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第一章
7 あなたの夢は?
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「珪化木、化石に琥珀、それと暗黒物質」
砂竜の歩みに合わせて揺れる鞍上で、困惑の滲むアースィムの声が、ラフィアの後頭部辺りに降って来る。
「どこにあるのかと言われても、探したことがないので何とも……」
「なんだ、やっぱり珍しい物なのね」
声は、遮る物のない茫漠とした砂漠に広がっていく。
橙色の砂丘が遠くに優美な曲線を描く。誰も足を踏み入れていない砂地に流麗な風紋が刻まれているのが物珍しい。夕刻、日中の灼熱の残滓が残る陽光に汗を流しつつも、ラフィアは未知の世界に心を躍らせていた。
新婚旅行に出発したラフィアは、アースィムの砂竜イバに同乗させてもらっている。アースィムの前方に座り、彼に背中を預けるような恰好で進んでいるものだから、吐息が髪に触れてくすぐったい。
「珍しいというのもありますが、そもそも暗黒物質なんて初めて聞きました。実在する物なのですか?」
「知らないわ。でもカリーマが持っている本に書いてあったのよ」
「彼女の収拾本は半分以上怪しげな書物ですから気を付けて」
「そうなの? でもカリーマのお家には面白い本がたくさんあるの。例えば、ずっと北に行くと雪っていう雲みたいな白いふわふわで地表が覆われているとか、遥か西の果ての島国ではわざと禿げを作る髪型が流行っているとか、南方には猫の糞から採取した豆を食べる人達がいるとか、東方の人々はスカーフの代わりに人毛を被っているのだとか。あとはね、空のずっと先には世界を呑み込もうとする巨大な生き物がいて、百二十五年後の世界滅亡の年に五人組の英雄が現れて、見たこともない最新武器でその怪物を倒してくれるんですって!」
興奮に上気しつつ言い切って、ラフィアは首を後ろに捻り、期待しつつアースィムの反応を窺う。だがしかし、アースィムは顔中に渋い表情を張り付かせ、左手で額を抱えていた。
通った鼻梁がラフィアのすぐ側にあり、飴色《あめいろ》の長い睫毛の一本一本までが鮮明に見える。贔屓目をなしにしても、アースィムの容貌は整っている。
アースィムが族長を務める白の氏族に降嫁することが決まった時、ラフィアの脳裏を駆け巡ったのは、未来の夫への思慕ではなく、まだ見ぬ広大な砂漠への憧憬であった。
砂竜族には四つの氏族があるのだが、白の氏族長家は四氏族中、屈指の美形家系なのだと側仕えの女官が教えてくれた時も、そうなのかと思っただけで特段何の感情も抱かなかった。
ラフィアにとって重要なのは、降嫁すれば後宮を出ることができるという事実だけである。
たとえ嫁ぎ先が、厳格過ぎて陰鬱な空気が漂うと噂の紫の氏族や、脳が筋肉で出来ているのではと揶揄される豪傑族長が束ねる赤の氏族、はたまた成金放蕩一族と陰口を叩かれる青の氏族といった他の集落に嫁いだとしても、行き先が未知の世界であるならば、ラフィアは相応に楽しめただろう。
とはいえラフィアも年頃の娘である。毎日顔を合わせるのであれば、醜男よりも美男の方が好ましいし、美形をじっと見つめれば胸が高鳴るのも確かなのだ。
額に手を当て瞑目し何事かを思案していたアースィムが、おもむろに瞼を上げる。飴色の瞳が拳一つ分ほどの至近距離にある。視線が絡まり、想定よりも身体が密着していたことに気づき、ラフィアは反射的に顔を背けた。少し頬が熱い気がする。
「……俺には情報の真偽はわかりませんが、少なくとも最後の一つは胡散臭いかと」
「そ、そうかしら。でもね」
ラフィアは動揺を静め前方へ向き直り、鞍から両手を離して左右に広げ、砂を含む乾いた風を全身に浴びた。
「私にとっては、こんなに広い一面の砂地が存在するということだって、実際に見るまで信じられないことだったのよ。駱駝の糞が燃料として役立つのだから、猫の糞から豆が取れても不思議ではないし、砂漠に猛毒の蠍が住むのなら、空の果てに怪物がいたっておかしくないでしょう」
アースィムは再び黙り込む。もう一度顔色を覗き込もうかと後ろを向きかけた時、小さな笑い声がラフィアの髪を揺らした。今まで耳にした中で、最も素直で楽し気な声だった。
「おっしゃる通りです。世界は知らないことで満ちていて、皇女様やカリーマのような好奇心旺盛な人々はいつか、その謎を解き明かすことが出来るのでしょうね」
やりたいことがあるのは良いことです、と穏やかに笑むアースィムの声音に、微かな陰を感じ、ラフィアは背中に触れる体温越しに様子を窺う。
彼はいつでも温厚で、当たり障りのない面立ちをした仮面を被っている。ラフィアが言いつけを破り奔放をする度に、困ったような、悲しむような顔をして、それでも怒りを露わにすることはない。
最初は、妻とはいえ主君の娘である皇女に対して強く命じることができないのではないかと推察していた。しかし、集落での彼の振舞いを見る限り、あれはラフィアだけのために身に着けた仮面ではない。おそらく幼少の頃より自然と染み付いたものなのだろう。そのことに確信を抱いたラフィアは、思わず問うていた。
「アースィムは?」
「え?」
「あなたは何かやりたいことないの?」
「やりたいこと」
珍しく、戸惑ったような声が耳朶に触れる。ラフィアは、砂竜の鱗が照り返す陽光を眺めながら頷いた。
「私は、知らない場所に行き見たことがないものを見て、本や旅商人から得た知識が本当なのか知りたい。十六年間毎日同じ後宮の壁ばかり見てきたのだもの。その分を今から取り戻したいの。アースィムは?」
「俺は」
彼は言い淀み、それから当たり障りのない言葉を紡ぎ出す。
「族長として集落を守り、氏族をいっそう繁栄させたい」
「アースィムが族長で、集落の皆は幸せ者ね。でもそれは族長としての夢でしょう。あなた自身の望みは?」
背中に触れたアースィムの胸板から、微かな動揺が伝わった。
「これは俺自身の望みですよ。族長なのですから、何もおかしいことはありません」
「じゃあ子供の頃の夢は?」
「忘れてしまいました」
「それなら今度、隠居しているあなたのお父様とお母様に聞いてみましょうよ。ついでにあなたの子供の頃のお話を聞きたいわ。きっと小さいアースィムは可愛いらし」
「皇女様、もうこの話はやめましょう」
不意に硬い声音で遮られ、ラフィアは肩を震わせて口を閉ざす。背後から、息を吞む音がした。ラフィアの反応を見て、失態に気づいたようだ。アースィムは取り繕うように声音を緩める。
「両親から俺の話を聞いても面白くないですよ。二人は俺に、良い感情を抱いていませんから」
「え、でも」
「せっかくの旅行ですから暗い話はなしにしましょう。あなたには、楽しい気分で過ごし、本当の砂漠をもっと知ってもらいたい。もうすぐオアシスに着きます。星を眺めながら野営をするのはきっと楽しいですよ」
そう言われてしまえばこれ以上言い募るのも憚られ、強烈な違和感を覚えつつもラフィアは前方の景色を歪ませる蜃気楼を見つめて言葉を喉の奥に押し込めた。
「珪化木、化石に琥珀、それと暗黒物質」
砂竜の歩みに合わせて揺れる鞍上で、困惑の滲むアースィムの声が、ラフィアの後頭部辺りに降って来る。
「どこにあるのかと言われても、探したことがないので何とも……」
「なんだ、やっぱり珍しい物なのね」
声は、遮る物のない茫漠とした砂漠に広がっていく。
橙色の砂丘が遠くに優美な曲線を描く。誰も足を踏み入れていない砂地に流麗な風紋が刻まれているのが物珍しい。夕刻、日中の灼熱の残滓が残る陽光に汗を流しつつも、ラフィアは未知の世界に心を躍らせていた。
新婚旅行に出発したラフィアは、アースィムの砂竜イバに同乗させてもらっている。アースィムの前方に座り、彼に背中を預けるような恰好で進んでいるものだから、吐息が髪に触れてくすぐったい。
「珍しいというのもありますが、そもそも暗黒物質なんて初めて聞きました。実在する物なのですか?」
「知らないわ。でもカリーマが持っている本に書いてあったのよ」
「彼女の収拾本は半分以上怪しげな書物ですから気を付けて」
「そうなの? でもカリーマのお家には面白い本がたくさんあるの。例えば、ずっと北に行くと雪っていう雲みたいな白いふわふわで地表が覆われているとか、遥か西の果ての島国ではわざと禿げを作る髪型が流行っているとか、南方には猫の糞から採取した豆を食べる人達がいるとか、東方の人々はスカーフの代わりに人毛を被っているのだとか。あとはね、空のずっと先には世界を呑み込もうとする巨大な生き物がいて、百二十五年後の世界滅亡の年に五人組の英雄が現れて、見たこともない最新武器でその怪物を倒してくれるんですって!」
興奮に上気しつつ言い切って、ラフィアは首を後ろに捻り、期待しつつアースィムの反応を窺う。だがしかし、アースィムは顔中に渋い表情を張り付かせ、左手で額を抱えていた。
通った鼻梁がラフィアのすぐ側にあり、飴色《あめいろ》の長い睫毛の一本一本までが鮮明に見える。贔屓目をなしにしても、アースィムの容貌は整っている。
アースィムが族長を務める白の氏族に降嫁することが決まった時、ラフィアの脳裏を駆け巡ったのは、未来の夫への思慕ではなく、まだ見ぬ広大な砂漠への憧憬であった。
砂竜族には四つの氏族があるのだが、白の氏族長家は四氏族中、屈指の美形家系なのだと側仕えの女官が教えてくれた時も、そうなのかと思っただけで特段何の感情も抱かなかった。
ラフィアにとって重要なのは、降嫁すれば後宮を出ることができるという事実だけである。
たとえ嫁ぎ先が、厳格過ぎて陰鬱な空気が漂うと噂の紫の氏族や、脳が筋肉で出来ているのではと揶揄される豪傑族長が束ねる赤の氏族、はたまた成金放蕩一族と陰口を叩かれる青の氏族といった他の集落に嫁いだとしても、行き先が未知の世界であるならば、ラフィアは相応に楽しめただろう。
とはいえラフィアも年頃の娘である。毎日顔を合わせるのであれば、醜男よりも美男の方が好ましいし、美形をじっと見つめれば胸が高鳴るのも確かなのだ。
額に手を当て瞑目し何事かを思案していたアースィムが、おもむろに瞼を上げる。飴色の瞳が拳一つ分ほどの至近距離にある。視線が絡まり、想定よりも身体が密着していたことに気づき、ラフィアは反射的に顔を背けた。少し頬が熱い気がする。
「……俺には情報の真偽はわかりませんが、少なくとも最後の一つは胡散臭いかと」
「そ、そうかしら。でもね」
ラフィアは動揺を静め前方へ向き直り、鞍から両手を離して左右に広げ、砂を含む乾いた風を全身に浴びた。
「私にとっては、こんなに広い一面の砂地が存在するということだって、実際に見るまで信じられないことだったのよ。駱駝の糞が燃料として役立つのだから、猫の糞から豆が取れても不思議ではないし、砂漠に猛毒の蠍が住むのなら、空の果てに怪物がいたっておかしくないでしょう」
アースィムは再び黙り込む。もう一度顔色を覗き込もうかと後ろを向きかけた時、小さな笑い声がラフィアの髪を揺らした。今まで耳にした中で、最も素直で楽し気な声だった。
「おっしゃる通りです。世界は知らないことで満ちていて、皇女様やカリーマのような好奇心旺盛な人々はいつか、その謎を解き明かすことが出来るのでしょうね」
やりたいことがあるのは良いことです、と穏やかに笑むアースィムの声音に、微かな陰を感じ、ラフィアは背中に触れる体温越しに様子を窺う。
彼はいつでも温厚で、当たり障りのない面立ちをした仮面を被っている。ラフィアが言いつけを破り奔放をする度に、困ったような、悲しむような顔をして、それでも怒りを露わにすることはない。
最初は、妻とはいえ主君の娘である皇女に対して強く命じることができないのではないかと推察していた。しかし、集落での彼の振舞いを見る限り、あれはラフィアだけのために身に着けた仮面ではない。おそらく幼少の頃より自然と染み付いたものなのだろう。そのことに確信を抱いたラフィアは、思わず問うていた。
「アースィムは?」
「え?」
「あなたは何かやりたいことないの?」
「やりたいこと」
珍しく、戸惑ったような声が耳朶に触れる。ラフィアは、砂竜の鱗が照り返す陽光を眺めながら頷いた。
「私は、知らない場所に行き見たことがないものを見て、本や旅商人から得た知識が本当なのか知りたい。十六年間毎日同じ後宮の壁ばかり見てきたのだもの。その分を今から取り戻したいの。アースィムは?」
「俺は」
彼は言い淀み、それから当たり障りのない言葉を紡ぎ出す。
「族長として集落を守り、氏族をいっそう繁栄させたい」
「アースィムが族長で、集落の皆は幸せ者ね。でもそれは族長としての夢でしょう。あなた自身の望みは?」
背中に触れたアースィムの胸板から、微かな動揺が伝わった。
「これは俺自身の望みですよ。族長なのですから、何もおかしいことはありません」
「じゃあ子供の頃の夢は?」
「忘れてしまいました」
「それなら今度、隠居しているあなたのお父様とお母様に聞いてみましょうよ。ついでにあなたの子供の頃のお話を聞きたいわ。きっと小さいアースィムは可愛いらし」
「皇女様、もうこの話はやめましょう」
不意に硬い声音で遮られ、ラフィアは肩を震わせて口を閉ざす。背後から、息を吞む音がした。ラフィアの反応を見て、失態に気づいたようだ。アースィムは取り繕うように声音を緩める。
「両親から俺の話を聞いても面白くないですよ。二人は俺に、良い感情を抱いていませんから」
「え、でも」
「せっかくの旅行ですから暗い話はなしにしましょう。あなたには、楽しい気分で過ごし、本当の砂漠をもっと知ってもらいたい。もうすぐオアシスに着きます。星を眺めながら野営をするのはきっと楽しいですよ」
そう言われてしまえばこれ以上言い募るのも憚られ、強烈な違和感を覚えつつもラフィアは前方の景色を歪ませる蜃気楼を見つめて言葉を喉の奥に押し込めた。
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