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03.モブにヒロインは荷が重い!
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「………もしかして、どこか痛むのか?」
うわの空で前世の記憶を思い返していた私にノアール様が心配そうに尋ねてきた。
「っだ、大丈夫です、ご心配お掛けして申し訳ございませんっ!コルセットの件は考えて置きますね」
慌てながらにもちゃんと返事をし、マナーの先生に何度も仕込まれた令嬢スマイルをかます。
さて、ここからが本題だ。婚約の誤解について、どう説明するか………。
「あの、ノアール様。お話がありまして―――」
「……………可愛い」
「……え、??」
ノアール様が私の言葉を遮りボソッと呟いた。
「フラン嬢は笑った顔も、やはりとても可愛いらしいのだな」
「っ!!、そ、そ、そんな事ないですよ!」
今まで家族以外から可愛いなんて言われたこと無かったので、お世辞だと分かっていても思いっきり動揺してしまう。
「そんなことある。フラン嬢はもう少し自分に自信を持った方がいい。――ところで話というのは?」
駄々っ子の様に口を尖らせながらもノアール様が話を戻してくれたので、覚悟を決めて私は言う。
「あ、あのですね。実は婚約についてなんですけども………実は誤解なんです!!!」
「誤解、とは?」
私の言った事を聞いて、きょとんとした顔でこっちを見る。うっ、何その顔、可愛い。
「突然だったものでノアール様の言葉に驚き、思わずはいと答えてしまったのです」
「…………そうだったのか」
妙に聞き分けがいいな、と思った矢先、手を掴まれた。
「フラン嬢は俺が嫌いか?」
ノアール様にしょぼんとした顔で覗き込まれて、私の頭は真っ白になった。
っ!ちょ、っ!ちょっと!!!そんな捨てられた子犬みたいな顔で見ないで下さい!!!!
どんなにイベントが起こる度に『またお前かよ!』と叫んだ前世があっても、嫌いかって聞かれるとそうでは無い。キャラデザは結構私のどタイプだし、性格も何だかんだ憎めない。
ってだめだ!負けるな私!今言わないとチャンスはもう無いかもしれない!
思わず好きですとごぼしそうになる自分に一人ツッコミをし、言い聞かせる。
「き、きら、い……………じゃないです」
はい、負けましたぁ!!!
嫌いと言った瞬間目をうるうるさせたノアール様を前に、逆に否定せずに居られる人が居るなら会ってみたいよ!!!!と頭ん中で叫ぶ。
「それならまだ結婚とは言わないから、俺と付き合ってくれないか?」
「そ、それなら――」
「ありがとう!」
まだ言いかけている途中の私を、ノアール様があからさまにぱぁぁぁっと嬉しそうな顔になって抱きしめた。
………?
………………???
私は顔を真っ赤にして金魚のように口をパクパクさせることしか出来ない。
一言言わせて下さい。
HPが持たないです。
うわの空で前世の記憶を思い返していた私にノアール様が心配そうに尋ねてきた。
「っだ、大丈夫です、ご心配お掛けして申し訳ございませんっ!コルセットの件は考えて置きますね」
慌てながらにもちゃんと返事をし、マナーの先生に何度も仕込まれた令嬢スマイルをかます。
さて、ここからが本題だ。婚約の誤解について、どう説明するか………。
「あの、ノアール様。お話がありまして―――」
「……………可愛い」
「……え、??」
ノアール様が私の言葉を遮りボソッと呟いた。
「フラン嬢は笑った顔も、やはりとても可愛いらしいのだな」
「っ!!、そ、そ、そんな事ないですよ!」
今まで家族以外から可愛いなんて言われたこと無かったので、お世辞だと分かっていても思いっきり動揺してしまう。
「そんなことある。フラン嬢はもう少し自分に自信を持った方がいい。――ところで話というのは?」
駄々っ子の様に口を尖らせながらもノアール様が話を戻してくれたので、覚悟を決めて私は言う。
「あ、あのですね。実は婚約についてなんですけども………実は誤解なんです!!!」
「誤解、とは?」
私の言った事を聞いて、きょとんとした顔でこっちを見る。うっ、何その顔、可愛い。
「突然だったものでノアール様の言葉に驚き、思わずはいと答えてしまったのです」
「…………そうだったのか」
妙に聞き分けがいいな、と思った矢先、手を掴まれた。
「フラン嬢は俺が嫌いか?」
ノアール様にしょぼんとした顔で覗き込まれて、私の頭は真っ白になった。
っ!ちょ、っ!ちょっと!!!そんな捨てられた子犬みたいな顔で見ないで下さい!!!!
どんなにイベントが起こる度に『またお前かよ!』と叫んだ前世があっても、嫌いかって聞かれるとそうでは無い。キャラデザは結構私のどタイプだし、性格も何だかんだ憎めない。
ってだめだ!負けるな私!今言わないとチャンスはもう無いかもしれない!
思わず好きですとごぼしそうになる自分に一人ツッコミをし、言い聞かせる。
「き、きら、い……………じゃないです」
はい、負けましたぁ!!!
嫌いと言った瞬間目をうるうるさせたノアール様を前に、逆に否定せずに居られる人が居るなら会ってみたいよ!!!!と頭ん中で叫ぶ。
「それならまだ結婚とは言わないから、俺と付き合ってくれないか?」
「そ、それなら――」
「ありがとう!」
まだ言いかけている途中の私を、ノアール様があからさまにぱぁぁぁっと嬉しそうな顔になって抱きしめた。
………?
………………???
私は顔を真っ赤にして金魚のように口をパクパクさせることしか出来ない。
一言言わせて下さい。
HPが持たないです。
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