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46.花火で遊ぼう!(39)
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ともかく俺はこの先、誰かに、嫁さんとしてミオを選んだ理由を聞かれても、恩着せがましいと誤解されかねない言葉は使わず、自分の正直な気持ちをストレートに打ち明けるつもりである。
まだ幼くはあるが、かわいくて、泣き虫で、ちょっと天然で甘えんぼうさんなところがあるミオの全てが大好きだし、一生を添い遂げたいから、俺はミオをお嫁さんにするんだ。
……とは言ったものの、ミオの性別がどちらであれ、まだ十歳という幼さがネックになるため、婚姻届やパートナーシップ制度の申請書類を提出しても、受理される見込みは百パーセントないだろう。
それでも、ささやかではあるが、俺たちが結婚式を挙げることくらいはできるはずだ。
たとえ書類が通らず、公的に認められなくても、俺とミオを結ぶ運命の赤い糸が千切れる事は、絶対にないのだから。
「わ! お兄ちゃんお兄ちゃん。何だか、火花がいっぱい飛び散るようになったよー」
「ああ。これはね、牡丹が終わって、次の段階である松葉が始まったんだろうな」
「マツバ? それもお花の名前?」
「花ではないかな。簡単に言うと、松葉は松の木に伸びる、細長くて先の尖った葉っぱの事なんだよ」
「マツノキって、松ぼっくりができる松の木?」
「うん、その松の木。この散り方が、松葉って名前を付けられた理由は、たぶん、松の木の枝から伸びる葉っぱみたいに、火花がパァッと広がっていくからだろうね」
「じゃあ、途中でお花から葉っぱに変わったんだね。ボク、ずっとお花の名前が続くんだと思ってたよー」
ミオは自分の予想を明かしつつ、松葉の火花がこちら側へ降りかからないよう、目一杯持ち手を伸ばした。
「うーん、確かになぁ。蕾から花が開いているのに、次が他の木の葉っぱになるのは、ちょっと変化球気味ではあるかもね」
「でしょ?」
「まあ何だ、俺なりに、その名付け方にフォローを入れるなら、牡丹も松葉も品種こそは違えど、同じ植物ではあるから……ってとこかな」
「なるほどー。でもボクなら、今の散り方は彼岸花って名前にするかなあ」
「ほほう、彼岸花か。確かにディテールは似通っているから、その名前でもしっくり来そうではあるね」
「うん。彼岸花、彼岸花……」
ミオは、まるで呪文でも唱えるかのように彼岸花の名前を繰り返すと、それっきり口を閉ざしてしまった。
松葉と呼ばれる火花の散り方を、自分なりに考えて彼岸花と例えたミオだが、あまり良い案ではないと思い直したのか、今度は首を傾げ、再考するような素振りを見せる。
たぶんこの子は、ディテールという苦手な横文字は右の耳から左の耳で、彼岸花があまり縁起の良い花として扱われない事を知っていて、これ以上話を広げるのはまずいと思ったのだろう。
まだ幼くはあるが、かわいくて、泣き虫で、ちょっと天然で甘えんぼうさんなところがあるミオの全てが大好きだし、一生を添い遂げたいから、俺はミオをお嫁さんにするんだ。
……とは言ったものの、ミオの性別がどちらであれ、まだ十歳という幼さがネックになるため、婚姻届やパートナーシップ制度の申請書類を提出しても、受理される見込みは百パーセントないだろう。
それでも、ささやかではあるが、俺たちが結婚式を挙げることくらいはできるはずだ。
たとえ書類が通らず、公的に認められなくても、俺とミオを結ぶ運命の赤い糸が千切れる事は、絶対にないのだから。
「わ! お兄ちゃんお兄ちゃん。何だか、火花がいっぱい飛び散るようになったよー」
「ああ。これはね、牡丹が終わって、次の段階である松葉が始まったんだろうな」
「マツバ? それもお花の名前?」
「花ではないかな。簡単に言うと、松葉は松の木に伸びる、細長くて先の尖った葉っぱの事なんだよ」
「マツノキって、松ぼっくりができる松の木?」
「うん、その松の木。この散り方が、松葉って名前を付けられた理由は、たぶん、松の木の枝から伸びる葉っぱみたいに、火花がパァッと広がっていくからだろうね」
「じゃあ、途中でお花から葉っぱに変わったんだね。ボク、ずっとお花の名前が続くんだと思ってたよー」
ミオは自分の予想を明かしつつ、松葉の火花がこちら側へ降りかからないよう、目一杯持ち手を伸ばした。
「うーん、確かになぁ。蕾から花が開いているのに、次が他の木の葉っぱになるのは、ちょっと変化球気味ではあるかもね」
「でしょ?」
「まあ何だ、俺なりに、その名付け方にフォローを入れるなら、牡丹も松葉も品種こそは違えど、同じ植物ではあるから……ってとこかな」
「なるほどー。でもボクなら、今の散り方は彼岸花って名前にするかなあ」
「ほほう、彼岸花か。確かにディテールは似通っているから、その名前でもしっくり来そうではあるね」
「うん。彼岸花、彼岸花……」
ミオは、まるで呪文でも唱えるかのように彼岸花の名前を繰り返すと、それっきり口を閉ざしてしまった。
松葉と呼ばれる火花の散り方を、自分なりに考えて彼岸花と例えたミオだが、あまり良い案ではないと思い直したのか、今度は首を傾げ、再考するような素振りを見せる。
たぶんこの子は、ディテールという苦手な横文字は右の耳から左の耳で、彼岸花があまり縁起の良い花として扱われない事を知っていて、これ以上話を広げるのはまずいと思ったのだろう。
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