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貴族編
第49話 それぞれの御付きのメイド達① ラフィ編
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従者や下僕いわゆる御付きと呼ばれるメイドとは、普通の使用人たるメイドとは違い主人またはその家族の世話を直接するメイドの中でも一目置かれる存在である。
特に下級貴族の子女などは貴族に取り入るチャンスでもあり、従者を目指すメイドは多い。
異色の求人、帝国領土とは言えないほどの辺境という過酷さ、さらになぜか虐げられるはずである性奴隷として買われた女性の御付きという異質さ、それを加味してなお、特に応募多数であった従者希望のメイドたちは、未経験可、人種問わず、また紹介状も要らないという気安さから、ダメもとで受ける者が多く面談するだけ3日はかかったほどだった。
そんな激戦な面談を見事勝ち抜いた従者が彼女の朝が始まろうとしていた。
シュッサクこと秀作がまだベッドで夢の世界に落ちているころ。
太陽が起きはじめ、白み始めた空にはまだ月が残っている、早朝。
そこはすでに戦場と化していた。
「シュル! シチューは焦がしてないだろうね!?」
朝のキッチン。
それは戦場といえる。
朝、主人たちが起きだす前にのさらに前、お世話の準備や城の清掃をする使用人たちの食事を用意しなければならないとなれば、朝といえる時間の前から準備をしなければならない。
そして早朝とは、戦いのクライマックスのような時間帯だった。
だからだろう、この戦場の司令官たる料理長 パレスティア 通称パレスがつい口調があらぽくなるのはしょうがないことだった。
おたまを持ち、剣をつきつける剣士のように料理人やその補佐達に指示や確認していく。
「あっあ、あぅ」
そのうちの料理人補佐 シュルと呼ばれた少女はシチューをかき混ぜながら、素っ頓狂な声を上げる。
「あぅ!じゃないよ! 焦がしてないなら『はい!』焦がしたなら『いいえ!』とはっきりいいな!」
「ひぃぃ!」
赤毛の犬の亜人たるシュルは、尻尾と耳を垂れ下げ涙目になっている。
「殴りゃしないよ!頭抱えって蹲る暇があるなら、鍋を回しな!ああっもうニィ!あんたがやりな!」
「はいはいにゃぁ~」とぴょんと蹲るシュルを飛び越えて、シチューをかき回す。
「大丈夫にゃー。シュルはちゃんと出来てるにゃー」と笑うのは、料理人の一人猫人族のニィニューナ通称ニィだ。
「ほら、シュル。掻きまわしておくにゃー。パレス料理長もあんまり脅かしたら可哀想にゃー」
「はんっ!あたいのがどこが脅かしてるんだい!さっさと次の料理に取り掛かりな!今日は初日だよ!絶対に失敗できないんだからね!」
そんな戦場のようなキッチンの隣部屋には、大きな長テーブルが置かれていた。
もちろん、秀作たちが使うダイニングテーブルと比べれるまでもないただの板を継ぎ接ぎしただけの長いテーブルだ。
そこにはすでに色とりどりの髪をしたまさに彩色豊かな女性たちが幾人も座って朝食がでるのを待っている。
谷間を出し、その肢体をさらけ出しているものもいれば、オードソックスで地味なメイド服を着るものもいる。
共通点は、何れも女性ということだ。
秀作が夢見る女の花園、しかし実情は情報収集であったり、派閥の構成だったりと女の戦場であったのだった。
「ほらっ!さっさと流し込んで、ご奉仕に励みな!」
長テーブルに座る多くの使用人やメイド達の前にパレス率いる料理人や補佐達が次々とパンやらシチューやらを置いていく。
「いただきましょう。主と旦那様に感謝して」
そう言って使用人やメイド達を纏めるメイド長たるベレーザが手を合わす。
それに合わせて「「「「感謝を」」」」とみなも一斉に祝辞を短く述べてから食事に手を伸ばし始める。
ウェーブかかったピンク髪が汚れないようにかきあげて肩に回すのは、シルフィーの専属メイドのシホリンだ。
「ふーん、柔らか。シチューに付けなくてよさそう」とちぎってシチューにつけたパンを口に放り込む。
「さすが黄金卿の支援があるだけあって食料は潤沢にありそう。小麦が上質だからパンも柔らかいわ」と答えるのは、まるで背中に定規でも入れているんだじゃないかというほどきっちりと背を伸ばした教科書的なマナーで食べるリルの専属メイド アーネ。
