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EP28 2人目のダンジョンコア
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29階層。
それは断崖絶壁の崖、その丘を囲うように石がゴロゴロと置かれて広場のようになっている。
すごく良く言えば、ストーンヘンジのような感じだ。
バクス迷宮にあったコロセウムの作りかけなのか、階層=BOSS部屋という造りだ。
ここで戦うのか、前のようにドラゴンみたいな飛ぶ奴は厄介だ。
なにせここは断崖絶壁、突き落とされただけでアウトだろう。
それにこちらは満身創痍。
俺自身も毒が回り、発汗は止まらない。
BOSSが出てきたら、召喚術で瞬殺しようと思っているほどだ。
広場の真ん中の魔法陣が光り始める。
BOSSが召喚されるのだろうと身構えていると、セリエがこんな時に下を覗きんこんでいる。
「何をしてるんだ」と少しきつい口調で問うと、セリエは気にした風もなく石を拾って下に落としている。
高さなんて確認する意味が、――――ゴンゴンとすぐに音が成る。
「何?」
「ああっ、やっぱり幻影なのね」とセリエが納得した風にうなづいている。
「そうですか、下から風がないのでおかしいとは思ってました」とエマが視線を魔法陣から逸らさずに言う。
風・・・・・・言われてみれば、下からの突き上げの風を感じない。
いつもなら気付く違和感だが、毒が回って正常な判断は出来ないようだな。だが、下が断崖絶壁じゃないならより安全に戦える。
周囲の状況確認が、済むと同時に魔法陣が光を収束させ、第29階層のBOSSを出現した。
鋭い爪、がばっと開かれた口からはぎっしりと詰まった牙を惜しみなく見えている。
蝙蝠のような羽をぱたつかせ、爬虫類を思わせる鱗は強固そうだ。
・・・・・・あと10倍はでかかったらな。
あまりに小さい、1mあるかないかぐらい、羽の生えたイグアマみたいなBOSSモンスター。
だが、それが油断なのかもしれない。
こんな極悪なダンジョンを作る奴だ。実はとても強いか、特殊な条件でないとクリアできないなどの厄介なモンスターだったり。
「ファイアーボール」
セリエが物は試しと、火球を一発放ち、BOSSモンスターに直撃、破裂すると。
ギャアッ!という悲鳴を上げて、BOSSモンスターは光の粒子へと還っていた。
「嘘・・・・・・」とセリエも驚いている。
弱すぎる。こんなことはないだろう。
マトリョーシカやワンコそばみたいに、徐々にモンスターが強くなって次々に出ていく感じだろう。
エマもそう思っているのか、構えを解いていない。
そんなこちらの行動をバカにしているのかのように、次の階層へと進む魔法陣が出てきた。
「あれがBOSSモンスターだったようですね」とエマが構えを解いて言う。
「そのようだな」
「まぁいいじゃない。いまは時間をかけてられないし。次で30階層よ」
セリエの言う通り。次で30階層。
普通に考えたら、終わりだ。なにせわざわざこんな手抜きのステージを作る必要がない。
ならありえるのか分からないが、文字通り作り替えの階層なのだろう。
「行くぞ」
どちらにしても進むよりほかない。
3人で魔法陣を踏む。
踏んだ先、じめっとしたダンジョンと違った陽光溢れる草原、心地よいそよ風が草原をなびかせている。
その草原に1本ぽつんとあるY字に太い枝を伸ばす木。
そのY字の間に小屋が収まっていた。
いわゆるツリーハウスという奴だろう。
3人で草原から何かが飛び出してこないか、警戒しつつ歩くが何事もなく小屋へと辿り着く。
梯子がかかった小屋、大きさはざっと8~10畳ほどといった感じで一つだけのようだ。
エマが猫のような身軽さで、ジャンプ一つ、プリッツスカートを盛大に盛り上がらせ、飛び上がる。
「・・・・・・黒か」
「・・・・・・あんた、毒が回ってるのによくそんなところ見てられるわね」とセリエが呆れた声を出す。
体調が悪かろうとスカートがめくれ上がれば目がいってしまうのが男というものだ。
室内をうかがう、エマからOKの合図が出る。
梯子に手をかけると、登るとぎしぃという音とおもに、カランコロンカランコロンという木の札が鳴り響く。
くそっ、原始的な罠にかかってしまったようだ。
「だ、誰よ!」という声が室内から響く。
完全に見つかった!と思った時、エマが窓を突き破って室内に侵入。
「えっは、き、きやあああああああ」という悲鳴、次いでドタバタと暴れる音が・・・・・・なるということもなく静かになった。
なんなんだ、俺は梯子を急いで登り、小屋に入った。
暖炉、4人掛けのテーブルといったリビングルームを思わせる整頓がされた部屋の中、倒れた椅子の先に、
エマが一人の少女を組み伏せていた。
腕を後ろ手に回してつかみ、脚でおさえ、口を手で塞いでいる。
「~~~~!!」と足をジタバタとさせているようだが、エマに完全にホールドされていて動けないようだ。
「いままでと雰囲気が違うわね。あっ、その子が噂のダンジョンコア?」と続いて入ってきたセリエが興味津々で組み伏せている少女を見る。
見た目はバクスと同じような年齢だ。金髪ツインテール、つり目の碧眼が涙目になりながら、こちらをにらみつけているさまはなかなかにそそるものがある。
「エマ、何か言いたそうだから、しゃべらしてやれ」と言うとエマが口から手を離す。
「―――ぱっぁ!はぁはぁ、もういきなりなんなのよあんたたち、私が誰が分かってこんなことしているんでしょうね!くそっ、どけっ、離しなさいよ!!」
ジタバタと体を揺らすが、エマの拘束を振りほどけそうにもない。
「お前か、誰かは分からないな。教えてくれ」と俺が見ろしていると、キッ!という視線を下からにらみつけてくる。
「ふんっ、いいわ教えてあげる。心して聞きなさい。愚か者どもこのわたしは、――――」
すっーと金髪ツインテールが息を吸い込み、
「なんて言うとか思ったか、ばーかぁ!ばーかぁ!誰があんたみたいな色白陰キャ~、カマキリ野郎~に教えるかさっさと帰れ!」
べっーと舌を出してくる。ダンジョンコアの受肉体(仮)
「カマキリ野郎、ぷっぷ」とセリエのツボにはまったようで笑みを我慢している。
あとでお前も理解らせてやる!と思いながら、まずはこいつをどうにか支配しないとな。
「死にたくなければ俺たちの言うことを聞け。まずは血清をよこせ」
「はっ、なんで私がそんなもの用意しないといけないのよ。バカっじゃない?ああっ、そうだこいつらバカだった、ああ可哀想。バカなあんたに教えてあげるわ。バカは死ななきゃ治らな――――ぐへっ」
「それ以上の侮辱は許せません」とエマが受肉体(仮)の首を絞めあがている。
口が酸素を求めるようにパクパクと動き、顔が赤くなっていく。
「どうだ、やろうと思えば首をへし折ることもできる。さっさと負けを認めたらどうだ。んぅん?」とほほ笑みかけてやると、受肉体(仮)の口が大きく動く。
口の形は、『し』『ね』だった。
なかなか強情のようだ。
「エマ、離してやれ」
エマが首から手を離す。
「―――ぷっは、ぜはぁーぜはぁーぜはぁーぜはぁーぜはぁーぜはぁー」と受肉体(仮)が大きく息を吸い出す。
「ぜはぁーぜはぁー、ころせ、ぜはぁーぜはぁー、やってみろ、ぜはぁーぜはぁー。ばかぁ・・・・・・」
「始末してもいいのでは?」
「エマって結構シビアよね~」
「テロリストは徹底的排除したほうが被害も少なくすみますし。ダンジョン攻略できればそれでいいかと思います」
エマの言う通り、こいつを倒せば、・・・・・・受肉体(仮)って倒すどうなるんだ?という疑問は確かにあるが、俺には確かめなければならないことがあるし、できればバクスと同じように魔力の吸収源にしたいところだ。
「お前、バクスって知ってるか?」
「・・・・・・ふんっ」とダンジョンコアは今度はだんまりすることにしたようだ。
「やっぱり始末したほうが」とエマが首に手をかける。
受肉体(仮)はびくりと体を震わせるが、「やれって言ってるでしょ。ただし、何度でも蘇って、あんたたちを殺すわぁ。ばぁ~か」と強気な態度だ。
となると、俺はどかりと椅子に座る。
疲労がどぅーと押し寄せてきており、もう立ち上がれそうにない。
「セリエ、ここのどこかにこいつの格。ダンジョンコアがあるはずだ。探してみくれ」
「そんなものがあるのね、どういう形をしているのかしら」
「ああっ~もしかしたらダンジョンごとに違うのかもしれないが、黒い球体で魔力をふんだんに瘴気として垂れ流してるやつだ」
分かった!とセリエは魔力的何か興味があるのか、ルンルンで部屋を見て回っている。
くそっ、それにしてもだるいな。はやくベットで寝たい気分だ。
「・・・・・・あんた、苦しそうね」と受肉体(仮)が嘲笑ってきた。
「そうだな。血清を渡せば、命だけは助けてやるぞ」
「はっ!誰が、あんたみたいなバカ助けるか!死ぬのをここで見守っ―――ぐへっ」とエマに首を捕まれている。
バカは学習しないようだ。
「この部屋にはなそうね」とセリエが隣の部屋を見てくるわと扉を開いてリビングルームの奥へと進んでいった。
「何もないわね」
こちらか見る限り、部屋には家具すら一切の何も置かれておらず、すっからかんだ。
ただ床に黒い焦げあとのようなものがあるぐらいだ。
「・・・・・・ふむっ」とセリエが床の焦げ跡を指で触っている。
「くっくくく、分かったでしょ。あんたたちじゃ私のダンジョンコアなんて見つけられないのよ!分かったら、さっさと泣いて詫びなさい!!そしたらダンジョンの外まで追い出してあげるわぁ!」
「そういうこと」
セリエは受肉体(仮)の言葉に目をくれず扉をバタンとしめる。
続いて、コンコンという壁を叩く音、そして、「あったわよ」という言葉とともにバクス迷宮で見たのと一緒の黒い瘴気を垂れ流している球体を両手で抱えて戻ってきた。
「嘘でしょ! バカな人間如きのわたしのトリックが見破られるなんて?!」と受肉体(仮)改め、受肉体がまぁロムバーダンジョンだから、こいつもロムバーでいいか、が叫ぶ。
「どこにあったんだ?」
「えっ、普通にドアの後ろの壁にしまわれてるだけだったけど?」
・・・・・・なるほど、ドアを前回にあけると見えず、部屋に入ってドアを閉めないと見つからない仕様か。
・・・・・・なんて、浅はか。その程度で本当に見つからない気でいたのか?
まぁいいなんにせよ。これでこいつを脅せる。
「というわけだ。そろそろ素直になったもらおうか。ダンジョンコアの受肉体、ダンジョンの名前からロムバーと呼んでやろう」
「い、いますぐダンジョンコアから手を離しなさい!!それを壊したらどうなるか分かってるの?!このダンジョンが崩壊するのよ、崩壊!!そしたらあんたたち生き埋めなんだからね!!」
先ほどまでの余裕な態度は消え失せ、わきゃー騒ぎ始めた。
「本当に生き埋めになるか試してみるか、セリエ。ちょっと叩いてみろ」
セリエは片手でダンジョンコアを持って球体を杖をコンコンと叩いている。
ガラスをたたいたような音がなった。
「ああっ~!!!!バカバカバカバカバカバカバカバカバカバカバカバカバカバカバカ!バカじゃないの!乱暴にするな!ダンジョンコアが壊れたらどうするつもりよ!」
「おもえばくだらない駆け引きをするからだ。俺たちはすでにダンジョンを一つ攻略している。ダンジョンコアが壊れてダンジョンが崩壊しないことはわかっているんだよ」
「ぐっぬぬぬぬ、バカの分際で」と歯軋りしている。
適当にカマをかけたがその通りのようだ。くっくく、完全にこちらのターンだ。
「とりあえず血清を貰おうか、すぐに用意しろ」
「・・・・・・ないわよ、そんなの」
「はぁ~、おまえな。この状況分かってるのか、逆らえる状態じゃないだろう。それともあと何度か、コアをコンコンされないと分からないのか、それなら」
「ちょ、待ちなさい!ないものはないって言ってるでしょ、このバカ!なんで分からないのよ」
とロムバーは瞳に涙をためて叫んでいる。
・・・・・・こいつ、マジでもってないのか。
嘘だろ、こんな毒のダンジョンを作っておいて、それの交渉をするための解毒剤を持ってないなんて。
だったら、ただの嫌がらせの仕様ってことか。
くそが、・・・・・・だったら、もう一つを狙っていくしかないな。
「そうか、ではお前には何が出せるんだ、助けて欲しいのだろう」
「・・・・・・うっ、そ、そうね。あのモンスターの素材とかその・・・・・・金とか?!」
「いらんな、他にはないのか、だったらコア自体を売りさばくか」
「バカ!待ちなさいよ、本当にバカね。いまバカなあんたたちのために私が考えてあげているんでしょうが!!」
えっえーととロムバーが懸命に頭を振ってツインテールをぶんぶんしているのを見つつ、俺は交渉することにした。
「なら、そうだな。魔力をよこせ」
「ええーと、・・・・・・はい?魔力」
「そうだ、魔力だ。俺は魔法使いだが、ここで随分魔力を消費してな。俺の補充をしないと心つたない」
「別にいいけど・・・・・・」
ピクンっ!とバカが何かを思いついたように片眉を上げる。
「ふっふふ、いいわ。特別に魔力を移譲しましょう。いくらでもあげるわ。いくらでもね」
無事かかったようだな。
「ただし、俺の魔力量は、相当数あるぞ。99,999はある」
「嘘でしょ? たかが人間如きがそんなにあるはず・・・・・・」
「試してみればわかるさ」
「・・・・・・ふっ、それもそうね」
「立たせろ」と命じるとエマがひょいと持ち上げる感じでロムバーを立たす。
ただし何もできないように両腕は後ろ手に組まされたままのようだ。
俺はロムバーに近付き、顎をくいとと持ち上げる。
ロムバーの眉が不快気による。
「ちっ、そういえば、この方法だったわ――――ぷぅ」
俺はロムバーの唇に合わせて貪る。
油断した口内を舌で舐める。
なかなかに悪くない味だ。
「ひぃたふぉいへる必要はふぁい!」ともごもごと文句を言っているようだが何を言っているか分からない。
俺は舌を舐め繰り回しながら、ロムバーの胸に手をあてる。
残念ながらバクスのように隠れ巨乳ということはなくロリな見た目そのままにつるぺたボディのようだ。
(ぶち殺してやる!!)
すると魔力の譲渡が始まったのか、温かい魔力と共にロムバーの心の声を聞こえてくる。
(ふんっ、たかが人間如きの愚かなバカ共が、この私をバカにするなんて、今見てなさいよ。バカね。魔力譲渡をゆすってくるなんて。本当にバカだわ。教えてあげるわ。急激な魔力の譲渡と受け入れきれないほどの魔力量を受けた時、このバカの体は崩壊する)
魔力がどっと体に濁流のように流れ込んでくるのを感じた。
(これで、終わりよ!! 魔力過剰症候群、マナバーンを受けなさいこのバカが!!!!)
