未分化少年特殊治療棟

未羽 17歳

時を遡ること10年前、、

診察室で無情な事実をぼくは突きつけられた
「糖尿病性性機能障害の可能性？何それ…」
「文字通り。糖尿病によって大事な性機能が障害されちゃってるんだよ、未羽くん。勃起障害や射精障害がおきてる。それはいいにしても血糖のコントロールはしないと死ぬよ。ないしは壊死して足指が落ちる。即入院してもらう」
「そ、そんなっ。受験控えてる！大学浪人とかありえないよっ医者目指してるんだけどぼく」
「勉強ならここでもできる。医師が常勤で4人いるからなんなら教えてやる。看護師さん、ベッドひとつ押さえておいて？」
「あくまっ」
「佐久間です。医師を目指しているのなら血糖値が300越えてるなんてありえない数字だって分かるよな？血液どろどろで何があってもおかしくない数字だ」
「別に太ってないのになんで？」
「痩せ型でもなるんだ」
こうして入院したのが始まりだった。
・
・
本院から長い渡り廊下を渡り、カードキーで扉が開けられると中に入るよう誘導されて未羽は中へと入った
「ここが君が入院する未分化少年特殊治療棟だ」
「は？」
「だから未分化少年特殊治療棟」
「日本語？」
「あのな…未来の医大生大丈夫か？未分化とはなんだ？」
「細胞が分化していないことですよね？ガンなんかに使う」
「大義はそうだ。ここでは子供と大人の中間地点で立ち止まっているものたちのことを指す。少年はそのままんだな。小児科でもなければ成年でもない特殊な治療をする入院棟なんだ」
「意味わからない…」
「そのうちわかる」
「そのうちって…」
「ここは他科とは独立していて別棟なんだけど…全部で8人が治療できるようになっている。今は君をいれて4人目。医者が4人いるから特別待遇なのはわかるだろう？」
「まあ、普通ありえない比率ですよね」
「俺たち医者は医者だが、君たちのお父さんであり兄であり友人だから安心して療養してほしい。で…ここがナースステーション。全員男性なのが特徴。隣が医局。そのまた隣が処置室1から4な？でぐるっと囲むようにしてそれぞれの入院部屋…奥の突き当たりが食堂や娯楽室、風呂場がある」
「ふーん…でも誰もいなくない？」
「この時間はさっきの処置室だ。一応防音になってるから目の前までいかないと聞こえないはずだ。未羽…言いにくいからみぃと呼ぶけど、みぃの部屋は3号室相部屋だから。同室の子と仲良くな？またな」
ひらひらと手をふり佐久間は医局へと消えていった