て分からないのか』
鋭い視線。聞いたことのない低く冷たい声。
婚約者に向ける態度ではないと分かっていたのに、私は目を逸らし続けてきた。
その後、アイヴァンのリーリエに対しての態度は悪くなる一方。
アイヴァンに取り返しのつかないことをしてしまった。だから、アイヴァンが私に冷たい態度を取るのは当たり前。
私が耐えればいい。
リーリエは何もすることが出来ないまま、時間だけが過ぎていった。
「じゃあ、何を終わりにするんだ?まさか、婚約を終わりにするとか言わないよな?」
「そのまさかよ」
「……お父上がお許しになるとでも?」
リーリエが婚約を終わりするという言葉を肯定すると思っていなかったのか、アイヴァンは眉間にシワを寄せ低く重い声で問い掛けた。
アイヴァンとリーリエの婚約はただの婚約ではない。婚約によりお家間でお金が動いている。
土地はあるがお金がないリーリエの家に、アイヴァンの家が融資をする。貴族ではよく聞く話だ。
融資されたお金は私が何とかする。
アイヴァンがそうしてきたように精霊の愛し子という名はとても価値がある。
それに……。
「お父様はお話しをすれば分かってくださるはずだわ。私のお父様ですもの」
無口だが優しい父を思い浮かべ、微笑を浮かべるリーリエにアイヴァンはわずかに目を見開いて、吐き捨てるかのように言った。
「後悔することになるぞ」
「後悔なんてとっくの前にしているわ。だから、私はこれ以上後悔しないように終わりにするの」
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