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アナ ハジメテ

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「アナ、ハジメテ」

アウが興味津々にそれへと触った。

虚空へとそっと手を伸ばし、触れた指先にドロリとした粘液が絡みつき糸を引く。

「入れるぞ」
「ホンキ?」

アウが不安げにタイチを見上げる。

「ああっ、入らないと始まらないだろう?」
「・・・」

アウの琥珀色の瞳が逡巡するように左右揺れるだが、キッと顔を上げてワカッタと言った。

若干、震えている。
怖いのだろう。

たしかにアウにとっては初体験だろう。
ある意味タイチにとってもだが、入り口からしてこんなにドロドロになるなんて。

タイチも意を決して入る。

ところどころひだのような突起が突き出ておりそれがまるで意思を持っているかのように蠢き、僅かな太陽光をドロリとした粘液の輝きを反射している。


「奥まで行ってくる!アウはここで待っててくれ!」

タイチはアウにそう告げて奥へと歩みだした。

どうやらタイチが暫く留守にしている間に、美少女ちゃん銅像洞窟はスライムの巣窟と化してしまったみたいだ!

美少女ちゃんは喜びそうだけどね。


ーーーーーーーー

スライムレーダーを使うまでもないほどにスライムがひしめき合っている。

時より降るように襲ってくる野生化してしまったスライムはスラオが美味しく頂いてので問題はなさそうだ。

やがて青白い光をスライムに透かして放つ鍾乳石群が現れ、そして美少女ちゃん銅像があるホールへと辿り着く。

「スライムたちよ。私は帰ってきた!」

ホールにこだまするタイチの声に反応するものは、勿論スライムたちだ。

まるでここは俺たちのもんだと言わんばかりにストーンスライムたちがストーンバレットを放ってくるが、
ミスリル鋼と化したスラオに傷一つ付けることは出来ない。

ミスリル鋼の盾を掲げて近づいてくるスライムは次々にスラオに吸収されいく。

スライムを喰いまくれてスラオもご満悦そうだ。

さて、タイチは警戒を強める。

そろそろあそこのエリアだ。

そうそこは、スライム蟲毒の近くだ!

バシュー!! 案の定、何かが解き放たれてきた。

警戒していたタイチはミスリル鋼の盾に隠れ、それを凌ぐ。

だが、ものすごい圧力に思わず、後ずさってしまう。

これは水!! 

盾からぽたぽたと落ちる雫とものすごい水飛沫が飛び散っている。

しかも、ミスリル鋼の盾が削られている!!

どうやら高圧洗浄機のように水を圧縮して飛ばしてきているようだ。

「スライム鑑定!」

タイチの頭に大量のスライム情報が流れて混んでくるが、集中してそれを見つけ出した!

新種、それが3体も!

【ウォータースライム パイント】
図鑑NO:020
豊潤にマナを富んだ水を吸収し続けることによりやがてスライムの体の一部はマナ水と化したスライム。
その死体は水袋として加工できるために一時乱獲されていた。
スキル:吸収
スキル:擬態(水)
スキル:スライム食
スキル:ウォーターポケット(パイント)
スキル:ウォーターバレット、ウォーターカッター


【ウォータースライム クォーター】
図鑑NO:021
パイントよりもより多く水を取り込めるようになったスライム。
スキル:吸収
スキル:擬態(水)
スキル:スライム食
スキル:ウォーターポケット(クォーター)
スキル:ウォーターバレット、ウォーターカッター

【ウォータースライム ガロン】
図鑑NO:022
スキル:吸収
スキル:擬態(水)
スキル:スライム食
スキル:ウォーターポケット(ガロン)
スキル:ウォーターバレット、ウォーターカッター


蟲毒事件でユミルの湧水に浸けていた連中の残りだろう。あの時は進化しなったが、しばらくはなれているうちに共食いして進化したのだろう。

それぞれプールに大中小といった感じに、プールに浸かって水を交互に放ってきていた。

それなら!!!

(ミスリルバレット、入れ物に放ってやれ!!!)

スラオがタイチの念の指示通りにミスリルの弾丸を岩のプールへと解き放つ、するとひび割れ、プールが盛大に水を吐き出した。

水の冷たさを足に感じながらも、それを見逃すタイチではない。

流されるように3体のスライムがプカプカと浮かんでいる。

パンパンに膨らんだ水色のボディーはクラゲのようだ!

