16 / 69
ダンジョン編
第12話 ダンジョンへの挑戦
しおりを挟む※グロ注意です。
💭 🔁 ❤×????
眩しくて、目が覚めた。
「ん……ぅ……」
起き上がる。ここは実家の前。僕は何故か、実家の玄関に倒れていたらしい。
何故? ここで寝入る前、一体何が――
「――――あッ!?」
思い出した!
『呪い』の正体が星狩さんで、僕は星狩さんから逃げようとしているうちに、ここに行きついたんだった。それで、でも、星狩さんに追いつかれて――
ふと、背後に気配を感じた。
振り向くと――
「――ヒッ!?」
星狩さんが立っていた。彼女はスマホを操作して、
『ヒッ、って何。ヒッ、って』
という文を僕に見せてくる。
その表情はいつもの彼女のように、穏やかだ。昨夜感じたあの禍々しさが無い。それに気づけば、あの赤黒いオーラも纏っていない。まるで今まで通りのような――
いや、そんな事よりも!!
「じゅ、余命!! 僕の余命は!?」
ポケットをまさぐる。よかった! スマホはちゃんとある!
震える指でスマホを立ち上げ、Twittooを開く。
果たして――
『🔁 + ❤ = ????』
スマホに新しいヒビが入っていて、余命が分からない!
「あぁ、あぁぁ……」
『ひどいなぁ、私の事を無視するなんて』
視界に星狩さんのスマホが差し込まれた。
「え?」
顔を上げると、星狩さんが恥ずかしそうな顔でスマホに文字を打ち込んでから、
『ね、生まれて初めてのキスの味、どうだった?』
「~~~~ッ!!」
思い、出した。僕は昨夜、星狩さんに、き、き、キキキキスされたんだ!!
「きゅ、急に何だってあんな事――」
味!? 味って何だよ!? そもそも僕には視力以外の霊感は無い。星狩さんの唇の感触なんて、感じられるわけがない。
……いや? 昨日の夜、気絶する前に、わずかに感触を覚えたんじゃなかっただろうか? でも、それも気が動転して勘違いしただけだろう、と思う。
『さぁ、どうしてだろう?』
「ああいうのは、好きな人に対してやるもんやろ!?」
『物部くんは私の事、好きじゃないの?』
「は、はぁっ!?」
『私の事好きだから、いっぱいいっぱい守ってくれてたんじゃないの?』
「いやっ、その! それは――そもそも君は!!」
言い淀んで、星狩さんの顔を直視できなくなり、手癖でスマホをいじる。手が勝手に、ここ数日でルーチンと化した作業を始める――つまり、2年4組のアカウント巡りを、だ。
良かった。みんなまだ生きて――――……
「うっ――…」
『サブカル男子組』の一人、【撮り鉄】寄道くんのアカウントに――――……1分間動画が、上がって、いた。
震える指で、動画を再生する。
『はぁ……はぁ……いいね……いいねを集めないと……』
寄道くんと思しき声がする。わずかな喧噪、チチチ、という雀の声。映っているのは、
「駅のホーム……三ノ宮駅?」
寄道くんは撮り鉄だ。大方、関西でしか見られない車両を撮ってUPして、いいねに変えようとしていたんだろう……そう、『いた』んだろう。
1分間動画がUPされているというのは、そういう事だ。
『き、来た!! 225系統だ!!』
寄道くんの声とともに、身を乗り出すようにして線路に近づく映像。寄道くんがスマホで撮影しているのだろうか。
ファーーーーーンッ!!
『お客様! 危ないですので黄色い線の内側までお下がりください!!』
激しいクラクションの音と、駅員さんの慌てた声。
そして、
『あ…れ……?』
駅のホームに入って来る電車が、不自然なほど真正面から映し出される。
ファーーーーーーーーーーーーーーーンッ!!
ギギギギギャイーーーンギャリギャリギャリンッ!!
ドカシッゴボッグガガガガガガボガボ!!
ガココココココバキバキバキャキャキャ!!
ガコッガコッガコッガコッグゴゴゴゴゴ!!
グモッチュイーーンボゴゴゴゴゴッ!!
――――ィィィイイイキキキキキキキキキッ!!
急停車した車両と、その前に転がる寄道くんの体が、動画に映し出されている。
跳ね飛ばされたはずのスマホが、不自然なほど高いアングルから、寄道くんの姿を捉えている。
『君、大丈夫――』駅員さんが飛び降りて来て――、『うっ』
――言葉を、失った。
それはそうだろう。
『た、たすけ…く……だ…………』
寄道くんが、ずりずりと匍匐前進をするかのようにして、駅員さんの方へ進もうとする。
『ヒッ……』
けれど逆に、駅員さんは後退る。
『たす……ごぼッ』
大量の血を吐く寄道くん。
駅員さんは駆け寄るでもなく、立ちすくんでいる。
駅のあちこちから悲鳴が上がる。
それは、そうだろう。
だって寄道くんには、下半身が無いんだから。
動画はそこで終わっている。
💭 🔁 ❤×????
眩しくて、目が覚めた。
「ん……ぅ……」
起き上がる。ここは実家の前。僕は何故か、実家の玄関に倒れていたらしい。
何故? ここで寝入る前、一体何が――
「――――あッ!?」
思い出した!
『呪い』の正体が星狩さんで、僕は星狩さんから逃げようとしているうちに、ここに行きついたんだった。それで、でも、星狩さんに追いつかれて――
ふと、背後に気配を感じた。
振り向くと――
「――ヒッ!?」
星狩さんが立っていた。彼女はスマホを操作して、
『ヒッ、って何。ヒッ、って』
という文を僕に見せてくる。
その表情はいつもの彼女のように、穏やかだ。昨夜感じたあの禍々しさが無い。それに気づけば、あの赤黒いオーラも纏っていない。まるで今まで通りのような――
いや、そんな事よりも!!
「じゅ、余命!! 僕の余命は!?」
ポケットをまさぐる。よかった! スマホはちゃんとある!
震える指でスマホを立ち上げ、Twittooを開く。
果たして――
『🔁 + ❤ = ????』
スマホに新しいヒビが入っていて、余命が分からない!
「あぁ、あぁぁ……」
『ひどいなぁ、私の事を無視するなんて』
視界に星狩さんのスマホが差し込まれた。
「え?」
顔を上げると、星狩さんが恥ずかしそうな顔でスマホに文字を打ち込んでから、
『ね、生まれて初めてのキスの味、どうだった?』
「~~~~ッ!!」
思い、出した。僕は昨夜、星狩さんに、き、き、キキキキスされたんだ!!
「きゅ、急に何だってあんな事――」
味!? 味って何だよ!? そもそも僕には視力以外の霊感は無い。星狩さんの唇の感触なんて、感じられるわけがない。
……いや? 昨日の夜、気絶する前に、わずかに感触を覚えたんじゃなかっただろうか? でも、それも気が動転して勘違いしただけだろう、と思う。
『さぁ、どうしてだろう?』
「ああいうのは、好きな人に対してやるもんやろ!?」
『物部くんは私の事、好きじゃないの?』
「は、はぁっ!?」
『私の事好きだから、いっぱいいっぱい守ってくれてたんじゃないの?』
「いやっ、その! それは――そもそも君は!!」
言い淀んで、星狩さんの顔を直視できなくなり、手癖でスマホをいじる。手が勝手に、ここ数日でルーチンと化した作業を始める――つまり、2年4組のアカウント巡りを、だ。
良かった。みんなまだ生きて――――……
「うっ――…」
『サブカル男子組』の一人、【撮り鉄】寄道くんのアカウントに――――……1分間動画が、上がって、いた。
震える指で、動画を再生する。
『はぁ……はぁ……いいね……いいねを集めないと……』
寄道くんと思しき声がする。わずかな喧噪、チチチ、という雀の声。映っているのは、
「駅のホーム……三ノ宮駅?」
寄道くんは撮り鉄だ。大方、関西でしか見られない車両を撮ってUPして、いいねに変えようとしていたんだろう……そう、『いた』んだろう。
1分間動画がUPされているというのは、そういう事だ。
『き、来た!! 225系統だ!!』
寄道くんの声とともに、身を乗り出すようにして線路に近づく映像。寄道くんがスマホで撮影しているのだろうか。
ファーーーーーンッ!!
『お客様! 危ないですので黄色い線の内側までお下がりください!!』
激しいクラクションの音と、駅員さんの慌てた声。
そして、
『あ…れ……?』
駅のホームに入って来る電車が、不自然なほど真正面から映し出される。
ファーーーーーーーーーーーーーーーンッ!!
ギギギギギャイーーーンギャリギャリギャリンッ!!
ドカシッゴボッグガガガガガガボガボ!!
ガココココココバキバキバキャキャキャ!!
ガコッガコッガコッガコッグゴゴゴゴゴ!!
グモッチュイーーンボゴゴゴゴゴッ!!
――――ィィィイイイキキキキキキキキキッ!!
急停車した車両と、その前に転がる寄道くんの体が、動画に映し出されている。
跳ね飛ばされたはずのスマホが、不自然なほど高いアングルから、寄道くんの姿を捉えている。
『君、大丈夫――』駅員さんが飛び降りて来て――、『うっ』
――言葉を、失った。
それはそうだろう。
『た、たすけ…く……だ…………』
寄道くんが、ずりずりと匍匐前進をするかのようにして、駅員さんの方へ進もうとする。
『ヒッ……』
けれど逆に、駅員さんは後退る。
『たす……ごぼッ』
大量の血を吐く寄道くん。
駅員さんは駆け寄るでもなく、立ちすくんでいる。
駅のあちこちから悲鳴が上がる。
それは、そうだろう。
だって寄道くんには、下半身が無いんだから。
動画はそこで終わっている。
0
お気に入りに追加
328
あなたにおすすめの小説

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない
一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。
クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。
さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。
両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。
……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。
それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。
皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。
※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にいますが会社員してます
neru
ファンタジー
30を過ぎた松田 茂人(まつだ しげひと )は男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にひょんなことから転移してしまう。
松本は新しい世界で会社員となり働くこととなる。
ちなみに、新しい世界の女性は全員高身長、美形だ。
PS.2月27日から4月まで投稿頻度が減ることを許して下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる