殺処分される奴隷娘

塚原牛男

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さいご

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とある人間の貴族の間では、下級魔族であるサキュバスの奴隷化が一般化していた。
最近では召使の他性奴隷、四肢を切断し肉便器として扱う者も少なくない。
サキュバスは人間よりも強い肉体を持つ分、精神も強く、どんな非道なことをしようとも決して病まないと言われているのであった。

そんな中、貴族の経営する娼館では下級娼婦は家畜のように扱われることがもはや一般的であり、
用済みとなった個体は即座に殺処分されるというのだ。

「エリーデよ、今日までの勤務ご苦労であった。」
「・・・」
丸々と太った貴族の男がそうサキュバスの肩をたたく。
彼女はエリーデと呼ばれている。この娼館の下級娼婦であった。
ピンク色の髪と、折られた角。豊な乳を持つが、下半身は傷だらけである。

元よりエリーデは故郷の魔界を人間により焼け野原にされ、奴隷として捕獲されたのだ。
そうして彼女は故郷に帰ることを条件に、日々働いていたのだ。

「約束は、どうなるのですか?」
「約束?はて、なんのことだね?」

男をエリーデを見下し嘲笑する。もとよりエリーデを故郷に帰すなど、契約書には書かれていない。
【用済みとなった場合、殺処分を許可する】
エリーデは、本日殺処分とされるサキュバスなのだった。

「これ、服を全部脱げ。」
背中を大男にたたかれ、エリーデは急いで服を脱ぎ捨てる。
エリーデの身体はもはや娼婦としては使い物にならない状態となっていた。
角、尻尾、翼も切断され、牙も全て抜かれてしまった。
性器はボロボロで、多数のピアスが付いている。子宮まで完全に壊死しているのだ。
「・・・」
助けて、なんてもはや思っていない。自分でなんとかしよう、と思っていた。
しかし、残酷な現実に、エリーデはなすすべもなかった。

「おら、さっさと進め」
大勢の男が背後におしよせる、エリーデは恐怖に震える。
「・・・はい」
小さな足がてしてしと音を立てて、暗い部屋の奥へ奥へと進んでゆく。
その先に何があるものか・・・

「ようこそ、処分室へ」
「・・・」

部屋の奥には立派な髭を生やした老人。
彼が部屋の灯りを付けると、中央には巨大なミンチ機が置いてあるのだった

「・・・」

エリーデはただその場に立ち尽くしているだけであった。
3mはあろうミンチ機は、以前のサキュバスのものであろう、血肉や骨の破片、髪の毛などが付着したままとなっている。
そうして、受け皿には肉片と真っ赤な血がこびりついたままであった。

「ほら、何をしている、さっさと上れ」
「はい・・・」

急かされ階段を上ってゆく。
「それでは電源を入れるぞ。」
男が機械に触れると、ゴオ、という大きな音とともに内部の刃物が回転しだす。
「・・・っ」
ギチギチ、ガチガチと肉を砕く刃が、今にもエリーデをミンチにしようと待ち構えているのだ。
そうして、殺処分される娼婦は自らここにはいらねばならない、しかし

「嫌・・・嫌・・・死にたくない・・・」

エリーデはそういうと、1歩、1歩とあとずさる

「何しとんじゃぁコラ!!テメェは今日殺処分っつってんだろうが!!この糞尼!!」
「っ・・・」
背後にいた男に前髪をぎゅう、と握られる。痛い。
「用済みマンコが生きて帰れると思うんじゃねぇ!!」
「――――ぁ!」

どん、と男はエリーデを機械の中に突き落とした。
翼も尻尾も失ったエリーデにはなすすべもなかった。

バキバキ、ゴキゴキ、グチャグチャと、刃物は回転し、サキュバスの身体をグチャグチャにしてゆく。
さっきまで”エリーデ”として生きていたサキュバスは、もはやただの肉の塊となった

「これは・・・用済みマンコに対しては上質な肉ですね」

傍らにいた1人の中年女貴族が、肉をまじまじと見る。
「脂肪も筋肉も良い状態です、これを今晩の皆さまの食事にいたしましょう。ええ、しっかりと処理はしますとも。」

受け皿からはみ出すほどの赤黒い、エリーデだったもの。
その肉は洗われ、処理され、ハンバーグとして調理されるのであった。

「おばさん!今日のハンバーグ、すっごく美味しいよ!」
1人の少年がそういいながらハンバーグを食べていく。
「それはそれは、肉が良いですからねぇ。」
「これは旨い。今まで食べた肉の中で1番ではないか」
「よっぽど、”あの肉”が良かったんだろうなぁ!息子様も大喜びですぜ!」

「ねえ、おぼっちゃま、またこのハンバーグを御作り致しましょうか?」
「うん!もっともっと!いっぱい食べたい!いつものハンバーグじゃなくて、これがいい!」

少年の笑顔はあどけない、本物の笑顔だった。
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