「これがいつまでも続けばいいのですが・・・・・・」と心配そうにつぶやくのは、耳を垂れさせた犬の亜人にしてレナールの専属メイド ビケット。
犬のようにシチュー皿を持って直接ペロペロ飲んでいる。
「大丈夫なのです!なにせここにはローザ様がいらっしゃるのですから!」
そう言って胸を叩いて立ち上がるのは、ローザの専属メイド エストアだ。
「黄金卿やトラエル様がローザ様にひもじい思いをさせるわけがないのであります。黄金卿やトラエル様はたいそうローザ様を可愛がっておられ・・・・・・」と周りがドン引きして聞いているのもいとわず朝かマシンガントークが始まり、初見のものは目をぱちくりさせて聞いている。
その横で淡々とシチューをすするのはいつものことだと無視を決め込むシオンの専属メイド ラフィだ。
「これ、美味しいルィナも食べてみて」
「ああ、もう食べてるよリィナ」
髪の毛がオレンジとアオ、それ以外は容姿がそっくりな双子メイドはシュッサクの専属メイド リィナとルィナだ。
その二人に「ねぇあんたたちってやっぱり双子なの?」とシホリンが話しかける。
「ええっそうよ」
「ああっ」
「へっー、そうなんだ。そっくりだもんねぇ」と指したる興味もなさそうにシホリンが頷くとチリンチリンとベルが鳴る。
するとみな一様に振り返る。
金、銀、黒、緑、茶色、赤と6個それぞれに色つきのリボンが撒かれたベルが置かれ、そのうちの一つ銀色のリボンが撒かれたベルが鳴らされているようだ。
ある者は安堵のため息をあるものは、立ち上がった。
「では行きます」と口元をナプキンで拭いながら立ち上がったのはラフィだ。
「シオンお嬢様によろしくね」とベレーザが声をかける。
ベル一つ一つにヒモがついており、それは各自の部屋に繋がっている。
その部屋の主に使用人に用があれば紐を引っ張るとベルがなるのだ。
原始的だが、設備投資も少なく魔法も使わないため貴族屋敷では重宝されている代物だ。
つまりベルがなるとはその部屋の主人に呼ばれているということだ。
金はローザ、銀はシオン、黒はリル、緑はシルフィー、茶色はレナール、赤は秀作といった具合になっている。
「おつかれー」とシホリンがラフィに声をかける。
直後またベルがなる。
「まじぃー?」とシホリンが声をあげる。
みれば自身を呼ぶ緑のベルがなっているのだ。
「あなたもね」といってラフィは使用人の食堂を出てシオンの部屋へと向かった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「おはようございます」
「ええ、おはよう」
まだ霧も立ち込めるような肌寒い早朝。
主人たちが起きだす前に暖炉に火をつけ、部屋を片付る使用人たちに挨拶をしながらラフィはシオンの部屋へと向かった。
3Fのお嬢様がいるフロアの一室、コン、コン、コンと帝国式の3回ノックをして、「ラフィでございます。シオンお嬢様」と告げると「入ってちょうだい」と返事があり、扉を開いた。
部屋に入ると、カーテンは閉じられ、部屋は薄暗い。
シオンお嬢様は、ハーフヴァンパイアという稀有な種族。
強い日差しを嫌い、薄く闇を好むと聞いている。
そのためだろう、カーテンが閉ざされた部屋にはロウソクの火は灯っていない。
その代わりに暗闇に浮かぶよう宝石のように紅玉の瞳が2つ浮かんでいた。
「何か御用でしょうか、シオンお嬢様」
スカートをつまみ、膝を曲げる礼を取り、予め閉じておいた片目を開ける。
暗闇になれた左目が、闇夜に浮かぶ月のようにきれいな銀髪の少女、ラフィの主人たるシオンがベッドに腰かけているのが見え、
「――――っ!」
ラフィは、突然の殺気に身を捩った。
直後頬のすぐそばの空気を掠めるように鋭利な何かが通過していった。
衝撃に、ラフィの金髪が何本か引きちぎられる。
カッン!と甲高い音を立てて、それは壁に突き刺さった。
ショートソード、レナールお嬢様がお作りになったミスリルと鉄の合金製の刃は壁に半ばまで刀身をめり込ませている。
当然、体に当たったらタダじゃすまない。
「お戯れを、シオンお嬢様」
あくまで平静に皺の寄ったスカートをたたいて直しながら、声色には抗議の念を含ませる。
「流石ね。私なら避けられなかったと思うわ」
だが、シオンお嬢様はそんなもの意にも返さずいけしゃあしゃあとそんなことを言う。
「それは…・・私を殺そうとしたということでしょうか?」
だからつい、こんなことをラフィは問いかけてしまう。
まさか、とシオンお嬢様は薄ら笑う「避けられなくても腕でガードくらいはできるでしょ。動きが見たかったの」
なんてことを平然と言う。
動き、それはベレーザと比べてという意味だろう。
シオンお嬢様は、元々従者にはベレーザを強く望んでいた。
だが、ベレーザは、トラエル様よりメイド長として遣わされている。
ただでさえ、旦那様のあの破廉恥な、いや特殊な求人のせいで人手不足なのだ。
いち、奴隷の従者などしている暇などあろうはずがない。
そこで、ラフィで渋々納得する形になったのだ。
「朝から悪いけど、お願いしたいことがあるの」
どうやらテストは、合格だったようだ。
いますぐ結果を突き返してやりたいが、そうもいかない。
「なんでしょうか」
「少し汗を流したいの、組み手に付き合ってもらえないかしら?」
だろうなとは、思った。
シオンお嬢様はとても剣技や格闘などの研鑽を好まれる。
だからこそ、戦闘もできるメイドであるベレーザを従者にしたかったのだろう。
「申し訳ございません。シオンお嬢様、それは出来かねます」と膝を折る礼でラフィは返す。
「なぜかしら?」
「ただのメイドでございます。そのようなことはとても出来かねます」
シオンが顎に手を載せてこちらを見る。
「ただのメイドにあれは避けられないと思うけど?」
ラフィは従者だ。
組手相手なんて、それは別に教官を雇うべきことであり、メイドの領分じゃない。
確かに、普通のメイドにあの攻撃は避けられないだろう。
だから、どうだと言うのだ。
ラフィは、シオンに仕えてはいるが、奴隷ではない。
仕事の領分を超えることはする必要がないのだ。
「……」
そう沈黙という形でラフィは返した。
ふぅーとシオンお嬢様が困ったように嘆息する。
これ以上の無理尻は出来ないだろう。
それにラフィは、従者を外されたって一向にかまわない。
城のメイドになったっていいし、黄金卿の屋敷に戻ったてさえいいとラフィは思っていた。
「ご用件が以上でしたら、一旦失礼させていただきます」
だからラフィは話を断ち切り、礼をして立ち去ろうとした。
背を向け、ドアノブに手をかけたときだった。
「ペットを、飼っているようね」
背中に、鼓膜に、魂に、揺さぶりをかけるような静かで、けれど響くウィスパーボイスをかけられる。
心臓が跳ね上がる。
バレてる?と逡巡してしまう。
いや、あまりにも早すぎる。
ラフィはドアノブから手を離し、振り返った。
「ペット? 何のことでしょうか。私の部屋には動物の類はおりませんが?」
なんなら調べってもらっても構わない。そんなもの本当にいないのだから。
「隠し事がうまいのね」とシオンお嬢様は鎌をかけてくるが、
本当になんでこんなことを言っているだろう?と不思議そうな雰囲気を醸し出す。
ラフィにはそれができる。そう訓練されているから。
「雇用名簿に載っていない使用人がいるわね、なぜかしら?」
雇用名簿・・・・・・なんでそんなものを、いやそんなことどうでもいい。
旦那様に言えば、隠さずに見せてもらえるだろう。
ラフィはとぼけることにした。
「名簿に載っていないもの?……ああっ、門番として置いている魔獣のことでしょうか?あれはベレーザが管轄しておりましてもしよろしければ、後程説明に―――」
「―――調理場の獣人のことよ」
チェックメイトと言わんばかりにシオンお嬢様は言い放つ。
「なんの、いえ、その、ああっ隷奴のことでしょうか?あれは給金がいらないので雇用名簿に載っていないものとかと」
クスッとシオンお嬢様がそれに笑った。
ネグリジェから伸びる足を絡める。腕を組み、膝に肘を載せて手の平に顎を載せ、伸びた指は艶めかしく唇に這っている。
ゾクリと、背中に何かが走る。
香を立ってているわけでもないのに、どこかしらか、空気に甘い香りが混ざっている気がさえする。
女のみであるラフィでさえそう感じるのだから、旦那様が夢中になるのも分かる。
そんな妖艶なるシオンお嬢様は、おもちゃを見つけた猫のように紅玉の瞳を蘭々と輝かせている。
「名簿に載っていないのは、いざという時、困るわね」
「その通りでございます。ベレーザに言って別の名簿を作るように進言しておきます」