(99,999? 人間にしては高い魔力量だけど私たちダンジョンコアの比じゃないわ、死ね。きっちり10万くれてやるわ)
それは断崖絶壁の崖、その丘を囲うように石がゴロゴロと置かれて広場のようになっている。
すごく良く言えば、ストーンヘンジのような感じだ。
バクス迷宮にあったコロセウムの作りかけなのか、階層=BOSS部屋という造りだ。
ここで戦うのか、前のようにドラゴンみたいな飛ぶ奴は厄介だ。
なにせここは断崖絶壁、突き落とされただけでアウトだろう。
それにこちらは満身創痍。
俺自身も毒が回り、発汗は止まらない。
BOSSが出てきたら、召喚術で瞬殺しようと思っているほどだ。
広場の真ん中の魔法陣が光り始める。
BOSSが召喚されるのだろうと身構えていると、セリエがこんな時に下を覗きんこんでいる。
「何をしてるんだ」と少しきつい口調で問うと、セリエは気にした風もなく石を拾って下に落としている。
高さなんて確認する意味が、――――ゴンゴンとすぐに音が成る。
「何?」
「ああっ、やっぱり幻影なのね」とセリエが納得した風にうなづいている。
「そうですか、下から風がないのでおかしいとは思ってました」とエマが視線を魔法陣から逸らさずに言う。
風・・・・・・言われてみれば、下からの突き上げの風を感じない。
いつもなら気付く違和感だが、毒が回って正常な判断は出来ないようだな。だが、下が断崖絶壁じゃないならより安全に戦える。
周囲の状況確認が、済むと同時に魔法陣が光を収束させ、第29階層のBOSSを出現した。
鋭い爪、がばっと開かれた口からはぎっしりと詰まった牙を惜しみなく見えている。
蝙蝠のような羽をぱたつかせ、爬虫類を思わせる鱗は強固そうだ。
・・・・・・あと10倍はでかかったらな。
あまりに小さい、1mあるかないかぐらい、羽の生えたイグアマみたいなBOSSモンスター。
だが、それが油断なのかもしれない。
こんな極悪なダンジョンを作る奴だ。実はとても強いか、特殊な条件でないとクリアできないなどの厄介なモンスターだったり。
「ファイアーボール」
セリエが物は試しと、火球を一発放ち、BOSSモンスターに直撃、破裂すると。
ギャアッ!という悲鳴を上げて、BOSSモンスターは光の粒子へと還っていた。
「嘘・・・・・・」とセリエも驚いている。
弱すぎる。こんなことはないだろう。
マトリョーシカやワンコそばみたいに、徐々にモンスターが強くなって次々に出ていく感じだろう。
エマもそう思っているのか、構えを解いていない。
そんなこちらの行動をバカにしているのかのように、次の階層へと進む魔法陣が出てきた。
「あれがBOSSモンスターだったようですね」とエマが構えを解いて言う。
「そのようだな」
「まぁいいじゃない。いまは時間をかけてられないし。次で30階層よ」
セリエの言う通り。次で30階層。
普通に考えたら、終わりだ。なにせわざわざこんな手抜きのステージを作る必要がない。
ならありえるのか分からないが、文字通り作り替えの階層なのだろう。
「行くぞ」
どちらにしても進むよりほかない。
3人で魔法陣を踏む。
踏んだ先、じめっとしたダンジョンと違った陽光溢れる草原、心地よいそよ風が草原をなびかせている。
その草原に1本ぽつんとあるY字に太い枝を伸ばす木。
そのY字の間に小屋が収まっていた。
いわゆるツリーハウスという奴だろう。
3人で草原から何かが飛び出してこないか、警戒しつつ歩くが何事もなく小屋へと辿り着く。
梯子がかかった小屋、大きさはざっと8~10畳ほどといった感じで一つだけのようだ。
エマが猫のような身軽さで、ジャンプ一つ、プリッツスカートを盛大に盛り上がらせ、飛び上がる。
「・・・・・・黒か」
「・・・・・・あんた、毒が回ってるのによくそんなところ見てられるわね」とセリエが呆れた声を出す。
体調が悪かろうとスカートがめくれ上がれば目がいってしまうのが男というものだ。
室内をうかがう、エマからOKの合図が出る。
梯子に手をかけると、登るとぎしぃという音とおもに、カランコロンカランコロンという木の札が鳴り響く。
くそっ、原始的な罠にかかってしまったようだ。
「だ、誰よ!」という声が室内から響く。
完全に見つかった!と思った時、エマが窓を突き破って室内に侵入。
「えっは、き、きやあああああああ」という悲鳴、次いでドタバタと暴れる音が・・・・・・なるということもなく静かになった。
なんなんだ、俺は梯子を急いで登り、小屋に入った。
暖炉、4人掛けのテーブルといったリビングルームを思わせる整頓がされた部屋の中、倒れた椅子の先に、
エマが一人の少女を組み伏せていた。
腕を後ろ手に回してつかみ、脚でおさえ、口を手で塞いでいる。
「~~~~!!」と足をジタバタとさせているようだが、エマに完全にホールドされていて動けないようだ。
「いままでと雰囲気が違うわね。あっ、その子が噂のダンジョンコア?」と続いて入ってきたセリエが興味津々で組み伏せている少女を見る。
見た目はバクスと同じような年齢だ。金髪ツインテール、つり目の碧眼が涙目になりながら、こちらをにらみつけているさまはなかなかにそそるものがある。
「エマ、何か言いたそうだから、しゃべらしてやれ」と言うとエマが口から手を離す。
「―――ぱっぁ!はぁはぁ、もういきなりなんなのよあんたたち、私が誰が分かってこんなことしているんでしょうね!くそっ、どけっ、離しなさいよ!!」
ジタバタと体を揺らすが、エマの拘束を振りほどけそうにもない。
「お前か、誰かは分からないな。教えてくれ」と俺が見ろしていると、キッ!という視線を下からにらみつけてくる。
「ふんっ、いいわ教えてあげる。心して聞きなさい。愚か者どもこのわたしは、――――」
すっーと金髪ツインテールが息を吸い込み、
「なんて言うとか思ったか、ばーかぁ!ばーかぁ!誰があんたみたいな色白陰キャ~、カマキリ野郎~に教えるかさっさと帰れ!」
べっーと舌を出してくる。ダンジョンコアの受肉体(仮)
「カマキリ野郎、ぷっぷ」とセリエのツボにはまったようで笑みを我慢している。
あとでお前も理解らせてやる!と思いながら、まずはこいつをどうにか支配しないとな。
「死にたくなければ俺たちの言うことを聞け。まずは血清をよこせ」
「はっ、なんで私がそんなもの用意しないといけないのよ。バカっじゃない?ああっ、そうだこいつらバカだった、ああ可哀想。バカなあんたに教えてあげるわ。バカは死ななきゃ治らな――――ぐへっ」
「それ以上の侮辱は許せません」とエマが受肉体(仮)の首を絞めあがている。
口が酸素を求めるようにパクパクと動き、顔が赤くなっていく。
「どうだ、やろうと思えば首をへし折ることもできる。さっさと負けを認めたらどうだ。んぅん?」とほほ笑みかけてやると、受肉体(仮)の口が大きく動く。
口の形は、『し』『ね』だった。
なかなか強情のようだ。
「エマ、離してやれ」
エマが首から手を離す。
「―――ぷっは、ぜはぁーぜはぁーぜはぁーぜはぁーぜはぁーぜはぁー」と受肉体(仮)が大きく息を吸い出す。
「ぜはぁーぜはぁー、ころせ、ぜはぁーぜはぁー、やってみろ、ぜはぁーぜはぁー。ばかぁ・・・・・・」
「始末してもいいのでは?」
「エマって結構シビアよね~」
「テロリストは徹底的排除したほうが被害も少なくすみますし。ダンジョン攻略できればそれでいいかと思います」
エマの言う通り、こいつを倒せば、・・・・・・受肉体(仮)って倒すどうなるんだ?という疑問は確かにあるが、俺には確かめなければならないことがあるし、できればバクスと同じように魔力の吸収源にしたいところだ。
「お前、バクスって知ってるか?」
「・・・・・・ふんっ」とダンジョンコアは今度はだんまりすることにしたようだ。
「やっぱり始末したほうが」とエマが首に手をかける。
受肉体(仮)はびくりと体を震わせるが、「やれって言ってるでしょ。ただし、何度でも蘇って、あんたたちを殺すわぁ。ばぁ~か」と強気な態度だ。
となると、俺はどかりと椅子に座る。
疲労がどぅーと押し寄せてきており、もう立ち上がれそうにない。
「セリエ、ここのどこかにこいつの格。ダンジョンコアがあるはずだ。探してみくれ」
「そんなものがあるのね、どういう形をしているのかしら」
「ああっ~もしかしたらダンジョンごとに違うのかもしれないが、黒い球体で魔力をふんだんに瘴気として垂れ流してるやつだ」
分かった!とセリエは魔力的何か興味があるのか、ルンルンで部屋を見て回っている。
くそっ、それにしてもだるいな。はやくベットで寝たい気分だ。
「・・・・・・あんた、苦しそうね」と受肉体(仮)が嘲笑ってきた。
「そうだな。血清を渡せば、命だけは助けてやるぞ」
「はっ!誰が、あんたみたいなバカ助けるか!死ぬのをここで見守っ―――ぐへっ」とエマに首を捕まれている。
バカは学習しないようだ。
「この部屋にはなそうね」とセリエが隣の部屋を見てくるわと扉を開いてリビングルームの奥へと進んでいった。
「何もないわね」
こちらか見る限り、部屋には家具すら一切の何も置かれておらず、すっからかんだ。
ただ床に黒い焦げあとのようなものがあるぐらいだ。
「・・・・・・ふむっ」とセリエが床の焦げ跡を指で触っている。
「くっくくく、分かったでしょ。あんたたちじゃ私のダンジョンコアなんて見つけられないのよ!分かったら、さっさと泣いて詫びなさい!!そしたらダンジョンの外まで追い出してあげるわぁ!」
「そういうこと」
セリエは受肉体(仮)の言葉に目をくれず扉をバタンとしめる。
続いて、コンコンという壁を叩く音、そして、「あったわよ」という言葉とともにバクス迷宮で見たのと一緒の黒い瘴気を垂れ流している球体を両手で抱えて戻ってきた。
「嘘でしょ! バカな人間如きのわたしのトリックが見破られるなんて?!」と受肉体(仮)改め、受肉体がまぁロムバーダンジョンだから、こいつもロムバーでいいか、が叫ぶ。
「どこにあったんだ?」
「えっ、普通にドアの後ろの壁にしまわれてるだけだったけど?」
・・・・・・なるほど、ドアを前回にあけると見えず、部屋に入ってドアを閉めないと見つからない仕様か。
・・・・・・なんて、浅はか。その程度で本当に見つからない気でいたのか?
まぁいいなんにせよ。これでこいつを脅せる。
「というわけだ。そろそろ素直になったもらおうか。ダンジョンコアの受肉体、ダンジョンの名前からロムバーと呼んでやろう」
「い、いますぐダンジョンコアから手を離しなさい!!それを壊したらどうなるか分かってるの?!このダンジョンが崩壊するのよ、崩壊!!そしたらあんたたち生き埋めなんだからね!!」
先ほどまでの余裕な態度は消え失せ、わきゃー騒ぎ始めた。
「本当に生き埋めになるか試してみるか、セリエ。ちょっと叩いてみろ」
セリエは片手でダンジョンコアを持って球体を杖をコンコンと叩いている。
ガラスをたたいたような音がなった。
「ああっ~!!!!バカバカバカバカバカバカバカバカバカバカバカバカバカバカバカ!バカじゃないの!乱暴にするな!ダンジョンコアが壊れたらどうするつもりよ!」
「おもえばくだらない駆け引きをするからだ。俺たちはすでにダンジョンを一つ攻略している。ダンジョンコアが壊れてダンジョンが崩壊しないことはわかっているんだよ」
「ぐっぬぬぬぬ、バカの分際で」と歯軋りしている。
適当にカマをかけたがその通りのようだ。くっくく、完全にこちらのターンだ。
「とりあえず血清を貰おうか、すぐに用意しろ」
「・・・・・・ないわよ、そんなの」
「はぁ~、おまえな。この状況分かってるのか、逆らえる状態じゃないだろう。それともあと何度か、コアをコンコンされないと分からないのか、それなら」
「ちょ、待ちなさい!ないものはないって言ってるでしょ、このバカ!なんで分からないのよ」
とロムバーは瞳に涙をためて叫んでいる。
・・・・・・こいつ、マジでもってないのか。
嘘だろ、こんな毒のダンジョンを作っておいて、それの交渉をするための解毒剤を持ってないなんて。
だったら、ただの嫌がらせの仕様ってことか。
くそが、・・・・・・だったら、もう一つを狙っていくしかないな。
「そうか、ではお前には何が出せるんだ、助けて欲しいのだろう」
「・・・・・・うっ、そ、そうね。あのモンスターの素材とかその・・・・・・金とか?!」
「いらんな、他にはないのか、だったらコア自体を売りさばくか」
「バカ!待ちなさいよ、本当にバカね。いまバカなあんたたちのために私が考えてあげているんでしょうが!!」
えっえーととロムバーが懸命に頭を振ってツインテールをぶんぶんしているのを見つつ、俺は交渉することにした。
「なら、そうだな。魔力をよこせ」
「ええーと、・・・・・・はい?魔力」
「そうだ、魔力だ。俺は魔法使いだが、ここで随分魔力を消費してな。俺の補充をしないと心つたない」
「別にいいけど・・・・・・」
ピクンっ!とバカが何かを思いついたように片眉を上げる。
「ふっふふ、いいわ。特別に魔力を移譲しましょう。いくらでもあげるわ。いくらでもね」
無事かかったようだな。
「ただし、俺の魔力量は、相当数あるぞ。99,999はある」
「嘘でしょ? たかが人間如きがそんなにあるはず・・・・・・」
「試してみればわかるさ」
「・・・・・・ふっ、それもそうね」
「立たせろ」と命じるとエマがひょいと持ち上げる感じでロムバーを立たす。
ただし何もできないように両腕は後ろ手に組まされたままのようだ。
俺はロムバーに近付き、顎をくいとと持ち上げる。
ロムバーの眉が不快気による。
「ちっ、そういえば、この方法だったわ――――ぷぅ」
俺はロムバーの唇に合わせて貪る。
油断した口内を舌で舐める。
なかなかに悪くない味だ。
「ひぃたふぉいへる必要はふぁい!」ともごもごと文句を言っているようだが何を言っているか分からない。
俺は舌を舐め繰り回しながら、ロムバーの胸に手をあてる。
残念ながらバクスのように隠れ巨乳ということはなくロリな見た目そのままにつるぺたボディのようだ。
(ぶち殺してやる!!)
すると魔力の譲渡が始まったのか、温かい魔力と共にロムバーの心の声を聞こえてくる。
(ふんっ、たかが人間如きの愚かなバカ共が、この私をバカにするなんて、今見てなさいよ。バカね。魔力譲渡をゆすってくるなんて。本当にバカだわ。教えてあげるわ。急激な魔力の譲渡と受け入れきれないほどの魔力量を受けた時、このバカの体は崩壊する)
魔力がどっと体に濁流のように流れ込んでくるのを感じた。
(これで、終わりよ!! 魔力過剰症候群、マナバーンを受けなさいこのバカが!!!!)
(99,999? 人間にしては高い魔力量だけど私たちダンジョンコアの比じゃないわ、死ね。きっちり10万くれてやるわ)
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この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
劣等生のハイランカー
双葉 鳴|◉〻◉)
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ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す!
無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。
カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。
唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。
学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。
クラスメイトは全員ライバル!
卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである!
そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。
それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。
難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。
かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。
「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」
学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。
「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」
時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。
制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。
そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。
(各20話編成)
1章:ダンジョン学園【完結】
2章:ダンジョンチルドレン【完結】
3章:大罪の権能【完結】
4章:暴食の力【完結】
5章:暗躍する嫉妬【完結】
6章:奇妙な共闘【完結】
7章:最弱種族の下剋上【完結】
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【肉棒術】という卑猥なスキルを授かってしまったゆえに皆の笑い者として40年間生きてきたおじさんは、ある日ダンジョンで気持ち悪い触手を拾う。後に【神の触腕】という寄生型の神器だと判明するそれは、その気持ち悪い見た目に反してとんでもない力を秘めていた。
レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。
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絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!?
成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに!
故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。
この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。
持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。
主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。
期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。
その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。
仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!?
美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。
この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
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クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第三章フェレスト王国エルフ編
底辺召喚士の俺が召喚するのは何故かSSSランクばかりなんだが〜トンビが鷹を生みまくる物語〜
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この物語は、底辺召喚士がSSSランクの従僕と冒険したりスローライフを送ったりするものです。
【一話1000文字ほどで読めるようにしています】
召喚する話には、タイトルに☆が入っています。
俺だけ成長限界を突破して強くなる~『成長率鈍化』は外れスキルだと馬鹿にされてきたけど、実は成長限界を突破できるチートスキルでした~
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Fランク冒険者エルクは外れスキルと言われる固有スキル『成長率鈍化』を持っていた。
このスキルはレベルもスキルレベルも成長効率が鈍化してしまう、ただの外れスキルだと馬鹿にされてきた。
しかし、このスキルには可能性があったのだ。成長効率が悪い代わりに、上限とされてきたレベル『99』スキルレベル『50』の上限を超える事ができた。
地道に剣技のスキルを鍛え続けてきたエルクが、上限である『50』を突破した時。
今まで馬鹿にされてきたエルクの快進撃が始まるのであった。
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