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貴族編
第62話 散髪
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各部屋に備え付けられたバルコニー。
そこからは屋敷の庭園から結界の外である大草原を見渡せる。
吹き抜ける爽やかな風が火照った体を撫でて気持ちいい。
でも下はもっと気持ちいいよ、なぁシオン!
バンバンバン!
強く強く強く!腰を打ち付ける。
「んっ、旦那様・・・・・もう朝です」
バルコニーの淵に手をついて腰を突き出すシオンが後ろ向きにもういい加減にしてと言わんばかりに言う。
オコッ!って感じで眉根を吊り上げているが、何を言うか。これはおしおきなのだから!と僕はシオンの腰を掴んで、早く深く強く奥までチンコをねじ込んでいく。
突き出たバルコニー、吹き抜ける風、どこまでも続きそうな大草原、開放感のある半野外セックス。
今度は満天の星空の下でするのもいいかもしれない。
そう思いながら、僕は夜からの折檻プレイで何発目か分からない射精を膣内で放ったのだった。
バルコニーの淵にもたれかかり、色々な体液が混ざりあって泡立つ、アソコからチンコを抜きだし、尿道に余った精液をびゅーびゅーと太ももにかけてやると尻餅をつくようにシオンが触り込む。
アソコから泡だった精液があふれ出し、体の至る所に、精液がかかっている。
流石に疲れ果てたのか、バルコニーの柱にもたれかかっているシオン。
少しは反省したかな?
「次はこんなもんじゃすまないからな!」と僕は背中で語りながら、シオンの部屋を出た。
シーンとした屋敷、閑散とはしているが、何かが始まるようなソワソワとした空気が流れているように感じた。
その空気の正体をすぐに知ることになる。
「シーツの替え、とって。早くしないとお嬢様方が目覚め――――――きゃぁあああああ!!!へ、変態!!!」
叫び声によって。
部屋の掃除やセッティングする所謂ハウスメイドだろう。
丸めたシーツを大量に持ち、顔を真っ赤にして驚きからか口をパクパクさせている。
いいね、その初々しさ。
最近のみんなにはなかったからな。
橙色?の髪をショートカットにした少しボーイッシュな感じがするメイドだ。
あとで犯れるかもランキングで名前を確認していこう。
「へ、変態変態変態変態!近寄るな!!」
抱えこんでいたシーツを投げつけられて視界がふさがれる。
いでっ!
さらにどこからか蹴りを入れ、その反動で尻餅をついてしまう。
追撃とばかりに、げし!げし!げし!と容赦なく蹴られる。
「この!変態!どこから!入ったのよ!!」
幸いシーツのおかげでけがはなさそうだが、
「変態野郎にもう1発お見舞いして!」
「ハンナ、朝から何を叫んでるのよっ!ああっ、シーツ落としちゃって」
「違うのよ、ノウェン!聞いてヘンタイ野郎が屋敷に出て退治しようてるの、手伝ってよ!」
「へ、ヘンタイ野郎??? この屋敷に……? でも半年間は結界が張られているから安全だって」
「でも現に出てるの、ほら、裸にシーツを纏った変態野郎が!」
「は、裸の……」
そんな二人のやりとりをしている間に、もつれたシーツをはいで僕は顔を出した。
これ以上蹴られたらたまらない。
「ほら、この変態野郎よ!」
「―――――っ!」
橙色髪のメイドはハンナというらしい、もう一人のノウェンと呼ばれていた薄い水色の髪のメイドだった。
ノウェンと目が合うと、「こいつ裸で屋敷の廊下を徘徊してたのよ!絶対下着ドロボーかなにかよ!」激昂して顔を真っ赤にしているハンナと逆に、どんどん青ざめていくのが分かる。
「だ、旦那さ、ま」
「そうこの変態野郎は、旦那様で!―――――へっ?」
ハンナの身体がプルプルと震えだし、ギチギチギチと、人形のように顔をこちらに向けてくる。
鳶色の瞳が、大きく見開かれる。
どうやらようやく僕の正体に気づいたようだな。
