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ダンジョン編
第36話 初めてのスキルガチャ
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ス、スキルガチャ?!
そんなチートktkrのものがあるなんて!
これだよ、これ!!
これを僕は求めていたんだよ!!
僕が興奮に沸き立っているが、みんなはピンと来ていないようだ。
スキルガチャだよ!
ガチャだよ!ガチャ!!
「もぅ、みんなそんな緊張しなくても大丈夫よ。ここには魔物もいないし」
ほっほほ、とトラエルさんが口に手を当てて、手を振る。急におばさん臭い動作でみんなの緊張をほぐそうとする。
「みんな、かわいい子ばかりねー。って、わたしったら名前を言ってないじゃない!」
もうだめねぇとてへぺろとする。さすが天使なトラエルさんがするとそんなわざとらしい行為も可愛い。
「私は黄金卿の奴隷の一人、トラエルよ。みんなよろしくね」とウィンクつきの笑顔の自己紹介。
というかトラエルさんって奴隷だったのか。
あれでも奴隷を示す。黒い首輪をしていないけどな。
視覚妨害系のスキルでも使っているのだろうか。
「トラエル様。ご挨拶が遅れまして申し訳ございません。シュッサク様の奴隷の一人シオンです」と丁寧にあいさつする。
シオンもトラエルさんには一度会っているが挨拶するって感じじゃなかったしな。
「はいはい。シオンちゃんねぇ~。銀髪が綺麗だわ~」
「ありがとうございます。続きまして――――」
「――――はいはい!リルです!」
とリルがぴょんぴょん跳ねる勢いで手を大きく上げてアピールしている。
「・・・・・・リル」とシオンが咎めるように静かに言うが、リルはシオンの腕をとりながら、「わ、私が二番です」と拗ねるように頬を膨らませる。
「ふっふふ、リルちゃんていうのね。可愛いじゃない。それに幽鬼族なんて久しぶりに見たわぁ」
「――――っ!」とシオンが驚いたように目を一瞬見開くが、シオン気にしたらダメだよ。
どうせ鑑定スキルか何かがでこっちのすべてほぼお見通しのチート集団なんだから。
そしてそんなこと大したことないのだろう、トラエルさんは「可愛いわねぇ~」とリルの頭をなでなでしている。
うん、美人のお姉さんと美少女のコラボは見ていていいものだ。
リルは少し嫌そうだが。
「そして、こちらが三番奴隷のシルフィーです」
「・・・・・・どうも」とシルフィーは前髪から覗くようにトラエルさんを見ながらぺこりと会釈をする。
「えいっ!」
エッツツツ!!
ボヨンボヨンと胸を揺らしながら、トラエルさんは、シルフィーの胸を両手で鷲掴みにした!!
「・・・・・・あの?」と胸を激しく揉みしごかれながらも特に恥じらうわけでも防ぐわけでもなく、なすがまま揉まれている。
うーんそこは。「何するんですか?!揉む必要なんてないじゃないですか!」と涙目になりつつ両腕で胸を隠しながら、しゃがんで防御するぐらいの感じが好きなんだけどな。
「大きいわぁ!至福だわぁ~。こんなのが毎日もめちゃうなんて、シュッサク様が羨ましいわぁ~」
トラエルさんも結構なものをお持ちだけどね。ぐっへへへ。
「ふっふふ」とトラエルさんはいたずらぽく笑う。
それにびくりと背を震わせるのは、尻尾を逆立てながら、警戒するように両腕で胸を隠している。
「ウ、ウチは、奴隷ちゃうんやけど。まぁなんちゅーか上様のビジネスパートナー兼パーティーメンバーのレナールゥウウウウ!」
キュン!と狐声でレナールが鳴く。
目にもとまらぬ速さでトラエルさんがレナールの胸を後ろから抱き着くように揉む。
「い、いつのまに、ちょやめーや!」
「いいわ、いい。すごくいいわぁ。おっぱいはボリュームだけじゃないのよ。柔らかさだったり、そ・れ・にぃ」
ゴクッとそのエロさに喉が自然となる。
トラエルさんが自身の唇を舐める。
「反応よねぇ~」と激しく上下左右に引っ張るようにレナールの胸をもみ上げていく。
キュンキュン!とトラバサミに嵌った狐のようにレナールが鳴く。
「だめぇぅ。は、激しすぎやぁ。おっぱいもげる!はな、はなしてやあ~」
レナールが暴れながら両手を引き離さそうとしているが、トラエルさんの手は一向に離れる気配がない。
「長くなりそうね」とシオンはふぅーと嘆息する。
「・・・・・・」と二人の様子をまじまじと見ているシルフィー
「この紋様、初めて見るわ」とリルは興味を失ったようで、柱のレリーフをなどをしげしげと見ている。
「ちょ、みんな助けてやぁ!う、上様!!」
とレナールは助かに手を伸ばすが、すまんなレナール。
そんなチートキャラを止められるのはこの場にはいない。
それに、眼福眼福!と僕がニッコリとして返すと、「この、裏切りもの~」とレナールはオコなりながら、ついには肘鉄でトラエルさんをガンガン殴りだした。
「はぁ~若い子っていいわぁ~」
もちろんトラエルさんはノーダメージだ。
・・・・・・今日は僕もレナールの乳攻めをしようと思った。
キュゥウウウウウウン!とレナールのひときわ大きい悲鳴が木霊するまでトラエルさんの乳攻めは止まらなかった。
「ふぅー」とトラエルさんはスッキリとした様子で、心なしか肌もきめ細かくなった気がする。
レナールは、顔を真っ赤にしながら、床にへたりこんでしまっている。
「ごめんなさいねぇ~。さすがに調子にのっちゃったわぁ」とトラエルさんはその様子もみて我に返ったようだ。
「お詫びに、レナールちゃんには、スキルガチャ盛るわぁ。何かもらえるまでSPあげちゃう!!」
「な、何かもらえるん?」とレナールは貧乏人根性からか、貰えると聞いてピンと耳を立てる。
「ええそうよ。さぁここに来て」とトラエルさんが小さな銅像・・・・・・よく見れば女性の像のようだ。
裸だが、さすがに銅像に反応するほど僕は変態ではないぞぉ!
