60 / 292
未羽 27歳編
入院翌日 4
しおりを挟む
「とりあえず今日はこれでいいでしょう」
紫藤は未羽から指を抜きローションでベタつく指をティッシュで拭き未羽から離れると隣室へと消えた
「え…紫藤先生…?」
紫藤の考えていることが分からない未羽は独りにされて不安気に紫藤を呼んだ。
しばらくすると奥の部屋からチンっとレンジを操作する音が聞こえ、紫藤が湯気の立つタオルを持ち隣室から現れた
「お待たせしました。何をそんな不安そうな顔をしているんです?タオルを温めてきただけです」
説明しながら紫藤は未羽の股間をそのタオルで拭き清めた
「ん…っあったかい…」
「ティッシュよりいいでしょう?」
「意外と優しいんだ?」
「意外とは余計です」
「ちょっとだけ先生のこと怖くなくなったかも…」
未羽は照れながら小声で呟いた
「それはよかった。病室にはひとりで帰れますか?」
タオルを抱えたまま、紫藤は扉を開け未羽に帰るよう促した
「はい。えとまた明日?」
「残念ながら明日は休みです。あなたが大好きな佐久間が面倒みてくれますよ、よかったですね」
うっすらと笑みを浮かべ紫藤は答えた
「本当?なんか緊張するかも」
「いっぱい甘えさせてもらうといいです。幸せ気分になるのはいいことです」
未羽が部屋から消えると紫藤は帰り支度を始めた
・
・
紫藤は帰り道にケーキ屋に寄った。普段はあまり食べないが今日は佐渡の部屋に移りすんでからまるっと10年経つ記念日だ。
佐渡が覚えているかは分からないがやっぱり祝いたい…ドキドキする気持ちを抑えながら帰宅するとそこには佐渡の靴がなく紫藤は首を傾げた
「琢磨…さん?いない?明けなのに仮眠もとらずにどこへ?」
不安に呼吸が荒くなりスマホを取り出し紫藤は電話をかけた
「琢磨さん」
〝どうした?なんか泣きそうな声だぞ〝
「なんでいない?」
〝ああ帰ってきたのか…おかえり〝
「どこに?」
〝もう着く〝
ガチャンと音がし扉が開くと両手いっぱいのバラの花を抱え佐渡が帰宅し紫藤は驚きに目を見開いた
紫藤は未羽から指を抜きローションでベタつく指をティッシュで拭き未羽から離れると隣室へと消えた
「え…紫藤先生…?」
紫藤の考えていることが分からない未羽は独りにされて不安気に紫藤を呼んだ。
しばらくすると奥の部屋からチンっとレンジを操作する音が聞こえ、紫藤が湯気の立つタオルを持ち隣室から現れた
「お待たせしました。何をそんな不安そうな顔をしているんです?タオルを温めてきただけです」
説明しながら紫藤は未羽の股間をそのタオルで拭き清めた
「ん…っあったかい…」
「ティッシュよりいいでしょう?」
「意外と優しいんだ?」
「意外とは余計です」
「ちょっとだけ先生のこと怖くなくなったかも…」
未羽は照れながら小声で呟いた
「それはよかった。病室にはひとりで帰れますか?」
タオルを抱えたまま、紫藤は扉を開け未羽に帰るよう促した
「はい。えとまた明日?」
「残念ながら明日は休みです。あなたが大好きな佐久間が面倒みてくれますよ、よかったですね」
うっすらと笑みを浮かべ紫藤は答えた
「本当?なんか緊張するかも」
「いっぱい甘えさせてもらうといいです。幸せ気分になるのはいいことです」
未羽が部屋から消えると紫藤は帰り支度を始めた
・
・
紫藤は帰り道にケーキ屋に寄った。普段はあまり食べないが今日は佐渡の部屋に移りすんでからまるっと10年経つ記念日だ。
佐渡が覚えているかは分からないがやっぱり祝いたい…ドキドキする気持ちを抑えながら帰宅するとそこには佐渡の靴がなく紫藤は首を傾げた
「琢磨…さん?いない?明けなのに仮眠もとらずにどこへ?」
不安に呼吸が荒くなりスマホを取り出し紫藤は電話をかけた
「琢磨さん」
〝どうした?なんか泣きそうな声だぞ〝
「なんでいない?」
〝ああ帰ってきたのか…おかえり〝
「どこに?」
〝もう着く〝
ガチャンと音がし扉が開くと両手いっぱいのバラの花を抱え佐渡が帰宅し紫藤は驚きに目を見開いた
1
お気に入りに追加
66
あなたにおすすめの小説

こども病院の日常
moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。
18歳以下の子供が通う病院、
診療科はたくさんあります。
内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc…
ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。
恋愛要素などは一切ありません。
密着病院24時!的な感じです。
人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。
※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。
歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。



身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

お兄ちゃんはお医者さん!?
すず。
恋愛
持病持ちの高校1年生の女の子。
如月 陽菜(きさらぎ ひな)
病院が苦手。
如月 陽菜の主治医。25歳。
高橋 翔平(たかはし しょうへい)
内科医の医師。
※このお話に出てくるものは
現実とは何の関係もございません。
※治療法、病名など
ほぼ知識なしで書かせて頂きました。
お楽しみください♪♪
双葉病院小児病棟
moa
キャラ文芸
ここは双葉病院小児病棟。
病気と闘う子供たち、その病気を治すお医者さんたちの物語。
この双葉病院小児病棟には重い病気から身近な病気、たくさんの幅広い病気の子供たちが入院してきます。
すぐに治って退院していく子もいればそうでない子もいる。
メンタル面のケアも大事になってくる。
当病院は親の付き添いありでの入院は禁止とされています。
親がいると子供たちは甘えてしまうため、あえて離して治療するという方針。
【集中して治療をして早く治す】
それがこの病院のモットーです。
※この物語はフィクションです。
実際の病院、治療とは異なることもあると思いますが暖かい目で見ていただけると幸いです。

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる