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19.いざ、リゾートホテルへ(7)
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「お待たせいたしました。それでは只今より、皆さまをジャパン・エリオット・スターホテルまでご案内させていただきます」
バスのエンジンがかかって間もなく、ホテルの従業員さんが、マイクを使って車内設備の説明やホテルで利用できる施設の紹介、レンタカーの手配などに関する案内を始める。
「――それでは、狭い車内ではございますが、どうぞごゆっくりとおくつろぎくださいませ」
確かにマイクロバスだから狭いとは断りを入れておくのだろうけど、それでも、各座席に肘掛けを設置できるくらいの余裕はある。
車内は木目調で統一していて高級感に溢れているし、天井に吊り下げてあるシャンデリアも豪華なものだ。
遮光用のカーテンですら高そうな生地を使ってあるから、何もかもがロイヤルに見えてくる。
外の景色に飽きたなら、前方に取り付けられたモニターによる、ホテルの案内番組を見るもよし。
あの手この手を尽くして、ホテルへの移動中にも退屈をさせないための工夫がなされているのは高評価だ。
初めてバスというものに乗ったミオは窓側の席に座り、今まで見たことのない景色や街並みを、興味しんしんといった様子で眺めている。
「ねぇお兄ちゃん。あれなーに?」
「んっ?」
ミオが指差した先に見えたのは、岬の先端にそびえ立つ、高さ二十メートルくらいの白い建造物だ。
「あれは灯台だよ」
「トウダイ?」
「そう。上の部分に手すりがついてて、横にドアがあるだろ? あそこから人が出入りをするんだね」
「ふーん。でも、何であそこに出入りするの?」
その疑問に答える前に、まず灯台とは何をする施設なのかを知っておく必要があるだろう。
「灯台ってのはね、要するに船のための標識なんだよ。もっと分かりやすく言うと、目印かな」
「目印?」
「そう。あそこに建っている灯台は沿岸灯台って言うんだけど、上にある灯器から光を出してね、自分の船が今どこにいるのかを教えてくれるんだよ」
「じゃあ、今もあそこから光が出てるの?」
「たぶん昼間は出てないんじゃないかな……」
「そうなんだ。じゃあ、昼間は使わないのかなぁ」
「うーん。でもあの灯台は大きいし、高くて真っ白だろ? それだけでも、昼間は充分目印になると思うよ」
「確かに大きいよねー。ずっと遠くにあるのに、ハッキリ見えちゃうもん」
「そうだね。で、ここから見た感じだと、あれは結構古い時代に建てられたやつみたいだから、当時は頻繁にお手入れをしなきゃいけなかったんだろうな」
「あ。だから人が出たり入ったりするってお話に繋がるの?」
「ミオ、鋭いじゃん。といってもそれは灯台守と言って、灯台の維持とか管理なんかを専属でやってた人がいた時代の話なんだけど」
「今は?」
「技術が発展して自動制御になったから、灯台は全部無人化だよ。だから今は、たまに点検したり整備するだけでよくなったのさ」
「って事は、今は誰もいないんだ?」
「うん。まぁ観光目的であの灯台に入れるのなら、その管理をするおじさんはいるかも知れないけどね」
「へぇー。お兄ちゃん、何でも知ってるんだね」
と、ミオが尊敬の眼差しで俺を見つめる。
かくいう俺も、テレビのドキュメンタリーや、インターネットなんかで見聞きした情報をかろうじて覚えていただけなんだけど。
とにかくあの灯台が、今でも海の道しるべとなり、船の安全を守っているという事だけは間違いないだろう。
バスのエンジンがかかって間もなく、ホテルの従業員さんが、マイクを使って車内設備の説明やホテルで利用できる施設の紹介、レンタカーの手配などに関する案内を始める。
「――それでは、狭い車内ではございますが、どうぞごゆっくりとおくつろぎくださいませ」
確かにマイクロバスだから狭いとは断りを入れておくのだろうけど、それでも、各座席に肘掛けを設置できるくらいの余裕はある。
車内は木目調で統一していて高級感に溢れているし、天井に吊り下げてあるシャンデリアも豪華なものだ。
遮光用のカーテンですら高そうな生地を使ってあるから、何もかもがロイヤルに見えてくる。
外の景色に飽きたなら、前方に取り付けられたモニターによる、ホテルの案内番組を見るもよし。
あの手この手を尽くして、ホテルへの移動中にも退屈をさせないための工夫がなされているのは高評価だ。
初めてバスというものに乗ったミオは窓側の席に座り、今まで見たことのない景色や街並みを、興味しんしんといった様子で眺めている。
「ねぇお兄ちゃん。あれなーに?」
「んっ?」
ミオが指差した先に見えたのは、岬の先端にそびえ立つ、高さ二十メートルくらいの白い建造物だ。
「あれは灯台だよ」
「トウダイ?」
「そう。上の部分に手すりがついてて、横にドアがあるだろ? あそこから人が出入りをするんだね」
「ふーん。でも、何であそこに出入りするの?」
その疑問に答える前に、まず灯台とは何をする施設なのかを知っておく必要があるだろう。
「灯台ってのはね、要するに船のための標識なんだよ。もっと分かりやすく言うと、目印かな」
「目印?」
「そう。あそこに建っている灯台は沿岸灯台って言うんだけど、上にある灯器から光を出してね、自分の船が今どこにいるのかを教えてくれるんだよ」
「じゃあ、今もあそこから光が出てるの?」
「たぶん昼間は出てないんじゃないかな……」
「そうなんだ。じゃあ、昼間は使わないのかなぁ」
「うーん。でもあの灯台は大きいし、高くて真っ白だろ? それだけでも、昼間は充分目印になると思うよ」
「確かに大きいよねー。ずっと遠くにあるのに、ハッキリ見えちゃうもん」
「そうだね。で、ここから見た感じだと、あれは結構古い時代に建てられたやつみたいだから、当時は頻繁にお手入れをしなきゃいけなかったんだろうな」
「あ。だから人が出たり入ったりするってお話に繋がるの?」
「ミオ、鋭いじゃん。といってもそれは灯台守と言って、灯台の維持とか管理なんかを専属でやってた人がいた時代の話なんだけど」
「今は?」
「技術が発展して自動制御になったから、灯台は全部無人化だよ。だから今は、たまに点検したり整備するだけでよくなったのさ」
「って事は、今は誰もいないんだ?」
「うん。まぁ観光目的であの灯台に入れるのなら、その管理をするおじさんはいるかも知れないけどね」
「へぇー。お兄ちゃん、何でも知ってるんだね」
と、ミオが尊敬の眼差しで俺を見つめる。
かくいう俺も、テレビのドキュメンタリーや、インターネットなんかで見聞きした情報をかろうじて覚えていただけなんだけど。
とにかくあの灯台が、今でも海の道しるべとなり、船の安全を守っているという事だけは間違いないだろう。
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