これは完全にバレているとみて間違えない。
頭をさげつつ、ラフィは下唇を噛んだ。
シオンお嬢様の言うペットとは、ラフィがロガリエス盗賊団を討伐した際に保護した女の子シュルのことだ。
ロガリエス盗賊団は、性処理用や奴隷売約用にだろう、村々や町から娘を攫ってきていた。
大体は、村に返したり、神殿に預けたりとしたが、シュルはここに残ることを希望した。
村がもうなく、身寄りがなく、当然行く当てもない。
帝都に返してもよくて娼婦か税が払えずに奴隷として売られるのは目に見えていた。
だからラフィは、彼女を保護することにしたのだ。
彼女は、奪われ、犯され、傷ついている。
そんな彼女に情が湧いてしまったのだ。
それに彼女が望むのは、給金や立場じゃない。
食事と安全な寝床、それさえあれば喜んで仕事をする隷奴だ。
ベレーザの許可ももらっているし、なにより城は人手不足なのだ。
そうだ、別に隠す必要もなければ、ラフィはそれを責められることもない。
そう結論付けて言葉を続けた。
「帳簿の件は、失念しておりましたが、彼女は正当に城の使用人として仕えております。
ベレーザメイド長の許可ももらっておりますし、旦那様からは使用人の人事権を一部頂いておりますので」
これでどうだとラフィがシオンお嬢様を見ると、「随分、饒舌に話すのね」と余裕の態度を崩さない。
他に、なにかあるだろうか。
「彼女たち、私は危険だと思うの」
「……危険とは?」
シオンお嬢様の紅玉の瞳が爛々と輝く。
知らず、握られていたこぶしに汗が噴き出てきたのをラフィは感じた。
「元ロガリエス盗賊団の囚われてたかわいそうな娘。……けれど、本当にそうなのかしら」
……そういうことか。
ラフィはここにきてようやくシオンお嬢様が何を言っているのかを察した。
「それを装って、スパイだったり、もしくは旦那様の命を狙っているかもしれないわ。たとえば料理に毒を盛るとか」
「それは、」
「ないとは言い切れないじゃない。旦那様のおそばにいる私としては、心配だわ。可能性をお伝えしないと」
もしシオンお嬢様が旦那様に、お伝えした場合、当然彼女は、帝都に強制送還されることになる。
ベレーザに擁護してもらってもだめだろう。
理屈でかったとしても、シオンお嬢様が私が嫌だから城から追い出して欲しいと懇願すれば旦那様は二つ返事でOKするだろう。
それほどに、旦那様は、シオンお嬢様を溺愛している。
本来性奴隷であるはずのシオンをお嬢様と言わせ、従者を付けているぐらいには。
そうなれば、彼女のは未来は、娼婦か奴隷のどちらかだ。
希望を与えておいて、それをすぐに絶望に突き落とす。
そんなことラフィにはできそうになかった。
「ラフィ、朝早くでも申し訳ないけど、旦那様に取次をしてくれる?」
放たれた言葉の刃をラフィは避けることができなかった。
ラフィは素直に頭を垂れた。
「私の負けでございます。シオンお嬢様」
「勝ち負けなんて競っているつもりはないけど」
あくまでも私の口から言わせたいみたいだ。
ラフィは顔をあげた。
そんなラフィにシオンお嬢様は、続ける。
「ただ、そうね。汗が満足に流せれば、嫌なことも一緒に流れていくと思うわ」
「……シオンお嬢様が満足いけるよう、精一杯組手の相手をさせていただきます」
「あら、そう。気が変わったのなら嬉しいわ」
「はい……旦那様に取次は必要でしょうか?」
「いえ、やっぱりいいわ。旦那様もお忙しいだろうし」
「承知致しました。ただ、組手は朝食の後でお願い致します。朝食の場に汗や汚れた状態で行くわけには参りませんので」
クスッとシオンお嬢様は、鼻を鳴らす。
いたずらが成功した猫のように。
「ええっ、それでいいわぁ、一旦下がっていいわよ、ラフィ」
「ではまった朝食の前に伺わせていただきます」
膝を折る礼をして、ラフィは部屋を出た。
「これから、よろしくね。ラフィ」
そんなラフィの背中にシオンお嬢様の声がかかる。
ただの稀有な種族の性奴隷。
少し戦闘狂の女の子。
そう侮っていた。
だが、実際は
この短期間で調べ上げこちらの弱いところをつく緻密な謀略家。
その上理知的に見えてじつは短絡的で感情的、自分の欲しいものにはとことん強欲さは熟練の貴族そのものだ。
今度はそう思って接しないといけない。
はぁーとんだ、ババを引いてしまったようだとラフィは思った。
まったく恨むわよ、ベレーザ。
そんな万感の思いを胸にそっとしまって、
「はい、こちらこそよろしくお願い致します。シオンお嬢様」と返して扉を閉めた。
特に下級貴族の子女などは貴族に取り入るチャンスでもあり、従者を目指すメイドは多い。
異色の求人、帝国領土とは言えないほどの辺境という過酷さ、さらになぜか虐げられるはずである性奴隷として買われた女性の御付きという異質さ、それを加味してなお、特に応募多数であった従者希望のメイドたちは、未経験可、人種問わず、また紹介状も要らないという気安さから、ダメもとで受ける者が多く面談するだけ3日はかかったほどだった。
そんな激戦な面談を見事勝ち抜いた従者が彼女の朝が始まろうとしていた。
シュッサクこと秀作がまだベッドで夢の世界に落ちているころ。
太陽が起きはじめ、白み始めた空にはまだ月が残っている、早朝。
そこはすでに戦場と化していた。
「シュル! シチューは焦がしてないだろうね!?」
朝のキッチン。
それは戦場といえる。
朝、主人たちが起きだす前にのさらに前、お世話の準備や城の清掃をする使用人たちの食事を用意しなければならないとなれば、朝といえる時間の前から準備をしなければならない。
そして早朝とは、戦いのクライマックスのような時間帯だった。
だからだろう、この戦場の司令官たる料理長 パレスティア 通称パレスがつい口調があらぽくなるのはしょうがないことだった。
おたまを持ち、剣をつきつける剣士のように料理人やその補佐達に指示や確認していく。
「あっあ、あぅ」
そのうちの料理人補佐 シュルと呼ばれた少女はシチューをかき混ぜながら、素っ頓狂な声を上げる。
「あぅ!じゃないよ! 焦がしてないなら『はい!』焦がしたなら『いいえ!』とはっきりいいな!」
「ひぃぃ!」
赤毛の犬の亜人たるシュルは、尻尾と耳を垂れ下げ涙目になっている。
「殴りゃしないよ!頭抱えって蹲る暇があるなら、鍋を回しな!ああっもうニィ!あんたがやりな!」
「はいはいにゃぁ~」とぴょんと蹲るシュルを飛び越えて、シチューをかき回す。
「大丈夫にゃー。シュルはちゃんと出来てるにゃー」と笑うのは、料理人の一人猫人族のニィニューナ通称ニィだ。
「ほら、シュル。掻きまわしておくにゃー。パレス料理長もあんまり脅かしたら可哀想にゃー」
「はんっ!あたいのがどこが脅かしてるんだい!さっさと次の料理に取り掛かりな!今日は初日だよ!絶対に失敗できないんだからね!」
そんな戦場のようなキッチンの隣部屋には、大きな長テーブルが置かれていた。
もちろん、秀作たちが使うダイニングテーブルと比べれるまでもないただの板を継ぎ接ぎしただけの長いテーブルだ。
そこにはすでに色とりどりの髪をしたまさに彩色豊かな女性たちが幾人も座って朝食がでるのを待っている。
谷間を出し、その肢体をさらけ出しているものもいれば、オードソックスで地味なメイド服を着るものもいる。
共通点は、何れも女性ということだ。
秀作が夢見る女の花園、しかし実情は情報収集であったり、派閥の構成だったりと女の戦場であったのだった。
「ほらっ!さっさと流し込んで、ご奉仕に励みな!」
長テーブルに座る多くの使用人やメイド達の前にパレス率いる料理人や補佐達が次々とパンやらシチューやらを置いていく。
「いただきましょう。主と旦那様に感謝して」
そう言って使用人やメイド達を纏めるメイド長たるベレーザが手を合わす。
それに合わせて「「「「感謝を」」」」とみなも一斉に祝辞を短く述べてから食事に手を伸ばし始める。
ウェーブかかったピンク髪が汚れないようにかきあげて肩に回すのは、シルフィーの専属メイドのシホリンだ。
「ふーん、柔らか。シチューに付けなくてよさそう」とちぎってシチューにつけたパンを口に放り込む。
「さすが黄金卿の支援があるだけあって食料は潤沢にありそう。小麦が上質だからパンも柔らかいわ」と答えるのは、まるで背中に定規でも入れているんだじゃないかというほどきっちりと背を伸ばした教科書的なマナーで食べるリルの専属メイド アーネ。
「これがいつまでも続けばいいのですが・・・・・・」と心配そうにつぶやくのは、耳を垂れさせた犬の亜人にしてレナールの専属メイド ビケット。
犬のようにシチュー皿を持って直接ペロペロ飲んでいる。
「大丈夫なのです!なにせここにはローザ様がいらっしゃるのですから!」
そう言って胸を叩いて立ち上がるのは、ローザの専属メイド エストアだ。
「黄金卿やトラエル様がローザ様にひもじい思いをさせるわけがないのであります。黄金卿やトラエル様はたいそうローザ様を可愛がっておられ・・・・・・」と周りがドン引きして聞いているのもいとわず朝かマシンガントークが始まり、初見のものは目をぱちくりさせて聞いている。
その横で淡々とシチューをすするのはいつものことだと無視を決め込むシオンの専属メイド ラフィだ。
「これ、美味しいルィナも食べてみて」
「ああ、もう食べてるよリィナ」
髪の毛がオレンジとアオ、それ以外は容姿がそっくりな双子メイドはシュッサクの専属メイド リィナとルィナだ。
その二人に「ねぇあんたたちってやっぱり双子なの?」とシホリンが話しかける。
「ええっそうよ」
「ああっ」
「へっー、そうなんだ。そっくりだもんねぇ」と指したる興味もなさそうにシホリンが頷くとチリンチリンとベルが鳴る。
するとみな一様に振り返る。
金、銀、黒、緑、茶色、赤と6個それぞれに色つきのリボンが撒かれたベルが置かれ、そのうちの一つ銀色のリボンが撒かれたベルが鳴らされているようだ。
ある者は安堵のため息をあるものは、立ち上がった。
「では行きます」と口元をナプキンで拭いながら立ち上がったのはラフィだ。
「シオンお嬢様によろしくね」とベレーザが声をかける。
ベル一つ一つにヒモがついており、それは各自の部屋に繋がっている。
その部屋の主に使用人に用があれば紐を引っ張るとベルがなるのだ。
原始的だが、設備投資も少なく魔法も使わないため貴族屋敷では重宝されている代物だ。
つまりベルがなるとはその部屋の主人に呼ばれているということだ。
金はローザ、銀はシオン、黒はリル、緑はシルフィー、茶色はレナール、赤は秀作といった具合になっている。
「おつかれー」とシホリンがラフィに声をかける。
直後またベルがなる。
「まじぃー?」とシホリンが声をあげる。
みれば自身を呼ぶ緑のベルがなっているのだ。
「あなたもね」といってラフィは使用人の食堂を出てシオンの部屋へと向かった。
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「おはようございます」
「ええ、おはよう」
まだ霧も立ち込めるような肌寒い早朝。
主人たちが起きだす前に暖炉に火をつけ、部屋を片付る使用人たちに挨拶をしながらラフィはシオンの部屋へと向かった。
3Fのお嬢様がいるフロアの一室、コン、コン、コンと帝国式の3回ノックをして、「ラフィでございます。シオンお嬢様」と告げると「入ってちょうだい」と返事があり、扉を開いた。
部屋に入ると、カーテンは閉じられ、部屋は薄暗い。
シオンお嬢様は、ハーフヴァンパイアという稀有な種族。
強い日差しを嫌い、薄く闇を好むと聞いている。
そのためだろう、カーテンが閉ざされた部屋にはロウソクの火は灯っていない。
その代わりに暗闇に浮かぶよう宝石のように紅玉の瞳が2つ浮かんでいた。
「何か御用でしょうか、シオンお嬢様」
スカートをつまみ、膝を曲げる礼を取り、予め閉じておいた片目を開ける。
暗闇になれた左目が、闇夜に浮かぶ月のようにきれいな銀髪の少女、ラフィの主人たるシオンがベッドに腰かけているのが見え、
「――――っ!」
ラフィは、突然の殺気に身を捩った。
直後頬のすぐそばの空気を掠めるように鋭利な何かが通過していった。
衝撃に、ラフィの金髪が何本か引きちぎられる。
カッン!と甲高い音を立てて、それは壁に突き刺さった。
ショートソード、レナールお嬢様がお作りになったミスリルと鉄の合金製の刃は壁に半ばまで刀身をめり込ませている。
当然、体に当たったらタダじゃすまない。
「お戯れを、シオンお嬢様」
あくまで平静に皺の寄ったスカートをたたいて直しながら、声色には抗議の念を含ませる。
「流石ね。私なら避けられなかったと思うわ」
だが、シオンお嬢様はそんなもの意にも返さずいけしゃあしゃあとそんなことを言う。
「それは…・・私を殺そうとしたということでしょうか?」
だからつい、こんなことをラフィは問いかけてしまう。
まさか、とシオンお嬢様は薄ら笑う「避けられなくても腕でガードくらいはできるでしょ。動きが見たかったの」
なんてことを平然と言う。
動き、それはベレーザと比べてという意味だろう。
シオンお嬢様は、元々従者にはベレーザを強く望んでいた。
だが、ベレーザは、トラエル様よりメイド長として遣わされている。
ただでさえ、旦那様のあの破廉恥な、いや特殊な求人のせいで人手不足なのだ。
いち、奴隷の従者などしている暇などあろうはずがない。
そこで、ラフィで渋々納得する形になったのだ。
「朝から悪いけど、お願いしたいことがあるの」
どうやらテストは、合格だったようだ。
いますぐ結果を突き返してやりたいが、そうもいかない。
「なんでしょうか」
「少し汗を流したいの、組み手に付き合ってもらえないかしら?」
だろうなとは、思った。
シオンお嬢様はとても剣技や格闘などの研鑽を好まれる。
だからこそ、戦闘もできるメイドであるベレーザを従者にしたかったのだろう。
「申し訳ございません。シオンお嬢様、それは出来かねます」と膝を折る礼でラフィは返す。
「なぜかしら?」
「ただのメイドでございます。そのようなことはとても出来かねます」
シオンが顎に手を載せてこちらを見る。
「ただのメイドにあれは避けられないと思うけど?」
ラフィは従者だ。
組手相手なんて、それは別に教官を雇うべきことであり、メイドの領分じゃない。
確かに、普通のメイドにあの攻撃は避けられないだろう。
だから、どうだと言うのだ。
ラフィは、シオンに仕えてはいるが、奴隷ではない。
仕事の領分を超えることはする必要がないのだ。
「……」
そう沈黙という形でラフィは返した。
ふぅーとシオンお嬢様が困ったように嘆息する。
これ以上の無理尻は出来ないだろう。
それにラフィは、従者を外されたって一向にかまわない。
城のメイドになったっていいし、黄金卿の屋敷に戻ったてさえいいとラフィは思っていた。
「ご用件が以上でしたら、一旦失礼させていただきます」
だからラフィは話を断ち切り、礼をして立ち去ろうとした。
背を向け、ドアノブに手をかけたときだった。
「ペットを、飼っているようね」
背中に、鼓膜に、魂に、揺さぶりをかけるような静かで、けれど響くウィスパーボイスをかけられる。
心臓が跳ね上がる。
バレてる?と逡巡してしまう。
いや、あまりにも早すぎる。
ラフィはドアノブから手を離し、振り返った。
「ペット? 何のことでしょうか。私の部屋には動物の類はおりませんが?」
なんなら調べってもらっても構わない。そんなもの本当にいないのだから。
「隠し事がうまいのね」とシオンお嬢様は鎌をかけてくるが、
本当になんでこんなことを言っているだろう?と不思議そうな雰囲気を醸し出す。
ラフィにはそれができる。そう訓練されているから。
「雇用名簿に載っていない使用人がいるわね、なぜかしら?」
雇用名簿・・・・・・なんでそんなものを、いやそんなことどうでもいい。
旦那様に言えば、隠さずに見せてもらえるだろう。
ラフィはとぼけることにした。
「名簿に載っていないもの?……ああっ、門番として置いている魔獣のことでしょうか?あれはベレーザが管轄しておりましてもしよろしければ、後程説明に―――」
「―――調理場の獣人のことよ」
チェックメイトと言わんばかりにシオンお嬢様は言い放つ。
「なんの、いえ、その、ああっ隷奴のことでしょうか?あれは給金がいらないので雇用名簿に載っていないものとかと」
クスッとシオンお嬢様がそれに笑った。
ネグリジェから伸びる足を絡める。腕を組み、膝に肘を載せて手の平に顎を載せ、伸びた指は艶めかしく唇に這っている。
ゾクリと、背中に何かが走る。
香を立ってているわけでもないのに、どこかしらか、空気に甘い香りが混ざっている気がさえする。
女のみであるラフィでさえそう感じるのだから、旦那様が夢中になるのも分かる。
そんな妖艶なるシオンお嬢様は、おもちゃを見つけた猫のように紅玉の瞳を蘭々と輝かせている。
「名簿に載っていないのは、いざという時、困るわね」
「その通りでございます。ベレーザに言って別の名簿を作るように進言しておきます」
これは完全にバレているとみて間違えない。
頭をさげつつ、ラフィは下唇を噛んだ。
シオンお嬢様の言うペットとは、ラフィがロガリエス盗賊団を討伐した際に保護した女の子シュルのことだ。
ロガリエス盗賊団は、性処理用や奴隷売約用にだろう、村々や町から娘を攫ってきていた。
