【完結済み】妹の婚約者に、恋をした

鈴蘭

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番外編 マーガレット視点

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 お母様が離縁されてから暫くして、お父様からパーティの招待状を渡されました。
 「二人で行って来なさい」
 相変わらず言葉数の少ないお父様ですが、私は社交界に出た事が無かったので、気を使ってくれたのだと思います。
 初めて自分の為に仕立てるドレスに、胸が高鳴りました。
 お義母様に相談していると、プレゼントだと言って、お揃いの衣装を用意して下さったのです。

 そして今日は、アーノルド様のご実家にお招き頂きました。
 お義母様が開かれている、刺繍サロンへ招待して下さったのです。
 ここにいらっしゃる方は、皆様刺繍が好きな方ばかりで、各々に出来上がった作品を見せ合ったりもしているのです。

 「マーガレット。よく来てくれたわね、嬉しいわ。皆さんにも紹介するわね、アーノルドの婚約者、マーガレットよ」
 「ごきげんよう皆様。不束者ですが、末席に加えて下さり、嬉しく思っております…」
 「もう、堅苦しい挨拶はいいのよ。ここに座って頂戴」
 「はい。お義母様」
 アーノルド様のお母様は、とても可愛らしい方で、気さくに話しかけて下さいます。
 実母と居る時よりも緊張せずに、穏やかな気持ちで会話が弾むのです。
 「マーガレットさんの刺繍は本当に美しいですわね。色合いがとても綺麗で、見惚れてしまいますわ」
 「本当に。柄も繊細で、まるで絵画の様ですわね」
 貴婦人の皆様が褒めて下さるので、私はなんだかとてもこそばゆくなってしまいます。
 「今度行われるパーティには、参加されるのでしょう?マーガレットさんの施した刺繍、私達楽しみにしているのよ」
 「はい。お義母様に衣装を仕立てて貰いましたが、刺繍は自分で施したいと思いましたので、楽しみにして頂けると嬉しいです」
 「レジット侯爵夫人、素敵なお嫁さんで羨ましいわ。私も娘と刺繍の話しをしたいのだけれど…あの子は不器用だから」

 私はデイジーを、思い出しました。
 使用人を傷付けてしまい、暫く謹慎しているようにと、お父様から叱られてしまったのです。
 それなのに一人でパーティに行ってしまい、泣き腫らした顔で帰って来たのですが、何も話してくれないのです。
 何があったのかは分かりませんが、屋敷に戻ったら刺繍の刺し方を教えてあげようかと思いました。
 皆様と一緒に刺繍を施しながら、楽しいお話を聞いていると、あっという間に時間が過ぎてしまいました。
 「今日はお招き頂きまして、ありがとうございます。とても楽しい時間を過ごす事が出来ました」
 「マーガレット、何時でも遊びに来て頂戴。貴方には申し訳無い事をしてしまったのですもの…本当にごめんなさいね」
 お義母様は私が施した刺繍を、デイジーの作品だと勘違いした事を、未だに悔やんでいる様です。
 「どうかその事はお忘れ下さい。私は気にしておりません」
 お義母様は、優しく私を抱きしめてくださいました。
 「母上。その辺にして下さい。マーガレットは執務もありますし、母上の様に暇を持て余してはいないのですよ」
 「もう。アーノルドは、やきもち焼きなのだから。仕方の無い子」
 「母上!」
 「フフッ」
 何時も穏やかな親子の会話に、思わず笑みが零れてしまいました。
 アーノルド様は、屋敷迄送り迎えをして下さるのです。
 ほんの少しの時間でも一緒に居て下さり、いろんな話もしてくれます。
 彼が傍に居てくれる様になってから、私は何時も笑顔でいられるようになりました。


 帰宅後はデイジーの部屋を訪ねたのですが、機嫌が悪かった様で、扉を開けてくれません。
 「デイジー。少しは反省しないと、本当に屋敷から追い出されてしまうわよ。機嫌を直して頂戴。一緒に刺繍をしましょう」
 「煩い!お姉様なんて、大嫌いよ。私の事なんて、放っておいて!」
 もう…困った子。
 「デイジー。今度パーティがあるの。私は初めて社交界に出るから、教えて欲しい事が沢山あるのよ。話を聞いて頂戴」
 「パーティですって?」
 やっと扉を開けてくれました。
 私はデイジーからパーティーの事をいろいろ教えて貰いました。
 お義母様や、アーノルド様からも聞いておりましたが、やはり歳の近い妹からも聞いておきたかったのです。
 デイジーの気が少しでも晴れて、心を入れ替えてくれたら良いと思い、パーティにも誘いましたが断られてしまいました。
 やはりあの日に何かあったのでしょうか?
 私は社交界に出た事が無かったので、皆目見当も付きません。


