13 / 20
積み重ねてきたもの
しおりを挟む
王都にあるヴィレンツェ公爵家の屋敷は騒然としていた。
忙しなく人々が駆けまわる気配を聞きながら、ディランは執務机に両腕を付き、項垂れている。
「リラ……」
机の上には、彼女のために飼っていた番犬たちが持ってきた銀色の首輪が置かれている。
それを両手で握りしめ、ディランは肩を震わせた。
この首輪は、リラに暇を出した次の日、番犬たちの様子がおかしいと気づいた使用人の一人が、これを銜えて五匹で身を寄せ合っているところを発見したという。
あの犬たちは、リラのためにディランが自ら選び、この屋敷に連れて来た仔たちだ。そのためリラ以外には懐いておらず、屋敷の主であるディランの言うことも全く聞かないのだが、それでいいと思っていた。
元々獰猛な性格で、主と認めた人間以外には一切懐かない犬種だ。だからこそ仔犬の頃からリラに預け、万が一、彼女に害為す者が侵入してきたときに備えていた。
「どうしてひとりで出て行ったんだ……」
あれから二か月。
伯父である国王に頭を下げて王国軍を各地に派遣し、各地のスラム街や奴隷商を一斉に検挙してもらっているが、その足取りすら掴めていない。
今回の発情期があまりにも重く、倒れたというリラの元へ行ってやれなかったのがいけなかった。無理をしてでも、顔を見に行けばよかったのだ。
彼女に暇を出したのも、いつもより長く部屋に閉じこもることになるので、「自由にしていて良い」という意味で使用人に言伝を頼んだつもりだった。
「いや……、僕が……、僕が原因か……」
発作で気が立っていたとはいえ、言い方が悪かったのだ。
そしてあの時、発作で理性が飛びかけていたとはいえ、リラの身体に触れてしまった。
その甘い肌に吸い付いて、彼女を怖がらせてしまった。
ずっと大切にしてきたというのに、あと半年というところで自制が効かなかった。
彼女からする甘く脳髄を溶かすような香りに、その柔らかくすべらかで瑞々しい肌を前に、何故手を出さずにいられるだろう。
いっそのこと、このまま抱いてしまおうか。
多少の残った自我の中、ディランは今まで自分が積み上げてきたものを壊すことも考えた。だが、普段は無表情に徹している彼女が悲しそうにスカートをたくし上げたとき、一瞬で我に返ったのだ。
今まで多くのオメガを自分の発作を治めるために犠牲にしてきた。発情期を起こしたアルファは、屋敷の番犬たちより質が悪い。
オメガを妊娠させるためだけにその身体を突き上げ、愛情の欠片も存在しない交わりを強いてしまう。
先日抱いたオメガもそうだ。
あの時は偶然男体のオメガだったが、彼は当分の間、まともに歩けないだろう。
それ相応の謝礼は渡しているとはいえ、こんな自分がリラを抱いたらどうなるか……。
だが、こんなことになるなら、いっそのこと抱いてしまえばよかったのだ。
一生恨まれようとも、どんなに嫌がられ、恐怖の眼差しを向けられようとも、無理やり番にしてしまえば――。
「リラ……」
ディランは頭を掻きむしり、心臓を太い杭で撃ち抜かれたかのような痛みに顔をゆがめた。
「リラ……、リラ……。戻って来なくてもいい……。だがせめて……無事でいてくれ……」
彼女が今、ディランの知らない土地で幸せに暮らしているのであれば、もう諦めるつもりでいる。
だがもし、どこかの奴隷商やスラム街で酷い扱いを受けているのであれば……。
(その時は、全員八つ裂きにしてやる……)
想像しただけで、ギリッ、と激しい怒りと憎しみに奥歯が鳴った。
本当なら、屋敷に閉じこもっていないで今すぐ彼女を探しに行きたい。
だが、ディランは王国の公爵家の人間であり、それだけは許可できないと伯父王から禁じられていた。次男とはいえ、王家の血を継ぐ者が身をやつしてたったひとりのオメガを探しに行くなどあってはならないと。
今も、ディランが抜け出さないよう、王家直轄の騎士団が邸中を取り囲んでいる。
だがもう二か月だ。
何の進展もなく二か月、ディランは屋敷に閉じ込められている。
そろそろ我慢の限界だった。
ふと顔を上げ、執務机の引き出しに手を掛ける。
そこには五つの包装された箱が入っていた。
どれも、リラへの贈り物として購入し、だが渡せなかった誕生日プレゼントだった。
これ以外にも、街を歩いていたときに彼女に似合うと思って目についたドレスや靴も金に糸目をつけず購入し、いつでも贈れるように準備をしていたのだ。
リラは物欲がまるでない。
十五歳の誕生日に海岸沿いの街へ旅行に連れて行ったとき、さり気なくドレスを贈ろうとしたのだが、彼女は間髪入れず断ってきた。
『私には必要ありません』
最初は遠慮をしているのだろうと思った。
何故なら、普段は俯き加減の彼女の瞳が、煌びやかなドレスを前に、少しだけ輝いて見えたからだ。
だがすぐ、そうではないことを知った。
『私のドレスより、こちらは如何でしょう? きっとご主人様に似合うと思います』
彼女が見ていたのは、ドレスの隣に飾られていた紳士服だった。
その次に宝石店に連れて行っても、彼女は婦人用のアクセサリーには目もくれず、ディランに似合うと言ってカフスボタンを指差した。
そしてその時の彼女は、惰性ではなく、本心から楽しそうにしていたのだ。
リラに勧められたものはすべて買った。
そしてリラにもお返しに何か贈りたい、と。誕生日だから、と宝石をプレゼントしようとしたとき、彼女はとても悲しそうな顔をしたのだ。
何故そんな顔をするのかわからず、結局、彼女へのプレゼントは買えなかった。
宿に帰ってリラが選んだものを身につけたディランに「お似合いです」と微笑んだ彼女の顔が今も忘れられない。
リラの十六歳の誕生日。
ディランはもう一度彼女を旅行へ連れて行った。今度は美しい山脈のある銀細工が盛んな街で、そこで髪飾りを贈ろうとした。
だがリラは銀細工など眼中になく、景色が綺麗だと、山脈にかかる雪を見て笑ったのだ。
そして屋敷に帰ってきたとき、ディランは見てしまった。
使用人であるリラと同年代の男性ベータから何かを贈られ、喜んでいる彼女の姿を。
この時、ディランは気づいてしまった。
歳の離れた自分ではリラが喜ぶものすら正確には引き当てられないのだと。
彼女を幸せにできるのは自分ではなく、彼女と歳の近い人間なのだと、そう気づかされた。
だから彼女のために自分以外のアルファを探し始めたのだ。
遠くない未来、彼女に発情期がきて妊娠できる身体になる前に、自分より相応しいアルファの元へ送り出そうとした。それが自分にできる最大限の愛だと思った。
しかし、それは間違っていた。
リラを失って、彼女が自分の中のどれだけの割合を占めていたのかを再認識したのだ。
「リラ……。リラァ……ッ!」
彼女がいま幸せなのであれば遠くから見守っていようと思う気持ちと、どんなに嫌がられようとも手枷足枷を付けてでも手元に置いておきたいという醜い感情がない交ぜになる。
そしてまた、冷静になった。
「こんな僕だから……あの子の傍に居ない方が良いんだ……」
だから伯父王も、ディランに外出を禁じたのだ。
獰猛な野犬より質が悪いディランを野に放てばどうなるか、それを伯父はわかっている。
故に、耐えるしかない。
今のディランにできることは、彼女の無事を祈ることだけなのだから。
忙しなく人々が駆けまわる気配を聞きながら、ディランは執務机に両腕を付き、項垂れている。
「リラ……」
机の上には、彼女のために飼っていた番犬たちが持ってきた銀色の首輪が置かれている。
それを両手で握りしめ、ディランは肩を震わせた。
この首輪は、リラに暇を出した次の日、番犬たちの様子がおかしいと気づいた使用人の一人が、これを銜えて五匹で身を寄せ合っているところを発見したという。
あの犬たちは、リラのためにディランが自ら選び、この屋敷に連れて来た仔たちだ。そのためリラ以外には懐いておらず、屋敷の主であるディランの言うことも全く聞かないのだが、それでいいと思っていた。
元々獰猛な性格で、主と認めた人間以外には一切懐かない犬種だ。だからこそ仔犬の頃からリラに預け、万が一、彼女に害為す者が侵入してきたときに備えていた。
「どうしてひとりで出て行ったんだ……」
あれから二か月。
伯父である国王に頭を下げて王国軍を各地に派遣し、各地のスラム街や奴隷商を一斉に検挙してもらっているが、その足取りすら掴めていない。
今回の発情期があまりにも重く、倒れたというリラの元へ行ってやれなかったのがいけなかった。無理をしてでも、顔を見に行けばよかったのだ。
彼女に暇を出したのも、いつもより長く部屋に閉じこもることになるので、「自由にしていて良い」という意味で使用人に言伝を頼んだつもりだった。
「いや……、僕が……、僕が原因か……」
発作で気が立っていたとはいえ、言い方が悪かったのだ。
そしてあの時、発作で理性が飛びかけていたとはいえ、リラの身体に触れてしまった。
その甘い肌に吸い付いて、彼女を怖がらせてしまった。
ずっと大切にしてきたというのに、あと半年というところで自制が効かなかった。
彼女からする甘く脳髄を溶かすような香りに、その柔らかくすべらかで瑞々しい肌を前に、何故手を出さずにいられるだろう。
いっそのこと、このまま抱いてしまおうか。
多少の残った自我の中、ディランは今まで自分が積み上げてきたものを壊すことも考えた。だが、普段は無表情に徹している彼女が悲しそうにスカートをたくし上げたとき、一瞬で我に返ったのだ。
今まで多くのオメガを自分の発作を治めるために犠牲にしてきた。発情期を起こしたアルファは、屋敷の番犬たちより質が悪い。
オメガを妊娠させるためだけにその身体を突き上げ、愛情の欠片も存在しない交わりを強いてしまう。
先日抱いたオメガもそうだ。
あの時は偶然男体のオメガだったが、彼は当分の間、まともに歩けないだろう。
それ相応の謝礼は渡しているとはいえ、こんな自分がリラを抱いたらどうなるか……。
だが、こんなことになるなら、いっそのこと抱いてしまえばよかったのだ。
一生恨まれようとも、どんなに嫌がられ、恐怖の眼差しを向けられようとも、無理やり番にしてしまえば――。
「リラ……」
ディランは頭を掻きむしり、心臓を太い杭で撃ち抜かれたかのような痛みに顔をゆがめた。
「リラ……、リラ……。戻って来なくてもいい……。だがせめて……無事でいてくれ……」
彼女が今、ディランの知らない土地で幸せに暮らしているのであれば、もう諦めるつもりでいる。
だがもし、どこかの奴隷商やスラム街で酷い扱いを受けているのであれば……。
(その時は、全員八つ裂きにしてやる……)
想像しただけで、ギリッ、と激しい怒りと憎しみに奥歯が鳴った。
本当なら、屋敷に閉じこもっていないで今すぐ彼女を探しに行きたい。
だが、ディランは王国の公爵家の人間であり、それだけは許可できないと伯父王から禁じられていた。次男とはいえ、王家の血を継ぐ者が身をやつしてたったひとりのオメガを探しに行くなどあってはならないと。
今も、ディランが抜け出さないよう、王家直轄の騎士団が邸中を取り囲んでいる。
だがもう二か月だ。
何の進展もなく二か月、ディランは屋敷に閉じ込められている。
そろそろ我慢の限界だった。
ふと顔を上げ、執務机の引き出しに手を掛ける。
そこには五つの包装された箱が入っていた。
どれも、リラへの贈り物として購入し、だが渡せなかった誕生日プレゼントだった。
これ以外にも、街を歩いていたときに彼女に似合うと思って目についたドレスや靴も金に糸目をつけず購入し、いつでも贈れるように準備をしていたのだ。
リラは物欲がまるでない。
十五歳の誕生日に海岸沿いの街へ旅行に連れて行ったとき、さり気なくドレスを贈ろうとしたのだが、彼女は間髪入れず断ってきた。
『私には必要ありません』
最初は遠慮をしているのだろうと思った。
何故なら、普段は俯き加減の彼女の瞳が、煌びやかなドレスを前に、少しだけ輝いて見えたからだ。
だがすぐ、そうではないことを知った。
『私のドレスより、こちらは如何でしょう? きっとご主人様に似合うと思います』
彼女が見ていたのは、ドレスの隣に飾られていた紳士服だった。
その次に宝石店に連れて行っても、彼女は婦人用のアクセサリーには目もくれず、ディランに似合うと言ってカフスボタンを指差した。
そしてその時の彼女は、惰性ではなく、本心から楽しそうにしていたのだ。
リラに勧められたものはすべて買った。
そしてリラにもお返しに何か贈りたい、と。誕生日だから、と宝石をプレゼントしようとしたとき、彼女はとても悲しそうな顔をしたのだ。
何故そんな顔をするのかわからず、結局、彼女へのプレゼントは買えなかった。
宿に帰ってリラが選んだものを身につけたディランに「お似合いです」と微笑んだ彼女の顔が今も忘れられない。
リラの十六歳の誕生日。
ディランはもう一度彼女を旅行へ連れて行った。今度は美しい山脈のある銀細工が盛んな街で、そこで髪飾りを贈ろうとした。
