仮面舞踏会で婚約者がナンパしていたので、お仕置きします。

5

　カーテンから漏れる光で目が覚める。身体のだるさを感じながら身体を起こすとルカが隣で眠っていた。
　
　ベッドの周りに散らかっている服やテーブルの上の飲みかけのワインを見て、昨日の事を思い出す。

　昨日の夜、ルカの不安を知った私は今までの時間を埋める様にルカを愛した。

　ルカの可愛い姿を見て無理をさせてしまったのか、気絶するように眠ったルカを思い出して起こさない様にベッドから抜け出す。

　ベルを鳴らしメイドに着替えの服と軽食の準備をお願いする。お風呂に入ってバスローブに着替え部屋に戻るとタイミングよく服と朝食が届いた。

　ベッドに腰掛け、穏やかに眠るルカの顔にかかる払うと瞼がピクッと動き綺麗な空色の目と目が合う。

「ごめんなさい。起こしてしまった見たいね」

「…ナン、シー？」

　寝ぼけているのか焦点の合わない目で私を見つめ、私の手を握り目を瞑った。

「手を離してくれないと服に着替えられないわ」

　幸せそうに目を瞑るルカを見ていたいが、バスローブ姿でいるのは恥ずかしい。

　ルカは私の言葉に目を見開くと状況を理解したのかバスローブ姿の私を見て顔を赤くした。

「おはよう。昨日は色々無理をさせてしまったけれど身体は大丈夫？」

　昨日の事を思い出したのか、私の言葉に口をぱくぱくとさせ言葉を発せれずにいるルカに笑うと不服そうに見つめてくる。

　笑われた事に拗ねたように枕に顔を押し当て顔を隠すルカの頭を撫でる。

「お風呂で汚れを落としてから軽食を食べましょう」

　そう言って着替えの服を渡しながら「まぁ、そのままの姿で食べるのもいいけれど…」とルカの布団から見える裸を見て笑うと、全裸な事に気付いたのか、顔を赤くして布団で身体を隠して服と一緒にバスルームに消えて行った。


　着替えたルカと私はテーブルに準備された食事を
食べる。

　未だに昨日の事が恥ずかしいのか視線を合わせようとしないルカは口を開いた。

「…１つ聞いていい？昨日の…事なんだけど、どこであんな事を覚えたの？？」

「あんな事？」

「…どこが弱いとか、気持ちいいとか……」

「それは……」

　ルカの言葉に私は言葉を濁した。

　女性限定サロンのメンバーしか読めない、夫との閨での過ごし方が書かれている『貴婦人を虜にするスイーツ99選』で知った。なんて言える訳もなく、私は嘘と真実を混ぜて話す事にした。

「結婚をするまで純潔を守られなければいけないのに、あなたを我慢させるのが辛くて…色々調べたの…」

　嘘ではない。『貴婦人を虜にするスイーツ99選』には結婚前の男女が夜を共にする事を想定して、挿入を伴わない行為も書かれたいた。

　そこに書いていたのをいくつかを試したのは確かだ。

　「ナンシーがそんな事を思ってくれていたなんて」と喜ぶルカの反応に申し訳なさを感じつつ「今まで恥ずかしくて言えなかったの」と微笑んだ。

　思いがけず2人で夜を明かす事になったが、ルカの心の内を知る事が出来てよかった。嬉しそうなルカを見るに、昨日の行為も嫌ではなかったらしい。

　今回は本に書いてあるのをいくつか試せたが、まだまだ試せていないのが沢山ある。

　特に気になる『天使もびっくりモチモチドーナッツ』を試せる日もそう遠くなさそうだ。

　ルカの幸せそうな顔を見て笑っていると不思議そうにこちらを見るルカに「愛しているわ」と言うと、顔を赤くして「僕も愛してる」と笑うルカにこういう日も悪くないかもしれない。