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公開処刑

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「では、いきます! 
心の中の天使~ありのままの君が好きさ~
作詞・作曲 ケン

君はまるで僕の太陽。I love the shininng sun.
君の笑顔は宝石のよう。I am burning soul.
俺は偽善者さ。I am a faker.
俺は嘘つきさ。I am a liar.
俺の中にはもう一人の俺<ロミオ>
君の中にはもう一人の君<ジュリエット>
今、始まる舞曲<ワルツ>が終わる<ジエンド>」

「おえええっ。うっぷ。うえ。おえ」
俺は嘔吐した。

あちこちからくすくす笑う声が聞こえる。
「では、続いては“ボイスレコーダーで録音していたケンの歌”を披露します! 聞いてください!」
「え? ろく……おん……?」
すると、シャーリーのボイスレコーダーから聞き覚えのある声が垂れ流された。
『ラララシャーリー! シャーリー! ん? なんか違うな……ま、いっか。シャーシャーリーリー。シャリっシャリっ。チキチキバンバン――』
壊滅的に音痴で、さらに歌詞が痛々しすぎる。
「ねえ……ケン……聞いているこっちが恥ずかしいわ」
「おい……聞いているこっちが恥ずかしいぞ」
「聞いているこっちが」「恥ずかしいね」
「聞いているこっちが恥ずかしい。がるる」

「おうええええぇ」
俺は嘔吐した。

「では最後に、ケンが私に書いてくれたラブレターの拡大コピーを配布します! 欲しい人は来てください!」
「「「「欲しいでーす(笑)」」」」
「シャ……シャーリー?」

そして、シャーリーは“拡大コピーしたラブレター”を半笑いで配り始めた。
「はい! どーぞ! はいどーぞ! 面白いからしっかり読んでね! はい! 君にも! はい、あなたにも! はい! アリシアちゃんにも!」
アリシアたちは俺の恥部を受け取ると、
「なになにー?」「どれどれ」「私も見る」「私も見るよ」「がるる」
興味津々で広げた。

『シャーリーちゃんへ。
突然こんな手紙送ってごめんね。でもどうしてもシャーリーに僕の気持ちを伝えたくて書いてみまちた。読んでくだちゃい。きゃー(目がハート)。
僕は、シャーリーがダイチュキでしゅ(しゅきしゅきダイチュキラブドッキュン!)。
シャーリーといる時はママと一緒にいる時みたいな安心感がありまちゅ。ぽっ(頬が赤く染まる音)

「ママーよちよちしてー!(ハイハイでシャーリーに寄ってくる僕ちん)」

僕ちんが「抱っこー」っていうと、ちょっと顔しかめながら抱っこしてくれてありがとう。
僕ちんが「なでなでちて」っていうと、嫌そうな顔で生足膝枕してその上でよちよちしてくれてありがとう。
僕ちんが「イチャイチャちよ」っていうと、しぶしぶイチャイチャしてくれてありがとう。
僕ちんが「チューしよう」っていうと、急に真剣な顔になって「それはダメ」って言ってくれてありがとう(それはダメなんかーい笑)。

今この手紙を書いている間も、シャーリーのことを考えてドキ×2していましゅ!

緊張して書くことが思いつかないので、今から思い出のデートの話をしたいと思いましゅ! では読んでください!

[思い出のデートの話]
この前のデートの時に、待ち合わせ時間になってもシャーリーが来ないから、ボーっとして待ってました(五時間くらい)。僕ちん、寂しかったー。
そしたら、「お待たせー!」と、言いながら、シャーリーの代わりになぜか別の人が来まちた。
その人は、「わしはシャーリーの代理じゃ」と、言って僕ちんと一日デートしました(その人の名前は友蔵。八十代後半、美形)。
ショッピングに遊園地に水族館に行きました。友蔵に奢ってもらったジュースを飲むとそれは飲みかけで間接キスしました(恥ずかち~)。ジュースを全部飲み終わると口の中に違和感がありました。それはおじいちゃんの入れ歯でした。
おじいちゃんはデート中ずっと、「ドクンドクンドクンドクン」と声に出しながら、自分の脈を口で数えていました。不審者みたいで怖かったでしゅ。
さらに、突然立ち止まって「うぐぅぅぐぅうううにゅお~ぅ」と言いながら瞬きもせずにこっちをじっと見つめてきました(三回も! 笑)。
さらにさらに興奮しながら「ぼぼっぷぷぃにょにょんむにょーみ」と叫び出しました。おじいさんが落ち着いた後、「今の何?」と聞くと、犬の鳴き真似だったらしいです。
後日その話をシャーリーにしたら「誰その人? そんな人知らないわ」って真顔で言われましたね。あのおじいさんは一体誰だったんでしょうか……?


シャーリーとの楽しかったデートは絶対に忘れないよ。ニコッ(可愛い笑顔で)
ぢゃあね。ばい×2

あなたの息子、ケンより(はあと)』


「きゃはははははは! きっもー! なにこれー? 読んでいるこっちが恥ずかしい! 私全身に鳥肌たっちゃったー!」
「あはははははは! 確かに読んでいるこっちが恥ずかしいな! っていうか全く関係のない老人の話はなんだったんだ?」
「あははは(爆笑)! 読んでいるこっちが」「恥ずかしいね!」
「あっはっはっは。笑いすぎて死にそう。しかも、読んでいるこっちが恥ずかしい。がるる」

「うええええええっ。げぼっ。ごほっ」
俺は恥ずかしさのあまり嘔吐した。っていうかラブレターの内容ちょっと盛っただろ。俺そんなキモいこと書いてないだろ!
アリシアたちはキモいキモいと言いつつ、俺のラブレターを懐にしまった。後で読み返すつもりだろうな。
(クッソー覚えていろよ! こいつら)
でも俺の目に焼き付いた水泳と温泉のあの記憶があれば、元は取れる。あれさえあれば、これくらいの恥辱我慢できる。あれは俺の脳内に永久保存される最高の記憶。
(あの色とりどりの宝石の花束があれば……どんなことでも我慢できる。あれさえあれば……俺は俺でいられる……!)

そして、タイミングを見計らったように、王様が俺に近寄ってきて、
「では最後に、水泳と温泉の記憶は削除させてもらいますからね。女の子たちが洗脳状態だったからアレはノーカンです! では、またいらしてください!」
「そんなぁー!」
俺は悲痛な声をあげる。
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