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43.ロングドライブの果てに(16)
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さて、これでやる事は全部やったから、あとは真っ直ぐ、実家へと車を飛ばすだけだ。
「ふぅ。高速道路はあれだったけど、今日の咲真は比較的空いてるな。皆、もっと北の方に行っちゃったのかねぇ」
「それって、さっきの渋滞のこと?」
「うん。結局、混雑の元がどこだか分からないままだったけど、何かしらの名所だか温泉だか、テーマパークなんかが出来たんだと思うんだ」
「ん? テーマパークってなぁに?」
「え。テーマパークってのは、例えばいろんな遊具やプールがあったり、その園内だけ江戸時代だったりする、特殊な遊び場……かな」
ミオに質問されて初めて気が付いたが、どうやら俺は、テーマパークという名称の定義を、ぼんやりとしか理解していなかったらしい。
例えば今のテーマパークのような、一般的に浸透している横文字について、その意味をしっかり説明できるかどうか、怪しいところがあったということだ。
志摩スペイン村や肥前夢街道みたいなところだよ、という風に施設名で答えたところで、ミオがその二つを知らなかったら、全く説明になっていないのである。
だからこそ、それらを引っくるめた総合的な呼び名について、分かりやすく説明できる知識が求められるのだ。
かわいい我が子であり、そして幼い恋人でもある、ミオの知的探究心を満たしてあげるために。
「テーマパークに江戸時代のところがあるの?」
「そうだよ。そこにはお侍さんとか、忍者がいたりして、いろんな体験ができるんだ。例えば忍者屋敷なら、的に向けて手裏剣を投げるゲームみたいなのがあったりしてね」
「へぇ、面白そうだねー。そういうのって何て言うんだったかなぁ」
「え? どれの事?」
「昔の時代に戻る事だよ。んーと、確か……タイムストリ」
「だー、待った待った! スは付けちゃいかん!」
横文字の苦手なミオが、また天然ボケを炸裂させて、とんでもないフレーズを口走ろうとしたので、俺が慌てて止めに入った。
「え、え? 何?」
「ミオ、そういう時は『タイムトリップ』って言うんだよ。これ、絶対間違えちゃダメだかんな」
「そうなの? ボク、タイムストリームだと思ってたよー」
「あ? ああ、そういう事ね。ふぅ、ヒヤヒヤしたぜ」
一時はどうなる事かと思ったが、どうやら俺の早合点だったらしい。
「ふぅ。高速道路はあれだったけど、今日の咲真は比較的空いてるな。皆、もっと北の方に行っちゃったのかねぇ」
「それって、さっきの渋滞のこと?」
「うん。結局、混雑の元がどこだか分からないままだったけど、何かしらの名所だか温泉だか、テーマパークなんかが出来たんだと思うんだ」
「ん? テーマパークってなぁに?」
「え。テーマパークってのは、例えばいろんな遊具やプールがあったり、その園内だけ江戸時代だったりする、特殊な遊び場……かな」
ミオに質問されて初めて気が付いたが、どうやら俺は、テーマパークという名称の定義を、ぼんやりとしか理解していなかったらしい。
例えば今のテーマパークのような、一般的に浸透している横文字について、その意味をしっかり説明できるかどうか、怪しいところがあったということだ。
志摩スペイン村や肥前夢街道みたいなところだよ、という風に施設名で答えたところで、ミオがその二つを知らなかったら、全く説明になっていないのである。
だからこそ、それらを引っくるめた総合的な呼び名について、分かりやすく説明できる知識が求められるのだ。
かわいい我が子であり、そして幼い恋人でもある、ミオの知的探究心を満たしてあげるために。
「テーマパークに江戸時代のところがあるの?」
「そうだよ。そこにはお侍さんとか、忍者がいたりして、いろんな体験ができるんだ。例えば忍者屋敷なら、的に向けて手裏剣を投げるゲームみたいなのがあったりしてね」
「へぇ、面白そうだねー。そういうのって何て言うんだったかなぁ」
「え? どれの事?」
「昔の時代に戻る事だよ。んーと、確か……タイムストリ」
「だー、待った待った! スは付けちゃいかん!」
横文字の苦手なミオが、また天然ボケを炸裂させて、とんでもないフレーズを口走ろうとしたので、俺が慌てて止めに入った。
「え、え? 何?」
「ミオ、そういう時は『タイムトリップ』って言うんだよ。これ、絶対間違えちゃダメだかんな」
「そうなの? ボク、タイムストリームだと思ってたよー」
「あ? ああ、そういう事ね。ふぅ、ヒヤヒヤしたぜ」
一時はどうなる事かと思ったが、どうやら俺の早合点だったらしい。
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