大体は、村に返したり、神殿に預けたりとしたが、シュルはここに残ることを希望した。
村がもうなく、身寄りがなく、当然行く当てもない。
帝都に返してもよくて娼婦か税が払えずに奴隷として売られるのは目に見えていた。
だからラフィは、彼女を保護することにしたのだ。
彼女は、奪われ、犯され、傷ついている。
そんな彼女に情が湧いてしまったのだ。
それに彼女が望むのは、給金や立場じゃない。
食事と安全な寝床、それさえあれば喜んで仕事をする隷奴だ。
ベレーザの許可ももらっているし、なにより城は人手不足なのだ。
そうだ、別に隠す必要もなければ、ラフィはそれを責められることもない。
そう結論付けて言葉を続けた。
「帳簿の件は、失念しておりましたが、彼女は正当に城の使用人として仕えております。
ベレーザメイド長の許可ももらっておりますし、旦那様からは使用人の人事権を一部頂いておりますので」
これでどうだとラフィがシオンお嬢様を見ると、「随分、饒舌に話すのね」と余裕の態度を崩さない。
他に、なにかあるだろうか。
「彼女たち、私は危険だと思うの」
「……危険とは?」
シオンお嬢様の紅玉の瞳が爛々と輝く。
知らず、握られていたこぶしに汗が噴き出てきたのをラフィは感じた。
「元ロガリエス盗賊団の囚われてたかわいそうな娘。……けれど、本当にそうなのかしら」
……そういうことか。
ラフィはここにきてようやくシオンお嬢様が何を言っているのかを察した。
「それを装って、スパイだったり、もしくは旦那様の命を狙っているかもしれないわ。たとえば料理に毒を盛るとか」
「それは、」
「ないとは言い切れないじゃない。旦那様のおそばにいる私としては、心配だわ。可能性をお伝えしないと」
もしシオンお嬢様が旦那様に、お伝えした場合、当然彼女は、帝都に強制送還されることになる。
ベレーザに擁護してもらってもだめだろう。
理屈でかったとしても、シオンお嬢様が私が嫌だから城から追い出して欲しいと懇願すれば旦那様は二つ返事でOKするだろう。
それほどに、旦那様は、シオンお嬢様を溺愛している。
本来性奴隷であるはずのシオンをお嬢様と言わせ、従者を付けているぐらいには。
そうなれば、彼女のは未来は、娼婦か奴隷のどちらかだ。
希望を与えておいて、それをすぐに絶望に突き落とす。
そんなことラフィにはできそうになかった。
「ラフィ、朝早くでも申し訳ないけど、旦那様に取次をしてくれる?」
放たれた言葉の刃をラフィは避けることができなかった。
ラフィは素直に頭を垂れた。
「私の負けでございます。シオンお嬢様」
「勝ち負けなんて競っているつもりはないけど」
あくまでも私の口から言わせたいみたいだ。
ラフィは顔をあげた。
そんなラフィにシオンお嬢様は、続ける。
「ただ、そうね。汗が満足に流せれば、嫌なことも一緒に流れていくと思うわ」
「……シオンお嬢様が満足いけるよう、精一杯組手の相手をさせていただきます」
「あら、そう。気が変わったのなら嬉しいわ」
「はい……旦那様に取次は必要でしょうか?」
「いえ、やっぱりいいわ。旦那様もお忙しいだろうし」
「承知致しました。ただ、組手は朝食の後でお願い致します。朝食の場に汗や汚れた状態で行くわけには参りませんので」
クスッとシオンお嬢様は、鼻を鳴らす。
いたずらが成功した猫のように。
「ええっ、それでいいわぁ、一旦下がっていいわよ、ラフィ」
「ではまった朝食の前に伺わせていただきます」
膝を折る礼をして、ラフィは部屋を出た。
「これから、よろしくね。ラフィ」
そんなラフィの背中にシオンお嬢様の声がかかる。
ただの稀有な種族の性奴隷。
少し戦闘狂の女の子。
そう侮っていた。
だが、実際は
この短期間で調べ上げこちらの弱いところをつく緻密な謀略家。
その上理知的に見えてじつは短絡的で感情的、自分の欲しいものにはとことん強欲さは熟練の貴族そのものだ。
今度はそう思って接しないといけない。
はぁーとんだ、ババを引いてしまったようだとラフィは思った。
まったく恨むわよ、ベレーザ。
そんな万感の思いを胸にそっとしまって、
「はい、こちらこそよろしくお願い致します。シオンお嬢様」と返して扉を閉めた。
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