未分化少年特殊治療棟

いりや

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由宇 17歳編

臣 採血

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周防は採血セット一式を持って臣の部屋へと来た。
「臣くんおはようさん」

周防が手に持つ道具を見て臣は眉をつりあげ
「周防さん、嫌なもの持って来よるとね?」
「細い針にしたから頑張りぃ?」
「周防さん採血やれると?襟に初心者マークついとるばい」
「一応3年目やから何百とやってるで。安心しぃ。ほんならまず血管探しから行こか?手見せてな?んー…」
「血管、無かやろ?」
「看護師泣かせの腕やのぉ…使える血管あんまり無いで?経管栄養の前は点滴やったん?」
「うん。ばってん点滴はカロリー高いけん、すぐ血管ば潰れよると。痛いし」
「首んとこでやる点滴はやらんかったん?」
「消化器は悪くないからってまずこれになったと。あと、首のは引っこ抜かれると大変って」
「そんな何回も自己抜去やっとるんかいな。悪い子や」

臣はペロっと舌を出しおどけた
「だって。ついやっちゃうとよ。この衝動ば止めるのは難儀やと思う」
「インシデント書くのが上手くなりそうやな。おっといけそうなこと見つけたわ。ただちょっと痛いで?」
「えーっ」
「えーってなんやねんえーって。マーゲン抜く勇気あるんやったら大丈夫やろ?あれの再挿入のが間違いなく辛いんやないか?ほら手、握り?ぎゅっとしとって?」

周防は臣の手首を縛り手袋を付け血管を確かめると、消毒をし針を刺した
「…っっ。痛…」
「ええで。力抜き?手、痺れんな?」
「痛かよ、周防さん」
「堪忍。手の甲は痛いとこやから」
「うう…注射嫌い。昨日会った子、由宇くんだったかな?点滴つけてて可哀想やったと」
「仲良くなれそう?」
「分からんたい。オレはわがままやけんあんまり人に好かれんとよ」
「卑屈にならんでええよ?2人とも俺のかわいい患者さんやから仲良うな?よし、採血おしまい。綿、押さえとってな?」
「はい」
「1時間くらいで結果出るんやけど、祖父江先生の予定が読めん。午後から処置3行くんは確かやから、その前後で寄ってもらおうな?」
「うん」
「ほんなら検査部出してくるで待たな」

周防は臣の頭にポンと手を置き、検査部へと向かった
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