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ダンジョン編
第5話 黄金卿の仲間たち
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どうやら高台に進んでいるようだ。
山道のような斜面の道を進む。
だが、かなり舗装されているのか帝都の道よりもガタガタと揺れない。
外を眺めるのも飽きてしまって、今はシオンの膝枕の上でウトウトしている。
でも至福の時間はすぐに過ぎ去る。
馬車が停車すると、ファブラに呼ばれ、眠気眼をこすりながら、シオンとともに馬車を出る。
「な、ななんにこれ?」
思わず素っ頓狂な声を上げてしまう。
黄金卿の邸宅というよりも城というほどの大きさの建物。それに続く階段は、黄金の輝きを見せていた。
100人は同時に歩けそうな階段のすべてが黄金なのだ。
「黄金の階段・・・・・・私も初めて見ました。噂通りなのですね」と流石のシオンも驚いているようだ。
見上げれば、白亜の宮殿みたいなバカ出かい建物が聳え立っているがそんなこと気にならないほどのインパクトだ。
秀吉の黄金の茶室なんて目じゃない。
「皆様、驚かれますよね。そして黄金卿へと畏敬の念を持つものです。ちなみにこの黄金を剥がして持って帰ろうなんて思わないでくださいね」
はっははははとファブラが冗談なのか笑いながら階段を上っていく。
僕もシオンに手を引かれながら、階段を一段一段登っていく。
磨かれた黄金の階段は、鏡のように僕の醜い顔を映し出している。
それが嫌で顔を上げて登るが、・・・・・・辛い。
すぐに息が切れて、自分の顔を見ることになる。
こんなに金があるのなら、エスカレーターとか用意しろよと思ってしまう。
なんとか階段を登り切るが、すでに疲労困憊だ。
「ぜはぁーぜはぁーぜはぁー」
「大丈夫でしょうか、旦那様」
シオンが背中に手を当ててくれている。
それに大丈夫とひゅっーひゅっーと喉を鳴らしながら返事をした。
「息を整えてから向かいましょう。さすがにその状態では黄金卿に拝謁するわけには参りませんから」とファブラが嘆息する。
うるせー、こっちは引きこもりなんだよ。こんな階段上がれるか。と声なき抗議をしつつ、深呼吸を繰り返す。
黄金の階段を上った先も、黄金ということはなく大理石を思わせるつるぴかの石の床、奥には赤い絨毯が敷き詰められている廊下が見える。
黄金卿の邸宅の様子を眺めつつ、しばらくそうしているとだんだんと落ち着いてきた。
なにより、汗を拭いてくれたりとシオンの献身的な介護がよかった。
ドレスの胸元、黒いガーゼからわずかに見える白い肌。
ああっ~早く帰って、シオンとやりたいな~と思っていると、
とても立派な身なり、見るからにわしは貴族だ!と言わんばかりの格好をした中年の男性が奥から歩いてきた。
堂々とした身なりに反して、背は丸まり、ブツブツと何事かを呟きながらこちらを一度も見ずに歩き去っていった。
「ベネジメ・ルースタ男爵・・・・・・お気の毒に」とファブラが眼鏡を抑えながら呟く。
ベネジメ・ルースタ男爵。ということは貴族か、だがあの様子では何か嫌なことだあったのだろう。
それも途轍もなく嫌なことが。
嫌だな~と思うが、逃げるわけにもいかずファブラに案内されるままに男がたどってきた道を進んだ。
道を進んでいくと休憩スペースだろうか、いくつかのソファーが置かれたガラス張りの部屋に来た。
ガラスの向こう側にはきれいな花が咲き乱れる庭に、帝都の様子が一望できる。
そこに二人の男と一人の少女がいた。
「ファブラご苦労様、ここからはこちらで引き取ります」
そう言った男は大学生くらいの若さに感じる。目が細く、柔和な表情をしているが、身なりも襟詰をつめた将校を思わせるびっしとした恰好に、腰にはサーベルのようなものを帯剣している。
そしてもう一人の男は、
「へっ、こいつがあのコロセウムで大勝ちした奴か。冴えねーな」と一言でいうならねずみ小僧を連想させる。ボロボロの布切れを纏い出っ歯が光る。
ネズミが服を着たようなやせこけた男。
対照的な二人だった。
「まったくその通りでありますね。御主人様」と出っ歯の横でこちらをふんっと小馬鹿にしたような笑みを浮かべるのは、妙に光沢のある黒紫色の外套を体に巻き付けるように羽織った金髪のちんちくりんの少女だ。
碧と翠色の左右が違うオッドアイの瞳が、こちらを避けずむように見てくる。
「これはルーカス様、カッシー様」とファブラが慇懃に頭を下げ、「こちらが今回黄金卿に拝謁致しますシュッサク様であります」と紹介してきた。
3人の目がこちらに集中するのを感じて、思わず下を向いてしまった。
注目されるのは緊張する。できれば見ないで貰いたい。
けど、自己紹介をしないわけにはいかないだろうな。
僕は覚悟を決めて、口を開く。
「あっ、しぅしし、シュッサク、です!こっここ」と舌が縺れ、もどかしいぐらいに喋れない。
「なんなんですの、こいつ」とオッドアイの少女のが声が刺さる。
「フィービー様、シュッサク様はあまりお話になるのが得意ではないようです。シュッサク様顔をおあげください。ご紹介します、黄金卿の結社のメンバーであるルーカス様とカッシー様、それと」
「わたしくがカッシー様一の従者、フィービーですわ。あなたのそのバカそうな脳の片隅に名前を刻むことを許して差し上げますことよ」
どうやら細めのサーベル持ちはルーカス、出っ歯はカッシー、そしてこの生意気なメスガキはフィービーというらしい。
「ど、どども」とにこやかに返事をする。
「汚い笑顔ですの」と、このメスガキがちんぽで理解らせてやろうか。
「おいっ、フィービー」と出っ歯がどすの利いた声で呼びかける。
「ひぃい、はい御主人様」と少し怯えた表情を見せる。
「誰が、名乗っていいといった。勝手なことをするな、まるで俺の躾が行き届いてないみたいじゃないか」
「も、申し訳ございません、御主人様」とフィービーが両ひざをついて頭を下げる。
「まったく、バカな従者にはおしおきが必要だな」と出っ歯が言うとフィービーがビクッと肩をすくめ、顔を上げる。
「は、はぁい、御主人様ぁああ」と恍惚の表情をしていた。
あっ、この子ドMだと一瞬で僕は悟った。
「はぁ~」と細目サーベルが大きなため息をつく「後にしてくれない?」というが、「黙っていろ」と出っ歯は懐をもぞもぞしてあるものを取り出す。
どんなおしおきをするのか、ドキドキしてみていると、「おいっ、これ」とわら人形のようなものを渡される。
えっ、と思っていると、
「嫌ぁあ!!」とフィービーが叫びだした。
出っ歯の足元に縋りついて泣きつく。
「御主人様、それだけは、お許しください! 嫌です。フィービーは御主人様以外から折檻を受けるのは嫌です」
出っ歯はフィービーを無視して、「おいっ、わら人形にクリスタルが埋まっているだろう。くっくく、好きなところを押してみろよ」と言ってくる。
わら人形を見れば確かに、クリスタルが埋まっているそれはちょうど乳首、お腹、クリ膣、裏にはお尻あたりだろうか手の感触でクリスマスが埋まっているを感じた。
「やめろ!絶対に押すな!!このキモい豚の分際で、どうせ異世界に来るまでシコることしか出来い腐れちんぽの癖に!」
うるさい、黙れ。
「どうせそこの奴隷に毎日猿みたいに腰振ってるんだろう!大したスキルも持ってないカスが、それで満足してろ、バーカ!!さっさとわら人形を返せ!!」
黙れよ、じゃないと。
「素人童貞の腐れチンポ野郎がわたくしにぃい――――」
――――理解らせてやりたくなっちまうだろうが!!!
「あっばぁばばばあばばばばあばばばあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
わら人形のお腹の一番大きなクリスタルを思いきり押すと、フィービーの体中から電流が迸る。
で、電流?!
バチバチッと目視できるほどの電流が流れ、フィービーが白目を抜き、泡を吹き出した。
「えっ、いやあっ」
想像も出来ない状況に僕はわら人形を落としてしまう。
すると、「あっああああああああ」
電流は収まり、フィービーが顔から床に倒れて、尻を突き出す形で痙攣している。
舌をがだらんと口元から垂れ下がり、泡が出ている。
さらに、しゃーと床に広がる水とアンモニアの匂い。
「くっくくく、面白い仕掛けだろ。おいフィービー、寝てないで説明してやれ」と出っ歯が笑いながらわら人形を拾う。
「あっあああ、ちぃくひぃーとくりそーりすとちぃつぅとおひぃりのあなにいつれも、おしおき、ひてもらへるようにでんひょくをいれてますー」
「どうだ?」
どうだ?と言われても、いや、そのドン引きです。
周りを見れば、笑っているのは出っ歯だけで細目サーベルもファブラもやれやれっといった感じで頭を抱えている。
よかった、まともな人たちのようだ。
「はぁいい加減やめてあげないさいよ。ファブラ後片付けを頼んだよ。気の長い方でもないですし。しゅうさくさんとシオンさん一緒に行きましょう」と細目サーベルの案内で通路の奥へと向かう。
ファブラと痙攣しているフィービーとはここでお別れのようだ。
頭を下げたままこちらを見送っている。
フィービーは尻を突き出したまま倒れている。
黒紫色の外套がめくれて、こぶりながらきれいなお尻が丸出しになっていた。
下着はまったくつけていないようで、某歌手のように黒いベルトで巻かれただけのようでお尻とアソコにはバイブを思わせる何かが突き刺さっていた。
酷い有様。
その光景が、ゴクリと喉を鳴らせた。
庭に沿うようにして作られている廊下を歩いていると、
出っ歯が話しかけてきた。
「でもよ、おまえのシュッサクっていう名前さぁ」
「は、あひ」
「秀作だから、シュッサクって安易すぎないか?」とゲラゲラと笑ってきた。
たらっと額から汗が流れるのを感じた。
心臓が高鳴る。理由は一つだ。どうしてこいつら僕の本名を知っている?!
どこでばれた?
いやでも考えてみれば、ファブラには秀作とは名乗っているのだ。
活舌が悪くて、シュッサクと思われたけど。
思考を巡らせているが、それが見当外れなことが次の一言で分かった。
「なんだよ、名前ぐらいどうってことねぇだろう。鑑定スキルがありゃ一発だぜ?」
か、鑑定スキル?!
そんなチートスキルをこいつ持っているのか?!自分がステータスも見れないし、当然鑑定スキルがないからそのことに考えが至らなかった。
「World after 1 minute 1分間の先読みシミュレーションか。変わったスキルだよね。でもこれだったらギャンブルは必勝。羨ましいな~」
おいおい、この細目サーベルも鑑定スキルを持っているのかよ。
こいつらチート野郎どもなのか。
・・・・・・ということは、こいつらを束ねているとかいう黄金卿とやらもチートなのだろう。
だから、こんな帝国で幅を利かせてられるのだ。
英雄だなんだっていっても結局チートどもか。
「あ、あの」
「おうどうした?」
「いあ、のぅ、日本人?」
僕がそう言うと、出っ歯はニッと笑った。
「おうそうだとも。俺は転移。でルーカスは転生だ。ちくしょうがよ、転生勢は人生も長いし、イケメンにも生まれてくるから羨ましいぜ。たっくよ」と出っ歯が細目サーベルを蹴り上げる。
「はっはは、痛いですよ。貴族に生まれるの生まれるのでそれはそれで苦労するんですよ?マナーとかしきたりとか日本にないものばかりですし」
おおぅ!この細目サーベル、チートスキル持ちで貴族に転生だと?!完全に勝組じゃねぇか!
僕なんて、どこぞの路地裏に転移させられて、苦労したっていうのに。
「というわけだ。同郷の転移組同士仲良く出来るといいなぁ」と出っ歯が肩を組んできた。
それに僕は渇いた笑いで返す。
横を見ると一歩下がってあるシオンが目に入る。
これらの話を聞いてもシオンの紅玉の瞳からは特になんの感情も読み取れなかった。
豪奢の扉の前に来る。
明らかにここにいるとオーラを感じる。
「黄金卿入りますよ」と細目サーベルがノックをすると、「おう、入れや」としゃげれた声が返ってきた。
「ほらよ、入りな」と出っ歯が扉を開いた。
やるしかない。
僕は背中にシオンの存在を感じながら、黄金卿のいる部屋へと足を踏み入れた。
山道のような斜面の道を進む。
だが、かなり舗装されているのか帝都の道よりもガタガタと揺れない。
外を眺めるのも飽きてしまって、今はシオンの膝枕の上でウトウトしている。
でも至福の時間はすぐに過ぎ去る。
馬車が停車すると、ファブラに呼ばれ、眠気眼をこすりながら、シオンとともに馬車を出る。
「な、ななんにこれ?」
思わず素っ頓狂な声を上げてしまう。
黄金卿の邸宅というよりも城というほどの大きさの建物。それに続く階段は、黄金の輝きを見せていた。
100人は同時に歩けそうな階段のすべてが黄金なのだ。
「黄金の階段・・・・・・私も初めて見ました。噂通りなのですね」と流石のシオンも驚いているようだ。
見上げれば、白亜の宮殿みたいなバカ出かい建物が聳え立っているがそんなこと気にならないほどのインパクトだ。
秀吉の黄金の茶室なんて目じゃない。
「皆様、驚かれますよね。そして黄金卿へと畏敬の念を持つものです。ちなみにこの黄金を剥がして持って帰ろうなんて思わないでくださいね」
はっははははとファブラが冗談なのか笑いながら階段を上っていく。
僕もシオンに手を引かれながら、階段を一段一段登っていく。
磨かれた黄金の階段は、鏡のように僕の醜い顔を映し出している。
それが嫌で顔を上げて登るが、・・・・・・辛い。
すぐに息が切れて、自分の顔を見ることになる。
こんなに金があるのなら、エスカレーターとか用意しろよと思ってしまう。
なんとか階段を登り切るが、すでに疲労困憊だ。
「ぜはぁーぜはぁーぜはぁー」
「大丈夫でしょうか、旦那様」
シオンが背中に手を当ててくれている。
それに大丈夫とひゅっーひゅっーと喉を鳴らしながら返事をした。
「息を整えてから向かいましょう。さすがにその状態では黄金卿に拝謁するわけには参りませんから」とファブラが嘆息する。
うるせー、こっちは引きこもりなんだよ。こんな階段上がれるか。と声なき抗議をしつつ、深呼吸を繰り返す。
黄金の階段を上った先も、黄金ということはなく大理石を思わせるつるぴかの石の床、奥には赤い絨毯が敷き詰められている廊下が見える。
黄金卿の邸宅の様子を眺めつつ、しばらくそうしているとだんだんと落ち着いてきた。
なにより、汗を拭いてくれたりとシオンの献身的な介護がよかった。
ドレスの胸元、黒いガーゼからわずかに見える白い肌。
ああっ~早く帰って、シオンとやりたいな~と思っていると、
とても立派な身なり、見るからにわしは貴族だ!と言わんばかりの格好をした中年の男性が奥から歩いてきた。
堂々とした身なりに反して、背は丸まり、ブツブツと何事かを呟きながらこちらを一度も見ずに歩き去っていった。
「ベネジメ・ルースタ男爵・・・・・・お気の毒に」とファブラが眼鏡を抑えながら呟く。
ベネジメ・ルースタ男爵。ということは貴族か、だがあの様子では何か嫌なことだあったのだろう。
それも途轍もなく嫌なことが。
嫌だな~と思うが、逃げるわけにもいかずファブラに案内されるままに男がたどってきた道を進んだ。
道を進んでいくと休憩スペースだろうか、いくつかのソファーが置かれたガラス張りの部屋に来た。
ガラスの向こう側にはきれいな花が咲き乱れる庭に、帝都の様子が一望できる。
そこに二人の男と一人の少女がいた。
「ファブラご苦労様、ここからはこちらで引き取ります」
そう言った男は大学生くらいの若さに感じる。目が細く、柔和な表情をしているが、身なりも襟詰をつめた将校を思わせるびっしとした恰好に、腰にはサーベルのようなものを帯剣している。
そしてもう一人の男は、
「へっ、こいつがあのコロセウムで大勝ちした奴か。冴えねーな」と一言でいうならねずみ小僧を連想させる。ボロボロの布切れを纏い出っ歯が光る。
ネズミが服を着たようなやせこけた男。
対照的な二人だった。
「まったくその通りでありますね。御主人様」と出っ歯の横でこちらをふんっと小馬鹿にしたような笑みを浮かべるのは、妙に光沢のある黒紫色の外套を体に巻き付けるように羽織った金髪のちんちくりんの少女だ。
碧と翠色の左右が違うオッドアイの瞳が、こちらを避けずむように見てくる。
「これはルーカス様、カッシー様」とファブラが慇懃に頭を下げ、「こちらが今回黄金卿に拝謁致しますシュッサク様であります」と紹介してきた。
3人の目がこちらに集中するのを感じて、思わず下を向いてしまった。
注目されるのは緊張する。できれば見ないで貰いたい。
けど、自己紹介をしないわけにはいかないだろうな。
僕は覚悟を決めて、口を開く。
「あっ、しぅしし、シュッサク、です!こっここ」と舌が縺れ、もどかしいぐらいに喋れない。
「なんなんですの、こいつ」とオッドアイの少女のが声が刺さる。
「フィービー様、シュッサク様はあまりお話になるのが得意ではないようです。シュッサク様顔をおあげください。ご紹介します、黄金卿の結社のメンバーであるルーカス様とカッシー様、それと」
「わたしくがカッシー様一の従者、フィービーですわ。あなたのそのバカそうな脳の片隅に名前を刻むことを許して差し上げますことよ」
どうやら細めのサーベル持ちはルーカス、出っ歯はカッシー、そしてこの生意気なメスガキはフィービーというらしい。
「ど、どども」とにこやかに返事をする。
「汚い笑顔ですの」と、このメスガキがちんぽで理解らせてやろうか。
「おいっ、フィービー」と出っ歯がどすの利いた声で呼びかける。
「ひぃい、はい御主人様」と少し怯えた表情を見せる。
「誰が、名乗っていいといった。勝手なことをするな、まるで俺の躾が行き届いてないみたいじゃないか」
「も、申し訳ございません、御主人様」とフィービーが両ひざをついて頭を下げる。
「まったく、バカな従者にはおしおきが必要だな」と出っ歯が言うとフィービーがビクッと肩をすくめ、顔を上げる。
「は、はぁい、御主人様ぁああ」と恍惚の表情をしていた。
あっ、この子ドMだと一瞬で僕は悟った。
「はぁ~」と細目サーベルが大きなため息をつく「後にしてくれない?」というが、「黙っていろ」と出っ歯は懐をもぞもぞしてあるものを取り出す。
どんなおしおきをするのか、ドキドキしてみていると、「おいっ、これ」とわら人形のようなものを渡される。
えっ、と思っていると、
「嫌ぁあ!!」とフィービーが叫びだした。
出っ歯の足元に縋りついて泣きつく。
「御主人様、それだけは、お許しください! 嫌です。フィービーは御主人様以外から折檻を受けるのは嫌です」
出っ歯はフィービーを無視して、「おいっ、わら人形にクリスタルが埋まっているだろう。くっくく、好きなところを押してみろよ」と言ってくる。
わら人形を見れば確かに、クリスタルが埋まっているそれはちょうど乳首、お腹、クリ膣、裏にはお尻あたりだろうか手の感触でクリスマスが埋まっているを感じた。
「やめろ!絶対に押すな!!このキモい豚の分際で、どうせ異世界に来るまでシコることしか出来い腐れちんぽの癖に!」
うるさい、黙れ。
「どうせそこの奴隷に毎日猿みたいに腰振ってるんだろう!大したスキルも持ってないカスが、それで満足してろ、バーカ!!さっさとわら人形を返せ!!」
黙れよ、じゃないと。
「素人童貞の腐れチンポ野郎がわたくしにぃい――――」
――――理解らせてやりたくなっちまうだろうが!!!
「あっばぁばばばあばばばばあばばばあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
わら人形のお腹の一番大きなクリスタルを思いきり押すと、フィービーの体中から電流が迸る。
で、電流?!