それよりもスキルガチャだ。
どんな奴だろう。
レナールは震える足でもたつきながら、それでも両腕で胸を隠して警戒はしつつもトラエルさんのところに行く。
「じゃあ」とトラエルさんは手をレナールに伸ばすと、ビクッとレナールは一歩飛びのく。
完全に警戒してしまっているようだ。
「あら~、もうしないわぁよ。いやぇねぇ~」
おっほほほとトラエルさんがおばさん笑いをする。
「ほ、ほんまぁ?」
「やらないって言ってるんだから大丈夫よ。早くしなさいよ」
「うっさいわぁ、ぼけっ!チビ助みたいなぺちゃぱいと違って、うちは襲われるんや!」
「な、なんですって!!」
「リル・・・・・・トラエル様の前よ。静かに」
「うっ・・・・・・はい、申し訳ございません。シオン姉様」
「へんっ、」とリルとのやり取りで平常心を取り戻したレナールがなんでもこいや!って感じで堂々とトラエルさんの前に立つ。
レナールには、悪いが僕もリルと同じ気持ちだ。
これから何が起こるのが知りたくてしょうがない。
チートスキルこい!!
リルも尻尾が宙に上がってくるくるしてるし、シオンも心なしかソワソワさているようだ。
そうだよね。
スキルがもらえると思ったら、誰だってそうなる。
「、、、、」
シルフィーだけは相変わらず分からないが。
「はい、どうぞ」とトラエルさんが指をパチンと鳴らすとレナールの全身が一瞬青白い光で包まれる。
「なんか、何も感じへんな」
暖かったり、何かが注ぎ込まれる感覚はないようだ。
「ふっふふ、これで引けるわよ。銅像に触れながら、10連と言ってみて」
「じゅ、10連!」
レナールが言われるままに、10連と言うと青白い光がレナールから銅像へと腕から指先を通って流れ込んでいく。
すると、銅像の瞳がカァっと開き!
パァン!と青色の光が爆発する。
青!色で何かあるのだろうか。
花火のような閃光。
光が収まり、銅像の目がいつの間にか閉ざされている。
ど、どうだ?
みなの注目がレナールに集まる。
「え、えっと、特に何も感じへんねんけど」とレナールが尻尾を下げながから申し訳なさそうに言う。
「なによ、何もないわけ!」とリルがいの一番に言う。
「そ、そんなこと言ったてうちやって、言われた通りにしただけやん!」
「そうそう簡単には手に入らないことじゃないかしら」
シオンは、冷静にそう言ってトラエルさんを見る。
僕も自然と視線を追うと、トラエルさんはニコニコと笑っていて「そうなのよー。本当に100連しても出ないこともあってコスパ悪いのよね」
流石ガチャ、天井もなければピックアップもない。
ただ次は出るかもしれない希望だけはある。
沼、こいつは沼だよ!
「はい、次々。レナールちゃんには出るまで回してもらうわよ」とトラエルさんがパチンと指を鳴らす。
青白い光がレナールに再度降り注がれる。
たぶんガチャを引くための何かなんだろうけど、なんだろうな。SPって言ってたけど
「おらっ、また10連や!」
レナールが気合を込めて、叫ぶ。
色はまたしても青だった。
「、、、、青」
「ふん、ダメそうね」
「ふぅー」
「ぐっぬぬぬ」
「はい、次々」
「10連!や」
青!
青!
青!
青!
青の光がこだまする様に、咲き乱れる。
流石に80連を超えてくると、皆も期待をせずにいつまで続くの?みたいな感じになってるが、レナールは犬歯を剥き出しにして10連や!叫び続けている!!
うん、レナールには、ギャンブルはさせないようにしよう。ハマるタイプだ。
そして、100連目でついに緑の光が出る!
みな、違う色におっとなるが、
「緑は、ダメなのよね」とトラエルさんがほぅーとため息を出す。
緑はダメなのか。
なら何色じゃないとダメなんだ?