だがリラは銀細工など眼中になく、景色が綺麗だと、山脈にかかる雪を見て笑ったのだ。
そして屋敷に帰ってきたとき、ディランは見てしまった。
使用人であるリラと同年代の男性ベータから何かを贈られ、喜んでいる彼女の姿を。
この時、ディランは気づいてしまった。
歳の離れた自分ではリラが喜ぶものすら正確には引き当てられないのだと。
彼女を幸せにできるのは自分ではなく、彼女と歳の近い人間なのだと、そう気づかされた。
だから彼女のために自分以外のアルファを探し始めたのだ。
遠くない未来、彼女に発情期がきて妊娠できる身体になる前に、自分より相応しいアルファの元へ送り出そうとした。それが自分にできる最大限の愛だと思った。
しかし、それは間違っていた。
リラを失って、彼女が自分の中のどれだけの割合を占めていたのかを再認識したのだ。
「リラ……。リラァ……ッ!」
彼女がいま幸せなのであれば遠くから見守っていようと思う気持ちと、どんなに嫌がられようとも手枷足枷を付けてでも手元に置いておきたいという醜い感情がない交ぜになる。
そしてまた、冷静になった。
「こんな僕だから……あの子の傍に居ない方が良いんだ……」
だから伯父王も、ディランに外出を禁じたのだ。
獰猛な野犬より質が悪いディランを野に放てばどうなるか、それを伯父はわかっている。
故に、耐えるしかない。
今のディランにできることは、彼女の無事を祈ることだけなのだから。
11
お気に入りに追加
53
あなたにおすすめの小説
私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。
石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。
自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
【完結】365日後の花言葉
Ringo
恋愛
許せなかった。
幼い頃からの婚約者でもあり、誰よりも大好きで愛していたあなただからこそ。
あなたの裏切りを知った翌朝、私の元に届いたのはゼラニウムの花束。
“ごめんなさい”
言い訳もせず、拒絶し続ける私の元に通い続けるあなたの愛情を、私はもう一度信じてもいいの?
※勢いよく本編完結しまして、番外編ではイチャイチャするふたりのその後をお届けします。


拝啓、大切なあなたへ
茂栖 もす
恋愛
それはある日のこと、絶望の底にいたトゥラウム宛てに一通の手紙が届いた。
差出人はエリア。突然、別れを告げた恋人だった。
そこには、衝撃的な事実が書かれていて───
手紙を受け取った瞬間から、トゥラウムとエリアの終わってしまったはずの恋が再び動き始めた。
これは、一通の手紙から始まる物語。【再会】をテーマにした短編で、5話で完結です。
※以前、別PNで、小説家になろう様に投稿したものですが、今回、アルファポリス様用に加筆修正して投稿しています。

溺婚
明日葉
恋愛
香月絢佳、37歳、独身。晩婚化が進んでいるとはいえ、さすがにもう、無理かなぁ、と残念には思うが焦る気にもならず。まあ、恋愛体質じゃないし、と。
以前階段落ちから助けてくれたイケメンに、馴染みの店で再会するものの、この状況では向こうの印象がよろしいはずもないしと期待もしなかったのだが。
イケメン、天羽疾矢はどうやら絢佳に惹かれてしまったようで。
「歳も歳だし、とりあえず試してみたら?こわいの?」と、挑発されればつい、売り言葉に買い言葉。
何がどうしてこうなった?
平凡に生きたい、でもま、老後に1人は嫌だなぁ、くらいに構えた恋愛偏差値最底辺の絢佳と、こう見えて仕事人間のイケメン疾矢。振り回しているのは果たしてどっちで、振り回されてるのは、果たしてどっち?
わたしは夫のことを、愛していないのかもしれない
鈴宮(すずみや)
恋愛
孤児院出身のアルマは、一年前、幼馴染のヴェルナーと夫婦になった。明るくて優しいヴェルナーは、日々アルマに愛を囁き、彼女のことをとても大事にしている。
しかしアルマは、ある日を境に、ヴェルナーから甘ったるい香りが漂うことに気づく。
その香りは、彼女が勤める診療所の、とある患者と同じもので――――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる