未分化少年特殊治療棟

紗くら

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悩む佐久間

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「話すべき…かなぁ」
佐久間は未羽の部屋からの帰り道、ポツリと呟いた。
そして終業間際、佐久間は悩んだすえにある人に意見を聞こうと電話を取った
「あ…少年棟の佐久間です。瀬谷先生ってまだ院内にいます?」
〝はい。ちょい待って。瀬谷先生ーっ佐久間先生〝
相手は保留にすることもなく大声で瀬谷を呼び、しばらくすると瀬谷が出た
〝どうした?由宇。めずらしいじゃないか。今日は当直?〝
「すみません。終業間際にちょっと聞いてもらいたいことがあって…仕事はもうあがりなんですけど」
〝電話で大丈夫なことかい?〝
「あ…いや。できたら違うほうが」
〝じゃあ久々だ。駅前にでも呑みにいこう〝
電話を切ると2人は呑みに行く約束をした。


「よっ」
瀬谷はすっかり白髪オンリーになった髪をかきあげながら職員玄関のところで佐久間に声をかけた
「すみません。急に」
「いや、いいよ。元気か?たまには診察に来い。ずっと定期検診サボってるだろ?」
「大丈夫です。ちゃんと問題なく生活できてます」
「まあ、いい。だが少しでも異変があれば来なさい。じゃ、行くか?」
「はい」
2人は駅前へと歩きだした
店に着くと個室に通してもらい瀬谷は口を開いた
「で?どうした?」
「10年くらい前に少年棟に入院していた遠野未羽って覚えてます?あいつ医者になったんですけど」
「ああ、覚えてる。研修で泌尿器科にもまわって来てて指導したよ」
「その未羽が少年棟に配属になって…」
「ほぉそれで?」
「再発したんですよ。再入院させたはいいけどいまいち納得いかないみたいで無気力になってて。治療のやる気もない感じで」
「またおまえが主治医に?」
「いえ。今回は紫藤先輩が…」
「んー…紫藤か。患者思いではあるが、思いを伝えるのが下手なんだよな、彼は」
「みぃにエッチなことされる患者の気持ちが分かるのか?と聞かれて俺は答えれませんでした」
「言えばいいじゃないか。俺はおまえの先輩だって。医者におもちゃにされたような気分になる気持ちは分かるって言うだけだろう?それを秘密にする意味は?」
「ないです」
「恥ずかしいか?」
「ですね。言えませんよ、少年棟の1回生だなんて」
「事実だろ?」
瀬谷は飲みかけのグラスを傾けグラスの中身を全て飲み干した
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