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第6話 両親との再会
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侯爵家の本邸に来て落ち着いたので、両親に侯爵家でお世話になっている事を、手紙にしたためた。
手紙を読んだ両親は直ぐに侯爵家へ来てくれたから、レックス様の元に嫁いでから初めて面会する事が出来たの。
「お父様、お母様ご無沙汰しております」
「ナターシャ、ずっと心配していたのよ、あなたが無事で本当に良かったわ」
「うむ。おかしな手紙が届くから、気でも触れたのではないかと、何度も訪ねたのだが…何時も留守だの、体調が悪いだのと理由を付けられて、追い返されていたのだ。元気な姿を見て安心したぞ」
「そうだったのですね。ご心配をおかけして、申し訳ありません」
子供が出来たのなら仕方がないと思い、無理やり納得していたのですって。
「あの、おかしな手紙とは、どの様な内容だったのでしょうか?」
それらは全部大切に保管されていたので、私は送られて来たと言う、手紙を読ませて貰った。
愛人からの要求は酷く、お金や宝石を欲しがる物ばかりだった。
両親は嫌な予感がしたので、欲しい物は自分で取りに来る様にと返事をしたみたい。
残念な事に、両親から私に宛てて下さった手紙は無かったわ。
きっと、ハンナの手に渡ってしまったのね。
彼女から届いた、両親への罵倒の手紙を読んで、何だか酷く落ち込んでしまった。
「流石に白紙の小切手を送れと手紙が来た時は、ナターシャの成り済ましだと確信したぞ」
「貴方の封蝋を、偽造していた事も発覚したわ。あまりにも精工に作られていたから、私達は気付け無かったのよ、本当にごめんなさいね」
「うむ。最近の、手紙の様子がおかしかったから、念の為調べて正解だった。鑑定士も、驚愕していたぞ」
「筆跡も、かなり似ていたの。専門家にでも、頼んでいたのかしら?」
「そうだったのですね」
お父様とお母様の言葉を交互に聞きながら、私はあまりの酷さに青褪めていた。
両親がハンナに騙されなくて、本当に良かったと思う。
ハンナの指輪を思い出し、白紙の小切手を渡していたらと思うと、血の気が引くようだった。
「嫁いで間もないのに、懐妊は早過ぎると思ったのだが…まさかこの様な事態になっているとは、考えてもいなかった。彼は、好青年だと思っていたのに」
「本当に、愛人の子を世継ぎにする為に、ナターシャを選んだなんて…」
お母様が、ギュッと扇子を握りしめて、怒りを堪えていた。
静かにお父様達の言葉を聞いていた義両親は、苦悶の表情を浮かべてらっしゃる。
「侯爵は知っていたのですか?ナターシャが、酷い目に遭っている事を…」
「申し訳ありません、私共も知りませんでした。何年か前に一度、平民の娘を連れて来た事があったのです。身分と言うよりも、あまりにも下品で、下心が丸見えでしたから反対致しました。ナターシャを連れて来た時は、息子は赤色が好きなのだと、勘違い致しまして。本当に、申し訳無い」
侯爵は息子の失態を、ひたすら両親に謝罪していたわ。
この日は、私が疲れてしまい、これで解散となった。
両親は、侯爵夫妻がまともな人で安心したのか、私を置いて帰って行った。
その後は、暇を作っては、様子を見に来てくれているの。
手紙を読んだ両親は直ぐに侯爵家へ来てくれたから、レックス様の元に嫁いでから初めて面会する事が出来たの。
「お父様、お母様ご無沙汰しております」
「ナターシャ、ずっと心配していたのよ、あなたが無事で本当に良かったわ」
「うむ。おかしな手紙が届くから、気でも触れたのではないかと、何度も訪ねたのだが…何時も留守だの、体調が悪いだのと理由を付けられて、追い返されていたのだ。元気な姿を見て安心したぞ」
「そうだったのですね。ご心配をおかけして、申し訳ありません」
子供が出来たのなら仕方がないと思い、無理やり納得していたのですって。
「あの、おかしな手紙とは、どの様な内容だったのでしょうか?」
それらは全部大切に保管されていたので、私は送られて来たと言う、手紙を読ませて貰った。
愛人からの要求は酷く、お金や宝石を欲しがる物ばかりだった。
両親は嫌な予感がしたので、欲しい物は自分で取りに来る様にと返事をしたみたい。
残念な事に、両親から私に宛てて下さった手紙は無かったわ。
きっと、ハンナの手に渡ってしまったのね。
彼女から届いた、両親への罵倒の手紙を読んで、何だか酷く落ち込んでしまった。
「流石に白紙の小切手を送れと手紙が来た時は、ナターシャの成り済ましだと確信したぞ」
「貴方の封蝋を、偽造していた事も発覚したわ。あまりにも精工に作られていたから、私達は気付け無かったのよ、本当にごめんなさいね」
「うむ。最近の、手紙の様子がおかしかったから、念の為調べて正解だった。鑑定士も、驚愕していたぞ」
「筆跡も、かなり似ていたの。専門家にでも、頼んでいたのかしら?」
「そうだったのですね」
お父様とお母様の言葉を交互に聞きながら、私はあまりの酷さに青褪めていた。
両親がハンナに騙されなくて、本当に良かったと思う。
ハンナの指輪を思い出し、白紙の小切手を渡していたらと思うと、血の気が引くようだった。
「嫁いで間もないのに、懐妊は早過ぎると思ったのだが…まさかこの様な事態になっているとは、考えてもいなかった。彼は、好青年だと思っていたのに」
「本当に、愛人の子を世継ぎにする為に、ナターシャを選んだなんて…」
お母様が、ギュッと扇子を握りしめて、怒りを堪えていた。
静かにお父様達の言葉を聞いていた義両親は、苦悶の表情を浮かべてらっしゃる。
「侯爵は知っていたのですか?ナターシャが、酷い目に遭っている事を…」
「申し訳ありません、私共も知りませんでした。何年か前に一度、平民の娘を連れて来た事があったのです。身分と言うよりも、あまりにも下品で、下心が丸見えでしたから反対致しました。ナターシャを連れて来た時は、息子は赤色が好きなのだと、勘違い致しまして。本当に、申し訳無い」
侯爵は息子の失態を、ひたすら両親に謝罪していたわ。
この日は、私が疲れてしまい、これで解散となった。
両親は、侯爵夫妻がまともな人で安心したのか、私を置いて帰って行った。
その後は、暇を作っては、様子を見に来てくれているの。
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