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ダンジョン編
第32話 安定のダンジョン攻略
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黒い剣を振り、ブゥンブゥンという蜂の羽音のような独特な空気を切り裂く音を鳴らす。
こいつの出番が来たようだ!僕は強く柄を握り込んだ。
「ちょっと上様」と隣で立ちあがったレナールがこちらを見下ろす格好で声をかけてきた。
下から見上げる巨乳もいい。・・・・・・今度は騎乗位しようと思っていると。
「ここは底なして言われてるねん。落としたら回収できないんや。うちらが倒すから剣はしまっといてや」
あっはい・・・・・・と僕はレナールに言われた通り素直に剣を鞘に納める。
船の上に立つのは、シルフィー、レナール、シオンの三人のようだ。
リルは後ろで集中しているのか、杖代わりにしている木の棒を額つけて瞑想でもしているのか眼を瞑っている。
「来るで!」とレナールの声に振り向くと、凝縮した闇が迫ってきた。
蝙蝠の大群、しかも1体1体が鴉ほどにデカくて不気味だ。
「鎌鼬」
リルはやはり詠唱していたようで、大群に向けて魔法を放つ。
暗闇でよく見えないが、バッババババババと風切り音が聞こえ、蝙蝠の羽が切り裂かれ、次々に水に落ちていく。
だが、一貫せん数が多すぎて焼け石に水状態だ。
「くっ、累積開放!!」
水面に浮かぶ、火球が大群に放たれ、爆散してはじけ飛ばす!
鎌鼬よりもやはり有効そうだ。
直撃を受けたやつはもちろん火の粉を受けて燃えている奴もいる。
流れ星のごとく、光の粒子がキラキラと降り注いでくる。
「もう1発!累積開放!!」
再び、放たれた火球が爆散して、凝縮した闇の一部を消し飛ばすが、
どこからともなく数が増えて再び闇が凝縮する。
さらに、火球が1個になったことで光量もかなり減ってきて数メートル先まで見えていたが、いまや1m程度だ。
微かに蠢く闇が見えるぐらいだ。
「リル、次の詠唱を初めて、みんなリルの詠唱時間を稼ぐわよ」
シオンの指示にみんなが深く腰を落とす。
船の上での戦闘は初めてだし。
それに、暗い今にも巨大な蛇やら不気味な魚が出てもおかしくない水面を見る。
ここを泳ぐことになるのはまっぴだ。
僕は船が揺れないように縁をつかんで捕まる。
戦闘が始まった。
どうやら、蜂のステージとおなじ仕様のようだ。
コウモリは大群で攻めてくるのではなく一定の数が決まっているようで、5体ほど急降下で落ちてくる。
が、――――そのうちの2体は一瞬で光の粒子に変わる。
シルフィーの弓矢が放たれたのだ。
1体の体の真ん中を貫き、後ろにくっついてきたもう1体とを串刺しするようにあたり、一撃で葬った。
すごい威力!それに暗闇でほとんど見えないのによく当てられるな。
と思っているのもつかの間、残りの3体がおりてきて近接戦闘が始まる。
「しゃっあ、やったるで!」とレナールが気合一閃、槌を振り下ろすとバシャーン!と船が盛大に揺れる。
妙に冷たい水が顔に刺さるように当たる。
「レナール、暴れ、ない、でぇ!」とシオンが揺れる船の上で舞うように体制を変えながら、コウモリをきりつけていく。
「すまん!でもこない揺れたら、まともにうごけへんで、きぃいー」
レナールはイライラしているのか、尻尾がぶんぶんゆれても僕の両頬を往復ビンタしている。
「倒す必要はないかと」
そんな中、冷静に静かにシルフィーが言う。
「ああん?!」
「・・・・・・飛ばせなくすれば充分、じゃないかと・・・・・・」
シルフィーが弓を振ると、近くにいた3体目のコウモリの羽が片方切り落とされて、コウモリはギャアギャア騒ぎながら、水面に落ちていった。
水面をバチャバチャと残った羽で懸命に掻くが徐々に体が沈んでいって、そのうち完全に水面へと沈んでいった。
バァンと水中の闇に一瞬光が指す。
どうやらあれで倒せるようだ。
「それが早そう、ね!」とシオンもシルフィーをまねて、コウモリの羽を切り落とす。
「ふぅーん、うちもやってみるわぁ!おりゃ!」と槌を振るう
「当たられへんや!」とブンブンと振り回す。
バシャーン、バシャーンと船が盛大に揺れて、水飛沫を上げる。
落ちる!船がひっくり返る!
僕は懸命に船を押させ付ける。
「レナール!やめなさい!!」
流石のシオンも縁につかまりながら怒っている。
「せやかて、踏ん張らな―力はいらへんや!」
コウモリもレナールをバカにしたようにギャアギャアいいながらふわりふわりと周りを旋回している。
「くそ、このエテ公が!」とレナールが犬歯をむき出しにして、槌を握り込んでいる。
これはもうひと暴れくるかと僕が縁を再度握りなおしたとき、
シュッと鋭い風切り音が走って、コウモリの羽を切り飛ばした。
リルの魔法?と思っているが、リルは詠唱して火球をため込んでいるようだ。
とするとやったのは、シルフィーになる。
後ろ振りむけば、あの揺れでも何事もなかったかのように立ちながら、何か糸のようなものをクルクル撒いている。
「よう、弓なんかで切り飛ばせるやん」
「・・・・・・???・・・・・・ああっ、先に刃物がついているので」
「えっ・・・・・・ほんまやんけ!こないな武器初めてみたわぁ!」
レナールに釣られてみれば、弓の先にそれっぞれに刃物がついていた。
「なんやねんそれ!!」
「えっあの、何と言われても・・・・・・弭槍とうちの枝族では言ってます」
「そないな武器があるんか!はぁーなるほどなー。これは盲点やったわぁ。こないすれば、弓矢が切れた時や弦が切れても戦えるちゅーもんや。これは売れるでぇ!!!」
とレナールは大興奮だ!!
尻尾もぶんぶんと僕の頬を叩いている。
「武器はいいわ!次が来るわよ」
コウモリがまた5体急降下してきていた。
「シオン姉様、溜まりました」
再び火球が三つになっており、明るい。
「放って!数をどんどん減らして!!」
「はい!!」
ダンジョンの闇に花火のような爆裂が起こり、流れ星の如き光の粒子が散っていく。
うーん、これは僕の出番はなさそうだ。
黒い剣の柄を持ちつつ、僕はシオン達の活躍を見ていた。
そんな戦闘を繰り返していると、一際大きな蝙蝠が降りてきたが、降りてきたころにはシルフィーの弓矢をハリセンボンのごとく打ち込まれており、瀕死の状態でレナールの槌を一撃受けて、水中へと消えていった。
あれがボスだったんだろうか?
しばらくすると、再び船は暗い洞窟に入っていき、入り口と同じような通路にでた。
どうやらアトラクションは終わりのようだ。
レナールに手を引いてもらいながら、船を降りるとすぐに魔法陣があった。
「休憩後、次に行きましょう。旦那様、少々休んだら、お願い致します」
何をお願いされるんだろうと思っていたら、「はぁはぁ」と顔を高揚させて荒い息をするリルと目があった。
このあと無茶苦茶セックスしたのは言うまでもない。
ちなみに、「・・・・・・ダンジョン中で危険ではないでしょうか?」とシルフィーが静かに冷静に言われたが、「ああ、これはなー」とレナールが説明してくれたのだった。
僕だってしたくてしてるわけじゃないのよ、ぐっふふふふ。
僕がダンジョンで一番役に立つことをしたのち、次の階層へと進む。
第七階層はラビリンスエリアとのこと。
まぁ迷路のようなエリアで仕掛けを解かないと先に進めないのだが。
ここは、攻略されたステージ。
つまり、仕掛けも暗号なんかも全部地図に書いてあるわけだ。
僕たちはドロップアイテムが目当てなわけでもないので、ささっとクリアする。
仕掛けも暗号も簡単。
それに何よりも安心なのが、シルフィーの存在だ。
シルフィーの加入によって、前衛にシオンとレナールが集中でき、さらに超精密な弓矢の援護。
なにより、前衛をモンスターが抜けてきても僕とリルなら逃げるだけだったが、
前衛並みに近接戦闘が出来るシルフィーのおかげで安心して戦えるのが大きい。
パーティとしてかなり安定してきてると言える。
僕?
相変わらずお荷物持ち兼リルのマナポーションです。
レナールの武器、シルフィーの加入によって大幅に戦力が増えた僕たちは、怒涛の勢いでダンジョンを攻略していった。
そして、ついに第8階層のBOSSをも倒し、第9階層まで進んだ。
そう目標は第10階層への到達。
つまり、この第9階層をクリアすれば、あの黄金卿のミッションも終わりということだ。
感激だ。
これで明日からは、シオン達ののんびりライフを楽しめるもんだ。
意気揚々と僕たちは第9階層へと乗り込んだ。
魔法陣を出ると、部屋のようだ。
石畳で壁には光る苔の光量。
いわゆる一般的なダンジョンのように思える。
違う点と言えば、
部屋に赤と青の玉がはめ込まれた台座が置かれており、
ダンジョンには珍しい扉があった。左側が赤で、右側に青の2つの扉だ。
これも仕掛けかと地図を見るが・・・・・・第9階層だけ地図がなかった。
なんだと!と思っていると、「ここが噂の“選択の間”ね」とシオンがいい「そうみたいですね。シオン姉様」とリルが台座に書かれた文字を読みながら相槌を打つ。
「まぁええやん。勘で選んでさっさと先にいこうで~」とレナールが頭の後ろで手を組みながら欠伸まじりにいう。
「有名・・・・・・なのでしょうか?私は知らないです」
「ふんっ、しょうがないわねぇ~私が教えてあげるわ!特別にね」
「・・・・・・ありがとうございます。リル姉様」とシルフィーが頭を下げると、フンスッとリルがない胸を張って満足げにほほ笑む。
「素直なのはいいことよ!」とご満悦だ。
へいへいとレナールは壁を背によりかかるように座り、シオンは物珍しげに球を見たり、扉を触ったりしている。
僕も床に座りつつ、リル先生の講義に耳を傾けることにした。
「いいこと。ここの第9階層、通称選択の間はね。すべて2択問題で先に進んでいく不思議なダンジョンなのよ」
全部が2択?
「例えば、この部屋の問題は、力ある者よ赤に進め、智慧ある者よ、青に進めって感じでね」
力ある者よ赤に進め、智慧ある者よ、青に進めか
「・・・・・・どちらが正解なのでしょうか?」とシルフィーが素朴に聞く。
「どちらも。一応赤を選んだほうがモンスターとの戦闘が多くなる傾向らしいけど、あまり関係ないって言ってる人のほうが多いみたいね。基本、全ての部屋で問題が出されるそうだけど、間違えると戦闘になるって言う感じだから」
なるほど、2択問題でも違えるとモンスターと戦闘になるのか。
「・・・・・・私には分かる問題は少なさそうです」とシルフィーが淡々という。
「ふんっ、あんたになんか期待してないわよ。まぁ私がいれば大概の問題は大丈夫よ」とリルがない胸を張る。
ふっふふ、残念ながらリル、この階層の活躍は僕のもののようだ。
2択問題を当てる?
余裕だよ。
なにせ僕は2択問題を2個選べるんだから!!
World after 1 minute
スキルが役に立つときが来た!
こいつの出番が来たようだ!僕は強く柄を握り込んだ。
「ちょっと上様」と隣で立ちあがったレナールがこちらを見下ろす格好で声をかけてきた。
下から見上げる巨乳もいい。・・・・・・今度は騎乗位しようと思っていると。
「ここは底なして言われてるねん。落としたら回収できないんや。うちらが倒すから剣はしまっといてや」
あっはい・・・・・・と僕はレナールに言われた通り素直に剣を鞘に納める。
船の上に立つのは、シルフィー、レナール、シオンの三人のようだ。
リルは後ろで集中しているのか、杖代わりにしている木の棒を額つけて瞑想でもしているのか眼を瞑っている。
「来るで!」とレナールの声に振り向くと、凝縮した闇が迫ってきた。
蝙蝠の大群、しかも1体1体が鴉ほどにデカくて不気味だ。
「鎌鼬」
リルはやはり詠唱していたようで、大群に向けて魔法を放つ。
暗闇でよく見えないが、バッババババババと風切り音が聞こえ、蝙蝠の羽が切り裂かれ、次々に水に落ちていく。
だが、一貫せん数が多すぎて焼け石に水状態だ。
「くっ、累積開放!!」
水面に浮かぶ、火球が大群に放たれ、爆散してはじけ飛ばす!
鎌鼬よりもやはり有効そうだ。
直撃を受けたやつはもちろん火の粉を受けて燃えている奴もいる。
流れ星のごとく、光の粒子がキラキラと降り注いでくる。
「もう1発!累積開放!!」
再び、放たれた火球が爆散して、凝縮した闇の一部を消し飛ばすが、
どこからともなく数が増えて再び闇が凝縮する。
さらに、火球が1個になったことで光量もかなり減ってきて数メートル先まで見えていたが、いまや1m程度だ。
微かに蠢く闇が見えるぐらいだ。
「リル、次の詠唱を初めて、みんなリルの詠唱時間を稼ぐわよ」
シオンの指示にみんなが深く腰を落とす。
船の上での戦闘は初めてだし。
それに、暗い今にも巨大な蛇やら不気味な魚が出てもおかしくない水面を見る。
ここを泳ぐことになるのはまっぴだ。
僕は船が揺れないように縁をつかんで捕まる。
戦闘が始まった。
どうやら、蜂のステージとおなじ仕様のようだ。
コウモリは大群で攻めてくるのではなく一定の数が決まっているようで、5体ほど急降下で落ちてくる。
が、――――そのうちの2体は一瞬で光の粒子に変わる。
シルフィーの弓矢が放たれたのだ。
1体の体の真ん中を貫き、後ろにくっついてきたもう1体とを串刺しするようにあたり、一撃で葬った。
すごい威力!それに暗闇でほとんど見えないのによく当てられるな。
と思っているのもつかの間、残りの3体がおりてきて近接戦闘が始まる。
「しゃっあ、やったるで!」とレナールが気合一閃、槌を振り下ろすとバシャーン!と船が盛大に揺れる。
妙に冷たい水が顔に刺さるように当たる。
「レナール、暴れ、ない、でぇ!」とシオンが揺れる船の上で舞うように体制を変えながら、コウモリをきりつけていく。
「すまん!でもこない揺れたら、まともにうごけへんで、きぃいー」
レナールはイライラしているのか、尻尾がぶんぶんゆれても僕の両頬を往復ビンタしている。
「倒す必要はないかと」
そんな中、冷静に静かにシルフィーが言う。
「ああん?!」
「・・・・・・飛ばせなくすれば充分、じゃないかと・・・・・・」
シルフィーが弓を振ると、近くにいた3体目のコウモリの羽が片方切り落とされて、コウモリはギャアギャア騒ぎながら、水面に落ちていった。
水面をバチャバチャと残った羽で懸命に掻くが徐々に体が沈んでいって、そのうち完全に水面へと沈んでいった。
バァンと水中の闇に一瞬光が指す。
どうやらあれで倒せるようだ。
「それが早そう、ね!」とシオンもシルフィーをまねて、コウモリの羽を切り落とす。
「ふぅーん、うちもやってみるわぁ!おりゃ!」と槌を振るう
「当たられへんや!」とブンブンと振り回す。
バシャーン、バシャーンと船が盛大に揺れて、水飛沫を上げる。
落ちる!船がひっくり返る!
僕は懸命に船を押させ付ける。
「レナール!やめなさい!!」
流石のシオンも縁につかまりながら怒っている。
「せやかて、踏ん張らな―力はいらへんや!」
コウモリもレナールをバカにしたようにギャアギャアいいながらふわりふわりと周りを旋回している。
「くそ、このエテ公が!」とレナールが犬歯をむき出しにして、槌を握り込んでいる。
これはもうひと暴れくるかと僕が縁を再度握りなおしたとき、
シュッと鋭い風切り音が走って、コウモリの羽を切り飛ばした。
リルの魔法?と思っているが、リルは詠唱して火球をため込んでいるようだ。
とするとやったのは、シルフィーになる。
後ろ振りむけば、あの揺れでも何事もなかったかのように立ちながら、何か糸のようなものをクルクル撒いている。
「よう、弓なんかで切り飛ばせるやん」
「・・・・・・???・・・・・・ああっ、先に刃物がついているので」
「えっ・・・・・・ほんまやんけ!こないな武器初めてみたわぁ!」
レナールに釣られてみれば、弓の先にそれっぞれに刃物がついていた。
「なんやねんそれ!!」
「えっあの、何と言われても・・・・・・弭槍とうちの枝族では言ってます」
「そないな武器があるんか!はぁーなるほどなー。これは盲点やったわぁ。こないすれば、弓矢が切れた時や弦が切れても戦えるちゅーもんや。これは売れるでぇ!!!」
とレナールは大興奮だ!!
尻尾もぶんぶんと僕の頬を叩いている。
「武器はいいわ!次が来るわよ」
コウモリがまた5体急降下してきていた。
「シオン姉様、溜まりました」
再び火球が三つになっており、明るい。
「放って!数をどんどん減らして!!」
「はい!!」
ダンジョンの闇に花火のような爆裂が起こり、流れ星の如き光の粒子が散っていく。
うーん、これは僕の出番はなさそうだ。
黒い剣の柄を持ちつつ、僕はシオン達の活躍を見ていた。
そんな戦闘を繰り返していると、一際大きな蝙蝠が降りてきたが、降りてきたころにはシルフィーの弓矢をハリセンボンのごとく打ち込まれており、瀕死の状態でレナールの槌を一撃受けて、水中へと消えていった。
あれがボスだったんだろうか?
しばらくすると、再び船は暗い洞窟に入っていき、入り口と同じような通路にでた。
どうやらアトラクションは終わりのようだ。
レナールに手を引いてもらいながら、船を降りるとすぐに魔法陣があった。
「休憩後、次に行きましょう。旦那様、少々休んだら、お願い致します」
何をお願いされるんだろうと思っていたら、「はぁはぁ」と顔を高揚させて荒い息をするリルと目があった。
このあと無茶苦茶セックスしたのは言うまでもない。
ちなみに、「・・・・・・ダンジョン中で危険ではないでしょうか?」とシルフィーが静かに冷静に言われたが、「ああ、これはなー」とレナールが説明してくれたのだった。
僕だってしたくてしてるわけじゃないのよ、ぐっふふふふ。
僕がダンジョンで一番役に立つことをしたのち、次の階層へと進む。
第七階層はラビリンスエリアとのこと。
まぁ迷路のようなエリアで仕掛けを解かないと先に進めないのだが。
ここは、攻略されたステージ。
つまり、仕掛けも暗号なんかも全部地図に書いてあるわけだ。
僕たちはドロップアイテムが目当てなわけでもないので、ささっとクリアする。
仕掛けも暗号も簡単。
それに何よりも安心なのが、シルフィーの存在だ。
シルフィーの加入によって、前衛にシオンとレナールが集中でき、さらに超精密な弓矢の援護。
なにより、前衛をモンスターが抜けてきても僕とリルなら逃げるだけだったが、
前衛並みに近接戦闘が出来るシルフィーのおかげで安心して戦えるのが大きい。
パーティとしてかなり安定してきてると言える。
僕?
相変わらずお荷物持ち兼リルのマナポーションです。
レナールの武器、シルフィーの加入によって大幅に戦力が増えた僕たちは、怒涛の勢いでダンジョンを攻略していった。
そして、ついに第8階層のBOSSをも倒し、第9階層まで進んだ。
そう目標は第10階層への到達。
つまり、この第9階層をクリアすれば、あの黄金卿のミッションも終わりということだ。
感激だ。
これで明日からは、シオン達ののんびりライフを楽しめるもんだ。
意気揚々と僕たちは第9階層へと乗り込んだ。
魔法陣を出ると、部屋のようだ。
石畳で壁には光る苔の光量。
いわゆる一般的なダンジョンのように思える。
違う点と言えば、
部屋に赤と青の玉がはめ込まれた台座が置かれており、
ダンジョンには珍しい扉があった。左側が赤で、右側に青の2つの扉だ。
これも仕掛けかと地図を見るが・・・・・・第9階層だけ地図がなかった。
なんだと!と思っていると、「ここが噂の“選択の間”ね」とシオンがいい「そうみたいですね。シオン姉様」とリルが台座に書かれた文字を読みながら相槌を打つ。
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「有名・・・・・・なのでしょうか?私は知らないです」
「ふんっ、しょうがないわねぇ~私が教えてあげるわ!特別にね」
「・・・・・・ありがとうございます。リル姉様」とシルフィーが頭を下げると、フンスッとリルがない胸を張って満足げにほほ笑む。
「素直なのはいいことよ!」とご満悦だ。
へいへいとレナールは壁を背によりかかるように座り、シオンは物珍しげに球を見たり、扉を触ったりしている。
僕も床に座りつつ、リル先生の講義に耳を傾けることにした。
「いいこと。ここの第9階層、通称選択の間はね。すべて2択問題で先に進んでいく不思議なダンジョンなのよ」
全部が2択?
「例えば、この部屋の問題は、力ある者よ赤に進め、智慧ある者よ、青に進めって感じでね」
力ある者よ赤に進め、智慧ある者よ、青に進めか
「・・・・・・どちらが正解なのでしょうか?」とシルフィーが素朴に聞く。
「どちらも。一応赤を選んだほうがモンスターとの戦闘が多くなる傾向らしいけど、あまり関係ないって言ってる人のほうが多いみたいね。基本、全ての部屋で問題が出されるそうだけど、間違えると戦闘になるって言う感じだから」
なるほど、2択問題でも違えるとモンスターと戦闘になるのか。
「・・・・・・私には分かる問題は少なさそうです」とシルフィーが淡々という。
「ふんっ、あんたになんか期待してないわよ。まぁ私がいれば大概の問題は大丈夫よ」とリルがない胸を張る。
ふっふふ、残念ながらリル、この階層の活躍は僕のもののようだ。
2択問題を当てる?
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なにせ僕は2択問題を2個選べるんだから!!
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