未分化少年特殊治療棟

紗くら

文字の大きさ
上 下
132 / 178

般若祖父江 2 〝由宇 17歳編〝

しおりを挟む
「いぁぁあーっ」

叫ぶことしかできず由宇は叫び、掴むものもなく自分の手をきつく握りしめた。

「あまり叫ぶな。声が枯れる…。後、爪切り済みだから大丈夫だとは思うが手が切れるぞ」
「そんな……言ったっ…てぇっ。いーったぁ」
「堅いなぁ…実に堅い。器具入るか?」
「きぐ…?」
「余裕があるな?しっかり聞いてるとは」

痛がりはするが、自分の言葉に反応する由宇に祖父江は感心した。
「聞いてるなら説明してやる。いまから拡張ポンプを入れる」
「なに…それ」
「簡単な話だ。楕円の風船状に膨らむシリコン器具を由宇の直腸内に挿入し、段階をおって拡張していく最大径11cmまでいける構造だが…まあ無理だろうな」
「やだーっっっ」

聞くなり由宇は逃げの姿勢をとり、点滴スタンドを倒し腕に付いている針を抜きベッドから降りた
「おっと…こら!自己抜針するかっ」

由宇から指が抜け祖父江は追いかけたが、由宇は俊敏な動きを見せ扉の取手に手をかけたが扉が開かずガタガタと扉を揺らした
「嘘…なんでっ」
「ナンバーロックになっていてね…開かない。ナンバーは定期的に変えてるから俺らしか開けられない。出たければどうするか…言わずともわかるだろう?」
「や…やだ…」

由宇は壁に背をつけずるずると床に座りこんでいき
「こ…来ない…でーっやぁ!嫌ってばっっ」
「往生際が悪いな。手癖は悪いと思ったが…検査中に逃げるとは」
「ひ…ひっく…うぇ…も…やだ。帰してっっ出して!ぅああっ」
「弱ったな…しゃくりあげて泣くとは。これ、口に入れて」
祖父江はポケットから取り出した錠剤を由宇の口に押し込み
「やぁっ」

包みを床に捨てると由宇の前に白衣の裾が床に付くのも気にせず祖父江はしゃがみこみ、壁から由宇を引き剥がすと由宇の腕から流れている血を気にもとめず由宇を抱きしめた
「?」
「じきに溶けて眠くなる」

意図が分からず由宇は身を堅くして震え、うろたえた
「い…いや…離して」
「…」
祖父江は何も言わず由宇の腰元をさすり、ポケットからPHSを取り出し電話をかけ

「今日は厳しいな…」
〝中止かい?〝
「そうせざるをえない。来れば分かる」
〝とりあえず迎えに行くよ〝
祖父江はうとうとしだした由宇の腰をさすりつづけた

電話の後すぐに横開きのドアが開いた 
見える光景に瀬谷は祖父江と顔を見合わせて頷き
「不穏か?」
「すぐ対応できるよういつも忍ばせてるものを緊急投与した。あとで処方は書くが…慣れないものを飲ませたから鎮静がかなりかかってる」
「分かった」
「目覚める前に対策を考えた方がいい。この子は院外脱走する可能性が高い」
「おいおい…まさか拘束しろと?」
「やむを得ないのでは?」
「しかし…」
「おまえがやれないなら俺がやる」

祖父江は再びPHSを取り出し、電話をかけだした
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

モルモットの生活

麒麟
BL
ある施設でモルモットとして飼われている僕。 日々あらゆる実験が行われている僕の生活の話です。 痛い実験から気持ち良くなる実験、いろんな実験をしています。

こども病院の日常

moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。 18歳以下の子供が通う病院、 診療科はたくさんあります。 内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc… ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。 恋愛要素などは一切ありません。 密着病院24時!的な感じです。 人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。 ※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。 歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

タイは若いうちに行け

フロイライン
BL
修学旅行でタイを訪れた高校生の酒井翔太は、信じられないような災難に巻き込まれ、絶望の淵に叩き落とされる…

営業活動

むちむちボディ
BL
取引先の社長と秘密の関係になる話です。

少年ペット契約

眠りん
BL
※少年売買契約のスピンオフ作品です。 ↑上記作品を知らなくても読めます。  小山内文和は貧乏な家庭に育ち、教育上よろしくない環境にいながらも、幸せな生活を送っていた。  趣味は布団でゴロゴロする事。  ある日学校から帰ってくると、部屋はもぬけの殻、両親はいなくなっており、借金取りにやってきたヤクザの組員に人身売買で売られる事になってしまった。  文和を購入したのは堂島雪夜。四十二歳の優しい雰囲気のおじさんだ。  文和は雪夜の養子となり、学校に通ったり、本当の子供のように愛された。  文和同様人身売買で買われて、堂島の元で育ったアラサー家政婦の金井栞も、サバサバした性格だが、文和に親切だ。  三年程を堂島の家で、呑気に雪夜や栞とゴロゴロした生活を送っていたのだが、ある日雪夜が人身売買の罪で逮捕されてしまった。  文和はゴロゴロ生活を守る為、雪夜が出所するまでの間、ペットにしてくれる人を探す事にした。 ※前作と違い、エロは最初の頃少しだけで、あとはほぼないです。 ※前作がシリアスで暗かったので、今回は明るめでやってます。

アダルトショップでオナホになった俺

ミヒロ
BL
初めて同士の長年の交際をしていた彼氏と喧嘩別れした弘樹。 覚えてしまった快楽に負け、彼女へのプレゼントというていで、と自分を慰める為にアダルトショップに行ったものの。 バイブやローションの品定めしていた弘樹自身が客や後には店員にオナホになる話し。 ※表紙イラスト as-AIart- 様(素敵なイラストありがとうございます!)

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

処理中です...