バチバチッと目視できるほどの電流が流れ、フィービーが白目を抜き、泡を吹き出した。
「えっ、いやあっ」
想像も出来ない状況に僕はわら人形を落としてしまう。
すると、「あっああああああああ」
電流は収まり、フィービーが顔から床に倒れて、尻を突き出す形で痙攣している。
舌をがだらんと口元から垂れ下がり、泡が出ている。
さらに、しゃーと床に広がる水とアンモニアの匂い。
「くっくくく、面白い仕掛けだろ。おいフィービー、寝てないで説明してやれ」と出っ歯が笑いながらわら人形を拾う。
「あっあああ、ちぃくひぃーとくりそーりすとちぃつぅとおひぃりのあなにいつれも、おしおき、ひてもらへるようにでんひょくをいれてますー」
「どうだ?」
どうだ?と言われても、いや、そのドン引きです。
周りを見れば、笑っているのは出っ歯だけで細目サーベルもファブラもやれやれっといった感じで頭を抱えている。
よかった、まともな人たちのようだ。
「はぁいい加減やめてあげないさいよ。ファブラ後片付けを頼んだよ。気の長い方でもないですし。しゅうさくさんとシオンさん一緒に行きましょう」と細目サーベルの案内で通路の奥へと向かう。
ファブラと痙攣しているフィービーとはここでお別れのようだ。
頭を下げたままこちらを見送っている。
フィービーは尻を突き出したまま倒れている。
黒紫色の外套がめくれて、こぶりながらきれいなお尻が丸出しになっていた。
下着はまったくつけていないようで、某歌手のように黒いベルトで巻かれただけのようでお尻とアソコにはバイブを思わせる何かが突き刺さっていた。
酷い有様。
その光景が、ゴクリと喉を鳴らせた。
庭に沿うようにして作られている廊下を歩いていると、
出っ歯が話しかけてきた。
「でもよ、おまえのシュッサクっていう名前さぁ」
「は、あひ」
「秀作だから、シュッサクって安易すぎないか?」とゲラゲラと笑ってきた。
たらっと額から汗が流れるのを感じた。
心臓が高鳴る。理由は一つだ。どうしてこいつら僕の本名を知っている?!
どこでばれた?
いやでも考えてみれば、ファブラには秀作とは名乗っているのだ。
活舌が悪くて、シュッサクと思われたけど。
思考を巡らせているが、それが見当外れなことが次の一言で分かった。
「なんだよ、名前ぐらいどうってことねぇだろう。鑑定スキルがありゃ一発だぜ?」
か、鑑定スキル?!
そんなチートスキルをこいつ持っているのか?!自分がステータスも見れないし、当然鑑定スキルがないからそのことに考えが至らなかった。
「World after 1 minute 1分間の先読みシミュレーションか。変わったスキルだよね。でもこれだったらギャンブルは必勝。羨ましいな~」
おいおい、この細目サーベルも鑑定スキルを持っているのかよ。
こいつらチート野郎どもなのか。
・・・・・・ということは、こいつらを束ねているとかいう黄金卿とやらもチートなのだろう。
だから、こんな帝国で幅を利かせてられるのだ。
英雄だなんだっていっても結局チートどもか。
「あ、あの」
「おうどうした?」
「いあ、のぅ、日本人?」
僕がそう言うと、出っ歯はニッと笑った。
「おうそうだとも。俺は転移。でルーカスは転生だ。ちくしょうがよ、転生勢は人生も長いし、イケメンにも生まれてくるから羨ましいぜ。たっくよ」と出っ歯が細目サーベルを蹴り上げる。
「はっはは、痛いですよ。貴族に生まれるの生まれるのでそれはそれで苦労するんですよ?マナーとかしきたりとか日本にないものばかりですし」
おおぅ!この細目サーベル、チートスキル持ちで貴族に転生だと?!完全に勝組じゃねぇか!
僕なんて、どこぞの路地裏に転移させられて、苦労したっていうのに。
「というわけだ。同郷の転移組同士仲良く出来るといいなぁ」と出っ歯が肩を組んできた。
それに僕は渇いた笑いで返す。
横を見ると一歩下がってあるシオンが目に入る。
これらの話を聞いてもシオンの紅玉の瞳からは特になんの感情も読み取れなかった。
豪奢の扉の前に来る。
明らかにここにいるとオーラを感じる。
「黄金卿入りますよ」と細目サーベルがノックをすると、「おう、入れや」としゃげれた声が返ってきた。
「ほらよ、入りな」と出っ歯が扉を開いた。
やるしかない。
僕は背中にシオンの存在を感じながら、黄金卿のいる部屋へと足を踏み入れた。
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