レインボーとか???
「これ本当に出るの?」とリルが怪訝な文句を呟いた時、レナールが「嘘やん」と言った。
見れば、レナールが震えている。
まさか・・・!
「何か貰えたの?」といち早くシオンが反応する。
レナールは、こちらを振り返り、「た、たぶん」と惚けたように言った。
マジか!
「・・・・・・おめでと?」とシルフィーが微妙なテンションで首を傾げる。
「もぅ!なに、本当にスキルなの?!み、見せてみなさいよ!」とリルが興奮したようにまくし立てる。
いつもならシオンが窘めるところだが、おもちゃを見つけた猫のようにシオンも浮足立っているようだ。
みんなスキルに興味津々というか、本当にスキルが当たったのか
「せ、急かすなちゅーねん。い、いま見せたる!」
ふんっ、とレナールは鼻息を漏らし、気合を貯めるように瞑目する。
両方の拳を握り、それを右手を上に左を下にとずらして構える。
言ってしまえば、猫のポーズをとる。
一瞬の間――――、カァッ!と見開けれた黒い瞳が輝いたように見えた。
その異様な気配に、固唾をのんで見守っていると、
レナールは握った拳のまま、体を左に向けた。
「コン、コン、コン、コン、」
えっ・・・・・・
レナールは体を右に向けた。
「コン、コン、コン、コン、」
これは舞い?いやふざけているのか?と思うが、レナールの顔は真剣だ。
その様に、さすがにシオンもリルもシルフィーも何も言えない。
「オイナリサマ オコシノアカシ」とレナールがいい、体を正面に戻し、パンッ!と拍手を打つ。
「狐火」と一言言うと、ぼぉぉおおおおと、レナールの体を囲うようにいくつもの、青白い炎が浮かび上がった。
「おぅおおおおおお」と自然と声ならぬ声があがる。
すごい!
おもわずひゅーどろろろろっていう古典的な擬音語が出そうな感じのエフェクトだ。
「へぇー、初めて見た。ゴミドリ色でもスキルを得ることがあるのね」
えっ、ご、ゴミドリ色?
それを聞くもなく、「おめでとう!レナールちゃん、スキルGETね」とトラエルさんがわぁーとパチパチと拍手を始めた。
「う、うちが、スキルを使えるなんて」とレナールも戸惑いながら嬉しいそうだ。
しっぽもフリフリだ。
「で、どういう効果があるの!」
「わたしも知りたいわ」
とリルとシオンが食い気味にレナールに近付く。
「わぁああ、ちょいまちーや!炎に触らんほうがええ。知らんけど!」
知らんのかい!
やっぱり攻撃系のスキルなんだろうか。
「はいはい、ちゅうもーく」
リルがさらに何かを言いそうになっているのをトラエルさんが拍手を打って注目を集める。
「仲間が新しいスキルを得て楽しんでいるところ悪いけど、時間もあまりないの。わたしこれでも忙しいんだから」とそのシルフィーに匹敵する巨乳を揺らす。
「さっさとスキルガチャを引くわよ。あなたたちだって、引けるかもしれないんだから、まぁレナールちゃんは出血大サービス。一人10連だけだけどね」
たった10連?!
レナールだって100連で1個しか当ててないのに。
くそ、ガチャは一回引くともう一回引きたくなるんだよな。
「では私がいきます」とシオンも新たな力を得ることに貪欲なようでレナールと立ち位置を変わった。
「コンコンコン」とレナールは、触るなと言っておきながら、自ら青白い炎に触って嬉しそうだ。
あとで効果を聞いてみよう。
「はい、どうぞ」とレナール同様に白い光を体に浴びると、銅像に触れる。
「10連」と魂を揺さぶる声が、いつもより力が籠って見えた。
結果は、青青青と続き、一瞬だけ緑が見えた?!
ど、どうだ。
「・・・・・・何もないようです」とシオンは紅玉の瞳をそっと閉じた。
だめかー。
まぁー10連だし。緑だからいいというわけじゃないようだ。
「ふっふふ、残念ね。でも緑って基本でないのよー。私も初めて見たわ。だからついゴミドリ色って言っちゃうのよねー」
言っちゃうのよねーって、ゴミドリ色、出ない=ゴミとミドリを合わせていたのか。
見た目にあわず、トラエルさんは意外と口が悪いのかな。
「じゃあ次――――」
「―――あの」とトラエルさんにシオンが割って入る「もう一度チャンスを、もう10連引かせていただけないでしょうか?」
なんと、あのシオンがガチャ沼に嵌ろうとしている。
だめだ、シオンそこは底なし沼だ!!
ハメるなら、僕だけにしてほしい。なんちゃって。
「ごめんなさいねぇ~。これ10連するのにレベル100上げるぐらいSPがいるの。レナールちゃんて大分使っちゃったから。一人10連が限界なの」とトラエルさんが両手を胸の前で組む天使のポーズでシオンに申し訳なさそうに言う。
しかも、しれっと10連引くのにレベル100ぐらいかかるって、
ていうか、レベルって概念がやっぱりあるのか・・・・・・くそ、ステータスも神の声もないからまったく分からないぜ。
「・・・・・・そうですか」とシオンも尻尾が下がるように見えた。
尻尾ないけど
「また挑戦しましょうね。次の子は」
「はい!・・・・・・あっはい」
リルが天井に届きそうなほどに腕をあげ手返事をする、シオンを気にして、腕が縮まる。
「リルちゃんね・・・・・・はいこっちに」
とシオンと立ち位置を交換して、10連引くが・・・・・・結果は、青だった。
当然スキルもなし。
「もう何も出ないじゃない!」
「ぷっぷぷ」
「何よ!!」
「なんでもないでー。コンコンコン」とレナールが煽ってくる。
「な、なによ!たかが炎じゃない!それもそんなに小さい!!私だって炎ぐらい出せるのよ!」
「せやねー。コンコンコン」
「くぅ、このぉ~」とリルが歯軋りしている。
これはあれだな、ガチャを引いたものと引けなかったもののおりゅ?おりゃん煽りだ。
まぁソシャゲの挨拶みたいなものだ。
「残念―はい、次は」
「・・・・・・わたしでしょうか?」とシルフィーが静かにトラエルさんに近付く。
「はい!シルフィーちゃんね。頑張ってね」
「10連」
さすがシルフィーだ。トラエルさんから力を受け取ると、なんの迷いもなく銅像に触れて呟く。
普通は気合を入れたり、緊張したりするもんだが、
青青青青青青青青と光が瞬き、一際多く赤色の光が炸裂した!!
赤色きたぁああああああああああああああああああああああ。
「赤、赤は期待できるわぁ!!」とトラエルさんも興奮気味だ。
そして視界が開けた時、「・・・・・・終わりました。どうぞ」と言っただけでスタスタと歩いて後方にいった。
「駄目、駄目だったの?!んぅーあるのよね。赤でもダメな時がやっぱり金か虹よねぇー」
とトラエルさんが悶える。
色によって期待値みたいのがあるのか、青、緑、赤、金、虹って感じか?
どのソシャゲでも虹が一番いいもんな。
「ふんっ、気を落とさないようにね」とリルが満面の笑みでシルフィーの肩を背伸びして叩かく。
自分と同じおりゃん民として嬉しいようだ。
「・・・・・・? はい、リル姉様」とシルフィーは小首を傾げながら、リルに不思議そうに返す。
相変わらずシルフィーの反応は読めない。
「はい、最後はシュッサク様ねぇー。虹が出るといいわねー」
とトラエルさんに呼ばれる。
ついに僕の番かぁ・・・・・・ごくりと緊張で喉がなる。
スキル・・・・・・ガチャ、僕の体が光りに包まれる。
なるほど熱くも寒くもないし、光った以外は何も感じない。これがSP移譲。
頼む来てくれー・
スキルは、それはチートの始まり。
すべてのチートは、スキルから始まるといっても過言ではない。
今のスキルも気に入っているけど、やっぱり戦闘系の俺TUEEEEに憧れないわけじゃない!!
頼む来てくれー。
チートスキル!!!!
僕はこいこいこいこいこいこいこいと祈りながら、ぎゅっと目を瞑る。
銅像に手を伸ばした。
ひやりとした石の感触そして、「10連」と呟いた。
瞼を通して、感じる光の瞬き、青に輝いては消えていくそれを感じていると、青いや緑、赤、金何色ともつかないいや何色でもあるその輝きを感じた!!
これはまさかと僕は目を見開いた。
その時にはすでに閃光は終わっていた。
どう、だんたんだ。横にいるトラエルさんを見ると、手で口元を覆っていて「虹・・・・・・まさか出るとは思わなかったわ」と驚いたようにつぶやいた。
つまり、僕は。
スキルGETだぁあああああああああああああああああああああああああああ
「うおぉ、おおおおおおおお!!!」と思わず咆哮せずにはいられなかった。
すると後頭部に柔らかい感触「コンコン!上様流石やで!」とレナールが抱き着いてきていた。
「旦那様、おめでとうございます」とシオンも祝福してくれた。
「ふんっ、何を手に入れたか知らないけど、ダンジョンでは役に立ってよね」とリルが悪態をつきながらも祝福してくれた。
「・・・・・・」パチパチとシルフィーが無言で拍手。
ついに僕にもう一つのスキルが!
スキルがぁああああ!!!
・・・・・・ん?
・・・・・・スキルが・・・・・・???
どういうことだろうか。
World after 1 minute以外のスキルを感じない・・・・・・まさか、また幸運値をプラスするとかいう訳の分からないパッシブスキルみたいな奴が!
不安に思っていると、ニコニコとトラエルさんがほほ笑んでいた。
「すごいスキルね。こんなスキル始めて見た。“射聖液”・・・・・・ああっ私も受けてみたいわぁ」とトラエルさんが背筋がゾクゾクとしてしまうようなトロ顔を向けてきた。
しゃ、“射聖液”
一体どんなスキルなんだ。
そんなチートktkrのものがあるなんて!
これだよ、これ!!
これを僕は求めていたんだよ!!
僕が興奮に沸き立っているが、みんなはピンと来ていないようだ。
スキルガチャだよ!
ガチャだよ!ガチャ!!
「もぅ、みんなそんな緊張しなくても大丈夫よ。ここには魔物もいないし」
ほっほほ、とトラエルさんが口に手を当てて、手を振る。急におばさん臭い動作でみんなの緊張をほぐそうとする。
「みんな、かわいい子ばかりねー。って、わたしったら名前を言ってないじゃない!」
もうだめねぇとてへぺろとする。さすが天使なトラエルさんがするとそんなわざとらしい行為も可愛い。
「私は黄金卿の奴隷の一人、トラエルよ。みんなよろしくね」とウィンクつきの笑顔の自己紹介。
というかトラエルさんって奴隷だったのか。
あれでも奴隷を示す。黒い首輪をしていないけどな。
視覚妨害系のスキルでも使っているのだろうか。
「トラエル様。ご挨拶が遅れまして申し訳ございません。シュッサク様の奴隷の一人シオンです」と丁寧にあいさつする。
シオンもトラエルさんには一度会っているが挨拶するって感じじゃなかったしな。
「はいはい。シオンちゃんねぇ~。銀髪が綺麗だわ~」
「ありがとうございます。続きまして――――」
「――――はいはい!リルです!」
とリルがぴょんぴょん跳ねる勢いで手を大きく上げてアピールしている。
「・・・・・・リル」とシオンが咎めるように静かに言うが、リルはシオンの腕をとりながら、「わ、私が二番です」と拗ねるように頬を膨らませる。
「ふっふふ、リルちゃんていうのね。可愛いじゃない。それに幽鬼族なんて久しぶりに見たわぁ」
「――――っ!」とシオンが驚いたように目を一瞬見開くが、シオン気にしたらダメだよ。
どうせ鑑定スキルか何かがでこっちのすべてほぼお見通しのチート集団なんだから。
そしてそんなこと大したことないのだろう、トラエルさんは「可愛いわねぇ~」とリルの頭をなでなでしている。
うん、美人のお姉さんと美少女のコラボは見ていていいものだ。
リルは少し嫌そうだが。
「そして、こちらが三番奴隷のシルフィーです」
「・・・・・・どうも」とシルフィーは前髪から覗くようにトラエルさんを見ながらぺこりと会釈をする。
「えいっ!」
エッツツツ!!
ボヨンボヨンと胸を揺らしながら、トラエルさんは、シルフィーの胸を両手で鷲掴みにした!!
「・・・・・・あの?」と胸を激しく揉みしごかれながらも特に恥じらうわけでも防ぐわけでもなく、なすがまま揉まれている。
うーんそこは。「何するんですか?!揉む必要なんてないじゃないですか!」と涙目になりつつ両腕で胸を隠しながら、しゃがんで防御するぐらいの感じが好きなんだけどな。
「大きいわぁ!至福だわぁ~。こんなのが毎日もめちゃうなんて、シュッサク様が羨ましいわぁ~」
トラエルさんも結構なものをお持ちだけどね。ぐっへへへ。
「ふっふふ」とトラエルさんはいたずらぽく笑う。
それにびくりと背を震わせるのは、尻尾を逆立てながら、警戒するように両腕で胸を隠している。
「ウ、ウチは、奴隷ちゃうんやけど。まぁなんちゅーか上様のビジネスパートナー兼パーティーメンバーのレナールゥウウウウ!」
キュン!と狐声でレナールが鳴く。
目にもとまらぬ速さでトラエルさんがレナールの胸を後ろから抱き着くように揉む。
「い、いつのまに、ちょやめーや!」
「いいわ、いい。すごくいいわぁ。おっぱいはボリュームだけじゃないのよ。柔らかさだったり、そ・れ・にぃ」
ゴクッとそのエロさに喉が自然となる。
トラエルさんが自身の唇を舐める。
「反応よねぇ~」と激しく上下左右に引っ張るようにレナールの胸をもみ上げていく。
キュンキュン!とトラバサミに嵌った狐のようにレナールが鳴く。
「だめぇぅ。は、激しすぎやぁ。おっぱいもげる!はな、はなしてやあ~」
レナールが暴れながら両手を引き離さそうとしているが、トラエルさんの手は一向に離れる気配がない。
「長くなりそうね」とシオンはふぅーと嘆息する。
「・・・・・・」と二人の様子をまじまじと見ているシルフィー
「この紋様、初めて見るわ」とリルは興味を失ったようで、柱のレリーフをなどをしげしげと見ている。
「ちょ、みんな助けてやぁ!う、上様!!」
とレナールは助かに手を伸ばすが、すまんなレナール。
そんなチートキャラを止められるのはこの場にはいない。
それに、眼福眼福!と僕がニッコリとして返すと、「この、裏切りもの~」とレナールはオコなりながら、ついには肘鉄でトラエルさんをガンガン殴りだした。
「はぁ~若い子っていいわぁ~」
もちろんトラエルさんはノーダメージだ。
・・・・・・今日は僕もレナールの乳攻めをしようと思った。
キュゥウウウウウウン!とレナールのひときわ大きい悲鳴が木霊するまでトラエルさんの乳攻めは止まらなかった。
「ふぅー」とトラエルさんはスッキリとした様子で、心なしか肌もきめ細かくなった気がする。
レナールは、顔を真っ赤にしながら、床にへたりこんでしまっている。
「ごめんなさいねぇ~。さすがに調子にのっちゃったわぁ」とトラエルさんはその様子もみて我に返ったようだ。
「お詫びに、レナールちゃんには、スキルガチャ盛るわぁ。何かもらえるまでSPあげちゃう!!」
「な、何かもらえるん?」とレナールは貧乏人根性からか、貰えると聞いてピンと耳を立てる。
「ええそうよ。さぁここに来て」とトラエルさんが小さな銅像・・・・・・よく見れば女性の像のようだ。
裸だが、さすがに銅像に反応するほど僕は変態ではないぞぉ!
それよりもスキルガチャだ。
どんな奴だろう。
レナールは震える足でもたつきながら、それでも両腕で胸を隠して警戒はしつつもトラエルさんのところに行く。
「じゃあ」とトラエルさんは手をレナールに伸ばすと、ビクッとレナールは一歩飛びのく。
完全に警戒してしまっているようだ。
「あら~、もうしないわぁよ。いやぇねぇ~」
おっほほほとトラエルさんがおばさん笑いをする。
「ほ、ほんまぁ?」
「やらないって言ってるんだから大丈夫よ。早くしなさいよ」
「うっさいわぁ、ぼけっ!チビ助みたいなぺちゃぱいと違って、うちは襲われるんや!」
「な、なんですって!!」
「リル・・・・・・トラエル様の前よ。静かに」
「うっ・・・・・・はい、申し訳ございません。シオン姉様」
「へんっ、」とリルとのやり取りで平常心を取り戻したレナールがなんでもこいや!って感じで堂々とトラエルさんの前に立つ。
レナールには、悪いが僕もリルと同じ気持ちだ。
これから何が起こるのが知りたくてしょうがない。
チートスキルこい!!
リルも尻尾が宙に上がってくるくるしてるし、シオンも心なしかソワソワさているようだ。
そうだよね。
スキルがもらえると思ったら、誰だってそうなる。
「、、、、」
シルフィーだけは相変わらず分からないが。
「はい、どうぞ」とトラエルさんが指をパチンと鳴らすとレナールの全身が一瞬青白い光で包まれる。
「なんか、何も感じへんな」
暖かったり、何かが注ぎ込まれる感覚はないようだ。
「ふっふふ、これで引けるわよ。銅像に触れながら、10連と言ってみて」
「じゅ、10連!」
レナールが言われるままに、10連と言うと青白い光がレナールから銅像へと腕から指先を通って流れ込んでいく。
すると、銅像の瞳がカァっと開き!
パァン!と青色の光が爆発する。
青!色で何かあるのだろうか。
花火のような閃光。
光が収まり、銅像の目がいつの間にか閉ざされている。
ど、どうだ?
みなの注目がレナールに集まる。
「え、えっと、特に何も感じへんねんけど」とレナールが尻尾を下げながから申し訳なさそうに言う。
「なによ、何もないわけ!」とリルがいの一番に言う。
「そ、そんなこと言ったてうちやって、言われた通りにしただけやん!」
「そうそう簡単には手に入らないことじゃないかしら」
シオンは、冷静にそう言ってトラエルさんを見る。
僕も自然と視線を追うと、トラエルさんはニコニコと笑っていて「そうなのよー。本当に100連しても出ないこともあってコスパ悪いのよね」
流石ガチャ、天井もなければピックアップもない。
ただ次は出るかもしれない希望だけはある。
沼、こいつは沼だよ!
「はい、次々。レナールちゃんには出るまで回してもらうわよ」とトラエルさんがパチンと指を鳴らす。
青白い光がレナールに再度降り注がれる。
たぶんガチャを引くための何かなんだろうけど、なんだろうな。SPって言ってたけど
「おらっ、また10連や!」
レナールが気合を込めて、叫ぶ。
色はまたしても青だった。
「、、、、青」
「ふん、ダメそうね」
「ふぅー」
「ぐっぬぬぬ」
「はい、次々」
「10連!や」
青!
青!
青!
青!
青の光がこだまする様に、咲き乱れる。
流石に80連を超えてくると、皆も期待をせずにいつまで続くの?みたいな感じになってるが、レナールは犬歯を剥き出しにして10連や!叫び続けている!!
うん、レナールには、ギャンブルはさせないようにしよう。ハマるタイプだ。
そして、100連目でついに緑の光が出る!
みな、違う色におっとなるが、
「緑は、ダメなのよね」とトラエルさんがほぅーとため息を出す。
緑はダメなのか。
なら何色じゃないとダメなんだ?
レインボーとか???
「これ本当に出るの?」とリルが怪訝な文句を呟いた時、レナールが「嘘やん」と言った。
見れば、レナールが震えている。
まさか・・・!
「何か貰えたの?」といち早くシオンが反応する。
レナールは、こちらを振り返り、「た、たぶん」と惚けたように言った。
マジか!
「・・・・・・おめでと?」とシルフィーが微妙なテンションで首を傾げる。
「もぅ!なに、本当にスキルなの?!み、見せてみなさいよ!」とリルが興奮したようにまくし立てる。
いつもならシオンが窘めるところだが、おもちゃを見つけた猫のようにシオンも浮足立っているようだ。
みんなスキルに興味津々というか、本当にスキルが当たったのか
「せ、急かすなちゅーねん。い、いま見せたる!」
ふんっ、とレナールは鼻息を漏らし、気合を貯めるように瞑目する。
両方の拳を握り、それを右手を上に左を下にとずらして構える。
言ってしまえば、猫のポーズをとる。
一瞬の間――――、カァッ!と見開けれた黒い瞳が輝いたように見えた。
その異様な気配に、固唾をのんで見守っていると、
レナールは握った拳のまま、体を左に向けた。
「コン、コン、コン、コン、」
えっ・・・・・・
レナールは体を右に向けた。
「コン、コン、コン、コン、」
これは舞い?いやふざけているのか?と思うが、レナールの顔は真剣だ。
その様に、さすがにシオンもリルもシルフィーも何も言えない。
「オイナリサマ オコシノアカシ」とレナールがいい、体を正面に戻し、パンッ!と拍手を打つ。
「狐火」と一言言うと、ぼぉぉおおおおと、レナールの体を囲うようにいくつもの、青白い炎が浮かび上がった。
「おぅおおおおおお」と自然と声ならぬ声があがる。
すごい!
おもわずひゅーどろろろろっていう古典的な擬音語が出そうな感じのエフェクトだ。
「へぇー、初めて見た。ゴミドリ色でもスキルを得ることがあるのね」
えっ、ご、ゴミドリ色?
それを聞くもなく、「おめでとう!レナールちゃん、スキルGETね」とトラエルさんがわぁーとパチパチと拍手を始めた。
「う、うちが、スキルを使えるなんて」とレナールも戸惑いながら嬉しいそうだ。
しっぽもフリフリだ。
「で、どういう効果があるの!」
「わたしも知りたいわ」
とリルとシオンが食い気味にレナールに近付く。
「わぁああ、ちょいまちーや!炎に触らんほうがええ。知らんけど!」
知らんのかい!
やっぱり攻撃系のスキルなんだろうか。
「はいはい、ちゅうもーく」
リルがさらに何かを言いそうになっているのをトラエルさんが拍手を打って注目を集める。
「仲間が新しいスキルを得て楽しんでいるところ悪いけど、時間もあまりないの。わたしこれでも忙しいんだから」とそのシルフィーに匹敵する巨乳を揺らす。
「さっさとスキルガチャを引くわよ。あなたたちだって、引けるかもしれないんだから、まぁレナールちゃんは出血大サービス。一人10連だけだけどね」
たった10連?!
レナールだって100連で1個しか当ててないのに。
くそ、ガチャは一回引くともう一回引きたくなるんだよな。
「では私がいきます」とシオンも新たな力を得ることに貪欲なようでレナールと立ち位置を変わった。
「コンコンコン」とレナールは、触るなと言っておきながら、自ら青白い炎に触って嬉しそうだ。
あとで効果を聞いてみよう。
「はい、どうぞ」とレナール同様に白い光を体に浴びると、銅像に触れる。
「10連」と魂を揺さぶる声が、いつもより力が籠って見えた。
結果は、青青青と続き、一瞬だけ緑が見えた?!
ど、どうだ。
「・・・・・・何もないようです」とシオンは紅玉の瞳をそっと閉じた。
だめかー。
まぁー10連だし。緑だからいいというわけじゃないようだ。
「ふっふふ、残念ね。でも緑って基本でないのよー。私も初めて見たわ。だからついゴミドリ色って言っちゃうのよねー」
言っちゃうのよねーって、ゴミドリ色、出ない=ゴミとミドリを合わせていたのか。
見た目にあわず、トラエルさんは意外と口が悪いのかな。
「じゃあ次――――」
「―――あの」とトラエルさんにシオンが割って入る「もう一度チャンスを、もう10連引かせていただけないでしょうか?」
なんと、あのシオンがガチャ沼に嵌ろうとしている。
だめだ、シオンそこは底なし沼だ!!
ハメるなら、僕だけにしてほしい。なんちゃって。
「ごめんなさいねぇ~。これ10連するのにレベル100上げるぐらいSPがいるの。レナールちゃんて大分使っちゃったから。一人10連が限界なの」とトラエルさんが両手を胸の前で組む天使のポーズでシオンに申し訳なさそうに言う。
しかも、しれっと10連引くのにレベル100ぐらいかかるって、
ていうか、レベルって概念がやっぱりあるのか・・・・・・くそ、ステータスも神の声もないからまったく分からないぜ。
「・・・・・・そうですか」とシオンも尻尾が下がるように見えた。
尻尾ないけど
「また挑戦しましょうね。次の子は」
「はい!・・・・・・あっはい」
リルが天井に届きそうなほどに腕をあげ手返事をする、シオンを気にして、腕が縮まる。
「リルちゃんね・・・・・・はいこっちに」
とシオンと立ち位置を交換して、10連引くが・・・・・・結果は、青だった。
当然スキルもなし。
「もう何も出ないじゃない!」
「ぷっぷぷ」
「何よ!!」
「なんでもないでー。コンコンコン」とレナールが煽ってくる。
「な、なによ!たかが炎じゃない!それもそんなに小さい!!私だって炎ぐらい出せるのよ!」
「せやねー。コンコンコン」
「くぅ、このぉ~」とリルが歯軋りしている。
これはあれだな、ガチャを引いたものと引けなかったもののおりゅ?おりゃん煽りだ。
まぁソシャゲの挨拶みたいなものだ。
「残念―はい、次は」
「・・・・・・わたしでしょうか?」とシルフィーが静かにトラエルさんに近付く。
「はい!シルフィーちゃんね。頑張ってね」
「10連」
さすがシルフィーだ。トラエルさんから力を受け取ると、なんの迷いもなく銅像に触れて呟く。
普通は気合を入れたり、緊張したりするもんだが、
青青青青青青青青と光が瞬き、一際多く赤色の光が炸裂した!!
赤色きたぁああああああああああああああああああああああ。
「赤、赤は期待できるわぁ!!」とトラエルさんも興奮気味だ。
そして視界が開けた時、「・・・・・・終わりました。どうぞ」と言っただけでスタスタと歩いて後方にいった。
「駄目、駄目だったの?!んぅーあるのよね。赤でもダメな時がやっぱり金か虹よねぇー」
とトラエルさんが悶える。
色によって期待値みたいのがあるのか、青、緑、赤、金、虹って感じか?
どのソシャゲでも虹が一番いいもんな。
「ふんっ、気を落とさないようにね」とリルが満面の笑みでシルフィーの肩を背伸びして叩かく。
自分と同じおりゃん民として嬉しいようだ。
「・・・・・・? はい、リル姉様」とシルフィーは小首を傾げながら、リルに不思議そうに返す。
相変わらずシルフィーの反応は読めない。
「はい、最後はシュッサク様ねぇー。虹が出るといいわねー」
とトラエルさんに呼ばれる。
ついに僕の番かぁ・・・・・・ごくりと緊張で喉がなる。
スキル・・・・・・ガチャ、僕の体が光りに包まれる。
なるほど熱くも寒くもないし、光った以外は何も感じない。これがSP移譲。
頼む来てくれー・
スキルは、それはチートの始まり。
すべてのチートは、スキルから始まるといっても過言ではない。
今のスキルも気に入っているけど、やっぱり戦闘系の俺TUEEEEに憧れないわけじゃない!!
頼む来てくれー。
チートスキル!!!!
僕はこいこいこいこいこいこいこいと祈りながら、ぎゅっと目を瞑る。
銅像に手を伸ばした。
ひやりとした石の感触そして、「10連」と呟いた。
瞼を通して、感じる光の瞬き、青に輝いては消えていくそれを感じていると、青いや緑、赤、金何色ともつかないいや何色でもあるその輝きを感じた!!
これはまさかと僕は目を見開いた。
その時にはすでに閃光は終わっていた。
どう、だんたんだ。横にいるトラエルさんを見ると、手で口元を覆っていて「虹・・・・・・まさか出るとは思わなかったわ」と驚いたようにつぶやいた。
つまり、僕は。
スキルGETだぁあああああああああああああああああああああああああああ
「うおぉ、おおおおおおおお!!!」と思わず咆哮せずにはいられなかった。
すると後頭部に柔らかい感触「コンコン!上様流石やで!」とレナールが抱き着いてきていた。
「旦那様、おめでとうございます」とシオンも祝福してくれた。
「ふんっ、何を手に入れたか知らないけど、ダンジョンでは役に立ってよね」とリルが悪態をつきながらも祝福してくれた。
「・・・・・・」パチパチとシルフィーが無言で拍手。
ついに僕にもう一つのスキルが!
スキルがぁああああ!!!
・・・・・・ん?
・・・・・・スキルが・・・・・・???
どういうことだろうか。
World after 1 minute以外のスキルを感じない・・・・・・まさか、また幸運値をプラスするとかいう訳の分からないパッシブスキルみたいな奴が!
不安に思っていると、ニコニコとトラエルさんがほほ笑んでいた。
「すごいスキルね。こんなスキル始めて見た。“射聖液”・・・・・・ああっ私も受けてみたいわぁ」とトラエルさんが背筋がゾクゾクとしてしまうようなトロ顔を向けてきた。
しゃ、“射聖液”
一体どんなスキルなんだ。
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