「いけ。スラ―――っ」

オ、と言い前にスラオは体を盛大に大きく広げ、包むように3体のスライムを飲み込んだ!!!

ビッグスライムとミスリルスライムを取り込んだことによりスラオの体は大きくなっていた。

マジで投網並みの捕食力だぜ。

水がなければ何も出来ないのか、ウォータースライムたちは特段抵抗もなくスラオに食べられた。


そして、光の奔流が始まり、それが収まったとき、

勝利のファンファーレたる美少女ちゃんの嬌声が聞こえてきた。


「ウォータースライム3種同時なんて、そんな色んな液が溢れちゃうぅううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう」


美少女ちゃん汁、プシャーーーー!!!!!(タイチ脳内イメージ)

二の腕下3つの岩がはじけ飛び、ついに待望の箇所の一つが露になる。


脇きたぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!


さすが美少女ちゃんだ!

つるつるだ!!

あの銅像にも劣らない綺麗な白磁のような脇だ!

「はぁはぁ、タイチさん、戻ってきたのですね」

力が戻ってきた余韻なのだろう、美少女ちゃんはいつものごとく瞳に涙をためて微笑んでくれた。

「そろそろスキルを受け取らないとと思ってさ!」

「ふっふふ、順調に成長しているようですね。なによりです。でしたらスライムポケットは会得していますか?」

「スライムポケット? ああ、あのスキルならもうスラオは持っているよ」

そうですか、と美少女ちゃんは、ニコリと笑う。

「でしたら、私の銅像をしまえばいつでも慈悲を与えられますよ。私もそうのほうが安心です!」
「えっ、あれ動かせるの?!」
「ええっ、特に固定はされていないと思いますよ」

そうだったのか、神殿に鎮座させてと置かないといけないのかと思ってというか、運ぶという発想自体がなかった。

「ふっふふ、ぜひ試してみてください。なにせスライムはまだまだ世界中にいるのですから!ではタイチ、またお会いできることを楽しみしていますよ」


光の奔流が邂逅の終わりをつげ、再び洞窟へと戻ってきた。

プールから水が溢れビチョビチョだ。

そんな洞窟を歩きながら、美少女ちゃん銅像の前に立つと、例のエフェクトとともにスキルが付与された!

NEW スライムスキル鑑定士
UP  スライムパシーth2
UP  スライム精製th2
NEW スライム合成
NEW スライムタッチエナジー


予想はしていたが、スライム関連ばかりだ。

もはやそういうものなのだろう。

スライムスキル鑑定士なんて、もはやスキルなのか?という懸念すらある。

そんな風にタイチが思うと脳内に情報が伝わってきた。

・スライムスキル鑑定士
スライムに関するスキル及びその詳細を鑑定することが出来る。

……………どうやらスキルが鑑定出来るようになるらしい!
スライム関連に限りな!!

「OK,スライム鑑定士。スライム合成について教えて?」

はい、これは。

なんていう機械音性は特になく情報が脳内で読み取れた。

・スライム合成
 支配下のスライムを合成、成長促進を促すことが出来る。

おっ!これはなかなか使えそうだ。

スライム蟲毒なんていう残酷なことをしてきたがこれがあれば一発ですみそうだ。

スキルに関してはこれでいつでも確認が出来るな。

さてと、美少女ちゃん銅像を回収してアウのところに戻りますか、あんまり待たせても心配するだろうし。

タイチはスラオに銘じて美少女ちゃん銅像を取り込むように命じたのだった。

 


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スラオ保持スキル
・スライム喰極
・擬態(砂、石、皮装備、葉、ミスリル鋼)・形成(砂、石、ミスリル鋼)限界+突破
・吸収
・ストーンバレット、ミスリルバレット、ウォーターバレット、ウォーターカッター
・スライムポケット、ポケット(中)、ウォーターポケット(パイント、クォーター、ガロン)

タイチ保持スキル
・スライム精製th2
・スライムスキル鑑定士
・スライムパシーth2
・スライム合成
・スライムタッチエナジー
・スライム図鑑
・スライム鑑定3th


スライム図鑑 10/151
美少女ちゃん封印解除まであと141種。


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