「だ、旦那様。お、おはようございます」となんとか絞り出した、というこわばった笑顔を浮かべながらノウェンがスカートをつまむ挨拶をする。
肘でさりげなくハンナを推していると、「お、おはようごごございます」とハンナもそれに習った。
僕がシーツを纏いながら、大仰にうなづきながら立ち上がる。
おおぅいて。散々蹴ってくれちゃってまぁ。
さてどうしてくれようかと思っていると、
「旦那様、朝はまだ冷えます。お部屋でお召し物を着られていかがでしょうか。従者のリィナとルィナをすぐに呼んでまいりますわ」
「行くわよ、ハンナ」と耳打ちするようにノウェンをいって、「あわわわぁ」とハンナの手を引っ張るように足早に去っていった。
声をかける暇もない。
これは上手く逃げれられたか。
まぁいいか名前も分かってるし、あとでリィナとルィナに確認しよう。
僕はそんなことを考えながら、部屋へと帰った。
その後は、メイドに遭遇して叫ばれる!なんて事件は起こらず部屋の前までシーツを引きづりながら到着する。
ドアノブをひねりつつ、あれそういえば猫耳姉妹はどうしたのだろう?疑問は解けぬまま部屋に入ると……誰もいなかった。
ベッドの上に二人の姿はなく、ただ昨日の行為を示すように真っ赤に染まったシーツに、かびた白い液体が無数に飛び散っていた。
2人いがみ合っていたようだけど、仲良くなかったのかそれとも、
「やっと帰ってきたのね」
部屋は無人ではなかったようだ。
部屋に置かれた小さな丸椅子、その上に器用に体育座りで膝を抱えるように座っているのは、黒髪から三角形の耳をだした猫耳娘のスズだ。
短めの白いワンピース、裾から伸びた白い足がカーテンの隙間から指し込む光に照らされて眩しい。
むっちりとした太もも、見えそうでみえ、「ガン見しすぎにゃ」
スタッとスズが椅子から立ち上がり、こちらに歩いてくる。
髪の毛の先をいじいじとしながら、尻尾をフリフリとする。
「あ、あのね、」
――――これはまさか!
無理矢理やるなんて最低→腕治りました→うそ、あなたの力なの好き!ていうご都合主義的チョロインか!
そう僕が期待に胸を膨らませていると、スズの口からは意外な言葉が帰ってきた。
「あ、あなたその、……」
ポッ顔を赤らませ、それを誤魔化すようにツーンとそっぽを向いている。
猫耳娘ツンデレきちゃぁあああ!
桜色の唇が震えて開く、そして――――
「あなたの髪、切ってあげるわ」
「……へっ?」と僕は虚をつかれることになった。
「なにこの髪、ちゃんと洗ってるの?!」
「まったくなによ汚いし、ゴワゴワしてるし、変な匂いもするし!」
椅子に座らされ、僕はスズの散髪を半ば強引に受けることになった。
、髪の毛を櫛でとかされ、いたっ!ところどころ引っかかっていたい。
「ちっ」とそのたびにスズが舌打ちするが、痛いのはこっちだぞ!
ベッドのシーツは強引にはがされ、それを体にぐるぐる巻きにされいるため、抵抗することも出来ない。
これじゃ終わらないわねとぶつくさいいながらスズが何事が鞄をゴソゴソしている。
「これ高いのよね、くんくん、まだ大丈夫かしら?」
なにそれ?!と僕が不安を口にする前に、何かしらの液体をスプレーで頭にシュバシュバと散布される。
くぅ、ツーンとした刺激臭が鼻を通るが、これ大丈夫か?
自然と涙が出てきた。
しかし、効果はてき面で絡まっていた髪がゆるくなり、櫛で通るようになってきた。
おおぅ、この世界にも美容商品はあるんだな。
「そろそろね、あんたのそのぼさぼさの頭さっぱりさせてあげる」
坊主は勘弁してほしいのだが、「じゃあやるわよ……」とスズがハサミを取り出す。
鏡のように風景が映るほどに磨きあげられたハサミ、それがプルプルと震えている。
あっ、これはだめだ。
「動かないの!失敗するでしょ!!」
とっさに逃げだそうとしたが、肩を捕まれ、動けない。
しまった、このままじゃ滅茶苦茶にされて、これなら坊主にしたほうがマシって感じにされちゃう!
「じっとしてなさい、大丈夫よ、……私は宮廷理容師なんだから」
大丈夫大丈夫と念仏のように唱えられているのを耳元で聞きながら、ジョッキンと髪の毛に刃が入る。
普通の美容室みたいに目の前に鏡がないから今の状態が分からない。
ただ、ジョッキン、ジョッキンと切れ味のいいハサミが鳴るたびに、髪の毛がバッサ、バッサと束になって落ちていく。
これ大丈夫?切りすぎじゃ……。
「ほら、顔を動かさないで」
ぎゅっと顔を挟まれて、強制的に正面を向かされる。
「変な髪型になりたくないでしょ?」
僕は任せることにした。
顔を掴まれたとき、スズの手の震えがなくなっていたから。
まぁ抵抗出来ないていうのもあるんだけど。
ジョッキン、ジョッキンと盛大に髪を切れて、「よし、こんなものね」という言葉で散髪が終わったようだ。
心なしか、頭が軽くなってさっぱりした気がした。
「あなたも貴族の端くれかなんかなんでしょ?信じられないけど。身だしなみはしっかりしないとね」
スズが、櫛で優しく髪をといてくれる。
まぁ出来は分からないが、感触的に悪くなさそうな気はする。
そういえば、部屋をキョロキョロして、リンはどこに行ったんだろうか。
「り、り」リンは、そう聞こうとしたときだった。
「動くな」
静かに、でも、鋭利な刃物のような声色で。
先ほどの散髪の時の、穏やかさはなく、まるで僕の喉元に突き付けられている挟みのようだった。
「油断しすぎよ。散髪なんて身動きが取れなくて、背中を相手に預けて無防備になる瞬間なんだから」
「えあな、ななな」
「誰が喋っていいって言ったの?」
グッと挟みを押し込まれて、僕は押し黙るしかなかった。
きゅ、急展開すぎる、一体どういうこと?
「あんたはただ黙って私が言うことに頷いてればいいのよ、分かったかしら?」
目の前でジョッキンと鋏がなり、シーツをスパッと切り裂くのをみて、僕は刻々と頷く。
「それでいいのよ、あんた私と取引しなさい。もちろん回答はYESしか許さないけどね」
取引……どんなものだろうか。
それがどんなもので僕は頷くしかないわけだけど。
くっ、こういう時戦闘系スキルがないのは1分間でシミュレーションしたところで、首を搔っ切れらて終わりだろうし。
「まず一つ」そういってスズは取引の内容を言っていった。
「あんた、私を雇いなさい。見ての通りは私は理容師よ、それも宮廷に勤めていたこともある腕利き、ここのメイドからあんたが飼ってる奴隷まで一切合切面倒を見てあげるわ。分かったわね?」
こくこく
「よろしい。つぎは……買ったお金と同額で、リンを……その私に売りなさい」
リンを売る?
100万リーゲルでリンを買い戻そうというのか。
でもあのフェラテクはプライスレス
「頷きなさいよ!死にたいの!!」
チクッと首元に痛みが!
僕はこくこくと頷く。
「それでいいのよ。あとで契約書を見せないよね。それと私が買い戻すまでの間、リンに酷いことをしたら許さないからね!猫の恨みは怖いのよ、末代まで呪ってやるんだから!!」と首をぎゅうっと絞めらる。
タップ、タップ。
「そ、それから」
おいおい、まだあるのかよ。
僕がげんなりしていると、スズが口をすぼめて
「このことはリンには秘密よ。分かったわね?」
秘密、ね。
「わ・か・った・わ・ね?」
ギラっと鋏をちらつかされて、僕はこくこくと頷くことしか出来なかった。
「ふんっ、それでいいのよ。これからよろしくね。ご・しゅ・じ・ん・さ・ま」
と鋭い八重歯を見せて、スズが不敵に笑う。
まったく敬ってる気がしないけど、まぁいいか。
リンもお姉さんが近くにいたら安心するだろう、僕はそう思うことにした。
そこからは屋敷の庭園から結界の外である大草原を見渡せる。
吹き抜ける爽やかな風が火照った体を撫でて気持ちいい。
でも下はもっと気持ちいいよ、なぁシオン!
バンバンバン!
強く強く強く!腰を打ち付ける。
「んっ、旦那様・・・・・もう朝です」
バルコニーの淵に手をついて腰を突き出すシオンが後ろ向きにもういい加減にしてと言わんばかりに言う。
オコッ!って感じで眉根を吊り上げているが、何を言うか。これはおしおきなのだから!と僕はシオンの腰を掴んで、早く深く強く奥までチンコをねじ込んでいく。
突き出たバルコニー、吹き抜ける風、どこまでも続きそうな大草原、開放感のある半野外セックス。
今度は満天の星空の下でするのもいいかもしれない。
そう思いながら、僕は夜からの折檻プレイで何発目か分からない射精を膣内で放ったのだった。
バルコニーの淵にもたれかかり、色々な体液が混ざりあって泡立つ、アソコからチンコを抜きだし、尿道に余った精液をびゅーびゅーと太ももにかけてやると尻餅をつくようにシオンが触り込む。
アソコから泡だった精液があふれ出し、体の至る所に、精液がかかっている。
流石に疲れ果てたのか、バルコニーの柱にもたれかかっているシオン。
少しは反省したかな?
「次はこんなもんじゃすまないからな!」と僕は背中で語りながら、シオンの部屋を出た。
シーンとした屋敷、閑散とはしているが、何かが始まるようなソワソワとした空気が流れているように感じた。
その空気の正体をすぐに知ることになる。
「シーツの替え、とって。早くしないとお嬢様方が目覚め――――――きゃぁあああああ!!!へ、変態!!!」
叫び声によって。
部屋の掃除やセッティングする所謂ハウスメイドだろう。
丸めたシーツを大量に持ち、顔を真っ赤にして驚きからか口をパクパクさせている。
いいね、その初々しさ。
最近のみんなにはなかったからな。
橙色?の髪をショートカットにした少しボーイッシュな感じがするメイドだ。
あとで犯れるかもランキングで名前を確認していこう。
「へ、変態変態変態変態!近寄るな!!」
抱えこんでいたシーツを投げつけられて視界がふさがれる。
いでっ!
さらにどこからか蹴りを入れ、その反動で尻餅をついてしまう。
追撃とばかりに、げし!げし!げし!と容赦なく蹴られる。
「この!変態!どこから!入ったのよ!!」
幸いシーツのおかげでけがはなさそうだが、
「変態野郎にもう1発お見舞いして!」
「ハンナ、朝から何を叫んでるのよっ!ああっ、シーツ落としちゃって」
「違うのよ、ノウェン!聞いてヘンタイ野郎が屋敷に出て退治しようてるの、手伝ってよ!」
「へ、ヘンタイ野郎??? この屋敷に……? でも半年間は結界が張られているから安全だって」
「でも現に出てるの、ほら、裸にシーツを纏った変態野郎が!」
「は、裸の……」
そんな二人のやりとりをしている間に、もつれたシーツをはいで僕は顔を出した。
これ以上蹴られたらたまらない。
「ほら、この変態野郎よ!」
「―――――っ!」
橙色髪のメイドはハンナというらしい、もう一人のノウェンと呼ばれていた薄い水色の髪のメイドだった。
ノウェンと目が合うと、「こいつ裸で屋敷の廊下を徘徊してたのよ!絶対下着ドロボーかなにかよ!」激昂して顔を真っ赤にしているハンナと逆に、どんどん青ざめていくのが分かる。
「だ、旦那さ、ま」
「そうこの変態野郎は、旦那様で!―――――へっ?」
ハンナの身体がプルプルと震えだし、ギチギチギチと、人形のように顔をこちらに向けてくる。
鳶色の瞳が、大きく見開かれる。
どうやらようやく僕の正体に気づいたようだな。
「だ、旦那様。お、おはようございます」となんとか絞り出した、というこわばった笑顔を浮かべながらノウェンがスカートをつまむ挨拶をする。
肘でさりげなくハンナを推していると、「お、おはようごごございます」とハンナもそれに習った。
僕がシーツを纏いながら、大仰にうなづきながら立ち上がる。
おおぅいて。散々蹴ってくれちゃってまぁ。
さてどうしてくれようかと思っていると、
「旦那様、朝はまだ冷えます。お部屋でお召し物を着られていかがでしょうか。従者のリィナとルィナをすぐに呼んでまいりますわ」
「行くわよ、ハンナ」と耳打ちするようにノウェンをいって、「あわわわぁ」とハンナの手を引っ張るように足早に去っていった。
声をかける暇もない。
これは上手く逃げれられたか。
まぁいいか名前も分かってるし、あとでリィナとルィナに確認しよう。
僕はそんなことを考えながら、部屋へと帰った。
その後は、メイドに遭遇して叫ばれる!なんて事件は起こらず部屋の前までシーツを引きづりながら到着する。
ドアノブをひねりつつ、あれそういえば猫耳姉妹はどうしたのだろう?疑問は解けぬまま部屋に入ると……誰もいなかった。
ベッドの上に二人の姿はなく、ただ昨日の行為を示すように真っ赤に染まったシーツに、かびた白い液体が無数に飛び散っていた。
2人いがみ合っていたようだけど、仲良くなかったのかそれとも、
「やっと帰ってきたのね」
部屋は無人ではなかったようだ。
部屋に置かれた小さな丸椅子、その上に器用に体育座りで膝を抱えるように座っているのは、黒髪から三角形の耳をだした猫耳娘のスズだ。
短めの白いワンピース、裾から伸びた白い足がカーテンの隙間から指し込む光に照らされて眩しい。
むっちりとした太もも、見えそうでみえ、「ガン見しすぎにゃ」
スタッとスズが椅子から立ち上がり、こちらに歩いてくる。
髪の毛の先をいじいじとしながら、尻尾をフリフリとする。
「あ、あのね、」
――――これはまさか!
無理矢理やるなんて最低→腕治りました→うそ、あなたの力なの好き!ていうご都合主義的チョロインか!
そう僕が期待に胸を膨らませていると、スズの口からは意外な言葉が帰ってきた。
「あ、あなたその、……」
ポッ顔を赤らませ、それを誤魔化すようにツーンとそっぽを向いている。
猫耳娘ツンデレきちゃぁあああ!
桜色の唇が震えて開く、そして――――
「あなたの髪、切ってあげるわ」
「……へっ?」と僕は虚をつかれることになった。
「なにこの髪、ちゃんと洗ってるの?!」
「まったくなによ汚いし、ゴワゴワしてるし、変な匂いもするし!」
椅子に座らされ、僕はスズの散髪を半ば強引に受けることになった。
、髪の毛を櫛でとかされ、いたっ!ところどころ引っかかっていたい。
「ちっ」とそのたびにスズが舌打ちするが、痛いのはこっちだぞ!
ベッドのシーツは強引にはがされ、それを体にぐるぐる巻きにされいるため、抵抗することも出来ない。
これじゃ終わらないわねとぶつくさいいながらスズが何事が鞄をゴソゴソしている。
「これ高いのよね、くんくん、まだ大丈夫かしら?」
なにそれ?!と僕が不安を口にする前に、何かしらの液体をスプレーで頭にシュバシュバと散布される。
くぅ、ツーンとした刺激臭が鼻を通るが、これ大丈夫か?
自然と涙が出てきた。
しかし、効果はてき面で絡まっていた髪がゆるくなり、櫛で通るようになってきた。
おおぅ、この世界にも美容商品はあるんだな。
「そろそろね、あんたのそのぼさぼさの頭さっぱりさせてあげる」
坊主は勘弁してほしいのだが、「じゃあやるわよ……」とスズがハサミを取り出す。
鏡のように風景が映るほどに磨きあげられたハサミ、それがプルプルと震えている。
あっ、これはだめだ。
「動かないの!失敗するでしょ!!」
とっさに逃げだそうとしたが、肩を捕まれ、動けない。
しまった、このままじゃ滅茶苦茶にされて、これなら坊主にしたほうがマシって感じにされちゃう!
「じっとしてなさい、大丈夫よ、……私は宮廷理容師なんだから」
大丈夫大丈夫と念仏のように唱えられているのを耳元で聞きながら、ジョッキンと髪の毛に刃が入る。
普通の美容室みたいに目の前に鏡がないから今の状態が分からない。
ただ、ジョッキン、ジョッキンと切れ味のいいハサミが鳴るたびに、髪の毛がバッサ、バッサと束になって落ちていく。
これ大丈夫?切りすぎじゃ……。
「ほら、顔を動かさないで」
ぎゅっと顔を挟まれて、強制的に正面を向かされる。
「変な髪型になりたくないでしょ?」
僕は任せることにした。
顔を掴まれたとき、スズの手の震えがなくなっていたから。
まぁ抵抗出来ないていうのもあるんだけど。
ジョッキン、ジョッキンと盛大に髪を切れて、「よし、こんなものね」という言葉で散髪が終わったようだ。
心なしか、頭が軽くなってさっぱりした気がした。
「あなたも貴族の端くれかなんかなんでしょ?信じられないけど。身だしなみはしっかりしないとね」
スズが、櫛で優しく髪をといてくれる。
まぁ出来は分からないが、感触的に悪くなさそうな気はする。
そういえば、部屋をキョロキョロして、リンはどこに行ったんだろうか。
「り、り」リンは、そう聞こうとしたときだった。
「動くな」
静かに、でも、鋭利な刃物のような声色で。
先ほどの散髪の時の、穏やかさはなく、まるで僕の喉元に突き付けられている挟みのようだった。
「油断しすぎよ。散髪なんて身動きが取れなくて、背中を相手に預けて無防備になる瞬間なんだから」
「えあな、ななな」
「誰が喋っていいって言ったの?」
グッと挟みを押し込まれて、僕は押し黙るしかなかった。
きゅ、急展開すぎる、一体どういうこと?
「あんたはただ黙って私が言うことに頷いてればいいのよ、分かったかしら?」
目の前でジョッキンと鋏がなり、シーツをスパッと切り裂くのをみて、僕は刻々と頷く。
「それでいいのよ、あんた私と取引しなさい。もちろん回答はYESしか許さないけどね」
取引……どんなものだろうか。
それがどんなもので僕は頷くしかないわけだけど。
くっ、こういう時戦闘系スキルがないのは1分間でシミュレーションしたところで、首を搔っ切れらて終わりだろうし。
「まず一つ」そういってスズは取引の内容を言っていった。
「あんた、私を雇いなさい。見ての通りは私は理容師よ、それも宮廷に勤めていたこともある腕利き、ここのメイドからあんたが飼ってる奴隷まで一切合切面倒を見てあげるわ。分かったわね?」
こくこく
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リンを売る?
100万リーゲルでリンを買い戻そうというのか。
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「頷きなさいよ!死にたいの!!」
チクッと首元に痛みが!
僕はこくこくと頷く。
「それでいいのよ。あとで契約書を見せないよね。それと私が買い戻すまでの間、リンに酷いことをしたら許さないからね!猫の恨みは怖いのよ、末代まで呪ってやるんだから!!」と首をぎゅうっと絞めらる。
タップ、タップ。
「そ、それから」
おいおい、まだあるのかよ。
僕がげんなりしていると、スズが口をすぼめて
「このことはリンには秘密よ。分かったわね?」
秘密、ね。
「わ・か・った・わ・ね?」
ギラっと鋏をちらつかされて、僕はこくこくと頷くことしか出来なかった。
「ふんっ、それでいいのよ。これからよろしくね。ご・しゅ・じ・ん・さ・ま」
と鋭い八重歯を見せて、スズが不敵に笑う。
まったく敬ってる気がしないけど、まぁいいか。
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三矢さくら
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【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
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主人公が気持ち悪すぎるのと、表現としても読むのが面倒臭くなるのでもう少し抑えて欲しい笑
凄く設定も面白いですね
先が気になるので頑張って下さい
まさくんさん、感想ありがとうございます。
初感想でとても嬉しいです。
仕事もようやく落ち着いてきましたので、また週1ペースに戻したいなと思っております。
また応援頂けると幸いです。
最新話も今週中に公開できればと思っております。