 今日は、初めての社交界です。
 朝から緊張し過ぎて、頭が真っ白になっていました。
 侍女達が綺麗に着飾ってくれたのですが、私は上手に笑えているでしょうか?
 玄関ホールに行くと、アーノルド様が待っていてくれました。
 「お待たせしてごめんなさい。緊張してしまって」
 「マーガレット、とても綺麗ですよ。刺繍も素晴らしいと、母上が絶賛しておりました。マーガレットのドレス姿を見たら、きっと喜ぶでしょう」
 「ありがとうございます。アーノルド様も素敵です」
 私は恥かしくなって俯いてしまいましたが、アーノルド様が笑顔で手を差し伸べて下さったので、一緒に馬車に乗り込みました。

 初めてのパーティ会場はとても煌びやかで、貴婦人達のドレスも見ているだけで目の保養になります。
 これでは、毎回参加していたら、ドレス代が掛かるのは当たり前の事ですわね。
 私は少し、ゾッとしてしまいました。
 会場の中に入ると、デイジーの知り合いでしょうか?
 声を掛けて来たご令嬢達がいました。
 「ごきげんよう。マーガレット様ですか?素敵な刺繍のハンカチを、ありがとうございました。貴方のお蔭で、私は好いた殿方と婚約する事が出来ましたの。感謝しておりますわ」
 「まぁ、それは良かったですわね、おめでとうございます。心から祝福致しますわ」
 「あの…私もお礼を言いたいのです。それと、ご婚約おめでとうございます」
 「ご丁寧にありがとうございます。嬉しいですわ」
 その後も、沢山のご令嬢からお礼と、祝福のお言葉を頂きました。
 「マーガレット。喉が渇いていませんか?飲み物を持って来ますね」
 「私も一緒に行きますわ。一人になると、心細いですもの」
 「大丈夫ですよ、あそこに母上がおりますから」
 「あら、本当ですわね。では、お義母様の所で待っておりますわ」
 「まぁ。マーガレット、よく見せて頂戴。素敵だわ、貴方の刺繍は本当に繊細で、人の心を惹き付けるわね。ドレスも、とても似合っているわよ」
 「ありがとうございます。お義母様のドレスも素敵ですわ」
 初めてのパーティはとても緊張していたけれど、いろんな方に刺繍を褒められた事で、すっかり緊張が解けていました。
 帰ったら、デイジーにお礼を言わなくてはいけませんね。
 私の刺繍が、沢山の方の幸福に繋がったのですから。


 おしまい。

 番外編、マーガレット視点迄読んで下さり、ありがとうございました<(_ _)>
 デイジーは自分の為に偽っておりましたが、結果マーガレットが愛のキューピットみたいになりました^^
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感想 3

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みんなの感想(3件)

田中角栄
2024.12.23 田中角栄

ざまぁ????

2024.12.24 鈴蘭

o(`・ω´・+o) ドヤァ…!

解除
もにこ
2024.12.03 もにこ

かなり前に完結していたのにわざわざ番外編書いてくださって本当にありがとうございます(T^T)
この作品好きなのでまた読み直しに来たら最高の番外編が追加されてました(T^T)♡
その後の関係性や社交界の様子が補完されていてしっかり最後まで楽しめました

2024.12.03 鈴蘭

喜んて頂けて良かったです(泣)
感想頂いてから、速攻で書き上げました。
私も好きな作品なので、何度も読んで頂けていた事に感動してます(泣)
ありがとうございますm(_ _)m

解除
もにこ
2024.11.30 もにこ

え!今までの社交界でのデイジーの刺繍やレースの評判がひっくり返るシーンが欲しかったよ〜(T^T)
屋敷の外でもちゃんと報われてるよね…???

2024.12.02 鈴蘭

感想ありがとうございます。
貴重なご意見を頂き、目から鱗でした!
確かにあったら面白そうですね^^
番外編でも書いてみようかな~って思いました。
ありがとうございます<(_ _)>

解除

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