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身代わり
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「無理だよ…っ父さん母さん!叔母さんも」
嫌がる少年に留袖を着た女は綿帽子を被せ、もう1人の留袖の女が真っ赤な口紅を少年の唇にひいた
袴を着た髭の男は少年の前に跪き
「聞きなさい。透これはお前にしか頼めない大事なことだ」
ゆっくりと悟すように透に話しかけた。
透は首を横に振り立ち上がった。
「絶対バレるって。オレは男で馨は女なんだから」
「Ωであることには変わりない。立派に高遠家に嫁いでαを産みなさい。そうしたら傾きかけた我が家も安泰だ」
「とりあえず数日…なんとか乗り切って。母さんたち馨ちゃんを探すから」
「頼むわよ」
安曇透は無理矢理に白無垢を着させられ支度を施されていた。
今日は双子の姉、馨が嫁ぐ日だったが
〝愛に生きます 馨♡〝のメモを残して突然姿をくらませた。
すでに親族一同高遠家に集まり後は花嫁の到着を待つばかりの段階でそれが発覚し、一同は大慌てで替え玉として透を花嫁にしたてあげた。
よく似ている双子だからパッと見は分からないが…何時間か後には間違いなくいわゆる初夜がある。
そしたらバレる。
どう考えても時間の問題だ
仮に誤魔化せたとしてオレはねーちゃんと違ってまだ発情期に入ったことがないからエッチなんてできるわけがない。
馨の発情期の周期的に見て今日明日がまさにと言う日をわざわざ選んで祝言をあげることにしたから二、三日で発情期に入らなかったら絶対怪しまれる。
焦るオレの気持ちも知らずに場はどんどん流れ、花婿の元へと連れていかれる時がきた
「馨行こう」
父さんがうやうやしくオレの手を取り歩き出した。
オレは慣れない着物に悪戦苦闘しながら廊下を歩き大広間へと向かい続きの間に土下座をし声がかかるのを待った
「馨さま到着にございます…」
「通せ」
襖が女中により開けられ、視線を複数感じたがそのまま頭を下げ
「馨です。よろしくお願いします」
簡単に挨拶をした。
「ささ、花嫁さまは花婿さまの隣に…」
仲人の声かけで隣へと座らされ、オレは先程以上に緊張し、胸がバクバクと鳴りだした。
「久成さま、馨さまおめでとうございます」
次々に祝いの言葉を述べられオレはボロが出ないよう恥ずかしがっているフリをしてただただ静かに頷き頭を下げ続けた
足袋の中がじっとりと汗ばみその不快感と帯の締め付けによる苦痛、バレるのでは…と言う不安感で息があがり段々とまわりがぼやけていき耳が遠くなる感じがした。
「苦し…」
あ…と思ったときには遅く、オレは意識を飛ばし隣にいた久成に抱きとめられていた。
嫌がる少年に留袖を着た女は綿帽子を被せ、もう1人の留袖の女が真っ赤な口紅を少年の唇にひいた
袴を着た髭の男は少年の前に跪き
「聞きなさい。透これはお前にしか頼めない大事なことだ」
ゆっくりと悟すように透に話しかけた。
透は首を横に振り立ち上がった。
「絶対バレるって。オレは男で馨は女なんだから」
「Ωであることには変わりない。立派に高遠家に嫁いでαを産みなさい。そうしたら傾きかけた我が家も安泰だ」
「とりあえず数日…なんとか乗り切って。母さんたち馨ちゃんを探すから」
「頼むわよ」
安曇透は無理矢理に白無垢を着させられ支度を施されていた。
今日は双子の姉、馨が嫁ぐ日だったが
〝愛に生きます 馨♡〝のメモを残して突然姿をくらませた。
すでに親族一同高遠家に集まり後は花嫁の到着を待つばかりの段階でそれが発覚し、一同は大慌てで替え玉として透を花嫁にしたてあげた。
よく似ている双子だからパッと見は分からないが…何時間か後には間違いなくいわゆる初夜がある。
そしたらバレる。
どう考えても時間の問題だ
仮に誤魔化せたとしてオレはねーちゃんと違ってまだ発情期に入ったことがないからエッチなんてできるわけがない。
馨の発情期の周期的に見て今日明日がまさにと言う日をわざわざ選んで祝言をあげることにしたから二、三日で発情期に入らなかったら絶対怪しまれる。
焦るオレの気持ちも知らずに場はどんどん流れ、花婿の元へと連れていかれる時がきた
「馨行こう」
父さんがうやうやしくオレの手を取り歩き出した。
オレは慣れない着物に悪戦苦闘しながら廊下を歩き大広間へと向かい続きの間に土下座をし声がかかるのを待った
「馨さま到着にございます…」
「通せ」
襖が女中により開けられ、視線を複数感じたがそのまま頭を下げ
「馨です。よろしくお願いします」
簡単に挨拶をした。
「ささ、花嫁さまは花婿さまの隣に…」
仲人の声かけで隣へと座らされ、オレは先程以上に緊張し、胸がバクバクと鳴りだした。
「久成さま、馨さまおめでとうございます」
次々に祝いの言葉を述べられオレはボロが出ないよう恥ずかしがっているフリをしてただただ静かに頷き頭を下げ続けた
足袋の中がじっとりと汗ばみその不快感と帯の締め付けによる苦痛、バレるのでは…と言う不安感で息があがり段々とまわりがぼやけていき耳が遠くなる感じがした。
「苦し…」
あ…と思ったときには遅く、オレは意識を飛ばし隣にいた久成に抱きとめられていた。
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