上 下
290 / 840

35.夏祭りに備えて(6)

しおりを挟む
「ところでミオ。今も、そのショーツを穿いてるの?」

「そだよ。見るー?」

 サラダを食べていたミオが容器にフォークを置くと、何のためらいもなく立ち上がり、ルームウェアのズボンに手をかけた。

「わーっ! 待った待った!」

「え、何ー?」

「分かったから。見せなくてもいいから」

「どして?」

「いや、『どして?』って言われてもさぁ……ミオ、人前で下着を見せようとしてるんだぞ? もうちょっと警戒しないと」

「だってぇ。大好きなお兄ちゃんになら、見られても嫌じゃないんだもん」

 うう、何て嬉しい言葉なんだ。ただの無警戒かと思ったら、相手が俺だからショーツのお披露目をしてくれるだなんて。

 しかし、ここで遠慮なく見せてもらったら、俺はショタコンに加えて、スケベなお兄ちゃんの烙印を押されてしまう。

 ショタコンなのはもう諦めるとして、ミオの事をいやらしい目で見るのだけはご法度だ。

 俺にだけ気を許しているのをいい事に、その特権を利用して我欲を満たすなど言語道断。

 あくまで俺はミオの里親という大切な立場であるのだから、よほどの不可抗力でもない限り、ミオのショーツ姿を直視するのは避けなければならない。

 ……いや待てよ。そういう考え方こそが、ミオの事をやらしい目で見ている証拠なのかも知れないな。

 我が子が下着姿になっているのを見て、興奮する親がどこにいようか。

 世間は広いから、中にはそういう本物の変態もいるのだろうが、あくまで親目線として見れば、何ら意識する事は無いはずだ。

 ただ、だからと言って、この場でモロにズボンを下ろして見せてもらおうというのも、ちょっと違う気がするんだよな。

 何より今は朝飯の最中だし。

「なぁミオ。今日はデパートにお出かけするだろ?」

「うん」

「ショーツはさ、その出かける前の着替えの時に、ほんのちょっと見せてくれるだけでいいから」

「ほんのちょっとって、どれくらい?」

「そうだな。例えば、上のリボンの部分だけとか」

「えー? それだけじゃどんなの穿いてるか分かんないよ。お兄ちゃん」

「うん。まぁ、そうなんだけどさ」

 まいったなぁ、俺なりに精一杯の妥協案を出したつもりだったんだけど、ミオとしては、何としてもショーツの全貌を見せたいらしい。

 何で日曜の朝っぱらから、こうまで情欲をかきたてられそうな話題に発展してしまったのか。

 それもこれも、ミオが性別を超えた魅惑的なショタっ娘であるせいだ。

 これが普通の男の子相手なら、「あぁ、今はボクサーパンツが主流だもんなぁ」くらいの軽い会話で済んだだろうに。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

実はスライムって最強なんだよ?初期ステータスが低すぎてレベルアップが出来ないだけ…

小桃
ファンタジー
 商業高校へ通う女子高校生一条 遥は通学時に仔犬が車に轢かれそうになった所を助けようとして車に轢かれ死亡する。この行動に獣の神は心を打たれ、彼女を転生させようとする。遥は獣の神より転生を打診され5つの希望を叶えると言われたので、希望を伝える。 1.最強になれる種族 2.無限収納 3.変幻自在 4.並列思考 5.スキルコピー  5つの希望を叶えられ遥は新たな世界へ転生する、その姿はスライムだった…最強になる種族で転生したはずなのにスライムに…遥はスライムとしてどう生きていくのか?スライムに転生した少女の物語が始まるのであった。

【BL】国民的アイドルグループ内でBLなんて勘弁してください。

白猫
BL
国民的アイドルグループ【kasis】のメンバーである、片桐悠真(18)は悩んでいた。 最近どうも自分がおかしい。まさに悪い夢のようだ。ノーマルだったはずのこの自分が。 (同じグループにいる王子様系アイドルに恋をしてしまったかもしれないなんて……!) (勘違いだよな? そうに決まってる!) 気のせいであることを確認しようとすればするほどドツボにハマっていき……。

ビキニに恋した男

廣瀬純一
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい

翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。 それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん? 「え、俺何か、犬になってない?」 豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。 ※どんどん年齢は上がっていきます。 ※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈

めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。 しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈ 記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。 しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。 異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆! 推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!

処理中です...